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漫画『四月は君の嘘』あらすじ・感想・名言・名シーン画像・ネタバレ

【2017/04/06 更新】

『四月は君の嘘』全11巻一気に読みました

スクリーンショット 2016-03-13 11.30.23

読み終わって感じたのは、動けなくなるほどの喪失感。『ノルウェイの森』の読了後の気持ちに少し似ていて、30分ほどベッドの上で放心状態でした

でもなんでこんなに悲しいのか、なんでこんなに美しいのか

一回読んだだけではそれをはっきり掴めなかったので、もう一度じっくり読みなおして、感想や名言をまとめました

本記事は、内容を知っている方とこの気持ちを共有したいと思って書いています。ネタバレが嫌な方はまだ読まないでください

四月は君の嘘 第1巻

美和が言ってたよ

「好きな人がいると 全部がカラフルに見える」って

「彼と出会った瞬間 私の人生が変わったの」

「見るもの聞くもの 感じるもの

私の風景全部が カラフルに色付きはじめたの」

「世界が輝きだしたの」

四月は君の嘘
四月は君の嘘母を亡くし、ピアノを弾けなくなり、モノトーンの世界で生きるようになった公生に椿がかけた言葉。公生が公園で初めてかをりと出会う時、この言葉が反芻されます。

巨大な遊具の上で裸足になって、子どもたちのためにピアニカで楽しげなメロディを奏でながらも大粒の涙を流すかをりの登場シーンはあまりにも美しい。

そして演奏会を見に来るよう誘われて、音楽の世界に戻ることを恐れる公生を力強く見つめて、「行こ」と声をかけ、腕を掴んで走りだします。

二回目にこのシーンを読むと、かをりの瞳に映る意志の強さの理由が分かります。なぜ初対面のはずの公生の腕を掴んでまで、連れて行きたかったのか。公生にとってのドラマはここから始まりますが、かをりのドラマはずっと前から始まっていたんですね。

…一次予選で 花をもらった人を初めて見た

しかも知らないコ達だろ?

花を用意してるわけないし あのコ達にとって――

君の演奏を聴いて あわてて花を買って渡した今日のことは 忘れられないよ

たぶん そういう演奏だった

初めてかをりの演奏を聴いた公生。あんなに強気だったかをりの手が震えていることに気づき、そしてこの感想。

かをりの顔、口元とクローズアップされ、最後に「どんなもんだい」とイタズラっぽくニカッと笑う。

ずっとずっとかけて欲しかった言葉をもらえた少女の顔。やるな、公生。

心魅かれるコに好きな人がいるのは当然

恋をしてるからそのコは輝くんだもん

だから人は―― 理不尽に恋に落ちるんだ

かをりの演奏にショックを受け、考えこむ公生。そこに公生の大好きなモーモー印の牛乳を持ってきた渡がこの一言。イケメン過ぎる。

その直後、公生は下校途中でかをりに出会い、渡の「代役」としてカフェから公園へ。

食べ物に恋をして

日常のささいなことに恋をして

ヴァイオリンに恋をして

音楽に恋をして

だから君は―― 輝いているのかな

こういう気持ちを何て言ったかな

これはたぶん

こういう気持ちは 憧れって言うんだ きっと

花びらが舞い散る満開の桜の下で、自由奔放なかをりに翻弄されながらも、その輝きによって自分の気持ちが変わっていくことに、公生は少しずつ気づいていきます。

四月は君の嘘 第2巻

聴いてくれた人が私を―― 忘れられないように

その人の心にずっと住めるように

それが私のあるべき理由

私は演奏家だもの 君と同じ

だから お願いします

私の伴奏をしてください

私を ちょっぴり 支えてください

くじけそうになる私を―― 支えてください

コンクール直前、学校の屋上で号泣しながら公生に頭を下げるかをり。その涙で公生の心も固まります。

そこからのかをりの笑顔や、椿・渡が2人を自転車の後ろに乗せて全力で走っていくシーンも、一瞬で過ぎ去っていく14歳の春の力強さや切なさを強調しています。

私を見て

顔を上げて 私を見て

下ばかり向いてるから 五線譜の檻に閉じ込められちゃうんだ

大丈夫 君ならできるよ

ずっと昼休み聴いてたでしょ

譜面はいつも目に入る所にあったでしょ

私達ならできる

無茶だ、無謀だと思いながらうつむいて必死に譜面と向き合う公生に、頭突きをかまして、おでこをくっつけて、かをりからこの一言。そしてまた手をとって歩き出します。惚れるわ。椿や渡が入っていけない領域である「私達」という言い回しも、この作品では重要なポイントですね。

演奏が始まり、やはり公生は途中で弾くのを止めてしまいます。それでも仕切り直して引き続けるかをりの背中を見て、ついに復活する公生。

鍵盤の上を走る指、勢い良く弦をかき鳴らす弓、飲み込まれていく観客、静寂からの大歓声。音がするはずのない漫画なのに、視覚を越えて伝わってくる迫力があります。

四月は君の嘘

ワンピースの尾田栄一郎さんも、このコマに対して「こんな描き方があったのか」とテレビで絶賛のコメントを出していました

ハプニング満載 前代未聞

でも――

ここにいる人達は 私達のことを忘れないでくれる きっと

私 忘れない

死んでも忘れない

ありがとう

君のおかげ 君が伴奏してくれたから 君がピアノを弾いてくれたから

ありがとう 有馬公生君

実はかをりの当初の目標は、第2巻のこのシーンですでに叶ってしまいました。「死んでも忘れない」という言葉は決して比喩ではなかったんですね。公生のことを名前で呼んだのはこれが初めて。そこからさらに公生に惹かれていき、より強く生きたいと願うようになります。

何でも言うこときく?

子どもたちとケンケンパしながら下校する公生を待ち伏せするかをり。嘘泣きして、公生にコンクールに出るよう促したときのセリフです。こんな可愛い聞き方されたら何でも言うこと聞いちゃいますね。

その後2人で橋の上から川に飛び込み、公生は音楽の世界に再び飛び込む勇気を取り戻します。

四月は君の嘘 第3巻

天使みたいだ おとなしくしてれば

晴れた日の音楽室。グラウンドからは運動部の声がします。天使のような顔でうたた寝してしまったかをりに、やさしく上着をかけピアノを弾く公生。とてもやさしく穏やかで、後々公生のピアノのイメージを形作る重要なシーンになります。

”私達”は

その”私達”に 私はいない

ちっちゃい頃から いちばん近くにいたのに

いつの間にか

いちばん 遠くにいる

かをりの使う「私達」という主語に反応する椿。男勝りでスポーツ万能な椿も、実は女の子なんですよね。

もう ずっと前から 僕の世界は変わっていた

ただ気付かなかっただけ

あの日から 僕の世界は鍵盤でさえ

カラフルになっていたんだ

ぎこちないBGM

友達を好きな女の子

銀色の月から隠れるように

音楽室に2人

夜の中に 僕ら2人しかいないみたいだ

四月は君の嘘たまにセリフがポエムっぽすぎるという批判も目にしますが、ぼくはこの世界観大好きです。

やだよ やだよ やだよ

わかってる こんなこと思う資格なんてないってこと だけど

やっぱりやだ やなもんはやだ

いつも一緒 いつも そばにいた

嬉しい時 悲しい時も

でも いつの間にか遠くにいる

やだよ

私を見て

私を見てよ

そんな目で 誰かを見ないで

ソフトボールの試合中、公生が応援に来てくれたと思ったら隣にはかをりが。ヒットを打ってベースを周りながら葛藤する椿。結果足を挫き、試合にも負けてしまいます。

変なの

負けて悔しいのに 落ち込んでるのに

足が痛いのに 目が涙でぐしょぐしょなのに

最悪なのに どうして星が こんなにキラキラしてるんだろう

髪から音楽室の匂い

少し荒い息づかいが聞こえる

涙で濡れた肩口が暖かい

私は そばにいる

このまま 時間が止まればいいのに

その怪我を公生だけが見抜いており、星の綺麗な夜道をおんぶして帰ります。強がっていた椿も一気に張り詰めていた糸が切れて号泣。

憧れていた先輩を思いながら見た星はキラキラしていなかったはずなのに、公生は自分よりも小さくて弱かったはずなのに、負けて悔しいはずなのに、という14歳の女の子の葛藤が痛いほど伝わってきます。

この後、渡も中学最後の試合に負けてしまいます。悔しがるチームメイトを笑顔で励まし、公生に「スターになりそこねちまった」と冗談ぽく強がりを言って、人知れずトイレでぼろぼろ泣く渡。カッコ良すぎるわ。

大きくて節くれだった手

ピアニストの手だ

ホラやっぱり

手が私に触れて喜んでる

「ピアノが弾きたい」ってウズウズしてる

黒猫を見てトラウマが蘇ってしまった公生。かをりは公園で公生を励ましながら、手をとって掌を合わせます。公生は激しく照れながらも音楽の力を信じる強さを取り戻します。

中学生の時なんて女の子の手に触れるだけでどきどきしちゃいますよね。まるでその体温まで伝わってくるような描写です。

見てるか?

聴いてるか?

有馬

お前のいない2年間頑張ってこれたのは

いつか帰ってくると信じていたからだ

俺は お前に追いついたか? それとも遠ざかったか?

また蜃気楼のように 追いかけさせてくれるのか?

俺の憧れでいてくれるのか?

答えてくれ

見せつけてくれ

さあ

次は―― お前の番だ 有馬公生

ここからいよいよライバルたちが登場してきます。まずは一人目、相座武士。ただ単に公生を嫌っているのかと思いきや、そのエネルギーの原動力は公生への憧れでした。

その音に、他人の演奏にはまったく興味を持たなかった公生が惹きつけられます。言葉で語らずともその音と姿勢で互いを鼓舞し、高め合っていく過程にゾクゾクさせられます。

1~3巻まとめ 『君嘘』の魅力

ここまでの3巻で『四月は君の嘘』の魅力をまとめるとしたら、

1.魅力的な登場人物

2.大迫力の演奏シーン

3.14歳の少年少女が葛藤を乗り越えて互いに成長していく姿

4.初恋・三角関係の切なさ

5.情景描写の美しさ

といったところでしょうか。この時点では、全巻を読んでもっとも強く引き起こされた感情である「悲しみ」の理由にまでは至ることが出来ません。

四月は君の嘘 第4巻

ライバルとは特別なものだ

特に思春期の男の子にとってはなおさらだろう

他人の教えなどより 何万倍も成長させる

有馬君には感謝している

君が あいつを成長させた

君という存在が――

相座武士というピアニストを

高みへと引き上げてくれた

相座武士の先生、高柳明のセリフ。ライバル同士でしのぎを削って成長していくのが、この作品の見どころのひとつ。高柳は審査員から「チャラい」と言われているものの、随所に教え子への愛を感じさせます。

井川絵美の先生である落合由里子や、公生を後半から指導する瀬戸紘子など、指導者の視点に立つと「教える」ことの難しさと素晴らしさを知ることが出来ますね。

今―― 言葉は蛇足だ

想いは全部 ピアノに込めたんだから

渾身の演奏で公生に「戻ってこい」という想いをぶつけた井川絵美。相座・井川の2人の無言のメッセージを受けた公生のセリフがこちら。

知らなかった

音楽がこんなにもカラフルで 匂いがあって

音楽はこんなにも 血が沸るものだったんだ

「母親の操り人形」「人間メトロノーム」と呼ばれていた公生も、2人の演奏を受けて音楽の持つ力を徐々に思い出し始めます。

四月は君の嘘 第5巻

 僕は 君のために弾こう

母親の亡霊に抗いきれず、途中で演奏を止めてしまった公生。しかしそこでかをりの言葉や演奏する姿を思い出し、たった1人かをりのためだけに弾くことを決めます。ここから公生の世界に引きずり込まれていく観客の描写が素晴らしい。

みんな僕を 機械とか 人形とか言ってる

じゃあ何だよ この感情は

僕が機械なら 僕が人形なら

これはなんだ

何かが 突き動かす

走れ

走れ

走れ――

四月は君の嘘母親の親友であり、世界的なピアニストである瀬戸紘子に促され、初めてコンクールの結果発表を見に行った公生。そこで同世代のピアニストたちがどんな想いでコンクールに望んでいたのかということに気づきます。

公生本人には一切「くやしい」という言葉を語らせずに、西武池袋線の踏切の鳴り響く音や、椿・渡が悔し泣きするシーンをオーバーラップさせ、叫びながら電車の横を全力疾走させることで、巧みにこの感情を表現しています。

人は「突き動かされる何か」に出会った時に、大きな一歩を踏み出せるもの。そんなことを思い出させてくれる、すごく好きな場面です。

僕ね あの場で感じたんだ

みんな何かを 心の奥底に持ってるんだって――

ある人は 敵愾心かもしれない

憧憬や 願い 自己顕示欲

“届け”という想い

母さんへの想い

みんな 個人的な想いに支えられていた

無垢なままで

人は一人で舞台に立てないのかもしれない

君は?

君は心に何を持ってたの?

何を支えにしたの?

 

君がいたんだ

ホタルの飛び交う夜の河原で、公生とかをりが2人きりで話す幻想的なシーン。徐々に2人の距離が近づきつつも、かをりの命の灯がホタルのようにそう長くはないことを暗示しています。

四月は君の嘘 第6巻

好きな人がたくさんいて

昨日見たTVの話をして

怒りながら反省したり

泣きながら笑ったり

そして思うの

今日も カラフルだ――って

いつまでもこんな日が 続けばいいのに

時間なんか止まればいいのに

欲張りだよ

知らないの?

女の子はみんな欲張りなんだよ

でも 私達は進むんだよね

このままではいられないんだよね

このままではいられないことを悟っているからこそ、毎日のささいな幸せを噛みしめ全力でキラキラと生きるかをり。徐々に終わりの気配を匂わせてくるので、この辺りから切なさが増してきます。

ホイールの金属音

不規則な足音

舌に残る紅茶のかすかな渋み

たわいもない会話

よくある風景

それでもよく覚えているのは

たぶん

きっと

きっと

夏の夜のせいだ

星の綺麗な夜に自転車を押しながら、かをりの家から2人で帰るシーン。「よく覚えているのは」と言っているので、これは公生が過去を振り返っているセリフだということになります。

そう考えると、なんてことない会話も屈託のないかをりの笑顔も、途端に違う意味を帯びてきます。公生は、どんな思いでこのときのことを思い出しているんでしょうか。

この前後のりんご飴を食べる夏祭りのシーンや、夜の学校のプールに忍び込んで花火をやる情景描写が、またたまりません。夏の夜、いいですよね。

四月は君の嘘 第7巻

毎朝ハミガキできるかしら

どこでも寝ちゃうから風邪引かないかしら

運動が苦手だから大ケガしないかしら

好きなものばかり食べて―― ちゃんと野菜も食べるかしら

引っ込み思案だから中学で友達できるかしら

もっと側に いてあげたかった

私の宝物は 幸せになれるかしら

公生が母親の亡霊は自分のつくり出した影だったんだと気付き、自分の演奏を取り戻すシーン。瀬戸紘子の回想によって、公生の母親は息子想いの優しい母親だったことが分かります。

母親がよく弾いてくれた「愛の悲しみ」を弾くことで、母親の影とさよならし、また一歩壁を乗り越える場面です。ここは二回目に読んでも泣きました。

待ってろ 有馬

ううん やっぱいいや 待ってなくていいや

先に行け――

振り返るな 進め――

ずっと先に

私が必ず 追いついてやるから

好不調の波が激しい井川絵見も、公生の復活によってどんどん表現力を高めていきます。そこでこの一言。足を引っ張り合うのではなく、互いにぶつかり合って成長していく様が清々しいですね。

俺は俺に惚れない女に興味はない

椿のことを相談する柏木に対して、渡のこの発言。いつか言ってみたい。

4〜7巻まとめ 背中を押してくれる表現者たち

いつの間にか作中の季節は夏になっていました。学生のころの夏って特別な季節ですよね。

浴衣、花火、お祭り、海、星、ホタル、プール、部活、アイス、自転車―― 昼間のうだるような暑さと夜のしんみりとした切なさを嫌でも思い出してしまいました。

表現者たちは何かに突き動かされ、たった1人の誰かのために自分の音楽を届けようと全身で演奏し、苦しみながらも壁を乗り越えていきます。その姿を見ていると、自分も前に進まなきゃと思わされますね。

公生は音楽の道に進む決意を固め、椿はようやく本当の自分の気持ちに気づき、かをりには段々と終わりが近づいてきました。新学期になり、新キャラも登場し、季節は深みを増す秋へと変わっていきます。

四月は君の嘘 第8巻

自分の公生への想いに気づき、付き合っていた先輩を傷つけてしまったことで自分を責め号泣する椿。そんな幼馴染に対して、隣でずっと黙ってピアノを弾いていた公生からの一言。

いてもいなくても一緒なら 一緒にいるよ

 

1日だけ病院を抜けだして渡の「代役」として公生を連れ回したかをり。夜の学校に忍び込んだ後、自転車に二人乗りしながら星が燦然と輝く帰り道にて。

「無駄な1日なんかじゃないよ

このまま時間が止まっちゃえって思うくらい 素敵な1日だった

ありがとう

お買い物して 2人でコロッケ食べて 男の子に送ってもらう帰り道は

こんなに星がキラキラしてるんだね」

「僕は――

その涙のわけを 聞けなかった」

四月は君の嘘

四月は君の嘘

四月は君の嘘
「友達が好きな女の子」が自分を好きなことに気づいていない公生、好きな男の子と素敵な時間を過ごすことが出来たものの最期の時が近づいていることを自覚して号泣するかをり。

2人の複雑な心境とただただ美しい星空が印象的なシーンです。

四月は君の嘘 第9巻

学園祭での公生との共演を前に、プレッシャーと不安が爆発してしまった凪と瀬戸紘子の会話。

「じゃあ どうして 瀬戸先生は ピアニストを続けてるんですか?」

「その先にね チャラになる瞬間がある

悩んで わめいて 苦しんで もがき続けた数ヶ月

何もかも報われる瞬間があるの

私達は その瞬間に取り憑かれた どうしようもない生き物なのかもしれないね」

たった数分間の舞台のために、瀬戸も公生も相座武も凪も、泣いて吐き出して寝食も忘れて徹底的に自分を追い込みます。

自分はここまでひとつのことに打ち込めているだろうか、ここまでやらずに諦めてしまってないだろうかと我が身を振り返らせられるシーンです。

 

学園祭での公生と凪の圧倒的なパフォーマンスを客席から観て、奮い立たされる相座武の一言。

なんで 俺はここにいるんだ――

なんで 客席で舞台を眺めてるんだ――

俺は―― あそこにいる人間じゃないのか?

やるべきことがあるにも関わらず、それを見失ってしまった時に思い出したい言葉です。

四月は君の嘘 第10巻

雨宿りをしながらかをりのことを想う公生に対して、椿の一言。

あんたは 私と恋をするしかないの

ここからの心臓の音、公生のスネを蹴って悪口を言いながら走り去る椿、冬の雨、レモネードの味――情景描写が見事です。

 

病院に来いと言った途端来るなと言ったり、電話してくるなと言った途端に自分からかけてきたり、自由奔放なかをりに振り回される公生。電話しながら空を見上げる公生の心の声です。

君と同じ空を見ているだけで

見慣れた風景が違って見える

君のちょっとしたしぐさに一喜一憂

僕の心は メロディを奏でだす

こういう感情を何て呼んだかな

こういう気持ちを何て言ったかな

これは たぶん 恋と呼ぶんだ

これは きっと 恋って言うんだ

四月は君の嘘 第11巻

集中治療室から出てきたかをりと、彼女の病状を知りまたピアノが弾けなくなってしまった公生。雪の降る病院の屋上でのふたりのシーン。

私の中に 君がいるよ 有馬公生君

たまごサンドが好き

モーモー印の牛乳が好き

あと何が好き?

好きな昆虫は?

何を集めてた?

好きだったアニメは?

知らないことたくさんある

なんでも知ってる椿ちゃんがうらやましい

君のことたくさん知りたい

――よ

怖いよ

怖いよ

私を一人にしないで

 

コンクールの舞台に立つものの、かをりに死の気配を感じ、一旦は弾けなくなる寸前まで追い込まれた公生。しかし緊張感のない椿のくしゃみによって、支えてくれたみんながいることに気づくシーンです。

僕らは誰かと出会った瞬間から 一人ではいられないんだ

 

最後のかをりから公生への手紙。

度胸橋から飛び込んだ川は冷たくて気持ちよかった

競争した電車に 本気で勝てると思った

音楽室をのぞくまんまるの月は おまんじゅうみたいで美味しそうだった

二人乗りで歌ったキラキラ星は音程がズレてた 声楽は絶望的だね

夜の学校って 絶対何かあるよね

雪は 桜の花びらに似てるね

演奏家なのに 舞台の外のことで心がいっぱいなのは なんかおかしいね

忘れられない風景が こんなささいなことなんて おかしいね

 

君はどうですか?

私は誰かの心に住めたかな?

私は 君の心に住めたかな

ちょっとでも 私のこと思い出してくれるかな――

リセットなんかイヤだよ

忘れないでね

約束したからね

やっぱり君でよかった

届くかな

届くといいな

有馬公生君

君が好きです

好きです

好きです

 

カヌレ全部食べれなくて ごめんね

たくさん叩いてごめんね

わがままばかりごめんね

いっぱいいっぱい ごめんね

ありがとう――

四月は君の嘘苦しみや切なさを抱えながら真剣に生きるかをりの眼に映るささやかながら美しい世界の描写、この世界とみんなの記憶から自分という存在が消えてしまうのではないかという不安、たくさんのごめんねとありがとう。

前にも読んだはずなのに、この手紙は二回目に読んだ時のほうが泣いてしまいました。

このエンディングありきで考えられたストーリーではあると思いますが、やはり奇跡を起こしてほしかったという気持ちも否定出来ません。

ただ、このエンディングだからこそ、ここまでかをりの美しさと公生の喪失感を引き出し、さらにはそれを糧にしてピアニストとして成長していく公生の姿を思い浮かべることが出来るのではないかと思います。

『君嘘』はなぜこんなにも悲しく美しいのか?

なんてことない風景に潜む美しさ、極限まで自分を追い込み努力する人間の格好良さ、ライバル同士競い合って成長していく素晴らしさ、思い通りにいかない恋愛のもどかしさ、大切な人を失ってしまう悲しみとそれを乗り越える強さ――。

そういったことを教えてくれる素晴らしい漫画でした。

16年9月には映画も公開されました

主題歌・ロケ地・乗っ取り!?四月は君の嘘映画を3倍楽しむ豆知識まとめ!

タケダノリヒロ(@NoReHero

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