タケダノリヒロ( @NoReHero)
アフリカのルワンダで、青年海外協力隊として活動しています。
隊員生活も残り1週間。「いつ帰ってくるの?」「帰ってきたら飲みに行こう」と友人たちから声をかけてもらい、うれしい限りです。
帰国するのは実に2年ぶり。みんなと再会できるのは楽しみなんですが、その半面不安もあります。そんな心境をツイートしたら、多くの反響をいただきました。
私は日本に一旦帰国した後、またルワンダに戻ってくるつもりです。そしてこちらで起業します。
そんな「アフリカで起業」という普通とは違う道を進むことで、友人からネガティブなことを言われないだろうかということが若干不安なんですね。
べつにまわりから否定されること自体が怖いわけではありません。
分かってもらえないのは仕方ないけど、明らかに価値観に齟齬が見えたら、たぶんその人とはもう会いたいとは思わなくなる。つまり、友だちがひとり減る。それが悲しいんです。
もちろん「夢を叶えること」と「考え方の合わない友だちひとりを確保すること」だったら迷わず前者を選びますが、がっかりはしますよね。
このツイートに対して、みなさんからの反応を一部ご紹介します。
「うるせえ飯いくぞ」とか「いいじゃん!」とか、友人から前向きな言葉をもらえるとやっぱりうれしいですよね。一方「ちゃらんぽらん」などと言われてしまった方も……。
私が3年間働いた会社を辞めるとき、上司には止められました。ある人には「協力隊なんてプータローみたいなヤツらが行くところだ」とさえ言われました。
でも、そのプータローの2年間で、会社ではできない貴重な経験ができましたからね。海外に行ったことすらない人たちのアドバイスなんて聞かなくてよかった。
辞める前、同期入社の友人に飲みに誘われました。上司から「タケダを説得してやってくれ」と言われたそうです。
なぜ会社を辞めるのか、これから何をやっていきたいのかを話しました。私が協力隊に参加したのは、単なるボランティアでもなく、ビジネスでもなく、「お金を稼ぎながら社会問題を解決できるなにか」を見つけたいと思ったことが理由のひとつです。
そんな「ソーシャルビジネス」の既存の例として、当時広まり始めていた「子ども食堂(※1)」や「カルマキッチン(※2)」の話をしたら、彼は
「もしお前がそんな店を出したら、おれが最初に客として行くよ」
と言ってくれました。「説得しろ」と言われていたのに、応援してくれたんです。
さすがにキザすぎて笑ってしまいましたが、うれしかったなあ……。
※1 おもに地域の大人が貧困家庭の子どもに安価または無料で食事を提供したり、年長の子どもが勉強を教えたりするコミュニティスペース。
※2 自分の食事代は前に来たお客さんによって支払われ、自分は次に来るお客さんのために支払いをする「恩送り」(pay forward)のシステムを導入した飲食店。
もし自分が誰かを「送り出す側」になったら、あのときの友人のように、無責任でもいいから背中を押すようなことばをかけてあげたいなと思います。
自分の知らない世界について狭い見識であれこれアドバイスしようと思っても、的外れになってしまうのが関の山です。友人がちゃんと考えて出した答えなら、それを信用して「面白いじゃん!」と一緒にワクワクしてもらえるのが相手にとっては一番うれしいはず。
逆に「送り出される側」になったら、単なる「質問」を「批判」と捉えないこと。
「なんで○○するの?」「どうやって○○するの?」と聞かれたら、詰問されているように感じてしまうかもしれません。
でも、友人だったら新たな道に進む相手を心配して、納得できるまで話を聴きたいと思うものですよね。いろいろ聞かれたからと言って「ああ、この人は私に反対してるんだ」と捉えずに、思ってることを素直に話しましょう。
最後に、毎年なぜこの時期に観たくなる「『どうせ無理』という言葉をなくそう」という植松努さんのTEDスピーチ。
学校の先生から「お前には無理だ」と夢を否定された植松さん。もし誰かの夢を聞いたら「どうせ無理」ではなく、「だったらこうしてみたら?」と一緒に考えてみませんか、と呼びかけています。
「今できないことを追いかけるのが夢なんじゃないの?」という言葉に、胸が熱くなりますね。
ぜひ観てみてください。
ちなみに私の場合、「ルワンダで起業する」ことは「夢」ではなく「手段」でしかありません。
「もっと勉強したい学生が大学から院に進む」のと同じくらい、いまの自分にはごく自然な選択肢だと思っています。
だから、「あいつすげえことやってんな」とか思わないでほしい。夢物語でもなんでもなく、みんなと同じで目の前にある道を進んでるだけです。
……いや、でもやっぱり冷静に考えたらアフリカで働くってだけで「すごい」ことか笑 友人のみなさんには会ったときに語らせてもらいます!
それでは。
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