【2017/05/26 更新】
本田直之さんと四角大輔さんの本『モバイルボヘミアン 旅するように働き、生きるには』を読みました。
これからのはたらき方を考えるうえで、すごく参考になりました!
モバイルボヘミアンとはなにか、なぜいまモバイルボヘミアンなのか、どうやったらモバイルボヘミアンになれるのかなど本書の要約と、自分の生き方に照らし合わせた感想をまとめてます。
四角さんご本人からもこんなコメントをいただきました!
ネットで検索したら大抵「ノマドワーカーの先駆者」って出てくるのでそう紹介してたんですが、おふたりは「ノマドワーカーではない」そうです!失礼しました!笑
もくじ
『モバイルボヘミアン』要約
まず、著者は本田直之さんと四角大輔さん。
本田さんはハワイと日本を拠点に、四角さんはニュージーランドと日本を拠点に「モバイルボヘミアン」な生き方・はたらき方を実践しています。
著者・本田直之
本田さんはレバレッジコンサルティング株式会社の代表取締役社長を務めながら、食やサーフィン、トライアスロンなどの趣味を会社経営のスキルと掛け合わせて仕事にしています。
著者・四角大輔
四角さんはケミストリー、絢香、Superflyなど、数々の有名アーティストをヒットに導いた元音楽プロデューサー。フライフィッシングや登山、オーガニックといった趣味、ライフスタイルを仕事につなげています。
では、そもそも本のタイトルになっている「モバイルボヘミアン」って何なんでしょうか。
モバイルボヘミアンとは
モバイルボヘミアンとは、「自由奔放に生きる」という本来のボヘミアン的な生き方に、「古い慣習にとらわれず、自由な発想とクリエイティブな思考をもつ」、「世の中に流されず、自分の心や信念に従って生きる」といった生き方を掛け合わせたものです。
もっと言えば、「自分らしくいられる時間をできる限り長く持つための方法」であり、「仕事、表現、生活のクオリティを極限まで引き上げるための考えかた」なんですね。
ノマドとはどう違うの?
「それってノマドみたいなものじゃないの?」と思いますよね。
ぼく自身「ノマド」という言葉にはあまり良い印象をもってませんでした。
Twitterのプロフィールとかに「Mac1台で世界を飛び回ってます!」みたいに書いてる人ってなんか胡散臭くて…(もちろん立派なノマドワーカーもいらっしゃいますが)。
本田さんと四角さんは「ノマドの先駆者」と言われますが、もともと「自由に旅し、国境を越え、自由に生き、自由に仕事をする」というライフスタイルを指すものだったことばが、「カフェで仕事をする人=ノマド」みたいになってきちゃってるんですね。
そこで、次のフェーズへ移行しようということで、「どこにいても仕事ができる人」がノマドだとすれば、「仕事とプライベートの境がなくなってきている状態」を指すことばとしてモバイルボヘミアンが提唱されています。
これからの時代はなぜモバイルボヘミアンなのか?
では、なぜそんなモバイルボヘミアン的な生き方が勧められているんでしょうか。
おもな理由は「4つの解放」です。
テクノロジーの進化により、「時間」、「場所」、「会社」、「収入」から我々の生活が解放されたんですね。
昔は直接会わなければいけなかった会議もウェブで顔を見ながらできるようになったり、会社のデスクでしかできなかったメールチェックが外でもできるようになったり、終身雇用制が崩壊して副業・複業が当たり前になったり――
そんな社会の変化によって、モバイルボヘミアン的なスピリットをもっている人ほどメリットを享受できるようになったんです。
モバイルボヘミアンの生き方
では、著者のおふたりは実際どんな暮らしをしてるんでしょうか。
モバイルボヘミアンの特徴は大きく分けると以下の3つ。
- ワークスタイルではなく、ライフスタイルを基準に住む場所を選ぶ
- 旅するように生きる
- 仕事とプライベートの垣根をなくす
拠点選びはライフスタイルが基準
本田さんは「海とサーフィン」を基準に、四角さんは「水辺と魚釣り」を基準に、それぞれハワイとニュージーランドを拠点にしています。
旅をしながら生きる
また、その拠点に留まることなく、旅をしながら働いているのも特徴的です。四角さんが挙げている、それによって得られる3つのメリット。
- 「思考のモビリティ(柔軟性)」を得られる
- 「第3の拠点」をいくつも持つことができる
- 「〆切のある生活」が優先順位を明解にする
特に、「非日常」を体験することによって、思考の柔軟性を得て、クリエイティビティを高められることがもっとも重要なポイントなんだとか。
仕事とプライベートの垣根をなくす
これは好きなことを突き詰めていったからこそできることですね。
仕事の時間や場所に制約がなくなってきている現代では、仕事とプライベートを分ける意味が薄れてきています。
週末も夏休みもないし、勤務時間もない。「疲れたから休みがほしい」といった気持ちもない。
決してサボっているというわけではなく、遊びも仕事も全部本気で楽しむ。こんな生き方・はたらき方ができたら最高ですよね。
モバイルボヘミアンになるには
では、そんな生き方をするにはどうしたらいいのか。
「どうせ本田さんと四角さんはもともとすごい人だからできるんでしょ」と思いますよね。ただ、おふたりは「だれもが目指せる」と言っています。
とは言え簡単になれるわけではなくて、「すぐにはなれない」という条件つきです。
おふたりはいまのライフスタイルを実践するために、20年準備をしてきたとのこと。
だから、いきなり彼らのマネをして会社を辞めて海外に飛び出したところでそうなれるわけではありません。
しかしながら、いまの時代なら、彼らが20年かけてやってきた準備を10年未満でやることも可能なんです。
本書ではその「準備」として以下のことがらが挙げられています。
- 「ミニマムライフコスト」を把握する
- 人生の「インフラ」となる経験を蓄積する
- 「SNS×マニアック×メディア」で発信力を確保する
- 好きの徹底追及と発信で、「個人ブランド」を確立する
- 「ベーシックインカム」を自分でつくる
- 「旅」そのものを、生活にし、仕事にする
- 自分の意思で人生を「デザイン」する
これらの見出しを見るだけでワクワクしてきますよね。
具体的な実践方法は本書でご確認ください。
モバイルボヘミアンに向いてる人・向いてない人
モバイルボヘミアンの生き方はだれでも実現できますが、だれしもに向いているわけではありません。
向いてる人・向いてない人はこんな人。
◎「クリエイティブ」に考えられる人
☓「自由」が苦手な人◎「実験」し続けることができる人
☓「変化」を恐れる人◎「プロの個人」として生きたいと思う人
☓「時間労働者」として生きたいと思う人◎「セルフマネジメント」ができる人
☓お金にも時間にもだらしない人
「プロの個人」っていう言い方は超納得!思わず「こんなはたらき方がしたかったんだ!」と膝を打ちました。
このほかにも、本田さんが愛用しているアプリや、四角さんが愛用しているギア(パッキング、ベーシック、ガジェット、ウェア、セーフティ、コンフォート、シューズ+α)のリストも掲載されていて、海外生活者は重宝すること間違いなし!(高城剛さんの『LIFE PACKING』的な)
四角さんのおすすめギアリストは公式サイトにも掲載されています。
日本に帰ったら全部買い揃えたくなるレベル笑
『モバイルボヘミアン』感想
ここからは本書を読んだ個人的な感想です。
ぼくが本書で特に気になったのが、「個人として生きるのに必要な2つのスキル」。
四角さんは、いまの生き方は社会人を経験していなかったら絶対にできなかったと語っています。その過程で身につけたのが「ベーシックスキル」。
まず、会社員5年目までに体へたたき込むようにインストールした、社会人としての一般教養とも言える「ベーシックスキル」がなかったら、絶対に実現不可能だっただろう。
そして、その「ベーシックスキル」によって、社内外でビジネスパーソンとしての基本的な信頼を得られるようになったからこそ、ぼくはプロデューサーとして「クリエイティブやブランディング」という「専門スキル」を、ナオさんは「経営やビジネス」といった「専門スキル」を身につけることができたのだ。
さらに、それらに、ぼくたちの「独創性=好きで夢中になって続けていたこと」が掛け合わさった結果が、今のぼくたちの生き方を支えている。(中略)
商社マン、公務員、メーカーのセールス、教師、エンジニア、事務職、アルバイトといった立場に関係なく、まず、あなたが今いる場所で学べる「普遍的な型」を徹底的に身につけることが、新しい世界に踏み出すための基礎体力となるのだ。
そのうえで、なにか1つ、だれから見ても「何者か」として認識してもらえるような専門性を身につけるために、「型」を破り、リスクを負って挑戦をし続けよう。
まずは社会人としてどこでも通用するような「ベーシックスキル」を身につけて、それを土台に「専門スキル」を習得しようってことですね。
ベーシックスキルってたとえばなに?
では、まず身につけなければならないベーシックスキルとは具体的にはどんな能力なんでしょうか。
この本でははっきりと言及はされていませんでしたが、読んでいて思い出したのがこれ。
150年ぶりの地殻変動、「教育改革2020とは」(NewsPicks)
2020年に向けた教育制度改革についての記事です。ここで紹介されているのが、今後の学校教育で重視される能力。
たとえばOECDは「21世紀の学力」として、以下の3つを挙げています。
「様々なツールを知性を以って活用できる力」なんて、まさに本書で語られた「モバイル・リテラシー」のことですね。
さらに新しい学校教育法の「学力の3要素」。
これらが21世紀を生きるのに直結する能力として、重視されています。
さらにもう1個!リクルート出身で、現在は奈良の一条高校で校長となりさまざまな教育改革を実施している藤原和博さんの「生きるチカラ」の三角形。
参考:「正解のない社会」に必要な教育とは(NewsPicks)
このような能力がこれからの時代を生き抜くのに必要とされており、本書で語られた普遍的な型となる「ベーシックスキル」なのではないでしょうか。
これらがあってこそ、専門スキルを身につけることができるし、それを活かすことができるんですね。
ちなみに、ぼくも含め多くの若者が悩んでいる「専門性のなさ」については、こんなことばがあります。
Googleの人事部門を担当したラズロ・ボックも、これまで数万人の履歴書を読み、面接をしてきた経験から、「30歳頃まで専門分野は必要ない」とし、キャリアの最初の10年間は様々な会社で働きながら、自分のキャリアを実験してみることを勧めています。
引用元:逆説のスタートアップ思考
「30歳頃までは専門性は必要ない」
なんとも力強いことばですね。
ぼくはいま28歳なので、あと数年はどこでも使えるベーシックスキルをとことん磨きながら、どんな専門性を身につけたいか考えていきます!
タケダノリヒロ(@NoReHero)
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