JICA・JOCV

青年海外協力隊だからこそできる国際協力とは

ルワンダ青年海外協力隊のタケダノリヒロ(@NoReHero)です

このところ「青年海外協力隊とはなんぞや」とずっと考えてたんですが、自分なりの答えが出たのでまとめておきます

クラウドファンディングは却下

すこし前になりますが、こんな記事を書いてました

ルワンダの夢を応援!学費・起業支援型クラウドファンディング『CHOICE』

学費支援型のクラウドファンディング。こんなことができれば面白そうだなと思っていたんですが、JICAルワンダではクラウドファンディングが禁止されているため諦めていました

しかし、活動をすすめるうえでいろいろ考えた結果、「やっぱりいまできるいちばんの活動はこれだ!」と改めて思い、JICAのスタッフさんたちに相談してきました。「クラウドファンディングやらせてもらえませんか」と

ところが答えはノーでした。決して「やるな」と頭ごなしに否定されたわけではなく、山ほどの理由があったうえでの「やらないほうがいい」というアドバイス。正直ぼくも話をさせてもらって、「ほんとうにクラウドファンディングが正しい支援の形なのか」と自信がもてなくなりました

とくに考えさせられたのは、「協力隊はお金じゃない」というスタッフさんからのことば

もちろん、スタッフさんもお金はいらないと言っているわけではなく、「協力隊としてやるべきことはもっとほかにある」ということでした

協力隊だからこそできる支援ってなんだろう

JICAボランティアの目的

まずは初心に帰ろうということで、公式に掲げられているJICAボランティア(※)の目的を見直してみました

※青年海外協力隊を含む、JICAが統括するボランティアの総称

①開発途上国の経済・社会の発展、復興への寄与

よりよい明日を世界の人々と共有するため、日本が持つ技術や経験を伝え、開発途上国の人々に役立ててもらいます。

②友好親善・相互理解の深化

JICAボランティアが現地の人々を理解していくように、現地の方にもJICAボランティアを通して日本が理解されていきます。この草の根レベルの交流が、開発途上国・地域と日本との間の友好親善と相互理解の深化につながっていきます。

③国際的視野の涵養とボランティア経験の社会還元

JICAボランティアは開発途上国での経験を通して、広い世界観と問題意識、たくましい精神力、高度なコミュニケーション能力などを身につけ、海外から日本社会を見直すことによって日本のよさを再発見したり、問題を確認したりして、自分自身を成長させ、真の意味の国際人となって帰国します。帰国した多くのボランティアは開発途上国での経験を生かし、日本の地域社会の様々な課題に取り組んでいます。

引用元:パンフレット | JICAボランティア

JICAボランティアの目的はおもに3つ。①開発途上国の経済・社会の発展、②友好親善・相互理解の深化、③国際的視野の涵養

③国際的視野の涵養は、ボランティア自身の人材育成にかかわる部分なのでここでは置いときましょう。問題は①と②

ほかの国際協力の組織とのいちばんの違いは、② の草の根レベルの交流にあります

現場で活動していると、ついつい①の経済・社会の発展にばかり目が行ってしまいますが、それだけならほかの組織にもできますよね

むしろ、もっと大きくて潤沢な資金を自由に使える組織のほうが、いちボランティアよりも経済的・社会的に与えられるインパクトが大きいのは明らかです

国際協力をやってるのは、青年海外協力隊だけじゃないですからね。大規模な開発や単なる資金援助はほかに任せましょう

だから、①の経済・社会の発展ばかり追い求めてしまったら、JICAボランティアとして来た意味がない

それがスタッフさんの言う「お金じゃない」の意図なのかなあと

先輩隊員の話

こんなことを考えていたら、タイムリーに先輩隊員の方々がブログで「協力隊論」を語ってくれてました

「名前だけが残った」宮崎大輔さん

元パナマ隊員で、現在は農業コンサルタントをはじめ、世界中でさまざまな活動をされている宮崎大輔さん。かつて活動していた任地に一年半ぶりに戻ったそうです

「ダイスケの名前だけが残った」青年海外協力隊の活動が継続したのか疑問だったので一年半後に調べてきた

すると、宮崎さんが普及した農業技術はほとんど維持されていませんでした

ただし、村人たちからは「中国人のダイスケが帰ってきたぞー!!」と数百人からダイスケコールで迎えられたそうですw

日本人というのが伝わらなかったのは残念ですが笑、住民との再会でこんなに喜んでもらえるなんて隊員冥利につきますね

村人からのことば

プロジェクトがなくなって、学校菜園がなくなって、でもこの村にはダイスケの名前だけが残ったわね。みんなあなたのことを忘れていなかったし、ずっとあなたの帰りを待っていたのよ

これこそ、まさに協力隊ならではの国際協力だと思います

前述の「JICAボランティアの目的」で言うと、①の経済・社会の発展に関しては、プロジェクトや学校菜園がなくなってしまいましたが、②の友好親善という目的は間違いなく果たせていますよね

それに、家庭菜園は継続していたようなので、①に関しても立派に「成果」を残せていると言えるのではないかと思います

「その人の心に灯火を」オクユイカさん

マレーシアで障害児・者支援の活動を終えたばかりのオクユイカさん。『青年海外協力隊って本当に必要なの??』という記事を書いています

青年海外協力隊って本当に必要なの??

「協力隊は『姿勢』が評価されているけど、『実績』の方が大事なんじゃないか?」というKei Kawakitaさんの話(後述)から、「姿勢」の重要性について

上記ブログに載っている、オクちゃんの活動紹介記事より

直接子どもに影響が出るという理由で、奥JVは先生方への日常の支援・指導が一番重要だと考えている。

彼女が先生に何かを伝えたりサポートしたとして、相手が分かったと感じても、その場限りの可能性がある。

だから、その人の心に何か灯火のようなものが生まれないと意味がないと言う。

「灯火」っていいことばですねー

その「灯火」をもらったパートナーの先生は、「奥先生がいなくなってからも、やりたいことはたくさんある」と意欲を燃やしているそうです

これも「JICAボランティアの目的」でいう②の草の根交流の成果ですよね

「心と心のつながりなんて意味がない」と言う人もいますが、絶対そんなことはないです

仮に数字として示せる「実績」を残せなかったとしても、ボランティアが住民と深いかかわりをもてたのなら、その住民にはなにかしらポジティブな変化があるはず

新たなことに挑戦する意欲を与えられたかもしれないし、視野を広げることができたかもしれない

そんなことは「実績」として見える化することはできないけど、青年海外協力隊じゃなきゃできないことだと思います

「『実績』か『姿勢』か」Kei Kawakitaさん

そして、「協力隊は『姿勢』だけでなく、『実績』を追求すべきではないのか」と悩んでいる、ネパール現役隊員のKeiさん

青年海外協力隊がアジアのノーベル賞を受賞して僕は悩んでいる – 僕はネパールを変えることができない。

実績の伴わない「現地の人々とともに」じゃ誰も救えないし、何も変わらない。
だから本当に大事なのは「現地の人々とともに」どんな実績を残せるのか、だと思うんです。

ほんとそう

「姿勢」(=②草の根交流)だけじゃダメだし、「実績」(=①経済・社会の発展)だけでもダメなんですよね

その両方を追い求めることが、青年海外協力隊として課せられている国際協力のあり方なんじゃないでしょうか

自分なりの協力隊哲学

2年半先輩の宮崎さん、1年半先輩のオクちゃん、半年先輩のKeiさん、それぞれぼくよりも長く協力隊として活動されてきたみなさんの経験談や考えを参考に、自分なりの「協力隊哲学」を考えてみました

主役は住民

冒頭のクラウドファンディングの案は「自分」を中心に考えていました。これは住民への支援はもちろんですが、自分の「実績」を残したいという思いの方が強かったから良くなかったんですね

協力隊はあくまでサポートで、主役は住民です

だから、「成果」を語るときも「自分が〜した」ではなく、「Aさんが〜するのに協力した」「Bさんが〜できる仕組みをつくった」というように、「住民」が主語になるような活動をしていきたいと思っています

顔の見える支援

住民を主役にできるほどの関係性を築くには、表面的な付き合い方ではだめですよね

いわゆる「顔の見える支援」=「相手にどんな家族がいて、なにが趣味で、どんな価値観を持ってるのか」を知り尽くしてるような関係性をつくること

そのためには、コミュニティに入り込んで、自分を知ってもらい、相手を知ること

簡単なようで、これがめちゃくちゃ難しい。入り込めば楽しいけど、疲れる、イライラする、消耗する笑

けど、そこをやってかないと、自分の目指す「成果」は出ないと思ってます

種を蒔く

もうすぐ2年間の任期の折り返し地点。「なにか成果を出さなきゃ」と焦ってます

それをJICAスタッフに伝えると、

「そんなに簡単に成果なんか出ませんよ。JICAのプロジェクトで何年も何億円もかけてやっても成果が出ないことだってあるんだから。協力隊だったら、3代目くらいでやっと成果が出るかなーくらいですよ」

と言われてすこし肩の力が抜けました

この任地に来た初代隊員として、情報を蓄積して、つぎに繋ぐだけでも来た意味がある

前述のオクちゃんは「灯火」ということばを使ってましたが、協力隊はぼくのイメージでは「種を蒔く」活動です

たった2年間では目に見える変化はなくても、5年、10年経ったときに自分の蒔いた種から芽が出ればいい

衛生啓発活動を一緒にやった子どもが親になって、彼らの子どもたちに正しい手の洗い方を教えてあげることによって病気になる子どもが減ったとか――

ひと家庭に1万円の収入を生み出せたことによって、ビジネスを拡大して雇用を創出することができたとか――

もちろん自分のキャリアを考えると、この2年間でなにかしらの分かりやすい「実績」は残したいと思っていますが、協力隊としては焦って成果を求めずに「種を蒔く」ことを大事にしていきたいです

主役は住民、顔の見える支援、種を蒔くこと、この3つを忘れずに、残り1年、楽しみます

タケダノリヒロ(@NoReHero

「海外ボランティアをこんなふうに思ってる人もいるのか」と驚いた話

「海外ボランティアと風俗を同列に見る」という人へ

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