日本の結婚の歴史~結婚とは「特別扱い」すること~

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タケダノリヒロ( @NoReHero

これまで「付き合って、結婚して、家族をつくる」ということを当たり前のように考えていましたが、いざ結婚を現実的に考え始めてふと思いました。

「『結婚』って何?

世間には「結婚なんてしないほうがいいよ」と言う人もいます。「結婚しなくてもパートナーがいればそれで良くない?」という声も。たしかに。

じゃあなぜ人は結婚するんだろう?

そもそも『結婚』って制度はいつから始まったんだろう?

つぎつぎと疑問が湧いてきました。どんぐり拾って食べてた時代には、当然そんな小難しい制度はなかったはずです。

過去のどこかの時点で「結婚」という制度をつくる必要が生じて、その制度を活用するメリットがあったからこそ現代まで続いてきたわけですよね。

ということで、そもそも結婚とは何か、人はなぜ結婚するのか、結婚制度の起源はどこにあってどんな歴史を辿ってきたのかを調べてみました。

結婚とは何か?

そもそも「結婚」とは何なのか。ことばの意味を調べてみると、こんな解説が出てきました。

婚姻。夫婦となること。血縁関係のない男女が、永続的に社会的、経済的、人間的、また生活的結びつきを持つことです。結婚の意志を固めた男女は結婚式・披露宴をあげ、婚姻届を役所に提出します。

引用:コトバンク(日本文化いろは事典の解説)

「婚姻届けを役所に提出」することで夫婦とみなされ、「永続的に社会的、経済的、人間的、また生活的結びつきを持つ」状態になること、と言えますね。

日本の結婚の歴史

では、その「結婚」は日本ではいつごろから制度化されたのでしょうか?そして、人はなぜ結婚をするのでしょうか?歴史を遡ってみましょう。参考にしたのは『結婚と家族のこれから 共働き社会の限界』という本。

時代の流れをざっくりと図解してみました。

日本の結婚の歴史 出典:『結婚と家族のこれから』に基づいてタケダ作成

① 古代:制度としての「結婚」がない社会

② 中世・近世~近代:「家父長制」の影響によって経済的・社会的理由で結婚する社会

③ 近代~現代:「家父長制」が崩壊し、人間的結びつきを重視して結婚する社会

という三段階に分けて考えることができます。

中・近世の律令制度と家父長制

この本によると、実ははっきりとした結婚制度の成立時期については専門家の間でも意見が分かれるそうです。ただし、転換点となったのは「大宝律令」を中心に8世紀ころから導入された律令制度

ここから男性優位の社会体制と家族体制である「家父長制」が広まっていくとともに、「家制度」が確立されていきます。

当時の「家族」は女性を男性に従属させ、子どもをつくるという営みをそこに縛り付けるための仕組みに近かったと考えられています。なぜならば「血統」が重視される社会であったため、「子の父は誰か」をはっきりさせることが大事だったからです。

女性が浮気をしてしまったら、生まれてきた子どもの父親が誰なのか分からなくなってしまいますからね。そこで「姦通罪」が設けられ、不貞は厳しく罰せられました。

「家」の成立における重要なポイントは「食べていけるかどうか」。古代日本社会における結婚は、相手が複数いる「対偶婚」という形式でした。女性の生活は村やコミュニティに埋め込まれており、「家族」という単位はそれほど明確ではなかったため、夫に頼らずとも食べていくことは可能だったんですね。

しかし家父長制的な家族のあり方が広まった後の武士階層では、「戦」がおもな仕事であったため、男性の役割は戦で功を成すこと、女性の役割は優秀な遺伝子を残すこととなっていきました。

江戸時代に入ると250年近く大規模な戦争がない時期が続きましたが、食べていくうえで官職(老中、目付など)につくことが重要になっていきます。この役職は、基本的に個人ではなく「家」が引き受けるものなので、血統をつないでいくことがますます重要になり、「男性官職の世襲と家父長制の結託」が強化されていきました。

明治~昭和における「家」の強化と衰退

男性優位の「家」制度は、明治時代になると支配者層のみならず、庶民にまで浸透しました。そのきっかけとなったのが「明治民法」です。

ここで家父長制が強化されたことにより、「家」はまるで「会社」のようになりました。家長(=社長)が権限を持ち、家族員(=社員)がどこに配置するのか(だれを家族の一員とし、どこで働くのか)を決めるのです。

この堅苦しい家制度から解放されるためには、個人が「食べていく」手段を持つ必要がありました。そのチャンスとなったのが工業化です。それまでは自営業が多かった日本社会に、大企業が育ち始め、「資本家」と「労働者」という枠組みが出来てきました。

これによって、職場と住居がバラバラになる「職住分離」が進んだのです。労働者は家を離れて働き、食べていく手段を手に入れたので、家父長制的な家制度は衰退していきました。

現代の結婚

それとともに増加したのが「恋愛結婚」です。

お見合い結婚が減り、恋愛結婚が増えた 画像出典:結婚と家族のこれから

1960年代に「見合い結婚」の割合を上回っています(ただし「出会いは見合いだったが、その後恋愛をしたから恋愛結婚だ」という人や「恋愛はしたけれど、出会いが見合いだったから見合い結婚だ」という人など、結果には曖昧さが残る)

恋愛関係の特徴は「排他性」です。つまり一対一の関係性を保つ(浮気をしない)こと、パートナーを「特別扱い」するということ。この排他性の規範が社会的に尊重されているからこそ、あれだけワイドショーで有名人の浮気が取り沙汰されるのですね。

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結婚とは「特別扱い」すること

家父長制が影を潜め、「食べていけるかどうか」が結婚に与える影響も小さくなった現代において、結婚する理由は何なのでしょうか?私は「特別扱い」にあると思っています。

結婚などしなくても「あなただけを愛しています」と伝えることはできますし、「同棲」という形で「一緒に住んでいる=特別扱い」という待遇を示すことはできます。

しかし、婚姻届けを役所に提出するという行政行為を経ることによって、「特別扱い」をより公式かつ強固に示すことができるのです。

ふたりの関係性が単なる「口約束」から文書で示された「契約」になることで、より強い安心感を得ることができる、結婚によって相手を正式に独占することができる、という点が現代人の結婚理由のひとつになっているのではないでしょうか。

※上記の結婚制度の歴史や「家父長制」「排他性」といったことばは『結婚と家族のこれから』(筒井淳也)を参考にしていますが、著者が「現代人が結婚する理由は『特別扱い』にある」と断言しているわけではありません。タケダが「特別扱い」ということばに共感したため、現代の結婚に影響する要因のひとつとしてピックアップしています。

結婚とは「共闘する仲間をつくる」こと

「特別扱い」のほかに、もうひとつ共感した考え方があります。

それを示していたのが小説家の朝井リョウさん。自身の結婚について、ラジオでこのように語っています。

今の時代をお互いに健康的に生き抜くために手を組んだ」って感じなんですよ。もちろんお互い好きで大切で結婚しました! ってところもあるんですけど「この世界で共闘する仲間を見つけた」というか。

引用:BuzzFeed Japan News

今の時代をお互いに健康的に生き抜くために手を組んだ

この世界で共闘する仲間を見つけた

朝井さんは「誰かと一緒に生きることは逆説的に自分の人生の主語を自分にすること」と語っています。

つまり「誰かのために」を重視しすぎると、自分の思い通りにいかなかったときに「あなたのために家事をしてあげたのに」「あなたのために応援してあげたのに」と、裏切られたような気分になってしまう。

そうではなく「自分がやりたいから家事をする」「自分がやりたいから応援する」だと、仮に上手くいかなくても相手を責めるようなことにはなりません。

そうやって「自分」を主語にした人生を生きていくために、お互いに支え合える人をパートナーとして選んだということなんですね。

私の場合

日本の結婚の歴史を紐解いて気づいた「特別扱い」という価値観。そして、私と同い年(平成元年生まれ)の朝井リョウさんが提示した「共闘する仲間をつくる」という考え方。どちらもすごく共感できました。

私は2年間以上遠距離恋愛をしています。しかもそのほとんどがお互いアフリカ(国は別々)での生活でした。

毎晩のように電話で話してはいましたが、やはり「早く結婚して一緒に暮らしたいな」と思っています。

その理由を考えてみると、やはり「特別扱いを示す」ことで不安になりがちな彼女を安心させたいという気持ちと、お互いの夢を叶えて人生を豊かにするために「ともに闘える仲間をつくりたい」という思いがあったのだと思います。

結婚とは「特別扱い」すること 画像出典:タケダ作成

結婚とは「この世界で共闘する仲間をつくる(生き抜くために手を組む)」こと 画像出典:タケダ作成

今回こんな風に結婚について記事にしたのは、別に結婚したくなくなったとか、そういうわけではありません。

ただ、結婚にせよ育児にせよ「みんながやっているから」となんとなく惰性で動くのではなく、人生の選択にはつねに納得感をもっていたいなと思ったので改めて考えてみました。

当たり前に思われている社会的な制度も、時代の変化に伴って実情にそぐわなくなっているケースもたくさんありますよね。結婚に関しては、同性同士の婚姻や夫婦別姓など、それによって悲しむ人が少なくなるような社会をつくっていきたいものです。

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書いてる人:タケダノリヒロ
 
ラジオ『高橋みなみと朝井リョウ ヨブンのこと』が想像以上に面白かった。また聴こ。

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