ルワンダの社会課題解決×ICT!250Startupとは?輩出18企業まとめ

タケダノリヒロ( @NoReHero

「IT立国」を目指した政策と経済成長で注目を高めるルワンダ。

今回はそのなかでも日本のたずさわっている「250Startups(250スタートアップス)」というICT企業育成プログラムについてくわしくお伝えします。

250Startupsとは何なのか、日本はどう関わっているのか、どんな企業が輩出されているのか──。

見せ方は上手いが、中身が伴っていない」と揶揄されることも多いルワンダのIT政策。

一体どこまで「IT立国化」が進んでいるのか、本記事がその実情理解に役立てば幸いです。

250Startupsとは

250Startupsとは、JICAの実施する「ルワンダ国ICTイノベーションエコシステム強化プロジェクト」の一部で、市場競争力をもったICT企業を育てることを目的としたプログラムです。

まず、ICTプロジェクトについて説明しましょう。

名前はとってもややこしいですが、要するに「エコシステム(生態系)」という名前のとおり、ICTにまつわるいろんなことをいろんな組織といっしょに支援していきますよ、というものですね。

主な活動領域は政策・施策、市場環境、人材開発などで、関わっているのは企業、起業家、金融機関、研究機関・大学、政府など。

中心となって運営しているのは、JICAから業務委託を受けた日本の開発コンサル会社や、JICAから直接委託契約を受けた専門家の方々です。

このICTプロジェクトの中でも有名な取り組みに「kLab」「FABLAB」があります。

kLabがソフトウェア開発、FABLABがものづくりのICT起業家向け施設です。

JICAのICTプロジェクトにおける250startupsの位置付け

このICTプロジェクトのなかでは、kLabやFABLABが「イノベーション段階」に、250Startupsがその次の「育成段階」に位置付けられています。

  • イノベーション段階:kLabやFABLABで、アイデアを出して原型をつくる
  • 育成段階:250Startupsで、アイデアをもとに会社をつくり、お金を稼げる状態まで育てる
  • 拡張段階:企業としてひとり立ちし、顧客や投資家、銀行とともに規模を拡大していく

という流れです。

250Startupsの内容と実績

では、250Startupsでは具体的にどんな取り組みをしているのでしょうか。

このプログラムでは、半年の間に選抜された10社に対して顧客開拓、ビジネスモデル構築、製品開発、財務、法務を支援しています。

開講したのは18年6月末で、第1期には10社が参加し8社が修了。第2期は10社が修了し、現在(19年10月)は第3期が実施中です。

JICAのICTプロジェクト期間(2017年11月〜2020年10月)中に合計5期(50社程度)開催予定ですが、その後も継続的に実施しプログラム名どおり250社の育成を目指しています

ちなみに「250」という数字は、ルワンダの国際電話番号(+250)にも由来するんだとか。

輩出企業

それではここで、これまでに250Startupsプログラムを卒業した企業とその事業内容を見ていきましょう(表は「ルワンダ国ICTイノベーションエコシステム強化プロジェクト」資料よりタケダが作成・翻訳したもの)

第1期

会社名 サービス名 事業内容 セクター
Raisin Ltd Akokanya QRコードを使ったオンラインイベントチケット発行アプリ ファイナンス
Hatch Plus Ltd. Smart Egg Incubator ニワトリの卵を孵化するために事前にプログラムされたデジタルマシン 農業
eJobu eJobu 専門性の高い人材と中小企業を結ぶマッチングプラットフォーム 人材
Extra Technologies Ltd. AICOS データと分析を組み合わせた自動の統合協調オペレーションシステム マネジメント
O’genious Priority Ltd. O’genious Panda シミュレーションとアニメーションを通して学生の科学と数学に対する深い理解を支援するデジタル教育プラットフォーム 教育
AKWA Ltd. Digital Water 水漏れの検出と、電子支払いを提供するデバイス
Twaza Logistics Ltd. Twaza Logistics 企業と個人をテクノロジーでつなぎ、透明かつ高速な配信にアクセスできるようにするラストマイル配信企業 物流
Learners Hub Ltd. Menya Online Courses 知識を共有するためのオープンな教育プラットフォーム 教育

 

第2期

会社名 サービス名 事業内容 セクター
North Harvest Ltd. Park&Pick eコマースの食品配達 eコマース/農業
Shambapro Ltd Shambapro.com ルワンダおよび東アフリカの商業農家向けの農業投入物・書籍eコマース・プラットフォーム eコマース/農業
SOLVE IT Ltd INTERNSHIP&KIDS LAB 高校・大学・既卒のIT人材に実践的なインターンシップの機会を提供する教育テクノロジー企業 教育
IOTAR Ltd
(ウェブサイト記載なし)
ShuriBus 保護者、学校、スクールバス会社を1つのプラットフォームで接続して、保護者と学校が生徒の安全な活動をリアルタイムで追跡できるようにするソフトウェア 交通/教育
Kiza Ltd Kizaagri ウェブアプリとUSSDコードを介して農家と売り手をつなぐプラットフォーム マネジメント/農業
Techadopter ltd
(ウェブサイト記載なし)
Manual Seeding Machine ソーラーシステムとリモコンまたはスマートフォンコントローラーを使用した自動播種機 農業
HealthEdu Ltd HealthEdu 医療専門家向けにCPDコースをオンラインで提供するプラットフォーム 教育
Ironji Trade Ltd Ironji 低所得農民から低所得トレーダーへの生鮮食品の非効率な流通問題を、ドライバーと住民をスムーズに接続することにより解決するトレード・アシスタント 交通/農業
the Einstein Ltd. the Einstein 慈善活動を適切な学生ターゲットとアフリカのニーズに結びつけるプラットフォーム  ファイナンス/教育
Olado business group ltd Agri-Olado 農産物とルワンダ人/アフリカ人をオンラインで接続し、売買、配送を可能にするeコマース eコマース/農業

セクターとしては農業や教育が目立ちますね。

ルワンダは内陸国で輸送が困難なため貿易しづらいことや、資源が豊富ではないことがビジネス上のネックになっています。

そういったデメリットの中からICTの力でチャンスを創り出していこう、というのがルワンダの基本的な方針です。

これまでは解決が不可能だった課題でも、デジタル技術の発達で可能になってきていることも多いはず。

冒頭でもすこし触れたとおり、ルワンダを「IT立国」と呼ぶにはまだ時期尚早ではないかと個人的には思っています。「IT立国を目指している」という段階ですね。

しかしながら250のような取組みですこしずつ優秀な人材が育ってきています。これからに期待が高まりますね。

投資家注目!

250Startupsは、日本でのピッチイベントも開催しています。

第1期生のうち特に優秀な5社は19年1月に日本に招待され、東京、福岡、神戸の3ヶ所でプレゼンテーションをおこないました。

訪日をきっかけに、日本企業とMoU(業務連携の合意書)を結んだ起業家もいるんだとか……!

ルワンダの優秀な人材・企業とつながりをつくりたい方、250Startupsにコンタクトを取ってみてはいかがでしょうか?

Incubation | 250Startups | Kigali

ルワンダツアーはアフリカノオトにおまかせ!

当社アフリカノオトでは、個人・法人向けのルワンダツアープログラムを提供しています。

「ルワンダのITの現状を知りたい!」「現地の人と深く交流したい!」「ルワンダに行きたいけど行程を考えるのが大変だから全部おまかせしたい!」といったご要望にも柔軟に対応していますので、お気軽にご相談ください!

ツアー詳細・お問い合わせは→ アフリカノオト