家のカマドでタバコ400本分の大気汚染!?ルワンダでフィールド調査開始

アフリカのルワンダでスタディツアーの運営や情報発信を仕事にしています、タケダノリヒロ(@NoReHero)です。

あなたは「大気汚染」という言葉から、どんな場面を想像しますか?もくもくと煙を吐き出す工場の煙突や車など、社会全体や地球全体の大きな姿をイメージする人も多いかもしれません。でも、実は「家庭内」でも大気汚染は起きているんです。

タバコ400本分の悪影響

大気汚染による死者数は毎年700万人で、世界の全死者数のなんと8分の1(*1)に当たります。それだけ多くの方が大気汚染によって亡くなっているという事実だけでも驚きですが、その半数以上を占め死因1位となっているのが「屋内の空気の汚染」(*2)。

ルワンダのとある学校内。給食室ではかまどを使っています。

ではなぜ屋内で空気の汚染が起きるのかというと、調理に薪や石炭や牛糞などの固形燃料を使っているから。カリフォルニア大学バークレー校の国際環境衛生学教授カーク・スミス氏は、「キッチンで火を焚くのは、タバコを1時間に400本燃やすようなものだ」と話しています(*3)。近年ではタバコの悪影響が認知され、喫煙できるスペースもどんどん減っていますが、そのタバコ400本分と言ったらかなり体に悪そうですよね。。心疾患、脳卒中、肺がん、肺炎や、低出生体重、子供の発育障害などを引き起こす固形燃料。これを使っている人は世界に300万人近くいるそうです(*4)。

【出典1~4】WHO:環境汚染死因1位は料理用燃料 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

ルワンダでは83%が薪を使用

私が住んでいるこのルワンダでは、83%以上の世帯が薪を使っています。

「インバブラ」と呼ばれる七輪のような調理器具

「インバブラ」と呼ばれる七輪のような調理器具やかまどを使っている家庭がまだまだたくさんあるのですが、2024年までに、政府は伝統的な調理器具への依存を世帯の83%から42%に減らすことを目指しています。健康被害を減らすだけでなく、森林保護の目的もありますね。

ほとんどの家庭が調理にガスや電気を使っている日本ではなかなか想像しづらいと思いますが、ルワンダの特に農村部では薪や炭を使った調理が一般的。薪代わりになる木の枝を拾ってくるのは、おもに子どもたちの仕事のひとつでもあります。

薪拾いをするルワンダの子どもたち

フィールド調査を実施予定

そんなルワンダで、排煙の少ない改良かまどをつくり、センサーを使って有害物質(PM2.5)の量を調べるお仕事をやることになりました。日本の電気通信大学から依頼を受けたフィールド調査です。現在はコロナの影響で首都キガリがロックダウンされており動けませんが、開放され次第取り掛かります。

  • 調査に協力してくれる家庭を探す
  • 現在のPM2.5の数値を測る
  • 煙の少ない改良カマドをつくる
  • 1ヶ月後、再度PM2.5の数値を測る

という流れ。

ルワンダ政府としては固形燃料からの脱却を目指しているので、有害物質が少ないとはいえ結局「カマド」をつくるこのプロジェクトでは最終的な解決にはならないかもしれません。とは言え、ゆくゆくはガスやよりエコな燃料に置き換えられていくとしても、全家庭がスムーズに移行できるわけではないはずです。移行できるまでの最善の方法として、また諸事情により近代的な器具を使うことのできない家庭での代替手段として、少しでも健康被害を減らせるカマドをつくって貢献できたらと思います。今回の調査では1〜2家庭での実験にとどまりますが、ここでの実験がうまくいって、その成功例をほかの地域や国にも広められたらと思うとワクワクしますよね。

個人的にはカマドづくりのようなDIY的な仕事は向いていない可能性大なので不安もありますが、地域の人たちと協力して新たな挑戦をしていこうと思います!