日本より子育てしやすい?ルワンダのお手伝いさん文化

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音声配信アプリstand.fmからの書き起こし記事です。

どうも!アフリカのルワンダからお送りしています、タケダノリヒロです。
2021年3月25日木曜日、『アフリカから世界を学ぶゴリラジオ』、やっていきましょう!

ぼくの住むルワンダはいわゆる発展途上国なので、日本のような先進国からすると「遅れている」とか、「施される側」というイメージがあると思います。でも、必ずしも全部が全部先進国が優れていて、発展途上国が劣っているというわけではないですよね。むしろ途上国に学ぶこともたくさんあると思っているので、今日はそんな例のひとつをご紹介したいと思います。

ルワンダのお手伝いさん文化

今日のテーマは「お手伝いさん文化」です。ルワンダでは家庭にお手伝いさんやベビーシッターさんがいるのがわりと一般的なんですが、日本ではあまり馴染みがないですよね。

ぼくもルワンダに来るまでは、お手伝いさんって超お金持ちの家にしかいないというイメージを持っていました。例えば『ちびまる子ちゃん』に出てくる花輪くんってキャラクターいますよね。お金持ちの男の子なんですけど、その花輪くんの家にはヒデじいっていうキャラがいます。ぼくの中でお手伝いさんっていうと、あのヒデじいのイメージなんですね。まあ彼はお手伝いさんではなくて執事ですけど、家で誰かを雇えるのは、花輪くんくらい裕福な家庭だけだと思っていました。でも、ルワンダでは超お金持ちではなくても、そこそこ裕福な家庭だったらお手伝いさんを雇っていると思います。

そして、雇われているからといって、想像していたような上下関係があるわけでもなく、家族の一員のようだったという点も驚きました。それを実感したのが、ルワンダに来てすぐにルワンダ人家庭でホームステイをさせてもらったとき。その家に着いて室内に入ると、リビングのソファで寝そべってテレビ見てる女性がいました。まあこの人がその家のお母さんだろうと思ってあいさつをしたんですが、その数時間あとに本物の「お母さん」が帰ってきたんです。え!?じゃあさっきソファでくつろいでた人は誰!?と思ったら、その人こそがお手伝いさんだったんですね。いや、にしてはくつろぎすぎでしょ!と思ったのですが、お手伝いさんだからといってずっとかしこまっていなきゃいけないわけじゃないですもんね。そういうフラットな関係性も素敵だなと思いました。

日本人家庭でも活躍するお手伝いさん

ルワンダにはぼく以外にもたくさんの日本人の方々が住んでいます。その日本人の家庭でもお手伝いさんたちが活躍をしています。

みなさん起業してたり国際協力関係の仕事をしてたり、アクティブに過ごされていますが、お子さん連れで家族みんなで来ている人もたくさんいるんですね。そうなると子育てがすごく大変なんじゃないかなと思われるんですが、そんな時に活躍するのがお手伝いさんです。

ある日本人女性は「ベビーシッターさんがいるから、ルワンダの方がむしろ子育てがしやすい」という風に言っていました。日本だったら「ワンオペ育児」っていう言葉もあるように、あまり他の人に子育てをお願いする事ってないんじゃないかなと思います。最近はベビーシッターの会社とかも増えてきたようですけど、まだまだ自分たちの家族だけで世話をするっていう家庭が多いのかなと思います。

それと比べると、ルワンダではお手伝いさんを雇うことによって、仕事と育児を両立しやすい環境を整えている家庭が多い印象です。ただ、ルワンダでの子育てのデメリットを挙げるとすると、医療と教育かなと思います。あまり医療設備が整っていなかったり、あと優秀なお医者さんや看護師さんが少ないっていうところが挙げられますね。

後は教育に関してローカルな公立学校に行くとどうしても教育のレベルが低かったりするそうです。かといってインターナショナルスクールや優秀なプライベートスクールに入れようとすると、ものすごくお金がかかっちゃうっていうところも困りどころではあるようです。ただし、そういったところを鑑みても、やっぱりお手伝いさんがいると、働きながらやりたいことをやりつつ、子育ても一緒にできるっていうところが魅力になっているようですね。

子どもがいたら旅できない?

最後に、僕の価値観がガラッと変わった出来事があったので、その話をさせてもらいます。今ルワンダには妻と一緒に住んでいて、結婚してもうすぐ3年になります。まだ子供はいないんですけど、前々から授かりたいなとは思っている状況です。そんな僕ら夫婦が、以前アフリカ8カ国を2ヶ月かけてまわる旅をしたことがありました。その旅を早くやらなきゃなと思っていたんですが、それはもし子供がいたらバックパッカー旅のようなワイルド目の旅は難しいと思っていたからです。

ふつうのホテルに泊まるような、綺麗な格好で行けるような旅だったら子連れでもできると思いますが、ローカルバスに乗ったりとかちょっと汚れるような場所に行ったりとか、そういう旅は小さな子供がいたらちょっと難しいのかなと思ったので、おととし(2019年)になると思うんですけど、そのことを「これから行ってきます」ということでお世話になってるルワンダ人に伝えたことがありました。

その方は僕のことを「息子」と呼んでくれるくらい親しくしてもらっているお母さんです。「子供ができたら簡単に旅行もできなくなると思うから、これから行ってきます」ということを伝えたら、こんなことを言われました。「もし子供がいても、その子は私が預かるから二人で行ってくればいいじゃない」と。

こう言われた時に、僕はもう考え方がすごく変わったと言うか、目からウロコでした。無意識に「子育ては夫婦でやるものだ」と思っていたんだっていうことに気がついたんですね。家族以外には頼れなくて、自分たちの力で育てなければいけないと。だからもし旅に行くんだったら、子どもも一緒に連れて行かなきゃいけないと思っていたんです。

けどそんな僕に対して「子供がいたら私が預かるから二人で行ってくればいいよ」と、「当たり前じゃないそんな事」みたいな感じで言ってくれたのが僕にとっては衝撃だったんですね。日本でも最近は「ワンオペ育児」って言葉ありますよね。そういう言葉が出てきてるっていう事は、やっぱりなかなか誰かに子供を預けるっていうことが難しいということだと思います。もちろんお父さん、お母さんだけで子育てを頑張ってる人を責めてるわけではなくて、そういう社会に日本がなっちゃってるのかなという風に思うんですけど、ルワンダでは「子育てはみんなでするものだ」っていう考え方がすごく浸透してるように思います。

「家」っていうものの垣根がそもそも低いんですね。誰かの家に遊びに行ったら、その隣の家の人が自分の家のようにくつろいでいたりとか、年長者の子供が小さい子供をおぶって世話をしてあげてたりとか、必ずしも「親が子供を世話をする」っていうだけではなくて、いろんな形、関係性があって、みんなで子供を育ててるっていうイメージですね。

日本の場合は都市として成熟してきたからこそ、子育てを他の人に頼るって事がしにくい環境になってしまったのかなという風に改めて考えさせられました。なのでルワンダの現場を見て、もっと日本でも子供を気軽に預けられるようなサービスが普及したりとか、地域の人たちみんなで子供を見守れるような取り組みとかが増えたらいいなと、ルワンダのお手伝いさん文化や子育て意識を見て、実感しました。

ということで、今日はルワンダのお手伝いさん文化、それからルワンダは働きながら子育てするのに向いてるんじゃないか、というお話をさせてもらいました。

お知らせ

最後にお知らせです。4月10日(土)にオンラインツアーを開催します。HIS旅カレッジさん主催で、私が案内人を務める「大虐殺を乗り越えた国をめぐり考える、ルワンダ ピーススタディツアー」というイベントです。3月にもおこなったのですが、43名に参加いただき、大変好評でした。

ルワンダ虐殺の背景や、虐殺を生き延びた現地の女性へのインタビュー、現在のルワンダの姿などお伝えしていきます。参加費は2000円で、ZOOMを使ってオンラインでの開催となります。リンクを貼っておきますのでご確認ください。画面越しですが、みなさんとお会いできるのを楽しみにしています!

大虐殺を乗り越えた国をめぐり考える、ルワンダ ピーススタディツアー

この番組『アフリカから世界を学ぶゴリラジオ』では、ルワンダの事例をもとにちょっとためになるお話をお届けしています。今日の放送を聞いて面白いと思ってもらえたら、ぜひフォロー、いいね、コメントなどお願いします!お便りも募集しているので、レター機能を使ってどしどし送ってください。

ここまでのお相手は、タケダノリヒロでした。じゃあまたねー。

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