タケダノリヒロ( @NoReHero)
この記事を読んでくださっているということは、あなたは途上国で起業したいか青年海外協力隊に興味がある方だと思います(もしくはぼくのファンか)。
ぼくは大学卒業後、3年間国内の食品メーカーで営業としてはたらき、退職して青年海外協力隊として2年間ルワンダで活動しました。その後ルワンダに戻って起業して、もうすぐ1年が経つところです。
会社員→青年海外協力隊→アフリカで起業というキャリアパスをたどってきたわけですが、「いつか途上国で起業とかしてみたいなー」とぼんやり思っている方にこそ青年海外協力隊をおすすめします。
その理由は①手触り感を得られる、②テストができる、③仲間ができるの3つです。
手触り感を得られる
まず途上国起業に青年海外協力隊が役立つひとつめの理由は、「手触り感を得られること」。
現在のぼくがだれのためにルワンダで働いているかというと、「22歳の頃の自分」です。
当時のぼくはなんの経験もないのに、会社の人事部や上司に「BOPビジネスをやりたいです!」「ソーシャルビジネスをやりたいんです!」と言うだけの、いわゆる「意識高い系」でした。
高い志をもつことは悪いことではありません。でも「〇〇で困っている△△さんを助けたい!」と顔と名前のわかるだれかをイメージできるくらい地に足が着いた動機でなければ、その支援はニーズを的確に捉えられずに「ありがた迷惑」で終わってしまう可能性大です。
ルワンダで青年海外協力隊として活動したりブログやSNSで発信をしたりするようになって、世の中には当時の自分のような若者がたくさんいることを知りました。
「途上国の子どもたちに貢献したいんです」「アフリカの貧困問題をどうにかしたいんです」──
そんな甘々だけど確かな想いをもってる人たちに、まずは現場を肌で知る機会を届けたい。
そう思ってスタディツアーを開催しているのですが、それを実現できたのは「だれのためにはたらきたいのか」「だれのためだったら役に立てるのか」と、青年海外協力隊の2年間、農村部で暮らしながら自問自答して手触り感を得られたからでした。
テストができる
もうひとつの理由は「起業のテストができるから」。
いきなり「アフリカに行って起業する!」と言うといかにも起業家っぽい大胆さがあってカッコいいですよね。ただ、もちろん勇気をもって一歩踏み出すことは大切ですが、成功確率を高めたいのなら準備は必要です。
ぼくはいまスタディツアーを軸としたビジネスをしていますが、その原型となっているのは青年海外協力隊時代に始めたホームステイの受け入れでした。
ブログで「ぼくの活動するルワンダ農村部を見に来ませんか?」という記事を書いたところ、日本の大学の国際協力サークルの人たちが「行きたい!」と連絡をくれたんです。
しかしその村には当時ホテルもゲストハウスもありませんでした(最近ゲストハウスが1軒できました……!進化してる!)。なので、ダメもとでお世話になっていた近所の家族に相談したところ、こころよくOKしてくれたことでホームステイの受け入れが始まったのです。
それから1年間で20人ほどが来てくれましたが、予想以上に大好評。
1〜2泊という短い滞在でも、泣きながらホストファミリーとハグしてお別れしたり、ガタイの良い体育会系の男子大学生が「こんなキレイな星空見たことないです……!」と目を輝かせてよろこんでくれたりする姿を見て「これをちゃんとプログラムにすれば、お金を払ってでも来たい人がたくさんいるはず……!」という確信を得ました(※)。
※青年海外協力隊は利益を得る活動を禁止されています。そのため当時ぼくは一銭ももらわず、ゲストからはホストファミリーにだけ食費と宿泊費を払ってもらっていました。
日本に帰ってから「ルワンダでツアー業をやります!」と言うと、「そんな需要ある?」「そんなんで食っていける?」「勝算はあるの?」ととやかく言われましたが、ホームステイのお試し期間があったのでまわりに笑われても「まあいけるでしょ」と言える余裕をもつことができたのです。
今思えばたまたまそうなっただけで、もとから「起業のテストしよう!」と思ってやったわけじゃないんですけどね。ゼロから博打をするのではなく、ある程度の勝算をもってやるのがおすすめです。
【注意してほしいこと】
・青年海外協力隊として活動できるのはJICAのおかげです。それぞれの国によってJICA事務所のルールが違うので、派遣先の方針をリスペクトしてください。特にお金が発生する場合、現地の人たちに利益が流れる形であれば良いですが、自分のポケットに入れるのはやめましょう(個人的には「副業してもいいじゃん!」と思ってますが、所属しているJICAがそういう方針であるならそのルールに従うべきと思ってます)
・もしホームステイのゲストに重大な事故や病気が発生した場合、いくら「JICAは関係ないです」と言っても、青年海外協力隊として派遣されている以上JICAの責任問題に発展してしまいます。ぼくの場合はなにごともなかったのでよかったですが、いま「もし何か起きてたら」と考えると恐ろしいです。なにかに挑戦するときは、関係者に迷惑をかけてしまうリスクまで考慮するようにしましょう。
・隊員の本業は要請内容にもとづく活動だということはお忘れなく……!自分のやりたいことと要請内容をリンクできれば一番ですね。
仲間ができる
最後の理由は「仲間ができる」から。
青年海外協力隊には50年以上の歴史があり、これまで92カ国に44,913名が派遣されています。
世界各国にいろんな職種の先輩・後輩がいて、福島の二本松訓練所でハードな研修を2ヶ月間ともにした同期がいます。
このタテ(先輩・後輩)とヨコ(同期)のつながりが何よりの財産。
現にいまルワンダの先輩隊員だった大江里佳さん(@satoka817)に、毎回通訳&アテンドとしてスタディツアーをいっしょに作ってもらっていますし、妻のあすか(@asukanyaaa)はモザンビーク派遣の同期隊員で二本松訓練所で出会ったのでした。
青年海外協力隊を通じて出会いがあるのは、隊員だけではありません。
現地の人たちと草の根レベルで密に交流できるのも協力隊ならでは。上の写真に写っているルワンダ人女性は、ぼくのことを「息子」と呼び、ツアーではゲストを受け入れてくれているホストマザー・フェーザ。
フェーザとの出会いがなければホームステイプログラムは生まれていませんでしたし、ルワンダで起業もできていなかったかもしれません。
それからツアーでは現地在住の日本人の方々にも、大変お世話になっています。起業家、国際協力関係者、大使館などさまざまな在住者とのつながりをつくる機会に恵まれるのも、協力隊だからこそ。
ぼくはもともと派遣国としてルワンダを希望したわけではありませんが、いまではルワンダに派遣してもらえてほんとに良かったと思っています。協力隊は必ずしも希望の国に派遣されるわけではありませんが、それも「縁」ですよね。
ということで、途上国で起業したい人に協力隊をおすすめする3つの理由は、①手触り感を得られる、②テストができる、③仲間ができるから。
だんだん協力隊に参加したくなってきたのでは?
一歩踏み出してみよう
現在、青年海外協力隊では、2019年秋募集の募集情報を公開しています。応募期間は、2019年8月20日(火)~9月29日(日)。
気になる方は公式サイトをのぞいてみてはいかがでしょうか?
(青年海外協力隊/シニア海外協力隊/日系社会青年海外協力隊/日系社会シニア海外協力隊の総称が「JICA海外協力隊」です。2018年にボランティア事業の改変があり、一部呼び方が変わりました)
「行ってみたいけど2年間は長い……!」という方には、スタディツアーなどの短期プログラムへの参加がおすすめ。
ぼくの運営するスタディツアー「START」は、2018年9月から始まり、これまで(2019年8月)に8回開催、19名の方々にご参加いただきました。現地在住者だからこそ提供できる、ルワンダ人・現地の起業家との交流や、国際協力・ビジネス・文化など幅広く学べる体験が魅力!
START参加者のなかには、ツアー後に協力隊の試験に合格し、これから派遣を控えている方もいてうれしい限り。
ほかにも、ぼくの住むルワンダだけでも、現地の状況を知ることのできるプログラムがたくさんあります。
→ 日本食レストランKISEKIさんの運営するボランティアプログラム。地域のママさんたちの雇用創出や、暮らしを豊かにハッピーにするプロジェクトを実行。
・STARTUP AFRICA in Rwanda 5th Batch – 激動の大陸を駆け抜ける13日間| 海外インターンシップならタイガーモブ(タイモブ/Tiger Mov)
→年2回ほど開催されている、タイガーモブさんのプログラム。課題解決力や「0→1」を生み出す力の獲得など、ビジネスに重点を置いたコンテンツが魅力。
・NPO法人 The Peace Front – ルワンダ国際協力キャンプ・ソーシャルビジネスキャンプ
→ルワンダでは今年(2019年)9月に初開催された、NPO法人 The Peace Frontさんのプログラム。「国際協力」「ソーシャルビジネス」に関心の高い大学生におすすめ。
→アフリカ各国で子どもたちにダンスを教えており、ダボス会議により世界の33歳以下の若手リーダー「グローバルシェイパーズ」にも選ばれた中込孝規さん主催のルワンダツアー。2019年11/1~5に開催予定。
ルワンダだけでもこんなにたくさんのプログラムがあるので、興味・関心にあったものを選ぶと良いのではないでしょうか!
ちなみにルワンダはアフリカのなかでも治安、気候が抜群に良く、歴史や経済面でも特色をもち、比較的英語も通じるので、アフリカの入口にはぴったりです。
ルワンダ以外に行ってみたい国や地域が決まっている人は、ぜひご自分で探してみてください!
青年海外協力隊について、ルワンダツアーについて、なにかご質問やご相談などあればお気軽にご連絡ください(ただしググれば一瞬でわかるような質問はスルーします……!)
タケダノリヒロのツイッター:( @NoReHero)
世界を変える、きっかけを。