なぜあなたは子どもに「将来の夢」を聞くのか

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タケダノリヒロ(@NoReHero

将来の夢はなに?

子どもにこんな質問をしたことがある方も多いのではないでしょうか。

ぼくはいま、アフリカのルワンダで青年海外協力隊として活動しています。日本から遊びに来てくださった方々を案内することも多く、近所の学校もよくいっしょに訪れます。

そこで生徒たちと交流してもらうと、必ずと言っていいほど出る質問が「将来の夢はなに?」

ぼく自身、その立場になったらおそらく同じ質問をすると思います。

でも、なんで大人は子どもに将来の夢を聞きたがるんでしょうか

アフリカの子どもたちの「将来の夢」

昨日、11月20日は「World Children’s day」だったそうです。それに合わせて、CNN AfricaのTwitterアカウントが、昨年実施された「One Day I Will」という取組みについて投稿していました。

これは国連とともにフォトグラファーのVincent Tremeauが、アフリカ各国の子どもたちに「将来の夢」を尋ねたものです。

以下、10人の子どもたちの夢を抜粋します。

マリ共和国のDavidは大統領になりたい。「いい仕事だし、そこにはたくさんお金があるから」

中央アフリカ共和国のMustafaはフォトグラファーになりたい。

Oumarouはニジェールに住んでいるが、出身はナイジェリアのバガ。彼は兵士になりたい。「戦えるし、ボコ・ハラム(※)をぼくの国から追い出せるから」

※ボコハラム=ナイジェリア北部に拠点を置くイスラム過激派組織

Aichaは、障害が自分の目標を妨げるとは思っていない。彼女はナイジェリアのダマサクの出身だが、ニジェールで難民となっている。彼女の夢は弁護士。「みんなの権利を守れるから」

中央アフリカ共和国のMahammatは、バルセロナでサッカー選手ミュージシャンになりたい。

1歳になる子どもがいる15歳のFrancoiseは、看護師になりたい。「学校に行っても恥ずかしくはありません。ほかの子たちはなぜ私が学生なのに子どもがいるのか分かってくれないけど、私が勉強するのはこの子を助けたいからです」

中央アフリカ共和国のChiabouは「パイロットになるんだ」と語っている。

Paradoxeはコンゴ民主共和国の出身。「兵士になりたい。他の兵士たち-- ぼくの兄弟を殺した兵士たちと戦えるから」

中央アフリカ共和国のSafinatouは「シェフになるんだ」と語っている。

ニジェールのHabou Lamirouは、「親を助けられるように運転手になるんだ」と語っている。

「将来の夢」を聞く意味

なぜぼくら大人は、子どもに将来の夢を尋ねるのでしょうか?

もちろん夢をもつことは大切です。自分の目標がはっきりしていれば、そこに到達するためにどんな勉強をして、どんな経験値を積まなければいけないかが分かるので、日々の生活にも目的意識が出て、充実した人生を送れる可能性は高まるはず。

でも、ふだん子どもに「将来の夢は何?」と尋ねるとき、いちいちそんなことまで考えて聞く人はあまりいないですよね。

血液型や好きな食べ物を尋ねるくらい気軽に聞いているだけかもしれませんし、目を輝かせて目標を語る子どもを見て「なんて純粋なんだ……」と忘れてしまっていた夢や希望を感じたいだけかもしれません。ともすれば、子どもの夢に共感できる優しい自分に「酔っている」だけ、なのかも。

大人の仕事は子どもに夢を見せること

以前、青年海外協力隊の先輩隊員が「村の大人をゲストとして学校に呼んで、生徒たちに仕事について語ってもらう」という取組みをやっていました。

同じくルワンダの農村部で働く者として、とてもいい企画だなと思います。

なぜなら、村の子どもたちは「仕事」を知らないから。

彼らに「将来の夢は何?」と聞くと、ほとんどの生徒が「お医者さん」や「先生」と答えます。でも、それは数少ない選択肢のなかから「なんとなく儲かりそうだから」「なんとなくすごそうだから」という浅い理由で選んでいるに過ぎないというケースも多いんです。

だから、大人の役割は夢を「聞く」ことじゃなくて「見せる」こと、なんじゃないでしょうか。

「世の中にはこんな仕事があって、こんな価値を生み出してるんだよ」「この仕事を通して、こんなふうに誰かを幸せにしているんだよ」と伝えて、選択肢を広げてあげることが、大人としてやるべきことなんじゃないでしょうか。

彼らがまだ見ていない世界を見せてあげること、それによって可能性を広げてあげること、そのうえで彼らの後押しをすることが大人の役割なんじゃないでしょうか。

夢は環境に左右される

先述のCNNのインタビューの中には、「兵士になりたい」という子どももいました。

こんな回答、悲しすぎますよね。日本にはそんなことを言う子どもはいないはずです。なぜなら兵士なんて見たことがないから。

きっとこの子がいた世界には当たり前に「兵士」が存在していて、大統領よりもパイロットよりも身近な職業だったんだと思います。

かつてキング牧師は「私には夢がある」と言いました。

ぼくはルワンダというアフリカで一番治安が良いと言われる国に住んでいるので、戦争はおろかルワンダ人同士がケンカをしている場面すら見たことがありません。

本当に悲惨なアフリカの現場のことは知らないし、まして自分の力で世界平和をもたらせるなんてことも思っていません。

でも、せめて、自分自身もキング牧師のように夢を語り、自分にかかわる子どもたちくらいは明るい夢を見せられるような大人でありたいと願っています。

 

タケダゴロク
 
ぼくの夢はオーレンジャーレッドになることでした。いまの夢は、ルワンダで自分にしかできない仕事をつくること。

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