アフリカのルワンダでスタディツアーの運営や情報発信を仕事にしています、タケダノリヒロ(@NoReHero)です。
コロナによってツアー業ができなくなってしまったため、ある意味「苦肉の策」として始めた「オンラインスタディツアー」。
第1期となる2020年5月度が終了しましたが、合計67名が527コマに参加してくださり結果的には大成功と言える成果を得られたと思います。特に最終日の昨日は画面越しでも熱を感じるくらいの盛り上がりを見ることができ、オンラインの可能性を感じました。本記事では、そもそもオンラインスタディツアーとは何か、それがどうやってあたたかみのあるコミュニティにつながったのか、どんな人たちがどうやって集まったのかといったデータの分析をまとめています。
きっとこれからこういったオンラインのイベントやコミュニティは増えていくと思うので、誰かの参考になれば幸いです。
もくじ
オンラインスタディツアーSTARTとは
オンラインスタディツアー「START」とは、ルワンダを舞台に国際協力やグローバルキャリアを自宅で学べるオンラインプログラムです。
ルワンダの歴史、生活、ビジネス、教育などを学べるルワンダ講座や、ぼくが青年海外協力隊や起業・情報発信について語る回、グローバルに活躍するゲストを呼んだ講演会、キャリアについて考えて参加者が発表する回などを用意しています。
毎週土日に1〜2時間程度ZOOMを使って講座を開催して、それについての意見交換はSlack上で実施。参加者同士の親睦が深まるように、交流会もオンラインで実施しました。
料金はコロナ禍の特別価格ということで、1コマ500円、全14コマに出席する「皆勤賞プラン」は5,000円(なので2,000円お得)。皆勤賞の方には特典として、ぼくとの1対1面談を2回つけさせてもらいました(自分で特典とか言うと偉そうだけど)。面談をしたことで、講座だけでは遠かった距離感がぐっと縮まったように思います。
オンラインSTARTの結果
参加コマ数と人数
結果的には、合計67名(皆勤賞27名)が527コマに参加してくださいました。すご。ルワンダとか協力隊とかに興味がある人、もう全員参加しちゃったんじゃないかと来月以降が心配なくらい。自分で開催しておきながら、関心もってくれる人こんなにいるんだ……!と驚いています。
流入経路
この方々がどうやって集ってくださったかというと、3/4がツイッター経由でした。
これは単純にぼくがツイッターを多用してるからですね。現時点ではダントツの集客窓口になっているわけですが、ツイッター経由は51名なので集客率はフォロワー数の1%にも満たないということです(現在フォロワー約6,800人)。フォロワーの方々ともっと濃い関係性を築ければエンゲージメントはさらに上がるかもしれませんが、もしフォロワーが数百人だったらそもそもこのサービスも成立してなかったと思います。フォロワーの質(深い関係)と量は、特にBtoCのサービスでは武器になり得るということですね。
年齢層
そして、どんな年齢の人たちが参加してくださったか。8割近くが10~20代となりました。これは実際のスタディツアーでも同様ですね。
ただし、ほぼ学生になるかなと予想していたのですが、学生と社会人は半々ぐらいになったのが意外でした。おもに20代の社会人で今後のキャリアについて考えている人たちが利用してくださったことの反映だと考えられます。それから、40~50代の方々もちらほらいらしたのですが、学生さんたちからは「世代の違う方々とフラットに話すことができてすごく良かった」という声も多かったことも特徴のひとつ。ふだん接する先生やバイト先の上司とキャリアや国際協力について語り合うことなんてあまりないでしょうからね。参加してくださったひとりひとりのおかげで、このコミュニティの価値がより高まりました。
講座別参加者数
講座別の参加者数ではルワンダ講座が人気でした。純粋にルワンダについて知りたいだけの人たちもスポットで気軽に参加できるからだと思われます。
逆にそれ以外の回に参加してくださった方々は「グローバルなキャリアについて学んだり、ほかの参加者と交流したい」というニーズをお持ちなんだと読み取れます。
熱量のあるコミュニティ
このオンラインSTARTで得られる価値には、「知識」「キャリアデザイン(の例や考え方)」「交流」があると思うのですが、「交流」の部分に想像以上の価値を感じてもらえたように思います。
特に最終日の打ち上げ後には、参加者から自発的にオフ会の話が出たり、「SNSのフォローし合おう!」という投稿がどんどん上がったり、Slackの画面越しにみんなの熱量が伝わってくるほどでした。なぜこれほどまでにあたたかみのあるコミュニティになったのか。おそらく要因は以下の3つ。
・参加者の発表機会
・少人数での交流
・ファーストフォロワー(最初の追随者)
参加者の発表機会
まずは、参加者の方々にも発表してもらう機会をつくったこと。ぼくからの講座だけではどうしても受け身になってしまいますからね。かと言って毎回の講座には30人前後の参加者がいるので、全員に発表してもらえる時間はありません。そこで「皆勤賞の先着10名」という制限を設けて発表をしてもらいました。それによって、10名の方々にはより能動的に参加してもらえたと思いますし、その他の方々にも「こんなに面白い人たちが参加してるんだ!」「その悩みわかるー!」という刺激や共感を得てもらえたはず。
少人数での交流機会
それから少人数で交流できる場を設けたこと。オンラインミーティングの難しいところは大人数での会話が成立しづらいこと。若干のタイムラグが生じるため、どうしても話し手はひとりで、まわりが聞き役に回らざるを得ません。そうなると参加者同士がお互いを理解するハードルが高くなってしまいます。そこで、ZOOMの「ブレイクアウトセッション」という小部屋をつくれる機能を活用して、4人前後で話せる場を設けました。この時間にそれぞれが自己分析をした結果を発表してフィードバックをし合ったり、雑談の中から共通点を見出してもらうことができました。
ファーストフォロワー(最初の追随者)
そしてあたたかみのあるコミュニティづくりにもっとも影響したのは、「ファーストフォロワー(最初の追随者)」の存在。これはデレク・シヴァーズさんの伝説的なTEDスピーチで有名な「社会運動を起こすときに重要なのはリーダーよりも、そのリーダーを追随して動く最初のフォロワー」という考え方から(3分くらいの動画なのでぜひ観てね)。
オンラインSTARTの運営はぼくがひとりでおこなっています。でも、月の中盤くらいで「有志で自己分析の結果をもちあって交流しましょう!」と言ってくれる参加者が現れたのです。彼女は「おかし」と呼ばれているのですが、ぼくが2018年9月に始めたよくわからないスタディツアーの第1期生としてルワンダに飛び込んで来てくれた大学生でした。
その彼女が「あらためてルワンダについて学びなおしたい」とオンラインツアーに参加してくれただけでもうれしかったのですが、「ファーストフォロワー」としてまわりのメンバーを巻き込んで自主的に交流会を開いてくれたんです。それまではぼくが先生役のように「1対n」で講義をする関係だったのが、おかしが前に出てきてくれたおかげで「n対n」の関係性がこのコミュニティの中に生まれてきました。
さらに「タケダを泣かせたい」と、最後にはサプライズで寄せ書きまで用意してくれました。これはうれしかったなあ(涙もろいとか言ってたわりに涙は一滴も出なかったけど)。主催者冥利につきます。
まあ「タケダの涙を見隊員募集中」とかいじられてますが。おかし様様ですね。ありがとう!
オンラインサロンとしての機能
ということで、今後のオンラインSTARTは講座の内容を充実させていくことはもちろんですが、せっかく生まれた「交流」を続けてもらえるように、「START会員」というサブスクリプション(月額課金)制度をつくりました。これからはオンラインサロン的な性格も帯びていくことになりそうです。キンコン西野さんがよく言ってる「待ち合わせ場所」として機能していけばいいなあと。
じつはオンラインサロンは前々からやりたいなあと思っていたのですが、「料金に見合う価値を毎月提供し続ける」ことの異常なハードルの高さが懸念点でした(前に友人たちと挑戦して全然機能させられなかったことがあるからその難しさを知っている)。それを妻に相談したところ「じゃあ1ヶ月とか3ヶ月とか限定でやってみたら?」という的確すぎるアドバイスをいただいたことで、1ヶ月単位で講座を開催するオンラインSTARTのいまの形があります。
「知識」や「キャリア」に関する情報を求めて毎月新しい参加者が入ってきて、この「場」を気に入ってくれた人が会員として「交流」を深める。この形であれば、ぼくも自信をもって料金以上の価値を提供し続けるなと感じています。まだSTART会員は募集し始めたばかりですが、すでに参加表明を続々といただいています。アフリカで社員もおらずひとりで会社をやっていくのはなかなか孤独なものなので、「仲間」ができたようで心強いです。引き続きあたたかいコミュニティをつくっていければと思います。
さあ6月もがんばるぞー。
オンラインツアーの詳細はこちら↓
オンライン・スタディツアー「START」20年6月度