ルワンダ在住、タケダノリヒロです。1月15日午後8時30分頃、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、首都キガリでロックダウンが発表されました。昨年の5月以来、2度目です(前回は全国規模で、その後も村落レベルでのロックダウンはありましたが)。
今回見直された規制措置の内容や変更点、現在のルワンダの様子、現地の人々の反応をお伝えします。
規制措置の内容や変更点
家の外への訪問を含む不必要な移動は禁止。ただし医療・ヘルスケア、食品の買い物、銀行など必要不可欠なサービスやそれらの従事者を除く。すべての移動には、ルワンダ国家警察から承認された許可が必要。必要不可欠なサービスの正式なリストは地方自治省から追って共有される
ここがもっとも大きな変更点です。これまでは全国一律で「午後8時-午前4時の移動禁止」とされていましたが、首都キガリのみ終日外出禁止になりました。事情があって外出が必要な場合には、ルワンダ国家警察のサイトまたは電話の*127#(USSDコード)から申請して許可(Movement Clearlance)を得なければなりません。
理由の欄では「買い物」「銀行」「薬局」などの選択肢を選ぶことができます。このシステムは前回のロックダウン終了直前の4月末から導入され、実際に使ってみたところ5分ほどで承認されました。
ロックダウン中のルワンダ。数日前から「外出時にはオンライン申請しないと違法」というルールが。
用事できたから「本当に機能してるの?」と疑いつつ申請してみたら、5分くらいでちゃんと承認された(外出時間8~12時で申請したのに、8~10時に削られてたけど)。やっぱきっちりしてるなあ、ルワンダ。 pic.twitter.com/iEkhRywv4C— タケダノリヒロ🇷🇼ルワンダ在住 (@NoReHero) April 30, 2020
ネットを介さず電話番号を利用したUSSDコードからも申請可能。ガラケーは持っているものの、スマホやインターネットには接続できないという人も多い現状に合わせて、包括的な措置が取られています。
- キガリと他の県や郡との間の移動は許可されない。ただし必要不可欠なサービスと観光を除く(旅行者はコロナの陰性証明書を携帯する必要あり)
- 公共交通機関は禁止。ただし食料品や必需品の輸送は引き続き機能する。モト(バイクタクシー)と自転車は乗客を運ぶことは許可されていないが、配達サービスの提供は可能。
これも大きく変わったところです。我が家など車を持っていない家庭は、もし移動するとしたら徒歩しかないということに。とはいえ普段から1時間位なら歩いて移動することも多いですし、そもそも原則外出禁止なのでそこまで大きな影響はありません。バスやモトを使って出勤していた人は困りますね。
- すべての従業員(公的および私的)は、自宅で仕事をすること。ただし必要不可欠なサービスを提供する従業員を除く。
- ビジネスは停止。ただし流通・配送サービス、食品、医薬品、衛生・清掃用品、燃料、その他の必需品を販売する事業を除くが、30%のキャパシティで運営される。営業を許可されている企業は午後6時までに終業する必要あり
- レストランやカフェはテイクアウトサービスのみを提供
1月4日の制度改正で「飲食店の営業は午後6時まで」となり、かなり厳しいなと思っていましたが、ロックダウンということで数カ月ぶりに「テイクアウト(デリバリー)」のみということになりました。
大学を含むすべての学校(公立および私立)は閉鎖。ただしリモート教育を奨励
学校に関してはロックダウンの情報より1日早く、1月17日(日)午後6時半ごろに発表されていました。日曜夜に発表だったので、翌日の月曜からは子どもが登校する予定だった保護者や先生たちは大慌てだったのではないでしょうか。
- 礼拝所は閉鎖
- キガリ国際空港は引き続き営業。到着する渡航者は最初の出発の120時間以内に行われたPCR検査の陰性証明書を提示する必要あり。出発する渡航者は、出発前にPCR検査で陰性を証明する必要あり
- 到着する渡航者のために指定されたホテルは、厳格なコロナ予防措置の下で引き続き営業。 RDBは指定ホテルの正式なリストを共有する
ルワンダの入出国に関しては、私自身の体験を記事にしていますので参考まで。
【関連記事】コロナ禍のルワンダ出入国&実際に起きたトラブル
- 観光活動はコロナ健康ガイドラインを厳守して継続。これには、ホテル、ツアーオペレーター、ゲスト輸送サービスが含まれる。観光客とサービス提供者はRDBに旅程を通知すること
- ホテルはRDBからの書面による承認がある場合に、重要な会議のみ開催。詳細なガイドラインはRDBから提供される
- 農業は現在の農繁期の間継続。ただしコロナ管理措置を遵守すること
- 葬儀は15人を超えてはならない
ルワンダにおける現在のコロナの状況
RBC(Rwanda Biomedical Centre)の発表している感染者数の推移グラフを見てみると、現在が「第3波」と呼べるような大きなピークに位置していることがわかります(1回目は6月末、2回目は8月末)。
今回が過去最大級の波であり、保険大臣は「過去50日間の流行の程度は非常に高い。ルワンダでコロナに感染した人の40%以上、死者の60%以上が過去50日間に感染している」と語っています。
過去50日間の流行の程度は非常に高い。ルワンダでコロナに感染した人の40%以上、死者の60%以上が過去50日間に感染。 https://t.co/RHNXG6evuw
— アフリカノオト / ルワンダノオト (@Rwandanote) January 18, 2021
そのなかでも特に首都キガリで感染が拡大していたことから、今回のロックダウンにつながったようです。昨日18日の新規感染者数はキガリで139名ですが、2番目に多いキレへでも20名なので、キガリが突出して多いことは明らかです(もちろん、そもそも人口が多いせいもありますが。キガリは約100万人、キレへは約30万人)。
18.01.2021 Amakuru Mashya | Update
*Kigali: 139, Kirehe: 20, Huye: 11, Gatsibo: 9, Gicumbi: 8, Rulindo: 7, Musanze: 7, Gisagara: 5, Nyanza: 5, Rubavu: 4, Ruhango: 3, Nyamasheke: 3, Nyamagabe: 2, Muhanga: 1, Kamonyi: 1, Karongi: 1, Kayonza: 1 pic.twitter.com/AbrhKEk335
— Ministry of Health | Rwanda (@RwandaHealth) January 18, 2021
市民の反応
今回のロックダウン発表を受けて、Twitter上ではさまざまな反応が飛び交っていました。
「2020年10月は陽性率0.1%。2021年1月は全国で5.3%、キガリで12%ーー 感染の連鎖を迅速に切断するための封鎖は最も必要なことだった。これは私たち国民と国にとってより大きな利益と一致している」
「これを実行するのは、全ルワンダ人の責任だ」
という好意的な反応もあれば、
「今回は、早めに閣議決定いただき感謝します。次回は、効果的な実施への道を開くために、朝の時間帯までに公開していただければより助かります。あるいは、少なくとも12時間の余裕があれば、ギャップを埋められます!」
「意思決定者の皆さま、私は常に繰り返しますが、政府が述べているように、新しい措置に備えるために24時間は必要です。そうしないと、即時の効果が人々に多くの悪影響を及ぼします。私は決定に反対はしていませんが、24時間の猶予を求めます」
といった急すぎる変更を指摘するものや、
「きちんと鍵をかけずに仕事を終えたんだけど、家にしまおうと思っていたお金を引き出しの中に残してきちゃたよ!どうにかならないか?」
という切実なコメントもありました。
今回のロックダウンは「〇〇日後の〇時から」ではなく、「はい、今から有効です!」だったので戸惑った人も多かったようですね。ただ、前述のように学校の休校がいきなり発表されていましたし、「15日ごとに措置が見直される」ということはコロナ発生後から習慣になっているので、身構えていた人も多かったのではないかと思います。
他国の事例には明るくありませんが、ここまで即断即決できる国はなかなかないのではないでしょうか。あまりにも対応が急すぎることによる弊害もありますが、ルワンダの迅速な取組みを参考にできる国もあるのかもしれません。
ロックダウン中のルワンダはキガリから、引き続きレポートしていきます!