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音声配信アプリstand.fmからの書き起こしです。
どうも!アフリカのルワンダからお送りしています、タケダノリヒロです。2021年3月30日火曜日、『アフリカから世界を学ぶゴリラジオ』、やっていきましょう!
この番組では、ルワンダの意外な事実や、日本のみなさんにも知ってほしい話題をお届けしています。これを聴けば、あなたの暮らしやお仕事をちょっと良くできるような、新鮮な発見や新たなアイデアが生まれるかもしれません。
テーマ「女性の活躍」
今日のテーマは「女性の活躍」です。ルワンダは、なんとですね、女性議員の割合が世界で一番多い国として知られています。これ、すごくないですか?日本の国会議員の姿を思い浮かべてみると、かなり男の人が多いイメージがあると思います。世界的に見てもやはり政治というのは男性のパワーが強い傾向がまだまだ残っていますよね。
でもそんな政治の世界でも、ルワンダでは女性議員の方が多くて、その割合が世界で一番高いんですね。そしてそれ以外にも「ジェンダーギャップランキング」というものがあります。これは各国でどれくらい男女の平等が達成されているか、ということを測ったらランキングです。これに関しても、ルワンダは毎年トップテンに入っています。確か一番新しいランキングが9位で、その前年が6位だったはずです。
ジェンダーギャップランキングについては毎年日本のニュースでも取り上げられていますが、ツイッターを見ると「ルワンダの順位がこんなに高いなんて嘘だろう」というコメントをたくさん見かけます。1994年に虐殺という悲惨な出来事が起きたルワンダなんですけど、「そんな出来事が20年ちょっと前に起きた国で男女平等が推進されてるわけがない」という風に考えているようです。
まあそう思うのも、無理はないと思います。でも僕は現地に住んでいて、自分の肌でもそう感じますし、こっちの女性達からも「ジェンダーの平等が推進されている」と聞くので、間違いではありません。ここからは、なぜ男女平等がここまで推進されているのかというところを簡単に解説していきます。
ルワンダで男女平等が進む理由
虐殺
まず一番大きな影響があったと言われるのは、虐殺です。ジェノサイドとも呼ばれますが、1994年に100万人ほどが殺害される出来事がルワンダで起こりました。これで女性もたくさんの被害にあったんですが、男性の人口がぐっと減ってしまったそうです。「ここからは女性の活躍をもっと推進していかなきゃいけない」ということで、女性の背中を押すような取り組みが増えてきたという風に言われています。
カガメ大統領
そしてもう一つ、影響として強いのがカガメ大統領の存在です。以前の放送でも話をしましたが、ルワンダの大統領であるポール・カガメさんという人は、ものすごく強いリーダーシップを持っているんですね。そしてこのカガメ大統領が「女性の活躍を推進しましょう」と、頻繁に、声高に言っているので、彼の力のおかげでこれだけ国全体で男女平等が推し進められているという風にも考えられます。
PRのため?
じゃあなんでカガメさんはそこまで男女平等を推しているのか、というふうに考えてみましょう。もちろん女性の活躍を推進するということは素晴らしいことですし、大統領自身もそれを心から願っているのかもしれません。が、ちょっと意地悪な見方をすると、国のイメージを高めるためのパフォーマンスとしてそう言っている、という可能性も考えられます。
どういうことかと言うと、ルワンダという国はアフリカ大陸の真ん中ら辺にある内陸国なんですね。なので海がなくて貿易がしづらいというデメリットがあります。さらに他のアフリカの国だったら鉱物資源などが取れて、それを売ったりしてお金を得ることができるんですけど、ルワンダの場合は資源にもあまり恵まれていないんですね。
そのため、他の国から投資を得たりすることがすごく経済的に重要になっています。なのでこれはよく言われることなんですが、「ルワンダは見せ方が上手い」という声があります。例えば「IT立国」という呼び方もそうで、実際はまだそこまで IT 化が進んでいるわけではないんですけど、「アフリカなのに」テクノロジーをこれだけ活用しているというイメージをどんどんアピールすることで、そこに先進国などの企業を誘致して、イノベーションを進めていこう、と言ったような政策をとっています。
なので、女性の活躍を推進しているという話を聞くと「なんてルワンダは素晴らしい国なんだ!」と思いますよね。実際それは間違いないと思いますが、そういったポジティブな面をPRの意味でも利用しているという可能性もあるのではないでしょうか。
いまだに残る男尊女卑
ただし良い面ばかりではないんですね。「見せ方がうまい」っていうところにも繋がるんですけど、必ずしもを国全体で男女平等が進んでいるって言うわけではありません。例えば、家庭内ではまだまだ男尊女卑の風潮が残っているんですね。
僕は昔、青年海外協力隊としてボランティアをやっていました。その時は衛生啓発活動というのをやっていたんですね。手を洗って病気を予防しましょうね、ということをやっていました。あるとき小学校に行って、家庭内での衛生状況を聞いて回っていました。その時にある高学年の男の子に、家での状況を聞いてみたんです。
ルワンダでは、フルーツを食べる時に水できれいに洗って食べることが良しとされています。そうじゃないと、フルーツの皮にばい菌や汚れがついていて、お腹を壊してしまって、病気につながってしまうという可能性があるためです。なので「フルーツを食べる時にちゃんと水で洗ってる?」と聞いたんです。
しかしルワンダでは水がなかなか貴重なものなので、「お父さんが食べる時は水を使って洗ってるけど、僕やお母さんが食べる時は洗えないこともある」という風に言っていました。これが僕としてはすごく驚きだったんですね。家庭内ではやはり男性の方が力が強くて、女性や子供たちは後回しにされてしまう、っていうことがすごく意外でした。
それだけ家の中では夫とか父親の権力が強いという風潮が残っているんですね。だからこそなのかもしれないんですけど、ちょっと最初の話に戻りますが、女性議員の割合が多いという話をしました。この要因になっている制度に、クォーター制度というものがあります。クォーター、つまり1/4以上は女性にしましょうね、ということで、あらかじめ1/4の奇跡が女性枠で確保されています。
まあ厳密に言えば30%がルワンダでは女性枠になってるんですね。その30%に加えて、その他の一般の枠でも女性が入ってくるので、結果的に60%以上が女性の議員になっているという仕組みです。
このように女性の枠をそもそも確保しておくっていうことは、裏返すと、そうじゃないと男性がたくさんの議席を占めてしまう、つまりは男性の方が権力を持っていたり、政治に進出しやすかったりするということのあらわれだと思うんですね。そういったこともあって、こういう仕組みを活用して、女性の活躍を推進しているというのがルワンダの現状です。
職業選択
職業の選択においても、男尊女卑的な傾向は残っています。今はいろんな面で女性が進出してきてはいるんですけど、例えばバイクタクシー(モト)という乗り物があるんですけど、そのドライバーもまだまだ女性が少なくて、女性が働いていると色々嫌がらせやからかいの言葉をかけられるということもあるようです。
なので、そういうネガティブな部分もまだまだ残っています。しかしながら、こうやって男性と女性の平等が進められているのは間違いないし、言葉だけではなくてちゃんと行動に移されているっていうところは、日本としても見習わなきゃいけないよなという風に思いました。皆さんにも、ルワンダではこのようにジェンダーギャップを埋めるような取り組みが進められている、ということをぜひ知って欲しいと思って、今日はお話をさせてもらいました。
お知らせ
最後にお知らせです。4月10日(土)にオンラインツアーを開催します。HIS旅カレッジさん主催で、私が案内人を務める「大虐殺を乗り越えた国をめぐり考える、ルワンダ ピーススタディツアー」というイベントです。3月にもおこなったのですが、43名に参加いただき、大変好評でした。
ルワンダ虐殺の背景や、虐殺を生き延びた現地の女性へのインタビュー、現在のルワンダの姿などお伝えしていきます。参加費は2000円で、ZOOMを使ってオンラインでの開催となります。リンクを貼っておきますのでご確認ください。画面越しですが、みなさんとお会いできるのを楽しみにしています!
大虐殺を乗り越えた国をめぐり考える、ルワンダ ピーススタディツアー
本日の『アフリカから世界を学ぶゴリラジオ』は以上です。今日の放送を聞いて面白いと思ってもらえたら、ぜひフォロー、いいね、コメントなどお願いします!お便りも募集しているので、レター機能を使ってどしどし送ってください。
ここまでのお相手は、タケダノリヒロでした。じゃあまたねー。
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