見知らぬ人が困っていたら、30円渡せますか?

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タケダノリヒロ( @NoReHero

アフリカのルワンダに住んでいます。

ボランティアとしてこちらで働いてもうすぐ2年になりますが、いまだに驚くことはたくさん起こるもの。

たとえば先日、首都のキガリでバスに乗ったときのこと。

この一年ほどでルワンダのバスはすっかり電子化が進み、「タップアンドゴーカード(Tap & Go Card)」というSUICAのようなものを使わないと、ほとんどの車両には乗れなくなってしまいました。なんと現金では支払いができないんです。

ルワンダ版SUICA「タップアンドゴー」カード

小銭のやり取りが発生しないので、支払いは楽になりましたがそれはそれで困ることも。

カードのチャージは大きなバス停でしかできないので、ちょうどバスが来て乗ろうと思ったのに、カードのお金がなくなっていて乗れなかったということもよくあるんですね。

先日私がバスに乗っていると、途中で若いルワンダ人男性(仮名:イノセントさん←ルワンダではよくいる名前)が乗ってきました。ところが彼がカードを機械に当てると、お金が入っていないことが判明。

すると、ほかの乗客Aさんが「バス代分の小銭をくれたら、私のカードを使っていいですよ」と声をかけたんです。

イノセントさんは財布の中身を確認しますが、タイミング悪く入っていたのはお札だけ。小銭は持っていませんでした。

その様子を見たお客さんBが「じゃあ私のを使っていいですよ」と、カードを差し出します。太っ腹なBさん。

しかしBさんのカードのチャージもなくなっていました。残念Bさん。

そしたら今度はまた別の乗客Cさんがカードを差し出して、ついにイノセントさんは無事にバスに乗ることができたんです。

あらためて「なんて素敵な国なんだ」と思ったできごとでしたが、私はこの様子をイノセントさんのすぐそばで、ただただ感心して見ていることしかできませんでした。

BさんやCさんがイノセントさんに出してあげたお金は、230ルワンダ・フラン。日本円にすると30円ほどです。

もちろん私もその程度の金額なら、出すことにまったく抵抗はありません。ただ、実際に行動に移せなかったのは、「不公平」という感覚が心のどこかにあったからかもしれません。

途上国に住み、特にボランティアにかかわる人間にとって、この「不公平」という感覚はもっとも悩ましい問題のひとつです。

ルワンダは近隣諸国と比べればまだ良い方らしいですが、現地の人々から「お金ちょうだい」「食べ物ちょうだい」「おかしちょうだい」と言われることは日常茶飯事。

外国人は裕福だと思っているからか、子どもだけではなく、大人も平気で言ってくるんです。

でも、私はモノもお金も一切あげないようにしています。「なんであの人にはあげたのに、自分にはくれないんだ」と言われる恐れがあるから。ひとりになにかをあげることはできても、みんなにあげることはできないので「不公平」になってしまうから

だから、無用なトラブルを避けるために、基本的には誰にも何もあげていません。

しかし……

今回のバスの一件でお金を出してあげることは、果たして「不公平」だったんだろうかーー

たったの30円すら出すことを躊躇してしまった日本人の自分。

なんのためらいもなく30円を出してあげたルワンダ人のBさんやCさん。

「不公平」を避けるためとは言え、ボランティアをしに来たのに、人助けをしに来たのに、目の前で困ってる人にたった30円も出してあげられなかった自分のおこないは、間違っていなかっただろうかーー

ルワンダで暮らしていると、「シェアの文化」であることをとても強く実感します。

ちいさなビスケットでも2人いたら分け合って食べたり、遊びに行ったら家の畑で採れたトウモロコシをお土産にくれたり、「もっている人がもっていない人に分け与える」という感覚が当たり前なんですね。

この2年間、「ボランティアとしてあるべき姿」をずっと考えてきましたが、目の前で困っている人がいて、その人をなんとかしてあげたいと思ったら、そんなに難しく考えずに行動に移してもいいのかもしれません。特に周囲との関係性に影響を与えない場所なんだったら。

「ひとりにお金をあげたら、みんなから『おれにもくれ』って言われるんじゃないか」と危惧してきましたが、実はそんなことはなくて、「あの外国人は、この人が困っていたから助けただけなんだ」と理解してもらえるのかもしれません。

あなたがバスで、電車で、街中で、「イノセントさん」に出会ったらどうしますか?

Twitterでのみなさんの反応

タケダゴロク
 
それにしても、見知らぬ人同士でも助け合うルワンダ人、素敵です。

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