タケダノリヒロ( @NoReHero)
アフリカのルワンダでスタディツアーを運営しています、タケダノリヒロです。
最初に言っておきますが、今回の記事はがっつりポジショントーク(※)です……!
※ポジショントーク=自分の立場、立ち位置に由来して発言を行うことである。 転じて、自分の立場を利用して自分に有利な状況になるように行う発言のこと。
何のお話かというと、「短期で途上国に行きたい大学生は、海外ボランティアよりスタディツアーに行くべき」というもの。
それはなぜなのか、短期の海外ボランティアや、2年間の青年海外協力隊を経て、スタディツアーを運営している自分の見解をお伝えします!
海外ボランティアとは、スタディツアーとは
まずはことばの定義から確認しましょう。
「ボランティア」とは何かというと、
無償で自発的に社会活動に参加したり,技術や知識を提供したりする人,またはその活動
引用元:ボランティアとは – コトバンク
一方「スタディツアー」とは
主に途上国でNGOが活動する現場を視察したり、ボランティア活動などを行う旅行のことで、 体験学習や現地の人々との相互理解を目的としています。 一般のツアーとの最も大きな違いは旅行の目的です。 一般のツアーは観光が主な目的ですが、スタディツアーは旅を通して「学ぶ」ことが目的です。
と言われています。
つまり、海外ボランティアは「与える」こと、スタディツアーは「学ぶ」ことがメインの目的になるんですね。
どちらも途上国を舞台にソーシャルグッドな活動にかかわるという点では同じ。
でも参加者のスタンスとしては、海外ボランティアのほうがより能動的、スタディツアーのほうがより受動的(受け身)だと言えますね。
1週間でなにを与えられるか?
ではなぜぼくは、「与える&能動的」な海外ボランティアよりも「学ぶ&受け身」なスタディツアーをおすすめするのか。
理由は、短期間の活動で与えられる価値はわずかだから。
数週間しか滞在しないor持続的に活動ができない場合は、そこでしか得られない学びを得て、自分の視野を広げることのほうが大事だと思っているんです。
ぼくは青年海外協力隊で、アフリカのルワンダにおいて2年間ボランティア活動をおこないました。
「2年間」と言うと長く聞こえますよね。でも、実際やってみたらほんとにあっという間なんです。
「1年経ったところでようやく取り組むべき課題を見つけられた」という人も多いくらい。
それは「どの問題に取り組むべきか」という課題設定から自分でやらなければいけないから(特に「コミュニティ開発」という職種の場合。今回は本筋からそれるので割愛)。
短期の海外ボランティアの場合は、協力隊と違って最初から取り組むべき問題が明確になっていることも多いでしょう。
でも、その問題の背景をよく知らず、現地の方々との関係性もゼロの状態の参加者でもできることがあるということは、それだけ与えられた仕事がシンプルであるか、問題の核心から離れた「誰でもできる作業」であるということの裏返し(いやな言い方してごめんね。。)
だからもしあなたが「困ってる人を助けるんだ!世界を変えるんだ!」という意気込みで海外ボランティアに参加したとしたら、肩透かしを食らってしまうかもしれません。どうせ参加するなら有意義な時間にしたいですよね。
なので、長期的or継続的なボランティアならまだしも、1週間くらいしか時間が取れないのであれば、「何も与えられないけど、この時間は学びに使う!」と割り切ってスタディツアーに参加したほうが良いんじゃないかなあと思います。
実は「与えたい」より「学びたい」?
先日ツイッターでアンケートを取りました。
海外ボランティアに参加したことがある学生さんたちに「またボランティアに参加するなら重視することは?」と聞いたんですね。
そしたら結果は「現地の人との交流の深さ・多さ」が50%、「専門的な知識を得るためのサポート」が33%、「別の国・地域での体験」は11%で、最後に「インプット(与えられる)よりアウトプット(与える)」が6%でした。
2番目の「専門的な知識を得るためのサポート」はスタディツアーの「学ぶ」という要素を、4番目の「インプット(与えられる)よりアウトプット(与える)」は海外ボランティアの「与える」という要素を意識してつくった設問です。
この結果から「海外ボランティアに参加してる人たちも、実は『与えたい』より『学びたい』って気持ちのほうが強いんじゃない?てことは海外ボランティアよりスタディツアーに参加したほうが良いんじゃない?」とぼくは問いかけたいのです(18票と母数がすくないので統計としては不十分ですが)。
このアンケートに答えてくださったマヤコン🇿🇼ジンバブエさんからのコメントも、とても納得できるものでした。
「同じ国で2回目以降もしくは長期ならアウトプットしたいですが、違う国または短期ならいかに沢山その国を吸収、体験出来るかを重視します。また、そこでしか学べないそこで学ぶことに価値がある専門知識ならとてもためになるかと」
ほんとそうですよね。ぼくのツアーでも現地の人々との交流と、そこでしか学べないことを重視していきます!
海外ボランティアの失敗談
こんなことを書いていると「海外ボランティアのことディスってるけど、お前はやったことあるのかい……!?」という声が聞こえてきそうですね。
もちろんあります!経験者です。
大学4年の夏休みに、タイで活動しているNGOのボランティアプログラムに約1ヶ月参加しました。これがね、めっっちゃ良かったんです……!(ポジショントークどこいった)
おもな活動内容は、現地の小学校でやる日本語や日本文化の授業。
途上国に行くのもはじめてだし、ちゃんと国際交流・国際協力にかかわったのもはじめてでした。
でもこのプログラムのおかげで、「途上国の子どもたちに向けた授業を考えて実行する」というプロセスを経験することができましたし、子どもたちにもお世辞ぬきで喜んでもらえたことで「自分でもだれかの役に立てる」という自信をつけることができました。
ただ、いま思い返してみると、本質的な問題にはほとんど触れられなかったんです。
そのNGOが当時取り組んでいたのは、山岳民族の地域における人身売買や麻薬取引の防止。
ふつうに仕事をするよりも簡単にお金を手にすることができるから犯罪行為に手を染めてしまう、だからそんなことをしなくても良いように教育の質を高めて子どもたちが将来まっとうな仕事につけるようにしたい、というのが学生たちが授業ボランティアをやらせてもらっていた背景です。
だからなんとなくは知っていたんですが、せっかく現場に行ったにもかかわらず人身売買や麻薬取引の問題は遠い世界のことのように捉えていた記憶があります。
だったら自分からスタッフさんたちにどんどん話を聞きに行けば良かったんですよね。そこが失敗だったなと思ってます。が、そのときはどうやって良い授業をするかで頭がいっぱいで、そんなことまで考える余裕はなかったんですよね。
なのでボランティアをしつつも余裕のある学生さんは、自由時間に関係者にインタビューしたりして、ぜひ「そこでしか得られない学び」を追求してみてください!意識的に「学び」の時間をつくること!
そして海外ボランティアしか検討してなかった人は、スタディツアーもチェックしてみてはいかがでしょうか?意外とそっちのほうがあなたのニーズに合ってるかもよ。
まとめ&タイプ別おすすめプログラム
ということでまとめると、
・海外ボランティアは「与える」こと、スタディツアーは「学ぶ」ことが目的
・「海外ボランティアしたい」って人も、実は「与えたい」より「学びたい」って気持ちが強いのでは?
・「海外ボランティア」だけじゃなく、「スタディツアー」って選択肢もあるよ
の3点がぼくの言いたかったことです。
でも、でもね!「海外ボランティア」っていう名称でも、スタディツアーみたいに学びの機会を用意してくれてるプログラムもきっとたくさんあるはずなんです。
だから自分が「与えたい」人なのか「学びたい」人なのか、を踏まえつつ、そのプログラムの内容をしっかり見て選ぶことをおすすめします。
タイプ別にざっくり分類すると、
海外ボランティア→「与えたい」人。より能動的に活動したい人。中級者向け。できる限りまとまった日数を確保したほうが良い。
スタディツアー→「学びたい」人。まずは視野を広げたい人。初級者向け。1週間程度でもOK。
となりますね。
いずれにせよ、自分の知らない世界を知ることはかけがえのない財産になります。そしてそれは早ければ早いほど良いと思います。
だからこの記事を読んでいて「途上国行ってみたいなあ」と思っている大学生の方は、次の長期休暇にでも未知の世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか!
ぼくの運営するスタディツアー「START」では、ルワンダの過去・現在・未来を学びつつ、自分が大学時代に味わったようなボランティアの良さも知ってもらえるように、小学校での授業ボランティアもおこなっています。
農村ホームステイや起業家・国際協力関係者との交流など、現地在住者だからこそ用意できるコンテンツも満載です。
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