凡人に足りないのは「センス」ではなく「考える量」

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このところ「考える」ことって大事だなと思うことがいくつかありました。

それも、ただ考えるんじゃなくて、「とことん考える」こと。

人の心を動かすことばを放つ人、鋭い意見を投じる人をうらやんで、「自分にはこんなセンスないなあ、すごいなあ…」と思うことってありませんか?ぼくはあります。

でも、それ、もしかしたら「考える量」が足りてないだけ、なのかもしれません。

高田ゲンキさんのツイート

最近Twitterを開くたびにツイートがバズっている(たくさんの人にシェアされている)、ベルリン在住イラストレーターの高田ゲンキさん@Genki119)。

先日はこんな投稿がバズっていました。

「性欲」というタブー視されがちなテーマながら、男性目線で男性側の問題点を鋭く指摘しており多くの共感を呼んでいます。

そしてこの投稿に対してコメントされていたフォロワーさんに、ゲンキさんがこんなお返事をされていました。

このテーマに関しては自分の中で延々と20年以上考え続けてきて、自分の中でかなり精度の高い結論が出てる

もとの議論でゲンキさんに賛成なのはもちろんですが、本記事でピックアップしたいのは「20年以上考え続けている」という点。

ぼくがゲンキさんのことを知ったのは、ThinkITというメディアで連載されている『ライフハックで行こう!』というマンガ。

【マンガ】第10話 フリーランスのススメ(その2)~独立への第一歩 2003年 鹿児島の旅~
↑尊敬するイラストレーターに会いに行って独立を決意したという、いちばん好きなエピソード

このマンガや日々のツイートを拝見している段階では、働き方や社会問題に対する価値観を知って、「頭がいい方なんだな」程度にしか思っていませんでした。

でも前述のコメントの通り、ゲンキさんのような方でさえひとつのものごとを「20年以上考え続けて」いるんです

人の心をうごかすようなことばは、単純な頭の良さやセンスだけでなく、「考える量」から生まれているんですね。

GEのリーダー育成プログラム

ふたつ目の例。天才的な頭脳をもつ中高生たちによる投資がテーマのマンガ『インベスターZ』。毎巻末にはその道のスペシャリストによるコラムが掲載されており、17巻は「GEのリーダー育成プログラム」について書かれていました。

インベスターZ(17)

世界ナンバーワン企業であるGE(ゼネラル・エレクトリック社)は、優れたリーダーを輩出する会社としても知られています。

そのリーダーシップ研修には、MDC(マネジャー・デベロップメント・コース)、BMC(ビジネス・マネジメント・コース)、EDC(エゲゼクティブ・デベロップメント・コース)の3プログラムがありますが、それぞれ年に650人、135人、35人しか受けることができないそうです。GEの社員は世界約170か国31万人近くいるのに、です。

そんな超狭き門のエリート教育。そこで重視しているリーダーシップに必要とされるのが、自己認識能力、共感能力、文脈読解能力。なかでも大切なのが「自己認識能力」だそうです。

社会生活は人と人が影響を与え合うことで成り立っています。その相手との関係を成立させるのがコミュニケーションです。自分を理解すればするほど相手との違いが認識できてコミュニケーション能力は向上する。つまり、優れたリーダーシップを発揮するには自己認識能力が欠かせないのです。

引用元:インベスターZ 17巻

自分への理解を深めることが、他者との違いの認識につながり、より良いコミュニケーションを生むんですね。

世界ナンバーワンの企業から選ばれたリーダー層でも、そうやって自己認識能力を高めるトレーニングを受けているんです。

並の人が並の量だけ考えていても並の成果しか挙げられないのは至極当然。「頭がよくないから」「センスがないから」とふてくされる暇があったら、自分と向き合って考えてみましょう。

『君たちはどう生きるか』の教え

最後に、いま話題のマンガ『君たちはどう生きるか』より。

全人類必読の教科書!マンガ『君たちはどう生きるか』7つの教え
↑当ブログでもレビュー書きました

世の中や生きる意味について次第に自らの頭で考え始めた中学生・コペルくんを、叔父さんが導いていくというストーリー。そのなかで、叔父さんが「考えること」の重要性について語っています。

まず肝心なことは、いつでも自分が本当に感じたことや、真実心をうごかされたことから出発して、その意味を考えてゆくことだと思う。君が何かしみじみと感じたり、心の底から思ったりしたことを、少しもゴマ化してはいけない。そうして、どういう場合に、どういう事について、どんな感じを受けたか、それをよく考えてみるのだ。
そうすると、ある時、ある所で、君がある感動を受けたという、くりかえすことのないただ一度の経験の中に、その時だけにとどまらない意味のあることがわかってくる。それが、本当の君の思想というものだ。

引用元:君たちはどう生きるか

心をうごかされたものごとが自分にもたらす意味を考えていくことで、徐々にその考えが普遍化され、自分なりの人生哲学が築かれてゆく。

「思考」というしっかりとした幹があるからこそ、「ことば」という枝葉が生まれてくるんですね。

 

人の心をうごかすことばや行動は、一朝一夕では生まれません。その人が自分や世の中と向き合って、時間をかけて「考えた」からこそ出てくるもの。

生まれもった地頭やセンスという「質」でかなわないのなら、とことん考えて「量」で勝負するしかありません。それが「すごいな」「かっこいいな」と思っている人に近づく唯一の方法なのではないでしょうか。

タケダノリヒロ(@NoReHero

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「言葉」をつくる土台となる「思考」を養う方法をわかりやすく教えてくれる本のレビュー記事です。

言葉にできない=考えてないだけ!?『言葉にできるは武器になる』書評

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