スポンサーリンク
タケダノリヒロ( @NoReHero)
アフリカ・ルワンダで2年間のボランティア(青年海外協力隊)を終えて、日本に戻ってきました。
東京から地元の熊本に帰る直前、おなじく熊本出身の知人に会い、「いつ熊本に帰るの?」「これからどうするの?」という話に。
そのとき自分の口をついて出たのが「被災地も見に行ってみたいと思っています」ということば。
そう言ってから、「自分の故郷が『被災地』になってしまったんだな」と気づき、むずむずとした気持ちになりました。
実家・近所の現状
地元に戻ってくると、至る所に感じる震災の爪痕。
実家の庭にある物置小屋は壁がぼろぼろになって傾いて、いまにも崩れ落ちそうなまま。
近所の家も以前はひしめき合うように並んでいたのに、いまでは草ぼうぼうになった空き地が目立ちます。
「また大きな地震が来たら、この家もこんどこそヤバいかもね」
「だいぶ傷んどるけん改修せなんな」
「あのときは本当に怖かったね」
「外の駐車場に近所の人たちと集まって、車で寝とったもんね」
と言う家族。
私はそのときルワンダにいたので、当時の様子は想像するしかありません。
役に立たないボランティア経験
2012年、新卒で入った会社で東北勤務を希望しました。
働きながら、東日本大震災の復興支援に携わりたいと思ったからです。
それから、休みの日にNPOの活動に参加して、他県の人を被災地に案内したり、清掃活動や植林活動に参加したり、津波で流された写真を修復する作業のお手伝いをしたりしました。
3年経って会社を辞め、今度は青年海外協力隊としてルワンダへ。
コミュニティ開発隊員として、農村部でおもに衛生啓発活動に取り組みました。
東北で3年、アフリカで2年、計5年間社会貢献活動に携わってきたことになります。
その間に、故郷である熊本は「被災地」になっていました。
久しぶりに実家に戻りましたが、5年間のボランティア経験なんて、少なくとも現時点では何の役にも経っていません。
壊れかけの小屋を直す「スキル」もなければ、実家を建て直す「お金」もありません。
もちろん、自分が帰ってきたことで家族は喜んでくれていると思います(たぶん)。
話し相手になることでストレスを和らげたり、掃除や皿洗いなどの家事をしたりすることで、わずかばかりの働きも提供できているかもしれません。
でも、やっぱり悔しいですよね。できることなら、もうちょっと実益のあることをしてあげたい。
ルワンダで活動するなかで、青年海外協力隊の永遠のテーマは「無力感との闘い」だと常々思っていましたが、熊本に帰ってきて、なおさらこの無力感を感じています。
自分の家族すら助けられないなんて、この5年間は誰のためのボランティアだったんだろう、と。
これからすべきこと
でも、これは自分で選んだこと。2年前に望んでいたものは手に入れることができました。
それは「手触り感」。2年前は分かりませんでしたが、手触り感とは「どこか」ではなく「だれか」のために働くことだと思っています。
会社員時代は「東北」という「地域」のためにボランティアをしたり、会社の企画で復興支援の要素を取り入れたりしたこともありました。
でも、それでは「だれか」のためになりきれていなかった。
だから、「被災者の人たちは、この支援を本当に望んでるんだろうか」という疑問が出てきてしまいました。
「このまま社会貢献事業部に配属されても『CSRっぽいこと』しかできないんじゃないか」と思いました。
でも、今では、ルワンダの農村でボランティアをしたことで、現地の人たちの顔と名前を思い浮かべることができます。
私のことを「息子」と呼んでくれていたフェーザや、最初は顔を見るだけで泣かれていたのに会ううちにすっかりなついてくれた赤ちゃんのオルガ、石けんづくりを一緒にやったパスカルさんーー
支援とは「どこか」という実体のない地域や組織のためにやるのではなく、顔と名前を思い浮かべられるたったひとりの「だれか」のためにやるものだと思います。
この「手触り感」を言い換えると、「現場力」とも言えるかもしれません。
ルワンダで目にしたのは、「せっかく学校にラップトップが配られたのに、それを十分教えられる先生がいない」というケースや、「井戸を建設したのに、維持管理ができずに壊れたまま放置されてしまっている」というケース。
こういった状況を見てきたことで、社会貢献や国際協力には「現場力」「技術力」「資金力」の3つの力が必要だと思いました。
お金だけあっても意味がないし、スキルとお金があっても現場力がなければそれらが統合されることはありません。
自分はこのうち、支援を必要としている人たちの条件や要望を汲み取って、それを現実的な方法に落とし込む現場力を養うことができたと思っています。
だからこれからは「スキル」と「お金」を身につける段階。もしくはそれらの力をもった仲間を集める段階。
家を建てる技術がなければそれが得意な人を見つけてくればいいし、お金がなければ現代ならクラウドファンディングなどの手段もあります。
でもやっぱり、まずは自分自身の力を高めたいですね。「個」の力。そうすれば誰に相談するでもなく遠慮するでもなく、スピード感をもって好きなことができますから。
がんばろ。
この記事がおもしろかったら、こちらもおすすめ↓
ルワンダでの経験を大学生に伝えてきました。
ルワンダトーク~アフリカの社会問題を考えよう~ 明治大学で40名に講演してきました。
スポンサーリンク