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ルワンダ青年海外協力隊のタケダノリヒロ(@NoReHero)です。
コミュニティ開発という職種で水・衛生環境の改善に携わっています。
今回は、以前から交流のあるルシシロ小学校にて衛生クラブ(※)の立ち上げを行いました。
※ルワンダの学校では生徒によって組織される衛生クラブがあるのが一般的。この学校では形骸化してうまく機能していなかった。
子どもたちの自発的・継続的な衛生活動を促していくためです。
しかーし、大苦戦でした…。
「こんな上手くいかないことある?」ってぐらいの躓き様。
ルワンダの小学生に「考える力」が欠けていることを痛感しました。
衛生啓発だけでなく、子どもたちの思考力、発想力を伸ばしていけるような活動にしていきたいと思います。
高ければ高い壁のほうがなんとやら
こんなワークショップでした
◯にちじ
2016年6月17日(金)15:00~16:00
◯今日のゴール
・衛生クラブをつくる
・WASH(water, sanitation, hygiene)で「何がいけないか?」「どうすれば良くなるか?」を考える
◯少し先のゴール
・子どもたちが、自分たちで学校を良くしていけるようにサポートする
◯さいごのゴール
・小学校とそのまわりのエリアで、水に関する病気をやっつける
◯だれに対して?
・P4-6(小学4~6年生)から選抜した男女13名
→学年バラバラの3-4人チーム×4組でグループワーク形式に。
◯やったこと
1. はじめに(衛生クラブの目的、今後の活動方法)
2. 自己紹介
3. 問題点の整理
4. アクションの決定
5. まとめ
問題点の整理。しかし伝わらない…
今日のメインの活動は、①日々の生活において、衛生的に「何がどんな風に良くないか?」を整理すること、②それを「どうすれば良くしていけるか?」を考えることのふたつ。
①に関して、「どんな問題があると思う?」と聞くだけでは案が出てこないだろうなと思ったので、「5Wシート」というのを作ってみました。
どこで(where)、だれが(who)、いつ(when)、どんな良くないことをしていて(what)、なぜそうするのか(why)を考えるというものです。
例えば「家で」「母が」「水を飲む前に」「煮沸していない」「充分な薪がないから」など。
これなら組み合わせを変えれば案もたくさん出てくるだろと思ったんですが、まずこの意味を理解してもらうだけで予定の3倍くらい時間がかかりました。。
ルワンダ語と英語を交えて説明して、例もいくつか挙げて、先生もルワンダ語でフォローしてくれて、口では「わかった」って言ってるけど、それでもいまいちピンと来てなさそう。。
とりあえず書いてみよう!ってことで、グループで話し合ってもらいました。
……
超静か。
グループでの話し合いとかあんまりしたことないんだろうな…。
協力してくれていた先生も話し合いの間はどこかに行ってしまい、ひとりで各グループを回りながらアドバイス。
しかしなかなか伝わらない…。
結果、こんな感じになりました。上二行が例で、三行目からが子どもたちが書いたもの。
唯一埋められた三行目。
「道で」「父が」「水を飲む」「煮沸せずに水を飲む(たぶん)」「なぜなら洗う・飲むから、水が洗うから(?)」
なんでや。
道端で水を煮沸するんか…。
場所は「学校」か「家」の問題がいっぱいあるかなと思ったんですが、例で出してたから使っちゃダメだと思ったのかな…。
とりあえず水を煮沸することが大事だという認識はあるようです。
もちろんちゃんと書けているグループも。しかも英語でしっかり書けてます。
・「学校で」「低学年の子たちが」「遊んだ後」「手を洗っていない」「手を洗うための水がないから」
・「家で」「母が」「料理の前に」「食材を洗えない」「食材を洗うための水が十分ないから」
理由が「水がない」に終止してしまってますが、とりあえずここまで書けてれば十分です。
次のステップでは、この中から解決したい問題をひとつ選んで、解決策となるアクションをひとりずつ考えてもらいました。
アクションの決定
次のステップでは、さきほどの5Wに「どうやって解決するか」(how?)を加えるだけ。
しかし、先ほどの問題設定で躓いた子には、少し難しかったよう。
5W
◎ where(どこで)=病院で
☓ who(誰が)=トイレで
☓ when(いつ)=水が
◎ what(なにを)=水を煮沸しない
☓ why(なぜ)=水を煮沸してないから
何がどう問題なのか、これでは分かりませんね…。
日常生活で感じている問題点を思い出して欲しかったんですが、それがうまく伝えられてなかったかな。
how?
「汚い水を使って回虫のような病気になってしまうのを防ぎたい。学校で衛生啓発活動をする。」
こんな風にぼんやりした問題提起に留まっている子が多かったです。
ほんとは具体的な解決策に繋がる「アクション」を書いて欲しかった。
これも具体例挙げてめっちゃ丁寧に説明したんだけどな…。
この前のステップである5Wの書き出しを中途半端に終わらせてしまったのが良くなかったなと反省してます。
まずは何がどう問題なのかしっかり把握しないと。
良い回答例
そんな中でも2人、具体的な解決策まで書けている子がいました!
こちらは6年生の女の子。
・問題点→「家で」「母が」「水を飲む前に」「煮沸をしてない」「十分薪がないから」
・解決策→「殺菌することが出来るから、煮沸して」(と母に言ってみる)
薪がまったく無いわけではないはずなので、まず母親を説得してみることは出来そうですね。
ちゃんとストーリーとして成り立ってます。。もはやそれだけでも上出来。。
こちらは6年生の男の子。
・問題点→「学校で」「校長先生が」「休み時間に」「生徒用の飲水がない」「学校に給水施設がないから」
・解決策→①「学校に給水施設をつくる」②「生徒たちに煮沸した水を持ってくるように呼びかける」
すばらしい!
解決策①はお金がかかるので難しそうですが、校長先生や行政に訴えてみることは可能ですね。
②はどうやって呼びかけるか(ポスターをつくる、啓発劇をやるなど)もう一歩踏み込んで考えると具体的なアクションに繋がりそうです。
その後に「家で薪が無いから煮沸した水を持ってこれない」という新たな問題が発生しそうですが、アクションの第一段階としてはアリですね。
「考える力」を育てる
他の学校隊員から、ルワンダの子どもたちは「考える力が弱い」という話をよく聞いていました。
「先生が教える→生徒が学ぶ」という受動的な教育スタイルのため、暗記は得意だけど応用力・発想力・論理的思考力に欠けると。
A=B、B=Cは分かるけど、A=Cになることは分からない、みたいな。
まさかここまでとは…。
事前に先生に「この内容、難しすぎないかな?」と聞いてみたら「大丈夫大丈夫!」と言っていたので、イケるかなと思ってたんですが、やはり不安が的中してしまいました。
今後の活動では、「早く行きたいなら、一人で行け。遠くへ行きたいなら、みんなで行け」という考え方を大切にしたいと思っています。
「遠くへ行きたければみんなで行け」 先輩隊員の報告会から考えたこと
たとえ時間がかかったとしても、みんなで進んでいきたい。
主役はぼくではなく、コミュニティのみんなです。
そのためには、こちらから答えを提示するのではなく、子どもたちが「どんな問題があるか、どうすればそれを解決できるか」と、自分たち自身で考えられるようになってもらわないといけません。
2,500人の生徒から選抜してもらった優秀な子たちでもこのレベルなので、道のりは険しそうです。。
でもそういう勉強をしてきてないんだから、子どもたちが悪いわけじゃない。
もっとシンプルに、全員が理解出来るように、こっちがやり方を考えていかないと。
自分が帰国した後もこのコミュニティが自力で問題解決していけるように、少しずつ種を蒔いていきたいです。
子どもたちが「考える力」を身につけて、いろんな問題を解決していける素敵な大人になってくれたらと思うとワクワクしますね。
とりあえず今週金曜日のワークショップでリベンジです(来てくれればいいけど)。
タケダノリヒロ(@NoReHero)
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