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[:ja]アフリカ・ルワンダ在住のタケダノリヒロ(@NoReHero)です。
ルワンダで感じた「不公平感」について。
思うところあって最近筋トレに励んでます。
家で自重トレーニングをやってたんですが、いまいちやった気がしないので、ジムに行くことにしました。
ほかの日本人の情報によると、どうやら首都キガリと、ぼくの住むエリアからもっとも近い地方都市ルワマガナにジムがあるようです。
キガリのジムはひと通りのマシーンが揃っていて、サウナ&シャワー付きで1回5000RWF(約600円)。いつも空いてて暇そうにしてるゴリゴリのお兄さんが色々教えてくれるそうです。キガリまではバスで1時間。
一方、地方都市ルワマガナのジムはどうかというと、友人曰く「小屋みたいのがあるよ」と。あと「エアロビができるよ」と。エアロビはしねえよ。
で、値段は1/10の500RWF(60円)。ルワマガナまではバスで30分。
値段は10倍、時間も2倍かかりますが、まあ前情報を聞いたらそりゃキガリに行きますよね。
ちゃんとウエイトトレーニングをしたいからジムに行くわけですし、どうせならゴリゴリのお兄さんに教えてもらいたいし(ゴリゴリである必要はない)、家では水浴びがデフォルトなのでお湯のシャワーも浴びたい(切実)。
キガリならついでに色々食材も買えますし。
いや、地方都市ルワマガナに佐々木希みたいなエアロビトレーナーがいるならぜひとも行きますけどね。そういえば最近インスタで佐々木希さまをフォローしたんですが、美しすぎて毎日が楽しくなるのでみなさまにもフォローをおすすめします。クオリティオブライフが飛躍的に向上します。
で、結局首都キガリのジムに行くことにしたんですね。初めてのルワンダジムにワクワクしながら週末を待ちました。
そして日曜。意気揚々と朝早く家を出ました。
すると道すがらルワンダ人の上司に遭遇。ぼくが配属されているセクター(村役場的なところ)のトップです。
「おはよう、どこ行くの?」
「おはようございます。ちょっとキガリに」
「何か用事があるの?」
「ジムで筋トレしようと思いまして」
「わざわざキガリまで行くのか!ルワマガナにもあるのに!ノリは金持ちだなー」
「(ルワマガナのってあの『小屋みたいなやつ』か…?)いやいや、全然お金ないですよ!ルワマガナにもジムがあるんですか?知らなかったー」
しらじらしくウソをつきました。
このセクターでもっともお金を持っているであろう上司に、たかだかキガリに行くだけで「金持ち」と言われるなんて…。
「ルワマガナにジムがあるのは知ってたけど、自分にとっては大した出費じゃないから10倍のお金をかけてでもキガリに行くんです」とは言えませんでした(そんな言い方しなくてもいいけどw)。
村人から「お金持ち」って言われたり思われたりすることは多々ありますが、上司ですらそう思うんだなあ。
上司と別れて、なんとなく胸にもやもやしたものを抱えながらキガリヘ。
このもやもや感は、ルワンダに来て何度か感じたことがあります。
「なんで自分は大したこともしてないのに、ただ日本に生まれたというだけでこんなに贅沢な暮らしが出来てるんだろう」という不公平感。
もちろん上司の「ノリは金持ちだなー」はジョークで、そのおしゃべり自体は楽しく終わりました。
でもルワンダでボロボロの服を着て朝早くから畑を耕してるおばちゃんとか、汗かきながら資材運んでる建設現場のおじちゃんとか、重たい水の入ったタンクを頭に載せて運んでる子どもとかを見てると思います。
ぼくは「そうだ、キガリ行こう」と軽いノリでいつでも首都に行くことができ、そこで使うお金もありますが、村の人たちにとってはキガリに行くのは一大イベントです。ジムにお金をかけられる人なんて、滅多にいません。
だから、たまたま日本に生まれただけで、こうして自分がルワンダの人たちと比べて「良い」暮らしをしているのは、不公平なんじゃないか、ズルいんじゃないかと思ってしまいます。
もし自分がルワンダ人としてこの村に生まれてたら「あの日本人、大した仕事もしてない若造のくせに良い暮らししやがって」と思っていたかもしれないと。
別に「富を分配しよう!」というわけでもないし、「貧困層の生活レベルに合わせよう!」というわけでもないですが、スタートラインがあまりにも違いすぎるんです。
先日、ルワンダで一緒に衛生啓発活動をおこなっている高校生から「海外に留学したいから、奨学金の情報が欲しい」と言われました。
日本だったら「それぐらい自分でググれよ」と思いますが、この学校ではまだネットが使えません。だから検索すれば一瞬で出てくるような情報にさえ、彼らはなかなかたどり着けない。
情報がないということは、チャンスがないのと同じです。
奨学金情報があれば、勉強して、いい成績を取って、願書を出しさえすれば、海外留学への道が開けます。
でもどんな国のどんな大学が奨学金を出しているのか、どうすればそれに応募できるのか、それすらなかなか知る機会がないのが現状です。
バッターボックスに立てず、一生ネクストバッターズサークルで素振りを続けるだけの子どももたくさんいるんです。
いずれ「自分には打席が回って来ないんだ」と気づいてしまったら、素振りすらやめてしまうかもしれません。
でもルワンダではいま急速にIT化が進んでいます。政府は2020年までにほぼ全ての学校にインターネットを開通しようとしています。
そうやって少しずつ、いろんな分野で環境が整って、誰もが同じスタートラインに立てる世の中が必ず来る。
そもそもこんな風に自分の意見を世界に発信できる人なんて、少し前までは限られていたんです。
それが文明とテクノロジーの発達で、ほとんどコストをかけずに誰でも好きに発信できるようになりました。
環境さえ整えば、いま10歩も20歩も後ろからスタートさせられてる途上国の人たちがカエル跳びの要領で一気にスタートラインに立てるチャンスがあるんです。
身体能力(持って生まれた素質)やウェア(人種や家柄)は別として、少なくとも人生というレースを地球上の誰もが同じ地点からスタートできるようにするのが「フェア」ってことなんじゃないでしょうか。
今のままじゃ、なんとなくズルしてるような気がして後ろめたいし、気持ち悪い。
そういう「不公平さ」をなくすことが、自分が途上国で働きたいと思う究極的な理由なのかもしれません。
さっき、村のショップで初めて2Lペットボトルのコーラを買ってみました。
この地域には水すら買えない人たちもたくさんいます。
まあショップに売ってるんだから、コーラを買っても何も悪いことはないし、むしろお店にお金が落ちるんだから全然気にすることなんてないんですが、やっぱりまだ、この後ろめたさは消えそうもありません。
みなさんはどう思いますか?
タケダノリヒロ(@NoReHero)
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社会起業家に憧れて会社を辞めた私が、アフリカで1年ボランティアして学んだこと。[:]
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