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アフリカ・ルワンダで青年海外協力隊として活動しています、タケダノリヒロ(@NoReHero)です。
家を引き払う日が決まり、後任の方からも連絡が来て、いよいよ最後だなあと実感しています。
とは言え残り60日ほどあるので、その期間を有意義に過ごすためにもこれまでの活動・事例を時系列で振り返ってみました。
これから青年海外協力隊を目指す方や、国際協力に関心のある方は参考にしてみてください(※長いです=8000字)。
職種と要請内容
まずはぼくがどんな任務を受けてルワンダにやってきたのかを説明します。「職種」や「要請」がどういうものかご存知の方はつぎの見出しからお読みください。
職種はコミュニティ開発
青年海外協力隊には、コミュニティ開発、青少年教育、スポーツ、障害児・者支援、観光など、120以上の「職種」があります。
ぼくの職種は「コミュニティ開発」。要するに地域の住民の生活向上のお手伝いをすること。そのふわっとした名前のとおり、協力隊のなかではもっとも専門性が低く、悪い言い方をすれば「だれでもなれる」職種です。
その分やるべきことが明確に決まっていない場合も多いので、「ゼロから問題点を考えて、解決策を自分自身で生み出し、それを行動に移す」という力がほかの職種よりも必要になる、と個人的には思っています。
意気込んで来たわりには全然仕事がもらえず、同僚の理解も得られず、「私はなにをしに来たんだろう……」と悩んでしまうことも多いので、能動的に動けるまたは楽天的なタイプの人におすすめの職種です。
要請内容は水・衛生環境の改善
職種も「要請」の内容によって、国やJICAから求められる活動が変わってきます。コミュニティ開発にも収入向上などのビジネス系や、コーヒー栽培などの農業系ーーとさまざまな要請内容があります。
ぼくがアサインされたのは「水・衛生環境の改善」。世界的にもこの分野に携わっている隊員は多く、「グループ派遣」という形でチームとして問題に取組むことも多いです。このチームは「水の防衛隊」と呼ばれています。
ネーミングセンスはともかく、先輩や同期の取組みを参考にすることができたため、なにをすればいいかわからなかった当初もスムーズに自分の活動に入ることができました。
この「要請」によって、「任地」と「配属先」も決まります。ぼくの任地は東部県ルワマガナ郡ムシャセクター、首都のキガリから車で1時間くらいのところです。配属先はムシャセクター事務所。日本でいう村役場のようなところ。
この要請はぼくが初代。ほかの要請は二代目、三代目と続いていて、先代の活動を踏襲したりもできるのですが、初代の場合はゼロから自分で作っていく必要があります。
模索期(配属直後~)
キガリでの約1ヶ月の語学訓練を終え、2016年2月中旬に任地であるムシャセクターにやってきました。
当時のムシャセクター事務所の状況はこんな感じ。
・同僚は10人弱
・英語が話せる人はほぼいない
・カウンターパート(相棒)となるべきインフラ担当の女性も着任したばかりで、仕事がよくわかっていない
・同僚も協力隊になにをさせればいいのかよくわかっていない
ということで、「協力隊あるある」と聞いていた「仕事がない」状況そのままでした。
当時のブログに書いてあった心境。
近所のみなさんは外国人が相当珍しいようですが、こちらがルワンダ語で挨拶すると笑顔で返してくれます。
嬉しいことに、老若男女とも怪訝な顔をする人は全然いません。
これから住民の一人として認めてもらえるように、交流を深めていきます。
問題は自分の「仕事」をここで見つけられるかどうか…。
2年後、このブログをどんな気持ちで読み返すのか、いまから楽しみです。
2016年2月19日 – 青年海外協力隊ってどんなところで働いてるの?初出勤&活動開始!
読み返してますねー。書いといてよかった。
そんなに大したことはできなかったけど、「仕事」はなんとかつくることができました。
でも最初は何から始めたらいいかわからず、とりあえずルワンダ語を勉強して、「フィールド調査」という名目で近所を散策してましたね。
【2016年3月1日】急展開!活動の突破口が開けました。
【2016年3月2日】流れ星で願い事が叶うなんてウソだよ〜活動課題整理〜
「この村にはどんな問題があるのか?」「どうやったらそれを解決できるのか?」とこの時期にじっくり考えられたことが、後の活動につながりました。
水を簡単に煮沸したり、調理が楽になったりするように、「ソーラークッカー」づくりなんかにも挑戦してましたね。太陽光で目玉焼きつくろうと思ったら、一瞬でカラスに食べられましたが。
太陽光で目玉焼きは作れるのか。開始1分でカラスの餌食に。 #ソーラークッカー pic.twitter.com/9ysKtP1gIO
— タケダノリヒロ@アフリカ・ルワンダ (@NoReHero) 2016年3月18日
【2016年3月18日】もう水浴びも寒くない!ソーラークッカーで目玉焼き&温水つくってみた。
充実期(2ヶ月目~)
ルシシロ小学校での活動
活動の転機になったのが、ルシシロ小学校(Rusisiro Primary School)との出会い。配属からひと月ほど経ったころでした。
【2016年3月28日】ルシ通信①ルワンダの小学校に潜入!ワークショップ開催決定!
おもな活動はほとんどこの小学校でおこなったので、ここの先生たちの協力なしではこんなに充実した隊員生活は送れてませんでしたね。
はじめてワークショップを実施したのが4月末。ほかの隊員にも手伝ってもらって、保護者向けにこれからやっていこうと思っている衛生啓発活動の説明と、アンケートをおこないました。
【2016年4月29日】
【2016年4月30日】ルシ通信③半数が雨水利用、7割が水因性疾患!ルワンダ小学校衛生調査
ここからルシシロ小学校との交流が活発に。衛生啓発以外にも授業をさせてもらったりしました。
【2016年5月11日】ルワンダの小学校に飛び入りして歌ってきました
【2016年5月13日】小学校で衛生クラブ組織化!…のはずがノープラン授業
【2016年5月27日】ルシ通信④衛生×アート×生徒150人! 小学校でWASHワークショップ
水の防衛隊としての活動
「水の防衛隊」としても、ほかの隊員と一緒にセカンダリースクール(中学&高校)で衛生啓発ワークショップを実施。
【2016年5月19日】衛生啓発ワークショップ!イソジンとデンプンで手洗い実験!
【2016年5月21日】
手洗いワークショップinキレヘ&ムシャ〜実戦でルワンダ語力アップ!〜
【2016年8月27日】衛生啓発ワークショップ・ペットボトルで簡易手洗い器づくり!
【2016年10月16日】灰を使った手洗いワークショップ〜ルワンダ水の防衛隊〜
給水施設の改善
配属後4ヶ月目ごろから、上司に頼まれて「給水施設の改善」に取組むことになりました。
【2016年6月1日】
【2016年6月6日】湧水改善プロジェクト商談成立!値切って取引額は1/3に!
しかし後にその上司が逮捕され、いっしょに取組むことになっていた業者も郡の方針転換で変更になってしまったため計画自体が白紙に。
衛生クラブの立ち上げ
ぼくの活動のメインとなった、小学校の「衛生クラブ」はこの時期にスタート。
【2016年6月22日】
ルシ通信⑤「考える力」を鍛えねば!衛生クラブ立ち上げ大苦戦の巻
【2016年6月24日】ルシ通信⑥嬉しすぎる!小学校の衛生クラブ本格始動!
【2016年9月10日】ルシ通信⑩2ヶ月で驚きの進歩!ルワンダ小学校衛生クラブ
【2016年9月18日】ルシ通信⑪衛生啓発ポスターづくり&号泣寸前の発表会!
【2016年10月22日】ルシ通信⑬感染経路と手洗いダンスの衛生WS!歌のおにいさんになるの巻
【2017年2月25日】衛生クラブで学校マップづくり!腹立つのも子ども、癒されるのも子ども。
転換期(半年~)
ルワンダに来て半年ほど経ったころ、「そういえばこの村のこと、いまいちよく分かってないな」と思い、「家庭調査」に取組むことにしました。
でもただ調べるだけでは面白くないので、住民のみんなの生活の様子を撮影した『1000 smiles』というムービーをつくることに。
【2016年7月11日】
新プロジェクト始動!1000の家庭調査&1000の笑顔ムービー作ります!
【2016年7月13日】新プロジェクト「1000smiles」!発見が盛りだくさんの1日目!
【2016年11月1日】
結果的に130軒ほどまわって、ムービーも完成させることができました。
(使用している楽曲『福笑い / 高橋優』が著作権保護されているため、限定公開にしています。※動画のシェアはしないでください)
ホームステイ受け入れ
9月には「ホームステイの受け入れ」を開始。ブログを読んでムシャを訪れてくれる方が増えてきたんですが、泊まるところがないのでやむなく近所の家庭にお願いしたことがきっかけで、これまでに20名近くの方が泊まりに来てくれました。
【2016年9月20日】
慶應大生がルワンダ農村でホームステイ!虐殺生存者の心境とは?
ホストファミリーになってくれたのは、前述の家庭調査で知り合ったご家族。こういうのも縁ですよね。
ホームステイの受け入れは配属先やJICAから求められていたことではないんですが、現地の方々と日本人の間にたくさんの交流が生まれて、自分としてはこれがいちばん価値のある活動になったと思っています。
【2017年9月11日】アフリカ・ホームステイ体験記(勝田翔一朗さん)~人の行き来が最大のプレゼント~
空手教室
10月に小学校で始めたのが空手教室。協力隊の同期隊員で、ルワンダの空手ナショナルチームのコーチを務めるかずき師匠にわざわざムシャまで来てもらって、指導してもらいました。
【2016年10月12日】
【2017年3月28日】ルワンダの小学校でクラブ発表会開催!0から1へ。1から100へ。
これは現在も続いていて、帰国のぎりぎりまでやるつもりです。こうやって異なるスキルをもった隊員とコラボできるのも協力隊の良いところですよね。
ルワンダの小学校で空手教室やっとります!週に1回、計4ヶ月ほど続けてきました。
10月からはじめた組み手の練習。だいぶ格闘技っぽくなってきました。ぼくもいっしょに習ってますが、高学年の生徒はデカくてまじでこわいw
キガリから毎週通ってくれてる師匠に感謝。貴重な経験をありがとう。 pic.twitter.com/QxLxN7gtQT— タケダノリヒロ@アフリカ・ルワンダ (@NoReHero) 2017年10月31日
迷い期(1年~)
1年目でかなり充実した活動ができたこともあり、2年目以降は新たな取組みをしようと試行錯誤していました。
バナナチップスづくり
メインの活動は水や衛生にかかわることですが、結局根本的な原因は「お金がない」というところに行き着くケースが多いと実感しました。そこで「なにか住民の収入を向上させるためにできることはないかな」と考えてトライしたのが「バナナチップスづくり」。
【2016年12月12日】新ミッション!ルワンダ農村で住民の収入を向上させよ~バナナチップス編~
けどいまいち上手くできなかったことと、なにより自分が楽しめなかったので止めました。でも挑戦することが大事(ポジティブ)。収入向上はいちど諦めましたが、これが後の「フライドポテト販売」につながります。
高校生の学費支援・家計簿コンサル・起業アドバイザー
それからもうひとつ上手くいかなかったのが、「高校生の学費支援」と「家計簿コンサル&起業アドバイザー」。
【2017年1月14日】寄付でなく労働の対価を。先生は高校生!ルワンダ語レッスン開始!
【2017年1月27日】素人のぼくがルワンダで家計簿コンサル&起業アドバイザーを始めた訳
近所の高校生から「学費を支援してほしい」と頼まれましたが、「寄付」という支援の形を取りたくなかったので、ルワンダ語を教えてもらう代わりにお金を出してあげることにしました。
それだけでなく、いずれはその家族が自立できるように、家計簿の付け方とお金の管理の仕方、それから新しいスモールビジネスの立ち上げもサポートすることに。
しかし、当初約束した学費以外にも「病気になったから」「スクールトリップに行きたいから」とことあるごとにお金をねだられるようになり、それでものすごく嫌な気持ちになってしまいました。
そうならないように事細かく説明し、こちらの状況や心情も理解してもらったつもりでいましたが、やはりそう簡単にはいきませんね。それ以上かかわると自分の精神衛生上良くないと判断して支援を断念。この2年間でいちばん悩んだできごとでした。
課題整理
任期も残り10ヶ月という節目になり、あらためて活動の課題を整理していた時期。とにかく「なにができるか?」「なにをやりたいか?」を一生懸命考えました。
【2017年4月6日】
青年海外協力隊・残り10か月でやりたいこと。3つの目標とスケジュール
【2017年4月11日】
社会起業家に憧れて会社を辞めた私が、アフリカで1年ボランティアして学んだこと。
水の防衛隊ワークショップ
5~6月には「水の防衛隊」として、出張ワークショップを実施。ほかの隊員が務める学校に出向いて、衛生啓発のワークショップをおこないました。
【2017年5月4日】
ルワンダ聾学校で手洗い啓発ワークショップ!【青年海外協力隊・水の防衛隊】
【2017年6月1日】青年海外協力隊・ルワンダ水の防衛隊・出張ワークショップ~ティッピータップづくりと手洗いダンス~
WASHフェス
これも失敗例ですが、ムシャで開催しようとした「WASH(Water, Sanitation and Hygiene = 水と衛生の)フェス」。結果、お客さんは3人しか来ませんでした。
【2017年5月7日】[青年海外協力隊]WASHフェス開催に向けて~地域を巻き込むイベントづくり~
【2017年6月4日】ルワンダで中高生と衛生啓発イベント開催!のはずがお客さん3人しか来なかった
この失敗を踏まえてあらためて挑戦したのが、10月の「スクール・クラブ・フェスティバル」です。やっぱりなにごとも一発目から上手くいくとは限りませんね。
突き抜け期(1年半~)
最後の半年になり、自分のなかで「やるべきこと」と「やらないこと」の整理ができ、改めて勢力的に取り組めるようになりました。
衛生クラブ
小学校の衛生クラブは、頼もしい担当の先生がついて、自分が教えなくてもクラブとして活動できるようになってきました。
【2017年6月23日】ようやくパートナー発見?先生の単独授業を初見学!~ルワンダ小学校衛生クラブ~
フライドポテト販売
いちどはバナナチップスで断念した収入向上の取り組みですが、「フライドポテト」で再挑戦。最初は「フィッシュ・アンド・チップス」を売ろうと思っていたんですが、なかなか上手くできず、「このままじゃやらないまま終わりかねないから、もうポテトだけでも売っちゃえ!」と思ってやってみました。
【2017年8月17日】ルワンダの農村でフライドポテトを売ってみた→まさかの即完売!
目的は「住民の収入向上」ですが、そもそも「収入を向上したい」という住民もいないので、まずはひとりで売りながらパートナーを探すことに。
そして「ルイさん」というおじさんが声を挙げてくれ、一緒に手売りすることができました。このシリーズはいままで活動を記録したブログのなかでも特に反響が大きかったです。
【2017年8月23日】
ルワンダでフライドポテト売ってみた〜はじめての雇用創出 編〜
ここでいったんフライドポテト販売は休止したんですが、またつぎの機会を伺っています。
つい数日前もルイさんに「またポテトを売りたい!」と言われたので家で待ってたものの、結局来ませんでした笑 そろそろ復活するかも?
スクール・クラブ・フェスティバル
6月の「WASHフェス」の反省を踏まえて再挑戦したのが「スクール・クラブ・フェスティバル」。
ふたつの学校から5クラブを集めて、住民向けに発表会をおこないました。
【2017年10月8日】
ライブ・劇・空手・伝統ダンス…ルワンダで啓発イベント開催してみた!
自分にとって、これが2年間の活動の集大成。なにもないところから学校と関係をつくり、クラブを立ち上げ、先生と一緒に生徒を指導して、イベントを開催できるまでになりました。
2年ほど前は「自分の『仕事』を見つけられるかどうか…」と心配していたことを考えればよくがんばったのではないでしょうか。
OLPC (One Laptop Per Child)
衛生啓発のほうはひと区切りついたので、ルワンダの国策である「One Laptop Per Child(通称OLPC)」の支援も始めました。
ルシシロ小学校にもこのOLPCで配布された「XOラップトップ」があるんですが、先生たちがうまく使いこなせていません。
【2017年9月24日】
ルワンダの子どもにPCを!One Laptop Per Child(OLPC)の現状と課題
それをサポートするために、授業のお手伝いを開始。
【2017年10月9日】ルワンダの小学校でIT教育!現状と課題【OLPC】~Write 編~
【2017年10月15日】ルワンダでIT教育!100ドルPCでなにが学べる?Scratch, Turtle Art…【OLPC】
しかしすぐに学校がテスト期間&休暇に入ってしまったので、現在はお休み中。休暇中に先生向けのワークショップをやろうかという話にもなったんですが、先生たちがどこまで本気かわからず、まだ実現はしていません。
活動まとめ
まとめると、この2年間で以下の取り組みをやってきました。
【土台づくり】
・地域の状況把握&ルワンダ語学習
【うまくいったこと】
・家庭調査&ムービー作成 ○
・衛生クラブの立ち上げ&指導 ◎
・衛生啓発ワークショップ ○
・ホームステイ受け入れ ◎
・空手教室の開催 ◎
・フライドポテト販売 ○
・クラブ発表会の開催 ○
【うまくいかなかったこと・改善中】
・ソーラークッカーづくり ×
・給水施設の改善 ×
・バナナチップスづくり ×
・学費支援&収入向上の取り組み ×
・IT教育支援 △
うまくいったこと、いかなかったこと、達成感を得られたこと、悔しかったこと、たくさんありましたが、総じて充実した活動ができた2年間でした。
こうやって振り返ってみて、あらためて「残りの期間でできることをやりたい」という気持ちになっています。
協力隊後に向けて準備をしながら、残り60日を楽しみます。
経験者として「青年海外協力隊になりたい」という方々に向けて書いた記事がこちら↓
「青年海外協力隊になりたい」という人は考え直した方がいい~現役隊員の経験談~
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