青年海外協力隊員が任国と「向き合う」辛さと素晴らしさについて

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ルワンダ青年海外協力隊のタケダノリヒロ(@NoReHero)です。

バングラデシュOB隊員のジェイさんがブログで 『真剣に向き合えないなら帰れ!青年海外協力隊に送る唯一のメッセージ』という記事を書いており、ルワンダ同期隊員のピカリンもこれに対する記事を書いていました。

ぼくもこの「向き合う」ということに対する自分なりの考えを書いておきます。

「向き合う」ことにはそれなりの痛みが伴いますが、青年海外協力隊が得られる気付きもまた「向き合う」ことからしか生まれないと思います。

そして、「向き合う」ことと「同じ方向を向く」ことの違いについて。

向き合うことを避けていた

先日、ぼくのルワンダ生活のタイムスケジュールを公開しました。

特に配属先から仕事を与えられることもなく、昼には帰宅していることなどから「もっと大変だと思った」というコメントを頂きました。

「大変さをアピールするのはかっこ悪い」という思いから、ゆるさばかりが目立つ文章にしてしまった面もあるんですが、実際のところその方の指摘は図星でもあり、もっと出来ることはあるのに楽な道を選んでいたのも事実です。

ルワンダに来て4ヶ月、任地に配属されて3ヶ月。

ルワンダに来た当初は、歩きまわって適当に住民に話しかけたり、カメラをもって「何か面白いことないかな」と探しまわったりしていましたが、悪い意味でこの生活にも「慣れて」しまいました。

まわりの風景に新鮮味を感じなくなって、カメラを持っていくこともなくなり、近所の人との会話も煩わしくなって避けることも増えてきました。「向き合う」ことを避けていました。

ここ数週間はそんな風に隊員としては最悪の状況だったため、公開したスケジュールに対する素直な反応を頂けたことは逆にラッキーだったのかもしれません。おかげで行動を改めることが出来ました。

しかし、今日思ったのは、現地の人たちとの接触を避けていた数週間も自分にとっては必要だったんだということです。

今日の気づき

今日は日曜日。買いだめしていた食料がなくなり、この地域の中心地ルワマガナまで買い出しに行きました。

家を出てしばらく歩くと、さっそく子どもがジロジロ見てきます。ルワンダ(特に地方)では外国人が珍しいため、子どもだけでなく大人でさえ不愉快なほどにじとーっと見つめてきます。彼らにしてみれば、ぼくらは動物園の檻の中にいる動物ようなものなんだと思います。

虫の居所が悪くなければ何とも思わずにスルーするんですが、今日は悪い日でした。「(くそ、見てんじゃねえよ)」と心の中で悪態をつきながら「ギブミーマネー!」と話しかけてくるその子どもを無視して進みました。

バスに乗ると、いつも通りぎゅうぎゅう詰めです。隣のおばちゃんが窓の外を覗いたり、お金を払ったりするときにいちいち体が当たります。狭くても腕がぶつからないようにしようとかいう配慮は全くありません。以前の記事にも書いたようにルワンダではそれが普通ですが、分かっていても募るイライラ。

バスを降りて市場まで歩いていると、後ろから見知らぬ少年が追いついてきました。追い抜くかなと思ったらぴったり横を歩いて、チラチラ見てきます。完全に仲良く話す気分ではなかったので、ゆっくり歩いたり立ち止まったりしましたが、それでもこちらに合わせてくる少年。たまりかねて「付いてくんな!」と少年を一喝して少し先に行かせて、別の道から遠回りして市場まで向かいました。

「なんでこんなくだらないことでイライラしてんだろ…」と思いながら歩いていた帰り道。

まだ足元も覚束ない小さな子どもが、お菓子の袋をよちよち蹴って遊んでいました。

 

(きゃ、きゃわいい〜…!!)

先ほどまでのイライラも一気に吹き飛びました。

ストレスの原因になっていたのはルワンダ人でしたが、感動や気づきを与えてくれるのもまたルワンダ人なんです。

なぜ「向き合う」ことを避けていたのか

スケジュールを公開して「もっと大変だと思っていた」というコメントを読者の方から頂いたことで、「こんなんじゃダメだ」ともっと外に出る時間を増やしました。そのおかげで見えてきた次のステップ。

ルワンダの小学校に飛び入りして歌ってきました

小学校で衛生クラブ組織化!…のはずがノープラン授業

今日も外に出て、沢山のルワンダ人と出会いました(市場で話した人も、道路ですれ違った人も含めて)。

散々イライラさせられたことで、この数週間、ルワンダ人との接触を避けるようになっていたのはこれが原因だったんだと気付きました。なんとなく外に出るのが嫌だったのは、こんなふうに嫌な気持ちになるのに耐えられなかったんだと。

もし地域の人たちとの接触を避けがちになっていたこの数週間の代わりに、今日のような「8割がイライラ」の日々が毎日続いていたとしたら、きっとどこかで爆発して、ルワンダのこともルワンダ人のことも嫌いになっていたはずです。

だから、「外に出たくない」「誰にも会いたくない」という感情が湧いたら、その原因を考えて、ネガティブな行動を受け入れることも時には必要だと思います。

でも、今日帰り際に子どもの可愛らしさに胸を打たれたように、ストレスの原因がルワンダ人であれば、感動や気づきを与えてくれるのもまたルワンダ人なんです。

ぼくが青年海外協力隊として途上国で暮らしたいと思ったのは、社会貢献の現場でしか得られない「手触り感」を得たいと思ったからでした。

【再掲】ぼくが会社を辞める理由

ルワンダ人との接触を避けていたら、この「手触り感」は絶対に得られません。

だから、たとえ「イライラが8割」であっても「向き合う」ことを避けていたら、ここに来た意味がありません。

完全に折れてしまわないようにバランスを取りながら、異なる価値観や習慣を受け入れられるようなタフさと柔軟さを身につけていかなきゃなと思います。

「向き合う」と「同じ方向を向く」の違い

「向き合う」というテーマで書いてきたこの記事ですが、「向き合う」よりも「同じ方向を向く」という言葉の方がぼくは好きです(ニュアンスは一緒かもしれませんが)。

協力隊の前に、自然の中で生きる経験を積むため、半年間だけアウトドアパークでバイトをしていました。

日本一のキャンプ場も運営するそこの社長が、「社員全員が『向き合う』のではなく『同じ方向を向いて』進んでいこう」と仰っていたのがとても印象的でした。

向き合うことによって見えるのは、相手とは異なる景色です。でも、同じ方向を向けば、相手と同じ景色を見ることが出来ます。

社会貢献において、大きな力をもった企業や行政が支援するのなら「向き合う」だけで充分かもしれません。

でも、青年海外協力隊には大したスキルも経験もお金もありません。企業や行政に出来なくて、ぼくらに出来ることと言えば、コミュニティに入り込んで「同じ方向を向くこと」ぐらいです。

2年間の任期のうち、1/6が終わりました。

残り5/6で、「同じ方向を向くこと」から逃げなくても良いような強さを、身につけていきます。

タケダノリヒロ(@NoReHero

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