タケダノリヒロ( @NoReHero)
※English article is here↓
【PR】Challenge for an Ex-Researcher with Two Children: Launching a Restaurant in Rwanda 〜Sizzling Plates Restaurant〜
ルワンダの首都キガリに新しい中華料理店がオープンした、と聞きつけて、さっそくやって来ました。「このコロナの最中に?」と半信半疑でしたが、キラリとそびえ立つ昨年できたばかりのキガリアリーナの目の前に、そのお店はありました。
お店の名前は「Sizzling Plates Restaurant」。中華料理屋さんだったらほかにもすでにたくさんあるけど、いったいどんなお店なんだろうと、ワクワクとほんのちょっとの不安(美味しいかな……)が入り混じった気持ち。さっそく入ってみましょう!入店!
ルワンダと中国が融合した店内
中に入ると、天井には中国感たっぷりの赤ちょうちん。客席にはルワンダのローカルバーでよく見る、国産ビール「Mutsig」のプラスチック製テーブルセットが使われています。ルワンダと中国文化の融合による独特の雰囲気、なんだか落ち着きます。
店主のテレサさんは台湾のご出身。挨拶をして注文をお願いすると「私もシェフのひとりなので、作ってきますね!」と言って、オープンキッチンで自ら腕をふるってくださいました。
抜群に美味しい料理たち
最初に登場したのは酸辣湯(サンラータン/Sour and spicy soup)、4000RWF(約400円)。
一見とっても辛そうですが、ちょうどよい酸味と辛味のバランスでコクがあり、香草のアクセントもあってすごく飲みやすかったです。これはお店じゃないと味わえない味……!いっしょに訪れた妻は、この酸辣湯をいちばん気に入っていました。
その他の料理も続々と運ばれてきます。
- 焼き餃子(Pan-fried dumplings)10個で3000RWF(約300円)
- 台湾魯肉飯(Taiwan Luroufan)5500RWF(約550円)
- 麻婆豆腐(Mapo tofu)5500RWF(約550円)
ぼくのお気に入りは麻婆豆腐でした!しっかりと弾力のある自家製の豆腐、さまざまな香辛料の絡み合った複雑な旨味のタレ、これはれんげが止まりません。
そして見た目にもインパクトのある台湾バーガー(Taiwanese hamburger)、3500RWF(約350円)。
やわらかい外側のお饅頭と、甘辛い味付けの豚の角煮が相性抜群です。
正直、相当期待以上でした。これは美味しい。全部美味しい。値段もほかの中華料理店より低めだし、料理提供までの時間も早かったし(ルワンダでは1時間くらい待たされるお店も多い)、リピート確実です。
このお店、Sizzling Plates Restaurantはどうやってつくられたのか、店主のテレサさんに伺いました。
ルワンダ歴はまだ半年!
まず驚いたのが、テレサさんはルワンダに来てまだ半年しか経っていないということ。たしかにメニューがホッチキス止めされたプリント用紙だったり、お店の内外で装飾が行き届いていなかったりと、急ごしらえ感があるなとは思っていましたが、まさかそこまでとは。
テレサさんがルワンダに来たのは今年(2020年)の1月。以前からルワンダの国連組織で働いていた日本人の夫に合流する形で、ふたりのお子さんを連れてやって来ました。そしてこの建物が売りに出されるという情報を得て、すぐに購入を決め、5月にオープンしたという流れです。
「もともとお店をやっていたんですか?」と聞くと、なんと以前は大学院のチューターでバイオケミストリーの研究をしていたとのこと。料理のプロではなかったんですね!15歳で台湾を離れて故郷の味が恋しくなったために、ご自身でも料理をするようになりました。そしてオーストラリアでいまの夫と出会い、そのときから餃子を振る舞ったりしていたそうです。
起業のきっかけと想い
ルワンダに来てから、ご自身でも何か始めたいと思っていたテレサさん。あるときお子さんの肌に湿疹ができてしまいました。そこで自然由来の素材を使った石鹸を作り始めます。それと同時に、体に入れる食材のナチュラルさも重要であると気づき、物件が売りに出たこともあって、MSG(うま味調味料)を使わないことにこだわった体にやさしい中華料理店をオープンしたのです。
その想いは「Nanako Urumuri Healthy Life Ltd.」という会社名にもあらわれています。「Nanako」とは、お子さんのナナさんと、こういちさんの名前から。そして「Urumuri」とはルワンダ語で「光」という意味で、ヘルシーなライフスタイルに導く方向性を照らしています。子どもを含むすべての人にとって、やさしく健康的なものを提供するという意味が込められているのですね。
客席の目の前にあるオープンキッチンでは、スタッフが麺棒で生地をこねる様子など、ルワンダではあまり見かけない調理風景を見ることもできます。あえて厨房を見せているのは台湾の屋台を意識しているのだとか。
現地の人たちにとっては見慣れない調理風景を見ること自体もエンターテイメントになりますし、それがアジアの食文化を広めることにもつながります。このお店からさまざまな新しい価値が生まれていきそうですね。
コロナ禍での立ち上げ
それにしてもルワンダに来てまだ数ヶ月の状態で、イチからお店を立ち上げてここまでのクオリティに引き上げているその突破力は本当に驚きです。スタッフはもともと友人であったマネージャーを中心に、飲食店経営のある現地の方々を雇っています。そして料理は元研究員らしく、何度も試行錯誤を重ねてお店に出せる味に仕上げました。
「コロナ禍でお客さんも少ないなかで、開店を迷わなかったんですか?」と尋ねると、「私はなんでもすぐにやる性格なんです。あれこれ迷っていたら不安になってネガティブなことを考えてしまいますし」ととても気持ちの良い答えが。
大変だったのはお客さんとの会話
そんなエネルギッシュなテレサさんですが、創業からもっとも大変だったことは意外にも「お客さんとの会話」でした。もともと研究者だったこともあってか、初対面の人と話すことは得意ではなく、当初は毎日お店に立つことへの不安もあったそうです。ところがそれでもお客さんとの対話を重ねた結果、今ではふらっとお店にやってきて、まるで自宅のように「OKテレサ、今日は豚肉を食べたい気分なんだけど何か作ってくれる?」と注文する常連客もいるということをうれしそうに語ってくれました。
堅苦しくて敷居の高いレストランではなく、お客さんに自宅のようにくつろいでもらえるお店にしたいというテレサさんの想いを感じるエピソードですね。お店であり、屋台であり、家でもあるSizzling Plates Restaurant。いまはコロナ禍で大変な状況ですが、多くのキガリ市民から愛される場所になっていくことでしょう。
- 店名:Sizzling Plates Restaurant
- 場所:キガリアリーナの入り口目の前
- 電話番号:0789266138
- Facebookページ:Sizzling Plates Restaurant
Vuba Vubaなどのサービスを経由しなくても、お店が直接デリバリーしてくれるのも便利ですね◎麻婆豆腐がとっても美味しかったので、つぎは麻婆茄子を頼もうと決めています。お試しあれ!