タケダノリヒロ( @NoReHero)
アフリカ・ルワンダでスタディツアーを中心とした事業で起業する予定で、ただいま日本で準備中です。
日本から学生や若手社会人などの参加者を募って、村にホームステイをしたり、ボランティア体験をしたり、企業視察をしたり、ルワンダの歴史と文化とビジネスを学べるツアー「START」を考えています(リンク先はデモサイト)。
この記事は、起業までの過程を記録する「起業準備日記」シリーズ第三弾。
今回は「日本にルワンダブームを起こす」という目標と「ルワンダ旅行者倍増計画」について。
【これまでのお話】
① 海外法人の日本人向けスタディツアーは旅行業法違反!?~起業準備日記~
② お客さんでも断る!?アフリカの先輩起業家に相談してみた~起業準備日記~
目標は日本人旅行者の「倍増」
「ルワンダでスタディツアーを軸に起業する」という話をすると、よくある反応が「そんなにたくさんルワンダに行く人いるの?」「勝算はあるの?」「ゴールは何?」
私は別にスタディツアーだけで食っていこうとは思っていませんし、特に失うものもないので言ってしまえば「勝算しかない」です。なのでゴールなど決める必要もなく「できるだけがんばる」ってスタンスでもいいかなと思っていました。
でも、実際にどのくらいの市場規模があって、どこに目標を設定するかを具体的に決めておくこともやっぱり重要ですよね。じゃないと、そこそこで終わってしまう。そう思って、「日本からルワンダへの年間旅行者数」を調べてみました。
現在の日本人旅行者数
公式なデータは出てこなかったのですが、その他の数値から推測してみると、1年間に日本からルワンダを訪れる人の数は約900人(渡航目的には休暇だけでなくビジネスなども含む)。
【計算方法】
・東アジア・太平洋州の人口 16億5000万人
・日本の人口 1億2000万人
→ 東アジア・太平洋州における日本の人口の割合 7.2%
・東アジア・太平洋州からルワンダへの旅行者 1万2000人(2014年)
→ 12000人 × 7.2% = 864人
参考:ルワンダノオト
900人かー……。
日本人のほとんどがどこにあるかも知らないであろうルワンダという国に年間900人訪れていると考えると結構多い気がしますが、ほかのアフリカの国だとタンザニアやエチオピアで5000人程度、一番多い南アフリカに至っては2万5000人です(参考:JNTO)。桁が違う。
私がこれからやることの成果を測るもっとも分かりやすい指標は「日本からルワンダに行く人をどのくらい増やせるか」。
この数値をどの程度に設定するか考えてみました(以下、心の声)。
「どうせなら『ブーム』になるくらいの規模を目指したいよね」
「じゃあ、どのくらい増えれば『ブーム』と呼べるんだろう」
「5%や10%の増加じゃ弱いよね。どうせやるなら、2倍を目指そう。2倍になれば間違いなく『ブーム』って言えるでしょ」
「でも900人を2倍にするってことは、さらに900人をルワンダに連れてこなきゃいけないんだよね……無理じゃない? スタディツアーでまとめられる人数を1回せいぜい10人としたら、年間90回もやらなきゃいけないじゃん」
「いやいや、ひとりでやろうとするから無理なんだ。それにスタディツアーに限る必要もないし」
「自分以外にもルワンダとの接点を増やそうとしている人たちはたくさんいる。自分のツアーだけを盛況にするんじゃなくて、ルワンダ全体で旅行者が増えるのがいちばんだよね」
「ルワンダ旅行者増加にかかわるすべての団体・企業を応援して、その伸びしろを全部合わせれば+900人くらいは連れてこれるんじゃないか……?」
「名付けて『ルワンダ旅行者倍増計画』!」
ということで、目標は「日本にルワンダブームを起こす」こと、「ブーム」とは「日本からルワンダへの旅行者を倍増させる」こと、と決めました。これが「ルワンダ旅行者倍増計画」です。
「現在の年間旅行者数が900名」という数値はあくまで推定です(公式な統計が見当たらない)ので、参考値として「自分のかかわるプロジェクトでざっくり1000人くらいをルワンダに連れて来る」ことができたらいいなと思っています。要するに倍ぐらいに増やしたいなと。
いまやルワンダに行く人たちのほとんどが、私の運営するルワンダ情報専門サイト『ルワンダノオト』を見て渡航しているっぽいので、「ルワンダに行く日本人=自分がかかわっている」と言っても過言ではないと思うんですよね(過言です)。
とにかく、今後は『ルワンダノオト』をルワンダにかかわるすべての人たち(旅行者、居住者、企業・団体)のプラットフォームとしていき、ルワンダ情報を地道に発信していくことによって「ルワンダに行きたい」と思ってもらえる人を増やしていきます。
「自分のツアーだけでなく、ほかの取組みも応援する」と決めたことで、「似たようなツアーがあるとパイの奪い合いになって嫌だなあ」と思っていたモヤモヤも晴れました。
それぞれのツアーにはそれぞれの目的やターゲットがあります。入り口がたくさんあれば、その分だけ旅行者は自分に適したプログラムを選ぶことができますからね。これでいいんだ。
きっかけはホームステイのアテンド
こんなことを書いていると「そんなにルワンダのことを思って、タケダくんは心の綺麗な人なんだなあ」とみなさん思うことでしょう(思ってください)。
でも、私は別にルワンダのことが大好きなわけではありません。むしろそこそこです。それに私欲を出さず「誰かのため」とか言って活動している人の言葉も、素直には受け取れないタイプです。
でも、「ルワンダを訪れる人を増やすことができたらうれしい」という自分の気持ちが本物だということは知っています。きっかけは青年海外協力隊時代にブログを通じておこなっていた、ホームステイの受け入れでした。
日本の大学生から「ルワンダ農村部の様子を見たいです!できれば泊まりたいです!」と言われたものの、ホテルなどないところなので、ダメもとで近所の家庭に泊らせてもらえるよう頼んだことが始まり。
ゲストのみなさんは1~3泊しかせず、言葉もろくに通じないのですが、ホストファミリーといっしょにご飯を食べたり、村を散歩したりする時間を通じてとても仲良くなり、最後には泣きながらお別れをする人も。
そして「ルワンダって本当にいいところですね」「本当に来てよかったです」と言われて、ああ自分もやって良かったなあと思えたのです。
だから、それを単なるボランティアではなく、きちんとプログラム化することでより多くの人をルワンダに連れてくることができる、そうすれば自分もより幸せに生きられる、と思うようになりました。
いちばんの目的は「ルワンダのため」というよりも、「自分のやりたいことをやるため」なのです。
もっと言うと「ルワンダブームを起こす」という目標を達成した暁には、『情熱大陸』や『プロフェッショナル』に取り上げられるくらいの男になりたいからです。
「近年、アフリカのルワンダへの渡航者が急増している。その陰には、日本人起業家・タケダノリヒロの尽力があった。タケダの朝は早いーー」的な感じで紹介してもらいたい!!という願望があるのです……!(大して朝は早くない)
ルワンダ人の可能性を広げる
とは言え、現地の人々を置き去りにすることだけは絶対にしてはならないと思っています。「ルワンダ旅行者倍増計画」は自分の内側にあるモチベーションから取り組んでいきますが、それはルワンダの人たちのためにもなると考えています。
旅行者が増えれば現地にお金が落ちる、という経済的なメリットだけでなく、外国人との交流を通じて彼らの可能性を広げることにもなると思うのです。
2年間のルワンダ生活で痛感したことは「知らないことを知らないと知らない人」の多さ。外の世界と接する機会がまだまだ少ないため、「世間知らずだなあ」と感じることが多々ありました。
「アジア人=中国人」であるかのように「チャイナ!チンチョンチャン(中国人を真似した侮辱表現)!」と囃し立てること、それによって嫌な気持ちになる人がいるということが理解できないこと。それが歯がゆくてたまりませんでした。
だから日本人旅行者との交流を通じて「こんなにも価値観が違うのか!」「世界にはこんな言葉や文化があるのか!」という「気づき」を得てもらい、未知のものごとに対してもっと探求心や好奇心を持ってもらいたいのです。
それが人材育成となり、ゆくゆくは国を変えていくことにもつながるはず。
ルワンダには、自分の力では貧困から抜け出せず、スタートラインにすら立てていない人もまだまだたくさんいます。
一方日本には、「社会貢献したいけど、何からしていいか分からない」という人がたくさんいます。
そんな人たちに「きっかけ」を与えたい、という願いを込めて、スタディツアーのプログラム名は「START(Study Tour At Rwanda for Tomorrow)」にするつもりです(リンク先はデモサイト)。
またスタディツアーだけでなく、単なる観光としてのルワンダ訪問も、旅行プランの計画や各種予約の代行など「旅行コーディネート」事業としてお手伝いしたいと思っています。
アメリカのトラベル・ジャーナリストであるピーター・グリーンバーグの人気シリーズ『The Royal Tour』最新作がルワンダで撮影され、つい先日公開されました。
国民から絶大な支持を誇るカガメ大統領自らがアテンドを務めて、ルワンダの魅力を余すところなく伝えています。
ルワンダはこんなに素敵なところです。
ひとりでも多くの方に「ルワンダ、行ってみたいかも」と思ってもらえるように、これからもルワンダ情報を発信していきます!
まだ知り合えていないルワンダ関係者の方々、突然ご連絡差し上げるかもしれませんが、その際は「一緒にルワンダを盛り上げましょう」という話になりますのでよろしくお願い致します。
【これまでのお話】
① 海外法人の日本人向けスタディツアーは旅行業法違反!?~起業準備日記~
② お客さんでも断る!?アフリカの先輩起業家に相談してみた~起業準備日記~