ルワンダの小学校で、保護者を対象に衛生啓発ワークショップを開催しました。
保護者80人!初の衛生ワークショップ@ルシシロ小学校
(記事中の動画が重かったので、YouTubeの埋め込みに変えてみました)
そこで実施したアンケートの集計結果です。
半数が雨水を利用、飲水を煮沸しない家庭が7割、直近3ヶ月で水因性疾患に罹った家族がいると答えた人はなんと7割に及びました。
これをもとに、水因性疾患予防・削減のための対策を考えてみました。
もくじ
どこから水を得ていますか?
約半数が雨水を利用していました。
雨水自体は意外と綺麗で、そのまま飲んでも問題ないという研究結果もあります。
ただし、ルシシロ小学校のように鳥の糞尿によって汚染されてしまうケースもあるので、やはりそのまま飲むのは安全とは言えません。
雨水の次に多いのが、湧き水などを利用しているパターン。このルシシロ小学校があるカダソムワ村から、過去記事で紹介したムホゴト村まで水を汲みにいく人も多いようです。
煮沸してますか?
「滅多にしない」と「全くしない」を合わせると約7割になります。やっぱりみんな煮沸なんてしてないんですね。
なぜ煮沸しないんですか?
半数以上が「薪や炭を節約するため」と答えました。彼らには薪や炭を買うための収入向上や、薪や炭を使わずに水を消毒出来る代替法(ガス、ソーラーなど)が必要になりそうです。
一方「時間を節約するため」「水は充分綺麗だから」と答えた人も約4割いました。
先ほどの薪や炭が原因だったグループは「煮沸したいけど出来ない」人たちだと考えると、こちらのグループは「煮沸出来るのにやってないだけ」という可能性があります。
彼らには、衛生啓発活動を通して「水は煮沸して飲んだ方が良い」という意識を持ってもらえれば、水因性疾患の予防・減少に繋げられそうです。
食事前に手洗いしてますか?
約6割が「毎回している」と答えました(ほんとかよ)。
この結果が本当であれば優秀ですね。
ただ、手洗いの効果に関してはぼく自身が懐疑的なので(もともと汚い水で洗って意味あるのか?自分でも毎回はしないけど全然平気だよ?など)、一旦保留。
直近3ヶ月で家族が水因性疾患に罹りましたか?
7割が「はい」と答えました。これは明らかに多いですね。
少し古いデータですが、途上国ではおよそ50%の人たちが水と衛生環境の悪さによる健康被害を常に抱えているとされています(UNDP, 2006)。
多少質問の仕方は異なりますが、10年前のデータで50%なのに、この地域では7割の家庭で水因性疾患が存在しています。
プロジェクトの最終的な目標は、この数値を0%にすることです。2年弱でどこまで出来るかな。
その病気は何でしたか?
「下痢」と「回虫」が多数を占めていました。
下痢性疾患
ユニセフが、下痢の主な予防と治療法をこのように紹介しています。
【治療における2つのポイント】
- 脱水症状を防ぐために水分補給を行う
- 病状を軽減し下痢症状の期間を短くするために亜鉛薬を処方
【予防における5つのポイント】
- ロタウイルスとはしかの予防接種
- 完全母乳育児とビタミンA剤の補給
- 石けんを使った手洗い
- 安全で十分な量の水の確保
- 地域(コミュニティ)全体への衛生観念・習慣の普及
石けんを使った手洗いは、下痢性疾患の症例を40パーセント以上減らすことが出来るそうです。やっぱり大事なんですね、手洗い。
この辺りのポイントを念頭に活動していきます。
回虫
それから「回虫」。
この学校で使われている教科書を読んで初めて知ったんですが、回虫は口からだけでなく足からも体内に入るんですね。
医療系のサイトにも説明がありました。
鉤虫(こうちゅう)症は腸の感染症で、かゆみを伴う発疹、呼吸と胃腸の障害、そして最終的に慢性失血と鉄欠乏性貧血が引き起こされます。
引用元:メルクマニュアル
確かに裸足で遊んでる子どもなんてしょっちゅう見かけます。
ということは、サンダルとか靴を履いてもらうだけでも予防に繋がるかも。
「廃タイヤとかバナナの葉っぱとかその辺にあるものでサンダルを作ったら病気予防にもなるし、住民の収入向上・雇用創出にもなって一石二鳥じゃね?」なんて考えてます。
こういうの「ワラーチ」っていうらしいですね。メキシコの「走る民族」タラウマラ族が発祥とか。
最後は可愛すぎるピーターの写真でお別れです。
がんばるぞー。
タケダノリヒロ(@NoReHero)
ルシ通信バックナンバー
ルワンダの小学校に潜入!突撃インタビュー&ワークショップ開催決定
ルシ通信③半数が雨水利用、7割が水因性疾患!ルワンダ小学校衛生調査
ルシ通信④衛生×アート×生徒150人! 小学校でWASHワークショップ