『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』(佐藤航陽)要約・感想

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【更新 2018/01/07】タケダノリヒロ( @NoReHero

VALU、polca、タイムバンクなど次々と革新的なサービスが登場し、ビットコインが100万円を突破した昨今、「お金って、なんだ?」「これからお金はどうなっていくんだ?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

そんな疑問を解消してくれるのが、メタップスの佐藤航陽さんの『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』。

タイトル通り「新しい経済のルール」と「これからの生き方」についての示唆にあふれた本で、後半は特にワクワクさせられっぱなしでした。

この記事では本書の要約と、個人的な感想をまとめています。

お金2.0 要約

お金の正体

  • 経済とは「人間が関わる活動をうまく回すための仕組み」
  • 国家でなくても経済をつくれる世の中になってきている
  • 今の時代の経営者には、よくできた「経済システム」をつくるプロであることが求められる
  • 持続的かつ自動的に発展していく経済システムの要素=①インセンティブ②リアルタイム③不確実性④ヒエラルキー⑤コミュニケーション+(寿命による移動先+共同幻想)

画像出典:お金2.0 新しい経済のルールと生き方

【持続的かつ自動的に発展していく「経済システム」の共通点】
①報酬が明確である(インセンティブ)
→生物的な欲望(衣食住、子孫を残す)、社会的な欲望(金銭、承認、競争)、3M(儲けたい、モテたい、認められたい)
②時間によって変化する(リアルタイム)
→常に状況が変化するということを、参加者が知っていることが重要
③運と実力の両方の要素がある(不確実性)
→不確実性が全くない世界では、想像力を働かせて積極的になにかに取り組む意欲が失われる
④秩序の可視化(ヒエラルキー)
→実際に社会で普及した経済システムは例外なくヒエラルキー(偏差値、年収、売上、価格、順位、身分、肩書き)が可視化されていて、明確な指標となる
⑤参加者が交流する場がある(コミュニケーション)
→参加者同士が交流しながら互いに助け合ったり議論したりする場があることで、全体がひとつの共同体であることを認識できる

  • 自然の構造に近いルールほど社会に普及しやすく、かけ離れた仕組みほど悲劇を生みやすい
  • 有機的なシステムの3要素=①自発的な秩序の形成、②エネルギーの循環構造、③情報による秩序の強化

画像出典:お金2.0 新しい経済のルールと生き方

テクノロジーが変えるお金のカタチ

  • お金や経済の世界でこれからの10年の変化の流れは「分散化」(これまでの「中央集権化」と真逆の動き)
  • 分散化によって、独自に価値を発揮する経済システムそのものをつくることができる存在が大きな力をもつ
  • 分散化の流れの一部「共有経済」「トークンエコノミー」「評価経済

画像出典:本書にもとづいてタケダ作成

  • 今後10年は「自動化」(世の中に膨大なデータがあふれたことで進む)と「分散化」(ネットワーク型社会に移行することで起きる)が重要
  • 「自動化」+「分散化」=「自律分散」。多くの産業のビジネスモデルを覆す
  • 自律分散とは、全体を統合する中枢機能を持たず、自律的に行動する各要素の相互作用によって全体として機能する仕組み

【「自律分散」の例】
Numerai …… AIとブロックチェーンおって運営される無人のヘッジファンド
BingoBox …… 無人コンビニをオープンさせた中国のスタートアップ

  • お金そのものには価値がなくなり、どのように経済圏を作って回していくかというノウハウこそが重要な時代に

価値主義とは何か?

  • 可視化された「資本」ではなく、お金などの資本に変換される前の「価値」を中心とした世界に
  • 資本主義(capitalism)」から「価値主義(valualism)」へ
  • =お金は価値を媒介するひとつの選択肢に過ぎない
  • 価値の三分類=①有用性としての価値、②内面的な価値、③社会的な価値

画像出典:本書にもとづいてタケダ作成

  • 資本主義は①の有用性の身を価値として認識して、その他二つの価値を無視してきた点が問題
  • これまではマネーキャピタル(金融資本)を増やすことがうまい人が大きな力をもっていたが、これからはソーシャルキャピタル(社会関係資本)を増やすのに長けた人も大きな力を持つようになる
  • 「営利」と「非営利」という区別はなくなり、活動はすべて「価値」という視点から捉えられるようになる
  • 複数の経済システムは併存し得る
    • =何に価値を感じて、どんな資産を蓄え、どんな経済システムの中で生きていくのかも自分で選んで自分で決められるように
    • →複数の経済圏が競争しながらより良いものが生き残っていく
    • →ひとつの経済圏から外れてしまっても別の経済圏で生きていける
    • →選択肢があることによってリスクを取って積極的に活動ができる
    • 例)タイムバンク、VALU
  • 価値主義とは……①お金や経済の民主化、②資本にならない価値で回る経済の実現

「お金」から解放される生き方

  • 価値主義の世界では、「好きなことに熱中している人ほどうまく行きやすい」世の中に変わっていく
  • 人の熱量が「情報」として伝播しやすい環境が出来上がっている
  • ものやサービスの飽和→内面的な欲望を満たす価値を提供できる人が成功しやすい
  • 「自分の価値を高めておけば何とでもなる」世界が実現しつつある

加速する人類の進化

  • 大半の労働は機械によって自動化され、お金や労働から解放される
  • 新しい国家の形 ①エストニアのような先進的な国が、アメリカや中国とは全く異なる形でもう一つのグローバルスタンダードをつくる未来 ②グローバル巨大IT企業が、新たなテクノロジーを活用して実質的には国家のような役割を担い始める未来 ③まったく無名の共同体がバーチャル国家として名乗りを上げて、新しいモデルを作る未来
  • 宗教の影響力も高まる。経済と宗教の境界線も消えていく。株式会社は理念を掲げて社会的な価値をより追求し、宗教は内面的な価値を取り込み経済を形成していく=やることが似てる
  • お金は単なる「道具」。ツールとして深く理解することで、新しい経済をうまく乗りこなし、やりたいことが実現できる

『お金2.0』感想

以下、特に「読んでよかったー!」と思った箇所の感想です。

ソーシャルビジネスの可能性

私はソーシャルビジネスへの憧れをもって大企業に入ったものの3年で辞めて、現在はアフリカでボランティアをしています。ボランティアの任期終了後、いま住んでいるアフリカのルワンダで起業するつもりです。

そんな自分にとって、人生や仕事のテーマとも言えるのが「いかに『ソーシャル(社会的に価値のある取り組み)』と『ビジネス(利潤)』を融合させるか」。

私が会社を辞めようとしていた3年前は、企業のCSR活動が活発になりつつはあったものの、「そうは言っても社会貢献的な事業で利益を生むのは難しいよね」という風潮がまだまだ強い時代でした。

ところが、本書によると「社会的に価値のある取り組み」と「利潤」は相反するどころか、むしろ区別がなくなっていくと述べられています。

社会的に価値のある取り組みは利益を出しやすくなってきている一方で、利潤のみを徹底的に追求する事業は短期的な利益を求めすぎて消費者に避けられてしまうか、過剰競争に巻き込まれて長期的には収益を出しにくくなっているような気がします。数十年後には「営利」と「非営利」という区別はなくなっており、活動は全て「価値」という視点から捉えられるようになっているでしょう

これまでの経済では「有用性としての価値」が重視され、内面的・社会的価値がないがしろにされがちだったんですね。

ところが「自動化」と「分散化」の進展によって、内面的な価値や社会的な価値も認められるような世の中になってきました

「営利」と「非営利」の区別がなくなる数十年後に向けて、動いていきます。

自分の価値を高めておけば何とでもなる

本書を読んでいて、もっとも心拍数が上がった一節がこちら。

価値主義の世界では就職や転職に対する考え方も大きく変わってきます。ざっくり言ってしまうと、この先は「自分の価値を高めておけば何とでもなる」世界が実現しつつあるからです。

「自分の価値を高めておけば何とでもなる」世界が実現しつつある

これほどワクワクする世界はないですよね。昨今盛んに「好きなことを仕事にして生きていこう」と叫ばれていますが、この本ほどその姿勢が正しいと論理的に納得できる書籍はないのではないでしょうか。

合わせて読みたい本

本書を読んでいて、思い出した本も紹介しておきます。合わせて読むと「お金」や「価値主義」について理解が深まるかも。

CAMPFIRE代表・家入一真さんの提唱する「小さな経済圏」。

モノもサービスも飽和した現代、若者が求めるのは「意味合い」であるとするモチベーション論。

どん底から這い上がってきた「モテクリエイター」ゆうこすのSNS活用術。まさに「好きなことで生きていく」の実践者です。

これから、「お金」がどう変わっていくか楽しみですね。

タケダゴロク
 

”資本主義から価値主義へ”

”自分の価値を高めておけば何とでもなる”

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価値主義の時代を楽しく生きるために読みたい本

『知的戦闘力を高める 独学の技法』書評・要約・感想~勉強好き必読の書~

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