スポンサーリンク
自らを「サッカー選手、経営者、教育者」と語る本田圭佑。
彼の考えをもっと知りたいと思い、本を出していないか調べてみたところ、本人が書いているものはまだありませんでした。
ただし、「よくここまで取材したなあ」と驚かされたのがこちらの本、『直撃 本田圭佑』(2016/11/11)。
直撃 本田圭佑 (文春e-book)
著者はスポーツライターの木崎伸也さん。
本田はもし自分で本を書くなら「変わりたいって思っている人に役立つような本になると思う」と本書のなかで語っています。
この本は本人が書いたものではありませんが、彼のことばがメインで構成されており、まさしく彼の信念や姿勢から「変化」を求める人へのエールになるような本でした。
本記事では、「変わりたい」と願う人が参考にできる本田圭佑の3つの力―イメージする力、マネジメント力、諦めない力―を、彼の名言とともに紹介しています。
もくじ
イメージする力(メンタルトレーニング)
まずは、イメージする力。フィジカルはもちろんですが、ここまでメンタルを意識して鍛えているスポーツ選手はあまりいないのではないでしょうか。
本田圭佑はかなりストイックな選手だという印象がありますが、なぜそこまで自分を追い込むことができるのか、その理由がこんなことばに現れていました。
「1年後の成功を想像すると、日々の地味な作業に取り組むことができる。僕はその味をしめてしまったんですよ」
近い未来において自分が成功している姿をイメージすることで、毎日の地味な作業に黙々と取組むことができるんですね。
先に人格を作る
本書を読んでいると、本田がいかに「こうなりたい」という理想を強く描いているかがわかります。
「極端に言うと、僕の場合、無理をして先に人格を作っちゃうんですよね。ヒーローとしての人格を作って、普段からそう振る舞うようにする。それを続けていたら、自分の本物と重なるんですよ」
──人格が追いついてくるということ?
「そう! 作った人格が、本当の人格になるんです。そうしたらホンマにカッコイイ本田圭佑ができあがるんですよ。だから1日1日が本当に大切になってくるんです」
目標を壁に貼る
では、どうやってそのように高い意識やセルフイメージを保っているのかというと、自宅の壁にその時点における目標を紙に書いて貼り付けているそうです。
本田はオランダでも、ロシアでも、自分が暮らす部屋の壁に、その時点における目標を紙に書いて貼り付け、24時間意識するようにしてきた。目標と言っても、途方にくれるような大げさなものではない。100%の努力をすれば、手が届きそうなものだ。その紙が貼り替えられるたびに、本田は新たな武器を手にする。
これならすぐにでもマネできそうですね。
家にいるときが勝負
本田は「家にいるときが勝負」とも語っています。
よくサッカー選手は暇と言うけど、本田くんの場合違いそうだ。
「ぜんぜん暇じゃない。家にいるときが勝負。でも、何かをやっているときに、考えることはできないから。1時間でも、30分でも、そういうひとりの時間を作らないといけない」
──禅を組むじゃないけど、静かな雰囲気にしてやる?
「風呂に入っているときとか、寝る前とかだね。そういう時間を大切にしている。誰かといっしょにいるときというのは、なかなか簡単にイメージできない」
準備がすべて
キーワードとして、繰り返し登場するのが「準備」ということば。
オレの中では準備がすべてやから。勝負の前に、だいたい勝負は決まっている。
だれもが緊張してしまうような大舞台でも、ここぞというときに実力を発揮してこれたのは、「イメージする」という準備を怠らずに練習を積み重ねてきた結果でした。
CSKAの練習場でFKやPKを蹴るときも、まわりにある森が、〝6万人の観客〟であると想像するそうだ。「どれだけリアルに大舞台の重圧をイメージできるかが、練習における成長度を決定づける」。居残り練習さえも、W杯と同じテンションで取り組んでいるのである。
目標から逆算して考える
もっとも驚かされたエピソードが、中学卒業時にガンバ大阪ユースのテストに落ちたときの話。
このテスト、仮に受かったとしても、行くつもりはなかったそうです。その理由についてこう語っています。
当時、ユースってプロに行ける可能性が低かったと思うんですよ。オレはプロになるという目標から逆算して、そのためには子供ながらに高校選手権に出ないといけないと思った。選手権に出て大活躍すれば、プロのスカウトの人の目に留まるから。そういうことを中学1年生のときに考えて、高校サッカーの方に行くって決めていた
中1の時点でそんなこと考えてるなんてヤバすぎます。
とはいえ、目標から逆算して最適なルートを考えるのってすごく大事なことですよね。
ちなみに、なぜ行く気もないのにテストを受けたのかというと、「受かっていかないというのをやりたかったのに、落ちちゃったからね。自分が描いたカッコいいストーリーが崩れてしまった(笑)」と語っていて、意外とおちゃめな一面も垣間見えました。
マネジメント力
本田圭佑は自分の最大の長所はマネジメント能力だと言っています。
「自分は選手としてそこまで優れていないというのをわかったうえで、世界一を目指している。では何で勝負しているのか。自分を分析したときに一番自信がある能力というのは、マネジメント能力なんですね」
以前所属していたオランダのフェンロで、当時22歳だった本田はファンダイク監督からキャプテンに抜擢されました。
その理由について、監督はこう語っています。
「圭佑が常に前向きで弱音をはかないことや、まわりの意見に流されないことも大きかったが、何と言っても、『戦術を理解して、まわりにわかりやすく指示するのが抜群にうまい』ということだ。彼は戦術を見る目と、考える力が非常に優れている。私にとってキャプテンは、試合中にベンチからの指示を聞いて、まわりに伝えられる選手でなければダメだ。まさにそれにうってつけの選手だった」
そして本田は見事にキャプテンとしてチームを優勝に導き、2部のMVPにも選ばれたんです。半端ない。
人間観察力
では、なぜ本田がそこまでのマネジメント力を身につけられたのかというと、その秘密は彼の人間観察力にありました。
「人に何かを言うときには、相手の性格をわかってないと。言ったらどうなるかをね。だから、選手それぞれの普段の振る舞いを観察している。たとえば日本代表だったら、自分なりに全選手の性格を言えますよ。ミスしたあとに『何やってんねん!』って言ったら、どう反応するとかを細かくね」
あまりサッカーを知らない自分のような人間からすると、本田はビッグマウスで、歯に衣着せずに物を言うという印象がありますが、じつは相手の性格をよく理解して、それに応じた対応をしているんですね。
これを知って、ふとマンガ『宇宙兄弟』の主人公・ムッタを思い出しました。
JAXAの最終試験で、「他の候補者をどう思う?」と先輩宇宙飛行士聞かれた時に、ムッタは能力だけでなくその人柄や意外なギャップまで事細かく答え、それが合格の一因になったんです。
引用元:宇宙兄弟6巻
もちろんムッタの場合は本田ほどストイックな性格ではないので無意識にやっていたわけですが、他人のことをよく見ている人はリーダーとして非常に信頼ができますよね。
諦めない力
最後に、諦めない力。「諦めない」ということが、本田の中で一番大事だと語っています。
サッカーで世界一になる、メッシやクリスティアーノ・ロナウドにも絶対に勝つと思っている。けれど、ゴール数では勝てないという本田。
彼にとって諦めないというのは、勝てるフィールドを探すことを止めないということなんですね。
もしドリブルだけで勝ってほしいというファンがいたのであれば、傷つけてしまうかもしれない。けれど、理解してほしいのは、本田圭佑の能力の本質。そっちじゃないよと。ドリブルやシュートで彼らに勝てなかったことは、ひとつの挫折かもしれない。でも、諦めないという言葉が自分の辞書の中で一番大事にしている言葉だから
もちろん個の能力向上にはトライしつつ、そのうえで自分の真の特徴は、前述のとおりマネジメント能力だと語っているわけです。
本書の最後に紹介されていたことばが、本田の哲学を表しています。
「一般の人がビジョンがあります、夢がありますというときに、だいたい考えるのは自分にできるか、できひんかだと思うんです。俺はそうじゃない。常にやるか、やらないか。やらないのは嫌やから、結局全部やる。欲張りでいいじゃないですか。実現の可能性なんて、やってみないとわからない。目標に向かって、人生という荒野にハイウェイをつくりながら、サービスエリアごとに宴をしていく。それが自分の喜びです」
ライターをも変えたホンダの言葉
この本を読んで「本田ってすごい選手だな」と思ったのはもちろんですが、著者の木崎さんもすごいライターだなと思わされました。
リハビリ中でどこにいるかも分からない本田をわずかな手がかりから探し当てたり、かと思えば取材できたはずなのにコンディションの良くない本田を気遣ってあえて質問をしなかったり。
そんな木崎さんも、本田に影響されて自らメディア「REAL Q」を立ち上げました。
そのときの本田の言葉がこれ。
「人っていうのは、気がつかないうちに自分で限界をつくっている。僕の場合、それを自分で壊すのが得意なんですよ。そもそもなぜ日本国内だけの話をしていて、70億人を対象にしないんですか。今、感じているその限界、経営者になって壊してみませんか?」
いやー、かっこよすぎるでしょ。
そんな人の心をうごかすアツいことばが満載のインタビュー本、『直撃 本田圭佑』おすすめです。
タケダノリヒロ(@NoReHero)
つぎのページへ!
本田圭佑は現代のチェーザレ・ボルジアである〜マキャベリ「君主論」〜
スポンサーリンク