【2017/02/28 更新】
ツイッターのトレンドに「オリラジ」というワードが入ってました。
考えてみれば、オリエンタルラジオってすごいですよね。
デビュー直後に冠番組を持って、その後はレギュラー番組を一気に失い消えると言われていたのに、RADIO FISHで再ブレイク。
しかも『PERFECT HUMAN』が出たのって、もう1年以上前ですよ。
なのにいまだに話題を振りまき続けてる。
ということで、「趣味:お笑い芸人のWikipediaを眺めること」のタケダが、オリラジの再ブレイク理由を動画やインタビュー記事などから、まじめに考えてみました。
追記:オリラジファンのみなさんから当記事にたくさんRT&いいね頂いてます。ありがとうございます!にしても、オリラジ愛されてるんだなあ。
アイキャッチ画像出典:オリエンタルラジオ公式サイト
もくじ
オリラジの歴史
まず、簡単にオリラジの歴史を振り返ってみましょう。
オリラジはこれまでに4回ブレイクしたと言われています。
第1のブレイク:武勇伝(2005年ごろ~)
「武勇伝」ネタでの大ブレイクをきっかけに、デビューから3年という異例の速さで冠番組を含む10本のレギュラー番組を獲得。
しかしそれから3年でほぼすべてのレギュラーを失い不遇の時代に。
第2のブレイク:インテリ・チャラ男キャラ(2011年ごろ~)
中田が「インテリ」、藤森が「チャラ男」として個々のキャラクターを強めていきます。
あやまんJAPANとのコラボは強烈でしたね。きみ、かわうぃーね。
第3のブレイク:ラッスンゴレライの完コピ(2015年)
そしてもはや懐かしさすら感じるのがこれ、ラッスンゴレライ。
オリラジとおなじように、デビュー間もなくして大ブレイクした後輩芸人8.6秒バズーカのリズムネタを完コピしちゃったんですね。
これで「本人よりクオリティ高いじゃんw」「やっぱオリラジすげーな!」と改めて実力の高さ?を世間に知らしめました。
第4のブレイク:パーフェクトヒューマン(2016年)
そして完全に再ブレイクを果たしたのが、中田の実の弟であるダンサーFISHBOYらと結成したダンス&ボーカルユニット、RADIO FISHの『PERFECT HUMAN』(2015年12月23日配信)。
iTunesランキングで1位を獲得したり、紅白歌合戦に出場したり、一大ブームとなりました。
RADIO FISHの楽曲
『PERFECT HUMAN』が有名なRADIO FISHですが、ほかの楽曲もめちゃくちゃクオリティ高いです。
黄金時代(2016年6月22日配信)
この曲自体は昨年の6月に発表されていたんですが、下記の動画はオフィシャルYouTubeチャンネルで昨日(2月25日)配信されたばかり。
これをテレビで披露していたために、ツイッターでトレンド入りしていたんですね。
もはやかっこよすぎて笑ってしまいます。
これをジョジョのコスプレでやったのも良かったなあ(吉良吉影で「World is mine」ってハマりすぎでしょ)。
NKT34(2016年7月13日配信)
「NKT」はもちろん「NAKATA」の略です(34はたぶん34歳だから)。
指揮棒もってダンサーを踊らせながら、相方とお客さんに自分を崇め奉る歌を歌わせるってクレイジーすぎる(良い意味で)。
でもこの動画観てたらついつい「ナカタ!」って言っちゃいますね。洗脳されてる。
歌ネタの理由
そもそもオリラジは、なぜRADIO FISHのような歌ネタにシフトしていったのでしょうか。
テレビ『ZIP!』のインタビューで御神体(RADIO FISHでの中田さんの肩書)はこうお答えになっています。
端的に言うとそれしかできない。
漫才できない。コントできない。一発ギャグできない。大喜利できない。
じゃあ(歌ネタ)やるしかないでしょ。
参考:ZIP!
まさかの消去法でしたw
たしかにオリラジの武勇伝以外のちゃんとした、いわゆる正統派な「お笑い」のイメージってあんまりないですよね。
ただ、こんなふうに自虐的に語っていますが、歌ネタで攻めたのにはちゃんとした狙いがあったんです。
YouTubeの再生回数から逆算
RADIO FISHの活動開始前から歌ネタを積極的に取り入れていたオリラジ。
そこで中田さんはYouTubeから、あることに気づきました。
中田 僕、YouTubeで僕らの何が一番再生回数が多いのかを調べたんですよ。(中略)
ところが、僕らの再生回数のトップにくるものはネタじゃなかった。音系、歌系の企画でバラエティーに出て東方の「CATCH ME」やWORLD ORDERの「MIND SHIFT」を完コピしたときのものがヒットしてたんで、僕らのは強みは音楽なんだとYouTubeの再生回数から逆算して見つけ出したんです。
参考:DIGA online
漫才やコントの動画が上に来ていたほかのお笑い芸人とは異なり、オリラジは歌系の動画に人気が集まっていたんですね。
実際、この東方神起やWORLD ORDERのコピーを観ましたが、とてもお笑い芸人とは思えないパフォーマンスでした。かっこよすぎて笑うレベル。
そこで「音楽」に自分たちの強みを見出し、「お笑い」という既存の枠を飛び越えていったんですね。
もはや「ネタ」じゃない
最初『PERFECT HUMAN』を観たときは正直「なんだこれ」と思いました。「全然おもしろくないじゃん」と。
でもそれは受け手側、つまり自分の感じ方の問題でした。
オリラジ本人たちは、そもそも笑わそうと思ってやってないんですよね。
中田さんもインタビューで「やっている活動は音楽ユニットです」と断言してます。ただ、「お笑い」っていうほうが角が立たないからそうしていると。
だから、どう捉えようが自由なんですよね。
お笑い芸人がいっさい笑かそうとせずに超真剣に音楽とダンスをやっていて、そのクオリティがあまりにも高いものだから一周まわって面白い。
オリラジ再ブレイクの3要因
ではなぜ「音楽」に活路を見出したオリラジが、ここまで再ブレイクすることができたのか。
要因は3つ。中田の分析力、藤森のパフォーマンス力、そして「おれのカッコよさを伝えたい」という自己顕示力です。
中田の分析力
慶応大卒のインテリとして有名な中田さんですが、その分析力はオリラジの方向性を決めるうえでも生かされています。
じつは『PERFECT HUMAN』のまえにもRADIO FISHは5曲もシングルを制作していました。
しかしそれはまったく手応えなし。そのつぎに中田さんがつくりたいと思ったのが、EDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)でした。
僕はまだまだEDMを聴きたいんですよ。でも、音楽クリエーターたちは嫌がるんです。「もう古い」「海外のトレンドから外れちゃいますよ」って作りたがらないから、いやいや待ってくれと。俺らは世界のトレンドに合わせた高度な音楽を目指してる訳じゃないんだと。『ULTRA JAPAN』(日本初の都市型巨大ダンスフェス)も日本にやってきたばかりで、日本でまだ満足いくほど俺はEDM聴いてないし、何よりも俺たちはまだまだ踊りたいんだといって、無理やり作ってもらいました(笑)
参考:DIGA online
周囲のプロから反対されても押し通したこの信念が再ブレイクにつながったんですね。
この感覚には相方の藤森さんも全幅の信頼を置いています。
相方のこの緻密なリサーチ、プランニング、いまこういう楽曲がきてるからこういうのがウケるんじゃないかという分析力…。そういったものはものすごい信頼してますから。
参考:DIGA online
ちなみに「オリエンタルラジオ」というコンビ名は、結成時に検索しても1件もヒットしなかったため、「このコンビ名にすれば、今後自分たちがどれだけ売れたかが検索ヒット数で分かるようになる!」と思ったことが理由の1つだそうです(参考:Wikipedia)。
いま(2017/02/26 現在)「オリエンタルラジオ」で検索すると、124万件ヒットします。このすべてが彼らに関する情報なんですね。いやすごい。
藤森のパフォーマンス力
すごいのは中田さんだけではありません。YouTubeのコメント欄を見ると、「藤森ラップすげえw」「歌唱力w」と藤森さんのパフォーマンスも絶賛されています。
藤森さんのラップはスチャダラパーのBoseさんもお墨付き。
中田 「リズムの取り方もいいし、何といっても声がいい」と。「ラッパーに必要な才能は変な声なんだよね」とBoseさんにいわれて僕は納得したんですね。誤解を恐れずにいうと、桑田佳祐さんも井上陽水さんも特徴ある声をしてらっしゃるじゃないですか?特徴的な声は才能なんだと思って。相方は変わった声をしてるなと前から思ってたんで、Boseさんのその一言に後押しされ、やっぱりラップだと思いまして。それで藤森にラップをお願いして「PERFECT HUMAN」が生まれたんです。
参考:DIGA online
たしかに日本で売れたラップグループっていうと、ケツメイシにもRIP SLYMEにもKICK THE CAN CREWにもだいたいひとりは変な声の人いますもんね(良い意味で)。
オリラジのラッスンゴレライが本家を超えてしまったのも、藤森さんの声で言う「ちょちょっちょっと待ってウォニさん」があまりにもハマっていたからかも。
オリラジが伝えたかったこと
そんなふたりが行き詰まってしまったとき、突破口になったのは「自分のカッコよさを伝えたい」という自己顕示力でした。
中田 何を伝えたいのかにいきづまったんですよ。僕自身が。芸人になりたいとか、ミュージシャンになりたい、まではいいんですよ。でも、なったあとどうしたいのかというのがないと、続けられないと思うんです。音楽業界に入ってみて、ローコストで女性にも耳障りがよくてってこういうのだろうというのを何となく5曲作ってみて。あれ、俺は何がしたいんだろうと思ったとき。ただ単純に僕は僕のカッコよさだけを伝えたいだけだと思った。それで、藤森にオーダーしたんです。結局、伝えたいことは「あっちゃんカッコいい」の頃と。
──なにも変わってないんですよね。
中田 “イズム”は変わってない。それをやったら、独自性を持って受け入れられたんです。自分の苗字を入れる歌詞、しかもそれを連呼する人ってあんまりないと思うんですよ。でも、僕はやりたかった。みんなカッコつけたいからアーティストは下の名前だけにする人が多いじゃないですか?それぐらい苗字ってダサくなる。でも、それ以上に僕は自己顕示欲が強かったんで入れたんですね。自己顕示力の強さが、僕らの伝えたいこと。それが見つかったのがこの曲ということです。
そう言えば武勇伝の頃から「あっちゃんカッコいい」ですもんね。
ここまで突き抜けられればほんとにカッコいい。
「芸人のくせにアーティストぶりやがって」という批判もありますが、やってることはデビュー当時から一貫していて、その見せ方に磨きがかかっただけなんですね。
歌う芸人の系譜
とは言え、お笑い芸人が歌やダンスで売れるというのはいまに始まったことではありません。
ぼくが物心つくかつかないかの頃はとんねるずが『ガラガラヘビがやってくる』を歌ってたし、その後も野猿や矢島美容室がヒット。
ダウンタウンの浜田さんも小室哲哉と組んでダブルミリオン達成したし、吉本印天然素材(ナイナイ、雨上がり、FUJIWARAなど)もダンスやってましたね。
ウッチャンナンチャンもポケビとブラビが大人気でした。
ただ、オリラジのRADIO FISHがなんだかほかと違う感じがするのは、それがふたりの「芸」の延長線上にあるからではないかと思います。
いまの高校生あたりは単純にRADIO FISHのダンスや曲がキャッチーでかっこいいと思ってて、もしかしたら「武勇伝」すら知らないかもしれません。
しかし、第1のブレイクからリアルタイムで観ている世代としては、ふたりがそれぞれの個性(インテリ&チャラ男)をアップデートしながら次々に新しいカタチを見せてくれるのがすごく刺激的で、感慨深さすらあります。
だって、「消える」って言われてたんですよ。
それが自分たちのスタイルを貫いて、むしろ「お笑い」という枠を拡げてここまで返り咲くなんて、もはやロマンです。
これからどんな新たな一面を見せてくれるのか、楽しみですね。
下記のインタビューが非常におもしろかったので、ぜひ読んでみてください。
「PERFECT HUMAN」で大ブレイク!オリエンタルラジオの2人がRADIO FISHを語り尽くす!
タケダノリヒロ(@NoReHero)
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