【更新 2018/01/27】タケダノリヒロ( @NoReHero)
昔、「『付き合う』ってなんだろね」と、友だちと話していたときのこと。
「別に『付き合う』必要なんてなくない?」「付き合わなかったらセフレじゃん」「でも付き合ったらめんどくさいだけでしょ」などなど議論が飛び交う中、友人が放ったことばがとても印象的でした。
「おれは何かを感じた時に『あ〜これを伝えたいな』って思える人が彼女なんだと思う」
どんなに些細なことでも共有出来て、どんなにつまらないことでもなぜか少し面白くなってしまう。
だから「付き合う」とは、ひとりでは意味のないことにふたりで意味をもたせること、なのかもしれません。
くだらないことでも共有できる相手
平野啓一郎さんの小説『マチネの終わりに』に、こんな描写があります。
彼は、日曜日の代々木公園で、引き金を引くとシャボン玉が出てくるおもちゃの銃で遊ぶ子供たちを目にして、この話を洋子にしようとすぐに思った。
マチネの終わりに/平野啓一郎
主人公と洋子は非常に複雑な関係だったんですが、「この話を洋子にしようとすぐに思った」というところから、彼にとっていかに洋子の存在が大きなものなのかを読み取ることが出来ます。
どうでもいいことなんだけど、誰かと共有したい。それを真っ先に共有できる相手が「付き合っている」人です。
日常なんてくだらないこと、取るに足らないことの連続ですよね。それを一緒に楽しめる相手がいるのは喜ぶべきことですし、感謝すべきことだと思います。
合理的に考えれば、「そんなどうでもいいことよりも生産性の高いことに時間と労力を費やすべきだ」とも言えますが、人生の満足度を高めるのは意外とそんな「くだらないこと」なのかもしれません。
ふたりなら意味のあることに
星野源さんもそう歌ってます。『くだらないの中に』。
髪の毛の匂いを嗅ぎあって くさいなあってふざけあったり
くだらないの中に愛が 人は笑うように生きる
くだらないの中に/星野源
ひとりなら意味のないことでも、ふたりなら意味のあることになる。
「付き合う」なんて行為は、口約束に過ぎません。名目上「彼氏」「彼女」と、第三者的な呼び名が変わるだけ。
付き合ったからといって、自分も相手も物理的、制度的に何かが変わるわけではありません。変わるのはお互いの意識だけ。
でも、その意識が変わることによって、くだらないことを受け入れる義務と権利が発生するんじゃないでしょうか。
「彼女のオチのない話も彼氏だから聞いてあげなきゃな」と義務的に受け入れることも時には必要ですが、「彼女のこんな話を聞けるのは自分だけの特権なんだ」と思えれば毎日ハッピーです(単純)。
相手のくだらないおしゃべりを受け止められるのは付き合っている特権。
いつまでも「意味のないこともふたりなら意味のあることになる」という関係でいられたらいいですね。
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