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【更新 2018/01/23】 タケダノリヒロ( @NoReHero)
乾燥肌にお悩みですか?特に冬場は痒みを伴ったり、白い粉を吹いて見た目にも気になったりしますよね。
乾燥肌は女性だけの問題ではありません。私は男ですが子どものころから乾燥肌で、冬になると毎年スネがひび割れたようにカサカサになってしまいます。
気が向いたらクリームを塗ったりしていたんですが、それも面倒くさくなって長続きしません。
「どうすれば乾燥肌が治るんだろう」と調べていたところ、気になる本があったので読んでみました。
「肌の悩みがすべて消える」。もしそれが本当なら願ったりかなったりですよね。その「たった1つの方法」とは……
化粧水やクリームなど、すべての化粧品を断つこと。
保湿のために使っていた化粧品が、じつは乾燥肌を悪化させていたというのです。
なぜ化粧品が肌に良くないのでしょうか?そして、そもそもほとんど化粧品を使ったケアをしていなかった私のような人間は、どうやって乾燥肌を改善すればよいのでしょうか?
乾燥肌の原因と改善方法を、本書の内容をもとにまとめてみました。
もくじ
誰が書いてるの?信頼できるの?
※本書最大の主張は「化粧品を断つこと」ですが、その理由は肌の仕組みなど少し難しい話が絡んでいます。「根拠や理由なんてどうでもいいから、やるべきことを教えて!」という方は、4つ目の大見出し「肌の乾燥~原因と対策~」まで読み飛ばしてください。
「化粧品を断つべき」なんて、にわかには信じがたいですよね。そもそもこの本を書いている人は信用できる人なのでしょうか? 下手したらトンデモ健康法かもしれませんからね。
著者は宇津木龍一さん(検索したら顔写真も出てきます)。日本で最初のアンチエイジング専門施設・北里研究所病院美容医学センターを創設した、美容形成外科医です。
本書の主張には、「○○と思います」「○○と考えています」など著者の主観的な意見がやや多いのが気にかかるところ。
ただし、「化粧品を使うのを中止したら、肌の乾燥がおさまり、炎症が治ったという1000人以上の症例」が根拠になっているので、ある程度信頼して試してみる価値はありそうです。
もともと著者自身が化粧品の開発・販売に取り組んでいたものの、患者の状態を見るにつれ「明らかに化粧品の使用が害を及ぼしている」ということに気づいて開発を中断した、というエピソードからもその信憑性がうかがえます。
化粧品を使わなくていいのなら出費も減るし、家の中やカバンの中の持ち物も少なくて済むのでいいこと尽くしですよね。
それでは、「化粧品を使うな」という根拠はどこにあるのでしょうか?
世界一の保湿力は体内に!自家保湿因子とは
ます重要なポイントは、人間の肌には自力で保湿成分をつくりだす力が備わっているということ。これは「自家保湿因子」と呼ばれています。この保湿因子がきちんと働いていれば、余計な化粧品は必要ないんですね。
【もっと詳しく知りたい方へ】
人間の皮膚は、表面をおおっているとても薄い「表皮」と、その下にある厚くて丈夫な「真皮」から出来ています。
厚くて丈夫なタオルの表面に、薄いラップを貼り付けたような構造になっているんですね。
もうひとつ重要な層が「角層」。表皮の表面部分、つまり皮膚の外側をおおっています。この角層は死んだ表皮細胞の集合体。この死体たちは「角質細胞」と呼ばれます。角質細胞と角質細胞の間には脂性の糊のようなものがあり、細胞どうしを貼り合わせています。これが「細胞間脂質」。細胞間脂質の主成分は、テレビCMなどでよく耳にするセラミドで、保湿の重要な役割を担っています。
表皮細胞が死んで角質細胞になると、細胞の中身が熟成して「天然保湿因子」に生まれ変わります。同時に細胞間脂質も熟成が進むと天然保湿因子のまわりをおおうバリアの役割を果たすので、二重構造で肌を乾燥から守ってくれるんですね。
【「表皮細胞」が死ぬ→「角質細胞」になる→熟成する→「天然保湿因子」に生まれ変わる】というサイクルのことを、「皮膚の新陳代謝」といいます。
新陳代謝によって新鮮な細胞が皮膚に供給され、つねにフレッシュな状態に保たれるんですね。
角質細胞が垢となって1個はがれ落ちると、それが合図となって基底層で表皮細胞が1個生まれます。つまり、表面の死んだ角質細胞が皮膚のコントロールをおこなっているということです。
著者が「化粧品の使用を断つべき」と主張しているのは、化粧水やクリームがこれらの自家保湿因子や皮膚の新陳代謝の働きをジャマしてしまうからなんですね。
化粧品のデメリットとダメな理由
それでは、なぜ化粧品が体内の保湿作用を阻害してしまうのでしょうか?
著者は化粧品によるスキンケアの弊害として、以下の5つを挙げています。
①水の害、②界面活性剤と油の害、③防腐剤の害、④こする害、⑤洗いすぎる害
水の害
まず、化粧水が肌に良くないという理由について。
・化粧水の約9割は水分でできている
・水分の蒸発とともに角質細胞がめくれ上がり、そのスキマから肌の水分も蒸発してしまう
・化粧水に含まれる「保湿成分」なるものは単なる「トロミ」にすぎない
・つけたときはうるうるでも、蒸発するとヒアルロン酸もコラーゲンも肌の上でもとの粉末にもどる
・この粉末がさらに水の蒸発を加速させる
界面活性剤と油の害
つづいて、クリームが肌に良くない理由について。
・クリームには、水と油を混ぜるため「界面活性剤」が使われている
・界面活性剤は保湿に重要な役割を担っている細胞間脂質を溶かし、肌の乾燥を守るバリアを破壊する
椿油やスクワラン、馬油、ホホバ油、オリーブ油などの純粋なオイルにも問題があります。
・油は油に溶けるため、少量なら細胞間脂質に溶け込んで「不純物」として作用し、量が多いと細胞間脂質を溶かしてしまう
・オイルで肌をベタベタにしていると、角質細胞がはがれにくくなり、新しい細胞も生まれにくくなる。その結果新陳代謝が低下して、皮膚が薄くなる
・さらにオイルは時間が経つと酸化し、過酸化脂質に変わる。これによって皮膚は炎症を起こし、慢性化するとメラニンが増えてくすむ。オイルを長く使っていると皮膚が薄くなり、皮下の表情筋や血管が透け、肌が黒ずんで見える=「オイル焼け」
乳液や美容液も、界面活性剤や油を使っているのは同じなので、自家保湿因子を溶かして皮膚のバリアをこわしてしまうのだそうです。
防腐剤の害
化粧品を使ったスキンケアの弊害、3つ目は「防腐剤の害」。
・肌の表面を弱酸性に保って、雑菌から守っているのが、皮膚に棲みついている「常在菌」
・パラベン(防腐剤)入りの化粧品を使っていると常在菌が殺され、カビや雑菌の発生要因に
それからこすりすぎ、洗いすぎも肌のバリアを壊し、乾燥を招くもとになっているそうです。これは分かりやすいですね。
肌の乾燥~原因と対策~
肌の乾燥や保湿の仕組みがわかったところで、肌が乾燥する原因と対策を見てみましょう。
著者は肌が乾燥する原因として、以下の10点を挙げています。
【肌が乾燥する原因】
①洗いすぎ
②こすりすぎ
③化粧品
④紫外線
⑤アトピーなどの皮膚炎
⑥居間やベッドルームの空気の乾燥
⑦ストレス
⑧脱水
⑨風呂、熱くて強力なシャワー
⑩プールの塩素、温泉、硬水など
つまり、これらの原因をすべて断てば肌の乾燥はなくなると考えられます!
ポイントは「肌が本来もつ保湿機能を壊さない」こと。
いくつか説明が必要な点をピックアップしてみました。
洗いすぎ
顔も体も洗いすぎは禁物です!洗顔は水・ぬるま湯のみで、手でやさしく押し付けるように洗いましょう。
メイクをしている方は、クレンジングは使わずに「純せっけん」で洗うと良いそうです。
こすりすぎ
こすりすぎも禁物。顔や体の水分をふき取るときは、タオルを押し当てて吸い取ります。決してこすってはいけません。
ポイントメイク(アイシャドウ、アイライン、眉ずみ)はこすらずに、綿棒をころころと転がして落とします。口紅はティッシュを唇に何度かはさんで落とすと良いそうです。多少肌に残っていても自然に落ちるため、無理にこすり落とさないほうがいいんだとか。
化粧品を使わない→ワセリンならOK!
化粧水やクリームなどあらゆる化粧品を断つことを勧めている本書ですが、唯一使っても大丈夫だと紹介されているのがワセリン。
これはユニリーバが発売しているもの(「ヴァセリン」は商品名。「ワセリン」が一般名称です)。ワセリンとは、石油を蒸留した残渣から得られた油をさらに精製したもの。
酸化しにくいため皮膚を刺激することなく、皮膚の中へも浸透しにくいので肌にやさしい素材だと言えます。皮膚病の際に皮膚を保護する目的でも使われるほど。
ただし、つけてもいいのは粉をふいている部分と、かゆみやチクチクのある部分のみ。適量も「米粒の半分くらい」と信じられないくらい微量ですが、それを手のひらでよく伸ばして必要な部分にのみ押し付けながらつけると良いのだそう(こする・つけすぎは厳禁)。
使用時には雑菌の繁殖を防ぐため、指で直接取るのではなく楊枝や綿棒で取ることが勧められています。なかなか面倒そうですが、徹底してやろうと思ったらそれくらいの工夫が必要なんですね……。
ちなみに黄色っぽいワセリンは純度が低いので、著者は「肌につけるのは、かならず白色ワセリン(白っぽくて透明感のあるもの)にしてください」と紹介されています。
風呂、熱くて強力なシャワー
一見矛盾するようですが、「水」は肌のバリアを壊してしまううえ、熱も乾燥を促進するので、長時間や高温の風呂・シャワーは保湿の大敵です。
冬に肌が乾燥するときは、長時間湯船につからないこと、せっけんは使わずに「ぬるま水」だけで洗うことが推奨されています。
衛生面が気になりますが、汗、におい物質、べたつく皮脂もぬるま水だけでほとんど落とせるので問題ないとのことです。
まとめ
まとめです。大事なことは3つ。
・皮膚には自力で保湿する力が備わっている
・化粧品は保湿を促進するどころか、肌のバリアを壊してしまうから避けるべき(洗いすぎ、こすりすぎ、熱く長時間の風呂なども同様)
・どうしても化粧品を使うなら白色ワセリンを使うこと
私にはちんぷんかんぷんだったメイクに関する箇所をはじめ、本書の内容をかなり省いて要約しています。解釈が変わってしまわないように気を付けて書いたつもりですが、この説明だけでは納得できない部分もあるかもしれません。
内容が気になる方、もっと知りたいという方はぜひご自分で読んでみてください。
私自身「化粧品が自家保湿因子や新陳代謝の働きを阻害する」という主張には納得できましたが、「そもそも化粧水やクリームをあまり使っていないのに、自分が乾燥肌になっているのはなぜなのか」という疑問は解決していません。
また、調べているうちに「性別によって肌の性質は違うのではないか」「化粧品メーカーはどんな主張をしているのか」といった新たな疑問も湧いてきたので、引き続き調べていくつもりです。
とりあえず、ワセリン買ってみます。
追記 バリア機能の再生にはヘパリン類似物質!
【追記 2018/01/23】
「『肌』の悩みがすべて消えるたった1つの方法」を読んだものの、「自分は化粧品なんか使う前から乾燥肌だったから、『化粧品を断つ』っていう対策は関係ないじゃん!どうしたらいいんだろ」と思ってました。
つまり、外部からの刺激で肌のバリアを壊してるわけじゃないってことですよね。
さらに調べていると、有益な情報を発見。日経Goodayの記事より。「水分が失われる原因はバリア機能の低下」と話す、大阪市立大学大学院医学研究科皮膚病態学の鶴田大輔教授に相談した内容が掲載されています。
乾燥肌で皮膚科に行くと、ヘパリン類似物質を処方されることが多い。保湿剤にもさまざまな成分が使われるが、「乾燥肌にはこれがいちばん」と鶴田教授も太鼓判を押す。
実際、皮脂欠乏症(乾燥肌)患者284人を対象にした臨床試験では、実に91.2%の有効率を記録したのだそうだ。ということは約259人に効果があったという計算になる。(臨床医薬, 4(10):1903,1988)。水分保持作用が強いこと、べたつかず塗り心地がよいこと、安全性が高いことなどがメリットだ。最近はOTC(処方せんなしで薬局などで買える医薬品)も出ている。
皮膚病態学の教授が勧める「ヘパリン類似物質」!臨床試験で91.2%の有効率を記録した、水分保持作用の強い成分とのこと。これは期待できそう!
そこでヘパリン類似物質の含まれる製品を調べたところ、こちらがヒットしました。小林製薬の「Saiki(さいき)」
スキンケア用品ではなく、「医薬品」です。ローションタイプ、乳液タイプ、クリームタイプがあります。
この動画の「通常のスキンケアは表面のカサつきを抑えるものの、肌の内部は乱れたままなので、また水分が逃げ始める。でも『Saiki』は『ヘパリン類似物質』が肌の奥の細胞を整え、乾燥肌を治す」という説明はすごく納得がいきます。
保湿剤はそれぞれ目的や機能が違うんですね。
・ワセリン:皮膚の表面に油膜を作り、角質層の水分蒸発を防ぐ。
・セラミド:角質層で天然保湿因子として働き、化粧品等で補充すると一時的に保湿能力が回復する。
・コラーゲン:保水力に富み、化粧水等で外側から補充されると角質層などで持続的に水分を保持する。
・ヒアルロン酸:保水力に富み、化粧水等で外側から補充されると角質層などで持続的に水分を保持する。(ただし、分子量により浸透性が変わります)
・ヘパリン類似物質:基底細胞に働きかけて、弱った細胞を修復し、乾燥荒れ肌を内部構造から治す。
引用:小林製薬
乾燥のメカニズムや保湿剤の特徴をよく理解して、自分に合う方法を見つけましょう!
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