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【2020/05/18 更新】
初級古典読書ブロガーのタケダノリヒロ(@NoReHero)です。
福沢諭吉の『学問のすすめ』を読んでみたんですが、原文は文語体で読みづらい……。しかし明治時代の日本人に向けて書かれたものとは言え、現代のぼくらが読んでもためになることばが満載。これは読まなきゃ勿体無い。
ということで、小学生が読んでも分かるぐらいさくっと要約してみました。難しくて挫折しちゃった方や、忙しくて読む時間が惜しい方はぜひこれを読んでみてください。
https://twitter.com/NoReHero/status/831494114730446848
もくじ
- 1 タケダ少年と福沢先生
- 2 『学問のすすめ』各編の要約・内容
- 2.1 初編 学問には目的がある
- 2.2 第2編 人間の権理とは何か
- 2.3 第3編 愛国心のあり方
- 2.4 第4編 国民の気風が国を作る
- 2.5 第5編 国をリードする人材とは
- 2.6 第6編 文明社会と法の精神
- 2.7 第7編 国民の二つの役目
- 2.8 第8編 男女間の不合理、親子間の不条理
- 2.9 第9編 よりレベルの高い学問
- 2.10 第10編 学問にかかる期待
- 2.11 第11編 美しいタテマエに潜む害悪
- 2.12 第12編 品格を高める
- 2.13 第13編 怨望は最大の悪徳
- 2.14 第14編 人生設計の技術
- 2.15 第15編 判断力の鍛え方
- 2.16 第16編 正しい実行力をつける
- 2.17 第17編 人望と人付き合い
- 3 『学問のすすめ』が近代日本を発展させた
タケダ少年と福沢先生
この記事では、子どもと福沢先生が対話する形式で進めていきます。
この子は子ども時代のぼくです。可愛いでしょ。
『学問のすすめ』とは
以下、齋藤孝さんの現代語訳(読みやすい)と、原文が掲載されている青空文庫版(タダで読める)を参考に書きました。
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日本の夜明けぜよ
『学問のすすめ』各編の要約・内容
初編 学問には目的がある
天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず
(※)修身学・・・行動の仕方を学び、人との交わり方や世間での振るまうべき自然の「道理(倫理)」を述べたもの
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それぞれの役割にふさわしい知識や人間性を備えること、それにより国を守ることが学問の目的
賢人と愚人との別は学ぶと学ばざるとによりてできるものなり
今の世に生まれ報国の心あらん者は、必ずしも身を苦しめ思いを焦がすほどの心配あるにあらず。ただその大切なる目当ては、この人情に基づきてまず一身の行ないを正し、厚く学に志し、博く事を知り、銘々の身分に相応すべきほどの智徳を備えて、政府はその政を施すに易く、諸民はその支配を受けて苦しみなきよう、互いにその所を得てともに全国の太平を護らんとするの一事のみ。今余輩の勧むる学問ももっぱらこの一事をもって趣旨とせり。
第2編 人間の権理とは何か
人としての心得
(※)近代の啓発書で最も著名で、最も売れた書籍とされる。最終的には300万部以上売れたとされ[1]、当時の日本の人口が3000万人程であったから実に全国民の10人に1人が買った計算になる。- Wikipediaより
「天は人の上に人を造らず…」について
人民もし暴政を避けんと欲せば、すみやかに学問に志しみずから才徳を高くして、政府と相対し同位同等の地位に登らざるべからず。これすなわち余輩の勧むる学問の趣意なり。
第3編 愛国心のあり方
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まずはひとりひとりが独立すること
わが日本国人も今より学問に志し気力を慥かにして、まず一身の独立を謀り、したがって一国の富強を致すことあらば、なんぞ西洋人の力を恐るるに足らん。道理あるものはこれに交わり、道理なきものはこれを打ち払わんのみ。一身独立して一国独立するとはこのことなり。
第4編 国民の気風が国を作る
今の世の学者、この国の独立を助けなさんとするに当たりて、政府の範囲に入り官にありて事をなすと、その範囲を脱して私立するとの利害得失を述べ、本論は私立に左袒したるものなり。
第5編 国をリードする人材とは
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文明を発展させるのは庶民の役目
文明の事を行なう者は私立の人民にして、その文明を護する者は政府なり。
第6編 文明社会と法の精神
もし心得違いして私に罪人を殺し、あるいは盗賊を捕えてこれを笞うつ等のことあれば、すなわち国の法を犯し、みずから私に他人の罪を裁決する者にて、これを私裁と名づけ、その罪免すべからず
第7編 国民の二つの役目
およそ国民たる者は一人の身にして二ヵ条の勤めあり。その一の勤めは政府の下に立つ一人の民たるところにてこれを論ず、すなわち客のつもりなり。その二の勤めは国中の人民申し合わせて、一国と名づくる会社を結び、社の法を立ててこれを施し行なうことなり、すなわち主人のつもりなり。
第8編 男女間の不合理、親子間の不条理
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男と女に力の差はあるけど、権理は同じ
『女大学』という書に、「婦人に三従の道あり、稚き時は父母に従い、嫁いる時は夫に従い、老いては子に従うべし」と言えり。稚き時に父母に従うは尤もなれども、嫁いりて後に夫に従うとはいかにしてこれに従うことなるや、その従うさまを問わざるべからず
第9編 よりレベルの高い学問
人間の心身の二つの働き
人の心身の働きを細かに見れば、これを分かちて二様に区別すべし。第一は一人たる身につきての働きなり。第二は人間交際の仲間に居り、その交際の身につきての働きなり。
文明とは受け継がれる遺産
巨人の肩の上に立って世界を見よう
親の身代を譲り受くればこれを遺物と名づくといえども、この遺物はわずかに地面、家財等のみにて、これを失えば失うて跡なかるべし。世の文明はすなわち然らず。世界中の古人を一体にみなし、この一体の古人より今の世界中の人なるわが輩へ譲り渡したる遺物なれば、その洪大なること地面、家財の類にあらず。
今の学者はこの人物より文明の遺物を受けて、まさしく進歩の先鋒に立ちたるものなれば、その進むところに極度あるべからず。今より数十の星霜を経て後の文明の世に至れば、また後人をしてわが輩の徳沢を仰ぐこと、今わが輩が古人を崇むがごとくならしめざるべからず。概してこれを言えば、わが輩の職務は今日この世に居り、わが輩の生々したる痕跡を遺して遠くこれを後世子孫に伝うるの一事にあり。その任また重しと言うべし。
第10編 学問にかかる期待
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目先の小金に執着せず、大成するのを待つんだブー
生計もとより軽んずべからず。あるいはその人の才に長短もあることなれば、後来の方向を定むるはまことに可なりといえども、もしこの風を互いに相倣い、ただ生計をこれ争うの勢いに至らば、俊英の少年はその実を未熟に残うの恐れなきにあらず。本人のためにも悲しむべし、天下のためにも惜しむべし。かつ生計難しといえども、よく一家の世帯を計れば、早く一時に銭を取りこれを費やして小安を買わんより、力を労して倹約を守り大成の時を待つに若かず。
第11編 美しいタテマエに潜む害悪
名分と職分とは文字こそ相似たれ、その趣意はまったく別物なり。学者これを誤り認むることなかれ。
第12編 品格を高める
方今わが国民においてもっとも憂うべきはその見識の賤しきことなり。
人の見識を高尚にして、その品行を提起するの法いかがすべきや。その要訣は事物の有様を比較して上流に向かい、みずから満足することなきの一事にあり。
第13編 怨望は最大の悪徳
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王子様的存在の男子がクラスのおとなしめ女子とデートしてるのを目撃し、人前では愛想を振り撒いてるのに思わず「あの泥棒ネコめ…」って感情が顔に出てしまったイケてる女子のみなさんの図
およそ人間に不徳の筒条多しといえども、その交際に害あるものは怨望より大なるはなし。
自由に言わしめ、自由に働かしめ、富貴も貧賤もただ本人のみずから取るにまかして、他よりこれを妨ぐべからざるなり。
第14編 人生設計の技術
心の棚卸し
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見通しは甘くなってしまうもの。心の棚卸しをしよう
人の世を渡る有様を見るに、心に思うよりも案外に悪をなし、心に思うよりも案外に愚を働き、心に企つるよりも案外に功を成さざるものなり。
この不都合を防ぐの方便はさまざまなれども、今ここに人のあまり心づかざる一ヵ条あり。その箇条とはなんぞや。事業の成否得失につき、ときどき自分の胸中に差引きの勘定を立つることなり。商売にて言えば棚卸しの総勘定のごときものこれなり。
「世話」のふたつの意味
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「世話」には「保護」と「命令」の意味がある。ふたつのバランスが大事
世話の字に二つの意味あり、一は「保護」の義なり、一は「命令」の義なり。
第15編 判断力の鍛え方
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ものごとを疑え
信の世界に偽詐多く、疑いの世界に真理多し。
文明の進歩は、天地の間にある有形の物にても、無形の人事にても、その働きの趣を詮索して真実を発明するにあり。西洋諸国の人民が今日の文明に達したるその源を尋ぬれば、疑いの一点より出でざるものなし。
この信疑の際につき必ず取捨の明なかるべからず。けだし学問の要はこの明智を明らかにするにあるものならん。
第16編 正しい実行力をつける
ニ種類の独立
独立に二様の別あり、一は有形なり、一は無形なり。なお手近く言えば品物につきての独立と、精神につきての独立と、二様に区別あるなり。
心と働きのバランス
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志と行動のバランスが大事
さればこの議論と実業とは寸分も相齟齬せざるよう正しく平均せざるべからざるものなり。
第17編 人望と人付き合い
しからばすなわち栄誉人望はこれを求むべきものか。いわく、然り、勉めてこれを求めざるべからず。ただこれを求むるに当たりて分に適すること緊要なるのみ。
第一 言語を学ばざるべからず。
第二 顔色容貌を快くして、一見、直ちに人に厭わるることなきを要す。
第三(中略)恐れはばかるところなく、心事を丸出しにしてさっさと応接すべし。ゆえに交わりを広くするの要は、この心事をなるたけ沢山にして、多芸多能一色に偏せず、さまざまの方向によりて人に接するにあり。
『学問のすすめ』が近代日本を発展させた
最後まで読んでいただきありがとうございます
当時、10人に1人の日本人が読み大ベストセラーになったとされる『学問のすすめ』。
開国、明治維新、文明開化という激動の時代のなかで「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」「一身独立して一国独立する」などの言葉が、「わたしが日本をつくっていくんだ!」と庶民の心を鼓舞したのは想像に難くありません。
そしてそのひとりひとりの気概が近代日本の発展につながっていったのだと考えると、福沢先生マジリスペクトです。これから一万円札を見る目が変わっちゃいますね。福沢先生のような偉大な人間を目指して実学に励みます。
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タケダノリヒロ(@NoReHero)
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