JICA・JOCV

なぜ世界には2000人もの青年海外協力隊員がいるのか。

青年海外協力隊出身のブロガー、宮崎大輔さんのサイト『JIBURi.com』に寄稿させて頂きました。

これからも寄稿は続けていきますが、まずは自己紹介代わりに水や衛生環境の改善に関わっていくこと、病気で死んでしまっていたかもしれない子どもたちが、自分が活動することによって1人でも多く夢を持って元気に育ってほしいと思っていることなどを書きました。

いつものようにFacebookでたくさんのコメントやメッセージを頂きました。その中に、他国で看護師として活動する同期隊員からのコメントがありました。

のりくん、私は昨日から下痢病棟に転棟したよ。今日も目の前で子供が下痢が原因で死んだよ。

 

 

派遣前訓練にずっと居て良いわけがない

「おれ、何しにここに来たんだっけ……」

去年の10月、二本松訓練所で派遣前訓練が始まって2週間ほど経ったときのこと。毎日レベルの高い英語の授業を受け、ワークショップの練習をして、エネルギーのある同期たちに囲まれて、訓練生活をめちゃくちゃ楽しんでいました。ずっとここにいたい、とすら思っていました。

そんなとき、水・衛生関連のワークショップを開こうと思って調べ物をしていたら、こんな文章を見つけました。

ルワンダでは、安全でない水や劣悪な衛生環境が原因の下痢で、毎年2000人以上の子どもたちが亡くなっています。
引用元:WaterAid – Where we work – Rwanda

「2000」という数字から目を離せませんでした。今までの人生で出会ってきた子どもたちを全部足したとしても、2000人なんか到底届かないよな…しかもただの下痢で

おれ、何しにここに来たんだっけ……英語を勉強するためでもないしワークショップが上手くなるためでもないし友達つくるためでもない。任地に、ルワンダに、困ってる人がいるけど、いまのまま行っても役に立たないから、そのために訓練してるんじゃん。「ずっとここにいたい」なんて思ってて良いはずがない。

そう気づいて、残りの1ヶ月半、目的意識を持って訓練に臨むことが出来ました。

中途半端な気持ちで「助けたい」なんて言うな

あれから5ヶ月経ちました。ルワンダに来て、任地のムシャセクターに住み始めました。何の問題もなく幸せそうに暮らしているように見えたこの村にも、安全でない水や衛生環境が原因で病気になってしまう人たちがいることを知りました。

知ったつもりになっていました。

でも、冒頭の友人からのコメントを読んで、この村のことも、子どもたちのことも、まだ何も分かってないということに気づきました。ちょっと村の人としゃべって、ちょっと水を検査しに行って、こんなことがありましたーってブログに書いてただけでした。そうしてる間にも、ほんとうに下痢で死んでしまった子がいるのに。

昨日書いた記事にも「ルワンダでは毎年2000人以上の子どもたちが下痢で亡くなっている」と書きました。自分の手でキーボードを打って、文章化しました。でも、5ヶ月前に感じたような感情は、まったく抱きませんでした。「2000」という数字は、「2000」という数字でしかありませんでした。

でも、現実はただ画面上に「2000」という数字が記入されているだけじゃなくて、一人ひとりの命が2000個消えてるんです。その命を救えなかったと悔やんでいる家族も医者も看護師も、その数以上にいるんです。

特に青年海外協力隊では、たとえプロの医療従事者であっても直接の医療行為は禁止されています。瀕死の患者がいても、現地の病院のやり方に従わざるを得ず、自分がやるべきか…でもそれでは意味が無い…と葛藤の末、ありのままの医療を受け入れて、死に直面している隊員はたくさんいます。

ぼくは人が目の前で死ぬのを見たこともないし、そんな辛い思いをしたこともありません。5ヶ月前に感じた「2000」という数字の重みにも、慣れてしまっていました。忘れていました。そんな中途半端な気持ちで「助けたい」とか「社会貢献したい」なんて甘すぎる。

だから世界中に青年海外協力隊がいる

きっといま感じている気持ちも、どうせ忘れてしまうと思います。だから、ブログを書きます。たとえ忘れてしまっても、読み返すことで思い出すことが出来ます。そして伝えることが出来ます。

「たった一人の誰かのために」

最近よく使っている言葉です。自分には本当に些細なことしか出来ません。たった一人でも、この村の人の人生を良い方向に変えられたら、それだけでも充分な価値があると思っています。

ルワンダの人口1,200万人のうちの一人なんて、数字の上では誤差の範囲です。でも、どんなに小さな数字でも、その裏には必ず誰かの人生があります。

いま世界には、2000人の青年海外協力隊員が派遣されています。一人ひとりに出来るのはほんの小さなことだからこそ、世界中に隊員がいるんです。

コミュニティ開発も教師も看護師もスポーツ隊員もコンピュータ隊員もソーシャルワーカーも観光も自動車整備も青少年活動もマーケティングも、2000人が「たった一人の誰か」を変えられたら、世界は変わります。

きっとそれすらも忘れてしまうから、これからも、何度でも書いていきます。

 

 

 

タケダノリヒロ(@NoReHero

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