タケダノリヒロ( @NoReHero)
アフリカ・ルワンダに住んでいます。青年海外協力隊の2年間の任期も、あと2週間で終わり。
最後に協力隊の同期隊員と、ルワンダ北部のムサンゼという地域でアコースティックライブツアーを開催してきました。
ノリの良い現地の方々のおかげでライブ自体を楽しめたのはもちろん、同期が支援先でみなさんに受け入れられて働く姿や、山奥に図書館を軸としたコミュニティを形成している村を見ることができ、たくさんの刺激と感動をもらいました。
ということで、ライブや現地の様子をご紹介します。
【ダイジェスト動画】
0:00~ 空手演武
0:11~ アカペラ
・0:11~ 上を向いて歩こう
・0:19~ STAND BY ME
0:48~ アコースティックライブ①(@ウムザビブ・ムィーザ)
・0:48~ True Colors
・0:57~ This Is Love
・1:13~ Hide and Seek
・2:25~ 夏色
・3:04~ Ntacyadutanya
3:44~ アコースティックライブ②(@スンズ村)
・3:46~ Shimwa Mana
途中テンション上がったお客さんが踊り出してほとんど映ってないw
もくじ
協力隊同期のバンドメンバー
一緒にライブをしたのはこの3人。
写真は10月に私の任地・ムシャセクターで初めてライブしたときのもの。
左: まっきー(ボーカル、ギター)
ムサンゼにある聾学校でアートなどを教えています。アメリカやインドなど海外経験が豊富。たまに日本語があやしいときがあり、前に「最近好きな言葉は?」と聞いたら「イタレリツクセリ」と言ってました。
作詞作曲してCDを作ったり、絵を描いたり、ルワンダ伝統のバスケット作りや太鼓を習ったり、アウトドアが好きだったり、この人ほど「多才」という言葉が似合う人には会ったことがありません。
写真や文章にもセンスがありすぎて、Facebookの投稿を見たらいつも「いいね」を押してしまう魔力をお持ちです。ルワンダ語の手話もイチから勉強してあっという間に、ペラペラになった努力家でもあります。
真ん中: かずき(ピアニカ、マラカス、ボーカル)
ルワンダの空手ナショナルチームコーチという、実は見かけによらずすごい人。毎週私の住むムシャセクターの学校に指導に来てくれているので、このブログやTwitterにもたびたび登場しています。
ほかの隊員や現地の方々からも「カラテを教えて!」と引っ張りだこで、代表チームの練習の合間に地方をまわっています。この2年間で教えた人数は1000人を超えるとのこと。
首都のキガリ在住。私とまっきーが練習する場所を探していたときに心良く家を使わせてくれて、「かずきもやる?」というその場の流れでピアニカ(しかもソロ)を弾くことに。
楽器未経験にもかかわらず、本番には完璧にマスターしてきていたので、おそらくひとりで相当練習していたと思われます。
右: ノリ(ボーカル、ウクレレ、打楽器もろもろ)
私です。ウィーン少年合唱団でアジア人初の団員として活躍。帰国後はジャニーズJr.でTOKIOのサポートを務めることになり、楽器に目覚めました。
(訳:楽器は中学からアコギ、高校からベースをやってましたが、ルワンダに来る前からウクレレを始めました)。
今回ライブをさせて頂いたのは、ウムザビブ・ムィーザ(Umuzabibu Mwiza)という羊毛を使った製品を製造・販売しているNPOと、その隣のブレラ郡にあるスンズ村(Sunzu village)。
2日間に渡ってライブを開催しました。
ウムザビブ・ムィーザ(Umuzabibu Mwiza)
女性の雇用を創出する、地域に根ざした羊毛加工のNPO
NPOウムザビブ・ムィーザは、我々3人の同期隊員であるとっきーの支援先。羊毛のフェルト・毛糸製品を製造・販売しています。
ムサンゼはマウンテン・ゴリラのトレッキングで有名。とっきーはそこに目をつけて、ゴリラのぬいぐるみを開発しました。
これがお土産としてヒットしたことや、国内の高級ホテルやアメリカなどに販路が拡大したことによって、約50名から100名ほどにスタッフを倍増。多くの雇用が生まれました。
ルワンダで1994年に起きたジェノサイド(大虐殺)では、50~100万人が犠牲になったと言われています。
そのときに多くの女性がレイプ被害に遭いました。このNPOではそれによって病気になってしまった女性や、夫や親を亡くした女性を雇って、彼女たちが安心して働ける環境を提供しています。
私たちが訪れた日の前日はスタッフのひとりの誕生日だったようで、「Isabukuru Nziza(誕生日おめでとう)」というそのスタッフの顔写真入り手作りポスターが貼ってありました。いい職場なんだなあ。
歌って踊って大盛り上がりのライブ1日目
ライブ1日目は、ここで働く女性たち約100名に向けて開催。
まずはかずき師匠による空手演武。
それからたまたまルワンダに旅行に来ていて、ブログ経由で知り合った元アカペラサークルの3人組も、急遽2曲(『上を向いて歩こう』と『Stand By Me』)歌ってくれました。
特に『Stand By Me』はお客さんたちも巻き込んでみんなで大合唱。さすがステージ馴れしてる!
我々は英語2曲、日本語1曲、ルワンダ語3曲を披露。
やっぱりルワンダ語の曲に対する反応は良かったですね。ゆずの『夏色』もみなさんに立って踊ってもらって、めちゃくちゃ盛り上がりました。
終わり際に雨が降ってきてしまったので、雨が上がるまでみなさんがお返しにルワンダの歌とダンスを披露してくれました。
ふだんは大人しくシャイな人が多いルワンダ人ですが、歌とダンスのときはとにかくパワフル。しかもみんな笑顔。音楽ってすごい。
ブレラ郡スンズ村
2日目はムサンゼ郡のお隣、ブレラ郡の山奥にあるスンズ村(Sunzu)へ。
まっきーのお友達であるトムさんというアメリカ人と、ザバヨさんというルワンダ人が中心となってつくったコミュニティがあり、図書館を軸に、ルワンダ人同士が英語やIT、識字、裁縫を教え合っています。
小説や生物、スポーツ、語学などたくさんの本が並んだお洒落な室内。
床にはアメリカの団体「BOOKS FOR AFRICA」からのダンボールが。
箱の中には寄贈本が入っており、これらを並べるため本棚を増設中です。
IT教室ではパソコン11台、iPad5台を使用。マイクロソフト・オフィスなどの基本的なパソコンの使い方を教えています。
テラスにもかわいい黒板と机が。
お年寄りには読み書きができない方も多いため、識字教室が開催されています。
メイドインルワンダのバッグなどを作る裁縫教室も。
サッカー、バスケなどのスポーツグラウンドも建設中。
この図書館で提供しているプログラム一覧。
この2年間ボランティアとしてまがりなりにも「国際協力」に携わってきましたが、このスンズ村の取組みは今までで一番衝撃的でした。
ルワンダの地域開発では、よく「コミュニティ・モビライゼーション(Community Mobilization, 地域住民の自発的な取り組み)」という言葉が使われます。
発起人のトムさんには残念ながらお会いすることはできませんでしたが、そのパートナーであるザバヨさんやその他のルワンダ人スタッフはこれまでに会ったルワンダ人の中でも特別スマートで好奇心旺盛に感じました。
図書館の中を案内してくれた20代前半のスタッフは「日本には津波があったんでしょ?いまは大丈夫なの?これからはどうやって防ぐの?」「ルワンダでは学校が少なくて通学に何時間もかかる子がいるけど、日本ではどうなの?」などと質問攻めにしてきたほど。
彼はここで育ち、現在は小学生に英語などを教えています。若者がこのコミュニティで力をつけ、次の世代を育てるために戻ってくる。そんな循環の芽吹きを見たようで、胸が熱くなりました。
トムさんのような第三者がきっかけをつくり、ザバヨさんら現地の人間がコミュニティを育てていく。これが地域開発の理想形なのかもしれません。
木々に囲まれた円形劇場でライブ!
ライブはそのトムさんのお宅(大豪邸)の中庭をお借りして開催しました。なんと円形劇場になっています。
ここでも前日と同じく、師匠の空手演武と、歌6曲を披露。
昨日とは真逆で男性が多かったですが、みなさん手拍子や合いの手などしながら楽しんでもらえました。
こちらは、すべての曲が終わるころにやってきたおばあちゃん。
「ほとんど聴けなかったので、1曲だけでも」とリクエストしていただいたので、おばあちゃんも知っているルワンダの讃美歌『Simwa Mana』を歌いました。
人種も世代も越えた交流。音楽ってすばらしい。
最後にみんなで記念撮影!
もうすぐルワンダを離れるけど、またいつかここに戻ってきたいなあ。
そして自分も「トムさん」みたいに、ルワンダ人と一緒にこんなコミュニティがつくれるといいなあと思えた訪問になりました。
この記事がおもしろかったら、こちらもおすすめ↓
おすすめ記事のポイント
帰国2週間前に新プロジェクト開始!ルワンダの単身赴任パパによる「手作り石けんビジネス」を支援