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【更新 2021/08/18】 タケダノリヒロ( @NoReHero)
『君たちはどう生きるか』のあらすじ・名言・要約まとめです。学生さんは読書感想文にもおすすめ。
これはすごい。
全国の小学校に教科書として導入すべきだと思うし、自分に子どもができたらこの本の教えに沿って育てていきたいと思ったほど。
本記事では、そもそも『君たちはどう生きるか』とはどんな本なのか、そのなかで伝えられている教えはどんなものなのか、まとめています。
2ヶ月で43万部の大ヒット、さらには宮﨑駿監督の最新作の題材にもなるなどますます注目が高まってるようですね。読んでない方はいまのうちに。必読です。
【追記 2018/01/05】
4ヶ月でついに100万部突破。勢いが止まりません。
【追記 2018/03/09】
200万部突破!短期間での200万部は又吉直樹さんの『火花』以来。
もくじ
『君たちはどう生きるか』とは
原作・吉野源三郎
『君たちはどう生きるか』は1937年に出版されました。原作者は吉野源三郎さん。
歴史的名著といわれる小説です。
正直、ぼくは聞いたことすらありませんでしたが、今回マンガ版を読んでみてその評判にも納得の内容でした。
『君たちはどう生きるか』あらすじ
舞台は1937年の東京。主人公は中学生「コペル君」とその叔父さん。
世の中や生きる意味について次第に自らの頭で考え始めたコペル君を、叔父さんが導いていくというのがおもなストーリーです。
この物語のなかから、あらゆる世代の人たちが生き方の指針となることばを見出しているんだとか。
『君たちはどう生きるか』要約・名言まとめ
叔父さんがコペル君に伝えたことのなかで、特に印象深かった部分をまとめています。
生きる意味を見つけるためにすべきこと
「息子に立派な男になってもらいたい」というコペルの父の遺言を聞いた叔父さんは、世の中や人間の一生についてコペルに伝えるため、まず最初に以下のことを教えました。
- 「世の中とはこういうもので、人生にはこういう意味があるのだ」と、一口に説明することはできない
- 説明されたとしても、ああそうかとすぐに飲み込めるものではない
- 大人になってゆくにしたがって(大人になってからも勉強して)、自分で見つけてゆかなくてはならない
- 水の味や赤い色、芸術の面白さは自分で経験してみないとわからない
- 書物から偉人たちの思想を学ぶことも大切だが、最後のカギは自分自身
- 肝心なのは、心をうごかされたことから出発してその意味をごまかさずに考えること
- そうすると、ある時、ある所で、ある感動を受けたという、ただ一度の経験のなかに、その時だけにとどまらない意味のあることがわかってくる
- それが「自分の思想」となる
- 世間で「立派」と言われていることを鵜呑みにするだけでは、いつまでたっても一人前にはなれない
- 肝心なのは、自分自身で人間の立派さがどこにあるか、自分の魂で知ること、心底から立派な人間になりたいという気持ちを起こすこと
そう。ほんとにそうですよね。
「感覚」は人によって違います。ぼくとあなたが同じ水を飲んでも同じ味がするかどうかなんてわからないし、ぼくが見ている「赤」とあなたが見ている「赤」も違うかもしれない。
こういう「クオリア(”感じ”のこと)」は主観的なものだから、結局は「自分がどう思うか」がいちばん大事なんですよね。
貧乏な浦川くんをいじめていた山口くん。山口くんを懲らしめようとしたガッチン。でも浦川くんは「もうやめて」と、自分をいじめていた山口くんを助けました。
そしてガッチンの勇気や、浦川くんのやさしさに胸を打たれたコペル君。その感動をことばにできるのが立派だと、叔父さんはコペル君に伝えました。
そうやって自分が心をうごかされたところから出発して、「生きていくうえでなにが大切か」とどんどん押し広げて普遍的に考えていくことで、自分なりの人生哲学が築かれていくんですね。
ほんとうの人間関係とは?
コペル君はオーストラリアでつくられた粉ミルクの缶が自分の手元にあるのを見て、「人間は世界中の知らない人どうしでつながっている」と気づき、「人間分子の関係、網目の法則」と名付けます。
それを叔父さんに伝えると、叔父さんは「生産関係」ということばを教えてくれました。
- 「生産関係」=生きてゆくのに必要なものをつくるために、協働したり、手分けしたりして働くこと
- 長い歴史のなかで、見ず知らずの他人同士の間にも、切っても切れない関係ができた
- この関係から抜け出られる者はだれ一人いない
- なのにこのつながりはまだまだ人間らしい関係にはなっていない(争いが絶えない)
- 人間らしい関係を打ち立ててゆくことが大事
- お互いに好意をつくし、それを喜びとすることが本当に人間らしい人間関係
ふだん意識することはあまりありませんが、誰しもが他人に依存して生きてるんですよね。だからこそ、「人間らしい関係」を築くことが大切だと。
では「人間らしい関係」とはなにかというと、「お互いに好意をつくし、それを喜びとすること」。
親が子どものためになにかをしても、報酬を欲しがったりはしないし、親友のためになにかしてあげたら、それだけでもう十分うれしい。
そんな関係がもっとも美しいものなんですね。
なぜ勉強が必要か?
「人間分子の関係、網目の法則」を発見したと思ったのに、大昔から語られていたことだと知ってコペル君ががっかりしないよう、叔父さんは過去から学ぶことの大切さを教えます。
- ひとりの人間として経験できることには限りがある
- しかし人間はことばや書物で経験を伝えあうことができる
- できるだけ広い経験を、それぞれの方面から、矛盾のないようにまとめあげていったものが学問
- 経験を前の時代から受けついで、そのうえで新しい経験を積んできたから人類は進歩することができた
- だからできるだけ学問を修めて、今までの人類の経験から教わらなければ、どんなに骨を折っても甲斐がない
- 骨を折る以上は、人類が今日まで進歩してきて、まだ解くことができていない問題のために尽力すべき
「学問とはなにか」なんて突き詰めて考えたことがありませんでしたが、「人類の今までの経験をひとまとめにしたもの」という解釈はとても納得できました。
ゼロから学んでいたら人間は進歩できない。だから過去から学んで、新しい未来をつくっていくんですね。
将来子どもに「なんで勉強しなきゃいけないの?」と聞かれたらこの話をしてあげたいものです。
生産する人、消費する人
浦川くんの家庭の貧しさを目の当たりにしたコペル君に対して、叔父さんが教えたこと。
- 世の中の大多数を占めるのは貧乏な人たち
- 彼らには元手がないので、体ひとつで生計を立てている
- いまの世の中では、からだをこわしたら一番こまる人たちが、一番からだをこわしやすい境遇に生きている
- 誰しもが学芸を修め、芸術を楽しむような満ち足りた生活を送れるわけではない
- なんの妨げもなく勉強ができ、才能を思うままに伸ばしてゆけるということが、どんなにありがたいことか理解せねばならない
- 恵まれた立場にいる人が、どんなことをしなければならないか、どういう心がけで生きてゆくのが本当かは明らか
- 労働者階級こそが世の中全体を支えている
- 生きてゆくために必要なものは、すべて人間の労働の産物
- 自分が消費するよりも多くのものを生産している人と、ただ消費ばかりしている人と、どっちが立派な人間かは明らか
- 「生産する人」と「消費する人」という区別を見落としてはいけない
- 子どもは世の中に立つ前の準備中の人だから消費専門家で構わないが、その分際だけはわきまえなければならない
浦川くんの家は豆腐屋さんを営んでいます。しかし決して裕福ではないので、彼のお弁当のおかずは毎日売り物の油揚げだけ。そのためクラスメイトから「油揚げ」と陰口を叩かれていました。
コペル君はあるとき、実家の豆腐屋をしっかりと切り盛りする浦川くんの姿を目撃します。
その様子を叔父さんに伝えると、「浦川くんは子どもながらにして生産する側にまわっていて立派だ」と評しました。
人間の価値は「貧しいか裕福か」ではなく、「消費する人か生産する人か」で見るべきだと。
そして苦も無く生産側にまわることのできる恵まれた環境の人は、その「ありがたさ」を認識して生きていかなければならないんですね。
ノブレス・オブリージュ
ここで、すこし個人的な話。
このように、財産、権力、社会的地位の保持には責任が伴うという教えは「ノブレス・オブリージュ」と呼ばれています。
ぼくはいまアフリカのルワンダという国で青年海外協力隊として活動(※2018年1月で任期修了)していますが、強く実感するのは「スタートライン」の差。
ぼくは日本の一般的な家庭の生まれですが、大学まで出してもらい好きに勉強することができました。それから社会人になり、車もパソコンもスマートフォンも買うことができました。
でもルワンダの、特にぼくが住んでいる地方部では、お金がなくて高等教育をあきらめたり、スマホやPCを買えなくて生産する手段がなかったり、可能性を埋もれたままにしている人たちがたくさんいます。
そんな現状を見て、恵まれた環境で育ってきた自分がやるべきことはなにか、と考えているところです。
コペル君の苦悩の意味
『君たちはどう生きるか』の解説に戻ります。これで最後。
友だちを裏切ってしまったコペル君は、学校に行けなくなるほど自分を責めてしまいます。そんな彼に叔父さんは「悲しみや苦しみの意味」を教えました。
- 身体の不調とおなじように、心に感じる苦しみやつらさは、人間として正常な状態にないことを知らせてくれる
- その苦痛のおかげで、本来人間がどういうものかを知ることができる
- 人との不調和を苦しいと感じるのは、人間同士調和して生きてゆくべきものだから
- 才能を伸ばし、その才に応じて働いてゆけるはずなのに、そうでない場合に苦しく、やりきれなく感じるのは、それが本来あるべき姿だから
- もっとも苦しいのは、「自分が取り返しのつかない過ちを犯してしまった」という意識
- それを苦しいと感じるのは、正しい道に従って歩こうとしているから
「死にたい」と思うぐらい悩んだコペル君でしたが、この叔父さんのことばで立ち直り、友だちにきちんと謝罪して仲直りすることができました。
僕たちは、自分で自分を決定する力をもっている。
だから誤りを犯すこともある。
しかし――
僕たちは、自分で自分を決定する力をもっている。
だから、誤りから立ち直ることもできるのだ。
心に苦痛を感じたら、それは自分が正しい道に進もうとしているサイン。
ただただ落ち込むのではなく、「どうすればあるべき姿に戻れるのか?」と痛みと向き合うことで、人間的に一段階成長することができるんですね。
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『君たちはどう生きるか』まとめ
『君たちはどう生きるか』の教えをまとめます。
・人生の意味を知るには、心をうごかされたことの意味を正直に考えること
・見ず知らずの他人にも、生産関係で切っても切れない縁がある
・本当に人間らしい人間関係とは、お互いに好意をつくし、それを喜びとすること
・学問とは、人類の経験をひとまとめにしたもの
・学問を修め、人類がまだ解決できていない問題のために尽力すべき
・「生産する人」と「消費する人」という区別を見落としてはいけない
・過ちを苦しいと感じるのは、正しい道に従って歩こうとしているから
以上!ほんとうにおすすめのマンガです。生き方を改めさせられました。
コペル君の叔父さんのような大人になりたいものです。ぜひ読んでみてください。
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これを読むと「なぜ学問を修めるべきか」をより深く理解できます。
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