「アフリカ=危ない」は間違い?世界のステレオタイプを検証!

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アフリカのルワンダでスタディツアーや情報発信を仕事にしています、タケダノリヒロ(@NoReHero)です。

ルワンダに住んで4年以上経ち、今でこそ当たり前のようにこちらで生活していますが、最初はまわりからアフリカ行きを反対されたものです。特に家族からは心配され、ばあちゃんからは「なんであんたがそぎゃん危ない所にいかなんとね」(熊本弁)などと言われたりもしました。

うちのばあちゃんだけでなく、「アフリカ=危ないところ」と思っている人は少なくないはずです。でも、それって本当なんでしょうか。少なくとも、ぼくはこのルワンダで安全に暮らすことが出来ています。

びっくりするくらい穏やかで整然としている首都キガリの中心街

では、ほかの地域はどうなのか?「アフリカ=危ない」というイメージを検証していきましょう!

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安全度のデータをチェック

世界平和度指数

まずはこの図をご覧ください。各国・地域がどのくらい平和かを表した「世界平和度指数(Global Peace Index)」というもので、緑色に近いほど安全、赤色に近いほど危険だということを示しています。

緑色に近いほど安全、赤色に近いほど危険だということを表した世界平和度指数 出典:Wikipedia

アフリカ、だいぶ赤いところが多いですね……!!(「アフリカはそんなに危ないところじゃないよ」って伝えたかった計画がいきなりぶれる)

日本やオーストラリア、カナダなどは濃い緑色で、ヨーロッパもほとんど緑色。でも問題のアフリカはというと、半分以上が赤やピンクで埋め尽くされています。この指標に基づくなら、「アフリカには危ない地域が多い」と言っても過言ではないでしょう。

しかし世界平和度指数には、軍事費が突出している国に対しての評価が辛い、女性や子供に対する暴力行為の評価が含まれていないとの批判もある、といった批判もあります*1。

【*1 参考】世界平和度指数 – Wikipedia

なので、別の角度からも「安全度」を検証してみましょう。

紛争が進行中の地域

こちらは「進行中の武力紛争のリスト」。

出典:Wikipedia

こちらもほとんどがアフリカに集中しているように見えます……!

正直ぼくは「実際アフリカに住んでるけど、危ないところなんて一部の地域だよ」と思っていました。でも実際は逆に「アフリカでは安全なところがごく一部」なのかもしれません。。

上記の図の分類で茶色の「大規模戦争」と呼ばれるのは、アフガニスタン、イラク、メキシコ、シリアの4箇所。その次の赤色「戦争」に当たる地域にはアフリカの国が多く該当しています。以下、リストからアフリカのみ抜粋。

開始年 紛争 場所 累計死亡者数 2017年の死亡者数
1991 ソマリア内戦 ソマリア、ケニア 500,000 2,603
1998 ナイジェリア共同紛争 ナイジェリア 17,156 492
2003 ダルフール紛争 スーダン 178,363+ 919
2009 ボコハラムによる反乱 ナイジェリア、カメルーン、ニジェール、チャド 47,700+ 1,247
2011 リビア危機 リビア 14,382 1,040
2011

イエメン危機
イエメン内戦

イエメン、サウジアラビア

9,400+
15,500

932
2011 シナイ暴動 エジプト 4,544+ 661
2011 南コルドファン紛争 スーダン 7,000+ 157
2011 南スーダンの民族暴力 南スーダン、エチオピア 50,000+ 2,078
2012 中央アフリカ共和国の紛争 中央アフリカ共和国 6,295 1,076

出典:進行中の武力紛争のリスト – Wikipedia

ぼくは2019年に、妻と南部アフリカ8カ国を旅行しました(タンザニア→モザンビーク→マラウイ→ザンビア→ジンバブエ→ボツワナ→ナミビア→南アフリカ)。その間は、事件や事故にあわないよう最大限に気をつけていたせいもありますが、まったく危ない目にはあわなかったので「アフリカは思っていたより安全なところ」という印象をもっていたんです。

↑旅中の模様はTwitterハッシュタグ「#タケダ夫婦のアフリカ旅」から見れます!

でも、それもアフリカの一部を知っただけだったのかもしれません。。みんなに「世界のことを一面だけ切り取って考えてほしくない」と思って書いているこのブログですが、ぼく自身も自分の見た景色だけでアフリカ全体を判断してしまっていた部分があったようです。

自国が安全だと感じるか

続いては、ギャロップ社の「Global Law and Order Report」より、「夜道をひとりで歩いて安全だと感じますか?」という質問で「はい」と答えた人がもっともすくなかった国・地域(つまり危ないと感じている人が多い地域)

自国が安全だと感じていない人もアフリカには多い

この顔ぶれを見ると、10カ国中4カ国がアフリカとなっています(ガボン、南アフリカ、ボツワナ、リベリア)。エリア別で見ると中南米がさらに多い5カ国なのですが、このランキングからも残念ながら「アフリカ=危ない国が多い」と言っても間違いではないことがわかりますね。

逆にこのランキングのトップ10を見てみましょう。トップ10にアフリカで唯一ランクインしているのが、ぼくが住むルワンダです

ルワンダは唯一トップ10入り

日本はここに入ってきていないので、この指標で言えばルワンダは日本よりも安全だと感じている人が多いということになりますね。「ルワンダでは夜道をひとりで歩いても安全だと感じる人が88%もいる」というのは驚異的な結果ではないでしょうか!でも、実際に在住者としてもこの数字は間違いじゃないと思います。

現地在住のとある友人は「ルワンダでは札束を見せびらかしながら歩いてても大丈夫なくらいだよね」なんて言ってたくらいです(襲われないにしても嫌われるわ)。※実践はしないでね。

ルワンダは穏やかな性格の人が多いですし、主要な交差点やラウンドアバウトには銃を持った警察官がかならず立っていて治安を守ってくれています。近隣国では警察官が市民からお金を巻き上げることもあると聞きますが、ルワンダは汚職に対してかなりきびしい罰則が設けられているのでクリーンな印象が強いですね。

まとめ

最後にまとめです!

  • アフリカ=危ないというイメージが強い
  • データを見ると、危ない場所は実際に他地域より多い
  • でもルワンダのように安全な国もある

ということがお分かりいただけたのではないでしょうか。

この記事で一番伝えたいことは、「ものごとを一面だけで判断してはいけない(多面的に見ることが大事)」ってことですね。たしかにアフリカにはいまだに紛争が続いている国も多いですし、夜道を安全に歩けないと多くの国民が感じている国もあります。一方でルワンダのように安全に対する評価が高い国もありますが、そのルワンダの中にもテロリストが潜伏していると言われる地域があったり、近年でも手榴弾が爆発するような事件もあったりと、当然危ない地域・事件は存在しています。

「例外もある」「100か0かではない」という当たり前の結論なのですが、ぼくたち人間にはどうしてもものごとを単純化して見ようとする傾向があります。なので、今回の「アフリカには危ない地域が多いけど、そうではない所もある」という例を、世の中を多面的に見るための気付きとしてもらえたらうれしいです。

今回のように、読んだら世界のことがちょっとだけよく分かるようになる、知らない世界を知れる記事をシリーズとして作成中です!ルワンダでの学びや実体験だけでなく、より広い世界のことをお伝えしていくのでいっしょに学んでいきましょうー!

【前回の記事】「アフリカ=暑い」は間違い?知らなきゃヤバい世界の教養

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