震災から10年。「死んだら終りですか?」というメッセージを読み返す

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アフリカのルワンダでスタディツアーや情報発信を仕事にしています、タケダノリヒロ(@NoReHero)です。

今日は2021年3月11日。東日本大震災からちょうど10年です。

ぼくは2012年から3年間仙台に住んでいて、その間震災復興支援のボランティアもいくつかさせていただきました。そのときに強く印象に残ったできごとを昔のブログに書き残していたので、再構成して掲載し直しました(初回の投稿は2014年05月25日)。

10年という節目に、あの時のことを思い出して改めて考えるきっかけになれば幸いです。

死んだら終りですか?

2014年05月25日

今日は5月31日におこなわれる、NPO法人KIDS NOW JAPAN被災地ツアーの下見で閖上(ゆりあげ)地区に行ってきました(※被災地「ツアー」という言い方はあまり好きではないのですが、他に適当な呼び方が思い浮かばないのでそう呼びます)。このツアーを運営側のひとりとしてお手伝いさせてもらうことになっています。

いちばん刺さったのはこれです。
DSC_1826

閖上(ゆりあげ)中の大切な大切な
仲間14人が
やすらかな眠りにつける様 祈っています。
津波は忘れても 14人を
忘れないでいてほしい。
いつも一緒だよ。

DSC_1827
閖上中学校の入り口すぐのところに置いてあります。

あの日 大勢の人たちが 津波から
逃れる為、この閖中を目指して
走りました。
街の復興はとても大切な事です。
でも沢山の人達の命が今もここに
ある事を忘れないでほしい。
死んだら終りですか?
生き残った私達に出来る事を考えます。

学習机に書かれた「死んだら終りですか?」というメッセージ。亡くなった14名は、当時まだ中学生です。自然災害なので誰かが悪いわけでもないですし、抗いようのないことかもしれませんが。。生き残った同級生の子たちの、これ以降の人生についても考えさせられます。

どうやって後世に伝えるか

被災地の抱える課題のひとつは「どうやって、後世に伝えていくか?」ということだと思います。
DSC_1799
これは東日本大震災が起きるまで日和山(高さ6mほどの小さな丘)の上に立っていた石碑です。
いまは津波で流され、山の裏手に落ちています。
DSC_1792
この石碑は、昭和8年(1933年)の昭和三陸地震の後に立てられたもので、「地震があったら津波の用心」という警告が冒頭に記されています。
しかし、この石碑の存在を教えてくださった地元の方曰く「ここで幼い時はよく遊んでいたけど、今回の震災が起きるまでこの石碑にこんなことが書かれているなんて知らなかった」そうです。

他の方々も今までの経験上「どうせ津波が来ても大したことないだろう」と思っていたということで、「日和山と同じ6mの高さまで津波が襲ってくることがあるぞ」と、約80年ほど前に石碑を立ててまで警告していたにもかかわらず、またしても甚大な被害が出てしまいました。

異常な状況に直面した時、我々の心の中でそれを無視してしまおうというメカニズムが働きます。これを心理学では「正常性バイアス」といいます。今回の津波でも本当に逃げなくてはいけない緊急事態だったのに、この正常性バイアスが働き「大したことない」と思い込んでしまったことが犠牲者の出た原因のひとつとされています。

参考:NHKスペシャル取材班『巨大津波ーその時ひとはどう動いたか
 
31日のツアーでは、地元消防団員の方が避難の声掛けから誘導までしたルートを通って当時の様子を追体験します。 その際に、当時の閖上の状況や、「なぜ住民は避難しなかったのか」といった点を客観的に伝えられたらと思っています。

以下はツアーでまわるルートの写真。
DSC_1814
閖上小学校3階ベランダ、震災当日の写真と同じアングルから。
当時は奥に見える船型の遊具「ちびっこ丸」の船底あたりまで水が来ていました。
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ちびっこ丸
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閖上小学校体育館
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時計は14:49で止まっています(地震発生は14:46)。
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閖上小学校校舎内1階
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閖上中学校の時計は地震発生時間ぴったりで止まっていました。

今回のツアーでは「伝える側」になりますが、受け身がちだった今までのボランティアよりもよほど考えさせられる機会になりそうです。

10年後に思うこと

震災から10年。閖上中で学習机にあのメッセージを書いた学生たちも、20代中盤になっています。彼らはいまどうしているのか。あれから幸せに暮らせているのか。

東北から離れていても、被害にあわれた人たちのことを思い出すこと、自分が災害にあったときのための準備を過去の教訓から学ぶことは、とても大事だなと改めて思います。これから次の10年が来たとしても、忘れずに語り継いでいきたいですね。

パプリカの花言葉は「君を忘れない」。

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