日本人よりゴリラが多い!?ルワンダ観光に関する統計情報を調べてみた

タケダノリヒロ( @NoReHero

ルワンダの歴史・文化・ビジネスを学べるスタディツアー(デモサイト「START」)を計画中です。

この話をすると、「ルワンダには年間どのくらいの人が旅行してるの?」「需要あるの?」「勝算あるの?」などと言われます。

別にこれだけで生計を立てようとは思っていないので特に気にしていなかったのですが、たしかにどのくらいの旅行者がこの国を訪れているか、市場規模はどの程度なのか、くらいの情報は抑えておかないといけませんよね。

ということで、ルワンダの観光に関する統計情報を国立統計局が発行している『Statistical YearBook 2015』からまとめてみました。そんな真面目な資料のなかでも異彩を放つ、国の象徴であるゴリラの存在感。お伝えします。

5年間で約2倍!海外からの観光者数

ルワンダへの旅行者数はグイグイ伸びています。

増加中の旅行者 出典:Statistical YearBook 2015

2010年は約66万人だったのに対して、2014年は約120万人5年間でほぼ2倍になっています。

地域別旅行者数

この120万人を地域別に分解してみると、このようになります。

距離の遠い東アジア・太平洋州からは旅行者が少ない

日本が属する「東アジア・太平洋州」からは約12,000人。日本だけでなく東アジアと太平洋州を合わせても、全体のたった1%しかいないんですね。

一方、旅行者がもっとも多い地域はアフリカ約9割を占めています。

目的別人数(東アジア/太平洋州からの旅行者)

今度は旅行の目的別の割合を見てみましょう。

地域によって目的が大きく異なる

東アジア・太平洋州からは「休暇」と「ビジネス」がそれぞれ3割程度で主な目的になっています。

しかし世界全体で見てみると、「ビジネス」が約3割であることは変わりませんが、「休暇」が1割以下とぐっと減り、代わりに「友人・親戚を訪問」が3割に増えています。

全体ではほとんどの旅行者がアフリカから来ているので、近隣国から友人や親戚を訪ねに来る人が多いという状況は納得できますね(逆に東アジアや太平洋州の人で、友人や親戚がルワンダに住んでいるというパターンは稀でしょうから)。

日本からルワンダへの旅行者数

では、肝心の日本からの旅行者数はどのくらいなのでしょうか?残念ながら細かい国別のデータはなかったので概算してみたところ、900人程度と考えられます。

【計算方法】

  • 東アジア・太平洋州の人口 16億5000万人
  • 日本の人口          1億2000万人

東アジア・太平洋州における日本の人口の割合 7.2%

  • 東アジア・太平洋州からの旅行者 1万2000人

→ 12000人 × 7.2% = 864人

年間に一国を訪れる人の数が900人と言うと少ない気がしますが、逆に日本から年間900人もの人がルワンダを訪れていると考えると意外に多い気もしますよね。

ほかのアフリカ諸国については、数か国のデータがJNTO(日本政府観光局)の統計に掲載されていました。

その他アフリカ各国への日本人訪問者数(2016年)

  • 南アフリカ共和国 25,802人
  • ジンバブエ 22,566人
  • エジプト 18,643人
  • ナイジェリア 11,662人
  • ニジェール 7,644人
  • ザンビア 7,420人
  • タンザニア 5,633人
  • エチオピア 5,006人

参考:JNTO

観光資源が豊富なタンザニアやエチオピアで5,000人程度。そう考えると、やはりルワンダで900人程度という推測もあながち大きくは外れていないのではないでしょうか。

ルワンダ在留邦人数

なお、外務省のデータによると、ルワンダに住む日本人(在留邦人)の数は、162人(2016年5月現在)だそうです。

各国立公園の来場者数

この統計情報には、各国立公園の来場者数も掲載されています。それだけルワンダでは国立公園が観光の目玉として考えられているんですね。

データが載っているのは、マウンテンゴリラのトレッキングツアーが人気の「ヴォルケーノ・ナショナル・パーク(Volcanoes National Park)」、ビッグ5に会えるサファリ「アカゲラ・ナショナル・パーク(Akagera National Park)」、野生のチンパンジーを探すトレッキングツアーを楽しめる「ニュングウェ・ナショナル・パーク(Nyungwe National Park)」の3ヶ所。

出典:Statistical YearBook 2015

2014年にはヴォルケーノを2万8千人、アカゲラを3万人、ニュングウェを9千人が訪れており、いずれも増加傾向にあります。

アカゲラ国立公園のゾウ 撮影:Maki Miura

特にアカゲラには近年ビッグ5(ライオン、ヒョウ、ゾウ、バッファロー、サイ)が揃ったので、観光客の増加が見込めます。

ただし、マウンテンゴリラのトレッキングツアーは2017年に入場料が値上がりしてひとり1500USドル(約16万円)になってしまったので、観光者数は減少しているはず。それでも増益していれば問題ないのですが、最新のデータが気になるところ。

マウンテンゴリラも増加中

この統計情報の最後に掲載されているのは、なんと「マウンテンゴリラの数」。

順調に増加しているマウンテンゴリラ

マウンテンゴリラの飼育は非常に難しいとされており、世界でも彼らに会えるのはルワンダ、ウガンダ、コンゴ共和国の国境に沿って伸びるヴィルンガ山地の死火山付近だけ。

ヴォルケーノ国立公園のマウンテンゴリラ

現在世界に880頭しかいないと言われ、そのうちルワンダにいるのは305頭

参考:National Geographics

前述のようにとんでもなく高額なゴリラツアーですが、触れられるほどの距離で珍しいマウンテンゴリラに会える経験はお金には変えられません。一見の価値はあると思いますよ。

そして国立統計局が発行している『Statistical YearBook 2015』の情報はこれで終わり。真面目な資料の最後をゴリラの数で締めるとはほっこりしてしまいますが、それだけゴリラがルワンダにとって愛すべき動物であるのみならず、重要な観光資源だということですね。

観光に関する統計まとめ

これまでの数字をまとめます。

  • 海外からの観光者数は120万人(2014年)
  • 東アジア・太平洋州からは約1万2000人(2014年)
  • 日本からは約900人(概算)
  • 在留邦人は162人(2016年5月)
  • マウンテンゴリラは305頭(2014年)

ルワンダでは日本人よりもマウンテンゴリラのほうが多いんですね……!(162人 対 305頭)

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