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青年海外協力隊、コミュニティ開発「水の防衛隊」としての活動報告です。
村の小学校を視察。先生や生徒たちと話してきて、やるべきことが見えてきました。
4月中に「親子で学ぶ!こんなに怖い水の病気!予防と対策ワークショップ」を開催します。
セクターの全体会議にて
事の発端は、セクター会議。ぼくが勤めるセクターは下図のようにセルと呼ばれる行政機関を管轄しています。
引用元:JICAルワンダ赴任時オリエンテーション資料
今回はムシャセクターのトップ(Executive secretary)が変わったため、管轄しているすべてのセルから関係者が集められました。おそらく100人ほどいたはずです。
そのなかで「うちの学校には水がなくて困っている」という問題提起を受けました。
ぼくが出来るのは資金提供ではないため、いきなり給水施設を学校に作るのは不可能に近いですが、ひとまず学校に様子を見に行きますと答えておきました。ちょうど学校の中を見てみたかったため良い機会です。
ただ、それを教えてくれたのがどう見ても先生には見えないヨレヨレのジジイおじいさんだったので、「ほんとにこの人先生なのか?」と疑心暗鬼でした。
情報もその人の「バプティステ」という名前以外は何も得られませんでしたが、とにかく行ってみることに。
ピーターと遭遇
学校に向かって歩いていると、友人のピーターとばったり遭遇(下の記事に出てくる人です)。
「これからカダソムワスクールに行くんだけど、一緒に行ってくれない?」
「いいよー」
さすが無職。フットワークが軽い。
会議で話したバプティステさんは英語が分かってなさそうだったので、英語とルワンダ語が話せるピーターが来てくれれば心強い。しかもバプティステさんを知ってるらしい。これは頼りになる。
いざ学校へ
職員室に入ると、エジーデという男の先生が対応してくれました。
友人ピーターはこの小学校の卒業生で、このエジーデ先生に教えてもらっていたそうな。すごい偶然。付いて来てもらって良かった。
「バプティステさんはいらっしゃいますか?」
「バプティステは村長だからここにはいないよ」
めっちゃ偉い人でした、あのじいさん。
そりゃピーターもバプティステのこと知ってますよね。
来校した旨を伝えると、「話は聞いてるよ」と言って色々と教えてくれました。
- 学校の名前はルシシロ小学校(Rusisiro Primary School,「カダソムワ」は村の名前でした)
- 生徒数は約2,000人。来年度には2,500人程度になる見込み。
- 水道は通っておらず、雨水を利用している。校内には大きな雨水タンクが2つ。
屋根からタンクに雨水が流れるようになっています。
蛇口はなく、水を汲む所を塞ぐ鉄板には南京錠がかかっています。使えるのは鍵を持ってる先生だけ。
- 学校で何かを食べることは原則ないため、食前の手洗いは必要なし
- 午前と午後の入れ替え制のため給食はなし
- 基本的には水は各自家庭から持ってきているが、なかには雨水タンクからそのまま飲む生徒も
こちらのタンクには蛇口が付いており、ちょうど生徒が水をそのまま飲んでました(雨水です)。
- トイレは屋外のみ
ネクタイみじか
手洗い用の水道はなし。普段はバケツに水を汲んで置いている(今日は本格的な授業の日でなかったため明日から置く、って言ってたけどどうだろ…)
- 水や衛生に関する知識は科学や社会の授業で教えている
6年生の教科書。
25ページに渡って下痢、コレラ、赤痢、回虫などの水因性疾患や、水を煮沸・ろ過する方法やその重要性がしっかりと書いてありました。
生徒に突撃インタビュー
「生徒たちに話を聞いてみたいんだけど」と言うと、エジーデ先生がその辺にいる生徒たちを集めてくれました。
ノリ「水を飲む前に煮沸してる?」
生徒「してるー(全員手を挙げる)」
エジーデ先生「嘘つくなw」
左の黄色いシャツがエジーデ先生。「1を聞いて10を知る」ってタイプで、とても助かりました。
ノリ「笑 水をそのまま飲んだことがある人は?」
生徒「…はい(ほぼ全員手を挙げる)」
ノリ「そっかそっか。でもそれは良くないって知ってるよね?なんでダメだか分かる?」
生徒「汚いから」「お腹をこわすから」「病気になるから」
ノリ「下痢とか水が原因で病気になったことがある人は?」
生徒「はい(ほぼ全員)」
ノリ「結構多いねー。じゃあなんで煮沸しないことがあるの?」
生徒「臭いから!」
ここで1つ目の原因発見。「臭くなるから煮沸しない」という思いもよらなかった理由が出てきました。
沸かす時に何を使っているか聞いてみたところ、ガスの家庭はゼロ、薪と炭を併用している家庭がほとんどでした。
水自体が臭くなるという意味かと思いましたが、もしかしたら薪や炭による煙を嫌って使用を避けているのかもしれません。
先日ルワンダのメディア『The New Times』に、薪や炭からガスへの転換が国家的な課題になっていて、実はガスの方がコストが安いという記事が出ていました。
Clean cooking energy woes haunt Nyagatare, Gatsibo districts
「薪や炭からガスへの転換」も課題のひとつとして頭に入れておいた方が良さそうです。
ノリ「他は?なんで煮沸しないの?」
生徒「親がしてないから!」
これが2つ目の原因です。親の衛生意識の低さ。子どもたちは水を煮沸した方が良いことは充分理解していました。しかし、その親が理解している可能性はなくはないものの、行動には表れていません。
その結果、雨水をそのまま飲んじゃうような子も出てきているので、親の衛生意識・行動の改善が課題となりそうです。
いろいろ教えてくれてありがとう!
右の大人がここの卒業生でもあるピーター。
ワークショップ開催決定!
ノリ「エジーデ、あの子たちの親を集めて一緒にレクチャーすることって出来る?」
エジーデ「そんなの簡単だよ!いつやる?明日?明後日?」
はえーよw
とは言え、まずはやってみることが大事かもと思い直し、今週の金曜日(4日後)、長期休暇(ジェノサイドウィーク)に入ってしまう前にワークショップをやっちゃおうということになりました。
ところが校長先生に話してみると、その日よりは「休暇明けに親が集まる行事があるからその日の方がちゃんと人が集まるよ」ということだったので、結局4月中旬に開催することに。
コンセプトは「親子で学ぶ!こんなに怖い水の病気!予防と対策ワークショップ」。
初回は顔合わせ&様子見ということで30分程度出来ればいいねという話になりました。
そこで直接話をすることで新たな課題なども見えてくるはずなので、単発で終わらせずに継続的にやっていくつもりです。
任地派遣から一ヶ月半、ようやく具体的な活動を展開出来そうです。わくわく。
>水の防衛隊のみなさま
出来ればワークショップに協力してもらいたいです!(けど旅行中の人多いかなー…)。また改めて連絡するので、取り急ぎご報告でした。
タケダノリヒロ(@NoReHero)
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