ベストセラー本!前田裕二『メモの魔力』概要・レビュー・自己分析方法

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自己分析大好きマン、タケダノリヒロ(@NoReHero)です。

SHOWROOM社長、前田裕二さんの書かれたベストセラー『メモの魔力』についての概要とレビュー記事。

誰もが「将来どうしようかな」と一度は悩むもの。そんな悩みを抱えているときに「メモ」と言われても、「メモなんてただの覚え書きでしょ」と思う方も多いかもしれません。しかし、前田さんはこんな風に語っています。

コンパスとはすなわち、「人生の軸」ですが、これを持っている人は、あまり迷いません。軸を持っていない人は、いつも何かにつけて迷ってしまい、勢いよく前に突き進むことができません。自分が何に喜びを覚えるのか何を幸せと思うのか、が明確になってこそ、大きな推進力を持つことができます

メモを取ることで自分自身の喜びや幸せを見つめ直し、「人生の軸」をもつことで迷いなく進んでいくことができるんですね。

本書の内容は、「自己分析」のやり方を学ぶうえでも非常に有効です。就職活動をしている大学生や、将来のキャリアに悩む若手社会人はぜひ読んでみましょう。

『メモの魔力』もくじ

本書『メモの魔力』は以下のような構成になっています。

第一章:日々の出来事をアイデアに変え、行動につなげるには実際にどうすればいいのか
第二章:メモで思考を深める〜抽象化〜
第三章:メモで自分を知る
第四章:メモで夢を叶える(どのように実現するか)
第五章:「メモは生き方である」という著者の哲学
巻末付録:自己分析1000問

ぼくがこの本を買ったのは、巻末付録として「自己分析1000問」がついているから。1000問て。もはや狂気すら感じます。

「自己分析しよう」と思っても、何を考えたらいいかよくわからないですよね。でもこの1000問は、著者の前田さん自身がこれまでにノート30数冊を費やして、徹底的にご自身と向き合ってきた足跡でもあります。

これをこなしたからといって前田さんになれるわけではありませんが、すくなくともこれもやらずに「自分のやりたいことがわかりません」と言っているのは完全に努力不足ですよね。

本編でメモの取り方という武器を手に入れて、「自己分析1000問」という敵をバッタバッタと倒していきましょう。それがレベルアップへの最短距離です。

メモについて

なぜメモを取るのか?

そもそもなぜメモを取ることがそんなに大事なのでしょうか?

それは、時間の限られている人生の中で「より本質的ことに少しでも多くの時間を割くため」。

本質とは何かというと、コピーではなく創造、代替可能物ではなく代替不可能物。

よく「人の仕事が機械に置き換えられる時代」と言われますよね。つまり機械でもできることや、誰でもできる仕事ができるようになっても大した価値がないのです。

それよりも、クリエイティブで新たな知的生産につながる思考や、自分にしか思いつかないような代替不可能性の高い思考を身につけることが大切で、そのうえで役立つのが「メモ」ということですね。

メモの2類型

「メモ」と言うと、「なにかを忘れないように書き留めておくもの」というイメージがありますが、それは二種類あるメモのひとつの形に過ぎません。

メモには「記録」だけではなく、「知的生産」という役割もあるのです。これが機械にはできず、我々人間だからこそできること。この機能を最大限に活用していきましょう。

メモの2類型

【メモには2種類ある!】
1. 記録のためのメモ→機械でもできる(eg. 買い物メモなど)
2. 知的生産のメモ→人間にしかできない

メモによって鍛えられる5つのスキル

メモすることによって鍛えられるスキルは5つもあります。

【メモによって鍛えられる5つのスキル】
1. アイデアを生み出せるようになる(知的生産性の向上)
2. 情報を「素通り」しなくなる(情報獲得の伝導率向上)
3. 相手の「より深い話」を聞き出せる(傾聴能力の向上)
4. 話の骨組みがわかるようになる(構造化能力の向上)
5. 曖昧な感覚や概念を言葉にできるようになる(言語化能力の向上)

知的生産性、情報獲得の伝導率、傾聴能力、構造化能力、言語化能力。

こんなにたくさんの能力が上がったらめちゃくちゃレベルアップできそうですね……!

おおぉ、メモを取りたくてうずうずしてきました。では、具体的にどうやってメモを取ればいいのでしょうか。

「ファクト→抽象化→転用」という最強のフレームワーク

「ファクト→抽象化→転用」という最強のフレームワーク

著者の前田さんは「ファクト→抽象化→転用」というフレームワークを用いています。「最強の」という枕詞をつけてね。これは是が非でも身につけたい。

どういうことかというと、

1. インプットした「ファクト」をもとに、
2. 気づきを応用可能な粒度に「抽象化」し、
3. 自らのアクションに「転用」する

という3ステップで説明ができます。

これだけではわかりにくいので、本書で用いられている図を見てみましょう。

『メモの魔力』掲載の図をもとに、タケダが一部編集したもの

上の図は、著者の前田さんが「幼少期に苦しかった体験は?」という問いを立てて答えたものです。

【メモの取り方のポイント】
◎ノートは見開きで使う
◎左ページ
・上部にタイトル
・左側に標語(キャッチコピー)
・右側にファクト(事実、できごと)
◎右ページ
・左半分に抽象化(できごとをより俯瞰的に捉える)
・右半分に転用(この事例を活かせる次のアクションを考える)

これによって、「お金がなくて塾に行けないが、塾に行っている子のほうがどうしても賢い。でもその後、死ぬ気で勉強して追い抜いた」という【ファクト】から、「運命を努力で覆したい、逆境はバネになることを証明したいというのが自分のモチベーションになっている」という想いが【抽象化】され、「このモチベーションを原点に置いておけるような事業を創る。こういった憤りを持っている人に自分の体験を伝えて勇気を与える」と【転用】されています。

本書の内容をもとにタケダが作成

下図は「中学校時代に一番影響を受けた人は?」という、もうひとつの例。

『メモの魔力』掲載の図をもとに、タケダが一部編集したもの

これによって、「ギターをくれた親戚のお兄さん」という【ファクト】から、「どんなときも味方でいてくれて、無償の愛を提供してくれた。それが物凄い支えになった」という気づきが【抽象化】され、「今度は自分が誰かの味方になって、無償の愛を提供していこう」というアクションに【転用】されています。

本書の内容をもとにタケダが作成

こうやって、「ファクト→抽象化→転用」することで、ひとつの心を動かされたできごとの意味を考え、それを次のアクションに生かしていくんですね。

「意識の具体化×抽象化」で自己分析

効果的に自己分析をおこなううえでは、「意識の具体化×抽象化」というフォーマットが有効です。

1. 自分の意識に目を向ける(具体化)
2. Whyで深堀りする(抽象化)

通常は1で止まってしまうことがおおいですが、2までいくことで自身の深い深い本質部分にまでたどり着けるんですね。

ここで重要なのは「では具体的に何をするか」まで書くこと。そこまで書かなければ人生は変わらない、と著者は忠告しています。

「じゃあ5分後に何をするのか」「今できることは何か」まで考えること。「大きな挑戦がしたい」であれば「明日から何をするの?」と考えてみましょう。

言語化がうまい人の特徴

世の中で活躍している人には、言語化がうまい人が多いですよね。たとえばスティーブ・ジョブズは、”Stay Hungry, Stay Foolish”や”Connecting the dots”という名言を残しました。

サッカー選手の本田圭佑さんはACミラン入団会見で「心の中の自分」のことを「リトルホンダ」と表現して話題になりました。

前田さんは言語化がうまい人の特徴として、以下のふたつを挙げています。

【言語化がうまい人の特徴】
1. 抽象化能力が高いこと。とりわけアナロジー力が高い。アナロジーとは、一見無関係なものの間に何らかの共通点を見つけて、結びつける思考法。身近で具体的な事例の特徴を探して、抽象化して、それをまた別の具体に当てはめる。
2. 抽象的な概念に名前をつける力が高いこと。まだ呼び名が決まっていないものに標語をつける、キーワードをつける力。抽象的で名前をつけにくい概念を、言葉という確かな形で、この世に存在させるのです。

まさにメモを取る作業は、一見無関係なものを結びつけたり、抽象的な概念に名前をつけるという行為なので、これらの能力が高まって言語化能力も向上しそうですね。

夢・やりたいことの見つけ方と叶え方

ここからは夢ややりたいことを見つける方法、そしてそれを実現に近づける方法を解説します。

考えうるすべての夢を書き出してみる

まず、考えうるすべての夢を書き出してみましょう

ポイントは、「終わり」をしっかりと意識すること。人生に終わりがあるとしたら、これだけはやっておきたい、挑戦してみたい、と感じることをすべて出し切ってみましょう。終わりを意識することによって、かけがえのない「今」を全力で生きるようになるんですね。

夢に優先度をつける

次にやることは、S、A、B、Cランクでの優先度づけ

S:絶対に何が何でもやりたい
A:相当強い想いでやりたい
B:やりたい
C:できればやってみたい

A〜Cを細かくわけるより、自分にとってのSをつけられる夢をあぶり出していく作業のほうが重要だそうです。

出典:メモの魔力

モチベーションの2類型

やりたいことを整理するためには、自分のモチベーションタイプを理解しておくことも大切です。

モチベーションにはふたつのタイプがあります。それが「トップダウン型」か「ボトムアップ型」か。

【モチベーションの2類型】
トップダウン型:自分の最も大切な人生の軸が定まっている人。ゴールをきちっと決めて、そこから逆算して日々の行動を決めていく人
 →コンパス(価値観の軸)との関連度が重要度を決める(例:西野亮廣、前田裕二)
ボトムアップ型:自分がワクワクする度合いで重要度を決める人。目の前の面白そうなことに飛びつくことで日々の行動が決まっていく人
 →ワクワクするかどうか、が重要度を決める(例:堀江貴文、箕輪厚介)

ぼくはどちらかと言えばボトムアップ型だと思います。未来のことなんてどうせ予測できないんだから、詳細な計画なんて立てても意味ないじゃんと思ってる派です。

でも、「ほんとにこの方向で進んでいって大丈夫なのかな?」「思ったより成長できなくて、死ぬまでに到達したい地点までたどり着けないんじゃないかな」と思うこともあります。

ところが、本書を読んで安心しました。なんとトップダウン型とボトムアップ型の中間である「ハイブリッド型」もあるそうです。

今は5年後10年後の景色すら全く予測できない時代だから、本来トップダウン型の人が、戦略的に目の前のことに夢中になることが必要な場合もある、とのこと。まさに。

トップダウンとボトムアップの特徴である「逆算」と「熱中」。この両方の性質を併せ持つことが、夢への勝算をつかむ秘訣なんですね!

とるべき行動の細分化

自分にとって優先度の高い夢や目標が決まったら、今度は「とるべき行動の細分化」をしましょう。

必要な要素をブレイクダウンして、現時点で具体的にとるべき行動を書いていきます。そこで生まれた細かいタスクを、スケジュールにしっかり入れ込んで行動に移していくんです。

こうやってちゃんと予定に入れることによって、一歩ずつ夢の現実化に向けて前進していけるんですね。

ここで進めていくためのコツが、「自分に近い夢をかなえた人はいないかな?」「同じレベルで実績を出している人はいないかな?」と探してみること。

目標とする人が「成功するまでにやったこと」をすべて羅列してみて、その中で自分が参考にできることを真似ていけばいいというわけです。

ライフチャート

本書の巻末に付録としてついている「自己分析1000問」。これをやれば自分への理解は間違いなく深まりそうですが、あの、多すぎますよね、1000問って。実はぼくもだいぶ早い段階で挫折しました(また挑戦してみます)。

でも、そんなぼくのような方もご安心を。もっと気軽にできる自己分析方法も紹介されています。それが「ライフチャート」(人生曲線、モチベーショングラフ)。

ライフチャートとは?

ライフチャートとは、ヨコ軸に年齢、タテ軸に感情を置いて、人生における印象的なできごとを振り返り、自分にとって重要な価値観やモチベーションを見直すための手法です。

図にしてみるとこんな感じになります(ぼくの例)。

タケダのライフチャート

ライフチャートの書き方

① ヨコ軸に年齢、タテ軸に感情を設定した図を書く。
② 生まれたときを「0」として現在までの感情の起伏を描く。
③ 人生の歴史をいくつかのフェーズに分ける。
④ それぞれのフェーズにおける出来事やエピソードを書き入れる。
⑤ 標語を抽出し、自分のストーリーを魅力的に伝えられるようにする。

ライフチャートのポイント

ライフチャートを描くうえでのポイントは以下の点。

・人生をいくつかの段階に分ける(勉強に明け暮れた時期、仕事に没頭した時期、とにかく遊びまくった時期など)
中学生より前の時代を厚めに書く
 →おとなになっても変わらぬ人の本質的な特性が眠っていることが多い
・それぞれのフェーズに、自分なりのキーワードをつける(受験合格=努力が報われた瞬間など)
 →自分が何者か、どういうときにがんばれるか、どんなときに喜びを覚えるかがわかる
・もっとも見るべき箇所は「変曲点
 →なぜ上がったのか?なぜ下がったのか?それが自分の「生きる意味」や「幸せの源泉
 →なぜそこで感情が動いたのか?

ストーリーは武器になる

ライフチャートを描く最大の目的は自分への理解を深めることですが、仲間や応援者をつくるうえでも非常に有効です。

それは、インターネット時代において、周りに拡散したくなるストーリーやエピソードを持っていることが武器になるから。

著者がSHOWROOMというサービスを説明するときの例です。

☓「誰でもライブ配信できて、ギフティングができるサービスで……」
◎「実は、もともと小学生の頃から路上で弾き語りをして、実際にギターケースにお金を入れてもらっていたんです。この『弾き語りでお金をもらう』というアナログの体験をデジタルに置き換えることでSHOWROOMが生まれています」

2つ目の例のように具体的なエピソードを交えると、相手にも興味を持ってもらいやすいですよね。 「え? 小学生のときから弾き語りしてたんですか?」などと、話が展開していくかもしれません。

そして、ここまでのめり込んだ聴衆は、つい他の人にも伝えたくなっているはずです。

我々もライフチャートで自分の人生を見直して、ストーリーの力を活用していきましょう。

『メモの魔力』レビューまとめ

以上、前田裕二さんのベストセラー『メモの魔力』をご紹介しました。

まとめると、

・「人生の軸」をもっていると迷わない
・メモは知的生産性を高める
・「ファクト→抽象化→転用」フレームワークを活用
・夢はすべて書き出して優先度をつける
・簡易的な自己分析はライフチャートで

といった内容についてお伝えしました。

この記事はあくまで本書の一部を抜粋してまとめたものです。本書にはもっと詳細なメモの取り方や前田さんのメモ哲学なども書かれていて、例の「自己分析1000問」もついています。ぜひ手にとってチャレンジしてみてください(ぼくもリベンジします!)。

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