[:ja]アフリカ・ルワンダ在住のタケダノリヒロ(@NoReHero)です。
昨年に引き続き、キガリマラソン(ハーフ)を走ってきました!
ルワンダは「千の丘の国」と言われるほど起伏が激しいので、「世界一過酷なマラソン」とも言われるこのマラソン。
昨年はそこそこいいペースで走れたし、「楽しかった」「気持ちよかった」というイメージが残ってるので、「今年はコースも分かってるし余裕だろ」とタカをくくっていました。
が、「想い出は美化される」「辛いことは忘れる」という人類普遍の真理をすっかり忘れてました。
超しんどかったです。
ほんとに。超しんどかったです。
何度コースをショートカットしてズルしようと思ったことか(してる人いっぱいいた)w
3/4ほど走ったあたりで去年の記録は越せそうにないことが分かり、「もういっか」と歩きまくるという自分のヘタレぶりを再認識する良い機会になりました。
で、良い機会になったと言えば、考えさせられることもありました。
スタート地点にて。隣にいる人が首から看板をぶら下げてるなと思ったら、「Peace for South Sudan(南スーダンに平和を)」の文字が。
看板をぶら下げて走っていた人
南スーダンはルワンダのすぐ近く。
南スーダンはウガンダを挟んでルワンダの北に位置しています
そんな近隣国で、いまだに紛争が続いてるんですよね。
このキガリマラソンの正式名称は「Kigali International Peace Marathon」。
参加者全員がもらえるランニングシャツ
「平和」ということばが冠してあるんです。
「ピースマラソン」というイベント名はよく耳にしますが、すぐ隣の国がいまだに政情不安定であることを考えると、その意味にリアルな重みを感じられました。
参加者は全員オリジナルランニングシャツをもらえるので、ぼくも含めてほとんどの人がお揃いの黄色いシャツを着て走っていました。
黄色で埋め尽くされるマラソンコース
上の写真を見て分かる通り、このマラソンに参加しているのはルワンダ人だけではありません。
アジア人も白人も中東っぽい顔つきの人も、いろんな人が参加していました。
こうやって多種多様な人種が、同じ服を着て同じコースを走るマラソン大会が開催できるのも平和だからなんですよね。
しんどそうにしていると知らない人から「Courage(フランス語由来のルワンダ語で「がんばって」)」と声をかけられることもしばしば。
こんなふうに知らない人どうしでも一緒に楽しんで励まし合えるような空間では、戦争なんか絶対に起こりっこありません。
「ルワンダ」と聞いて多くの方が思い浮かべるのが、23年前に起きたジェノサイドだと思います。
まだたった23年前です。
ふだん生活している分には油断してしまうくらい平和で、そんなことがあったなんてとても信じられません。
でも、いまこの国にいる人たちの大半はその時の記憶を抱えて生きているはずです。
そんな国で毎年おこなわれている「ピースマラソン」。
「スポーツは世界を平和にする」と言うと大げさに聞こえるかもしれませんが、スポーツの力はほんとに偉大です。
先日、所属チームであるドルトムントのバスで爆破事件に巻き込まれた香川真司選手。
チームメイトが負傷して香川選手も非常に危機感を抱いたようで、そのときのことを書いたブログがとても身につまされます。
家に帰って、色々心配してくださる方からも連絡がきましたが、あまり頭に入らず。ベッドに入り寝ようとしても寝れず。やっと少し寝て夢を見ました。同じ情景、同じ音 またバスのガラスが割れる夢。本当に怖かったし、今も怖いです。本音いうとバスに乗るのも、試合に行くのも。モナコとアウェイの試合に行くホテルからスタジアムのバスの中も恐怖感がありました。犯人は捕まったようですが、今後もまたドルトムントや他のサッカーチームなどスポーツ団体、競技が狙われるかもしれません。今まで戦争や、テロというのは自分にとって遠いイメージがありました。でも今回このような事が起きて他人事ではなく本当身近に危険がある事を実感しました。世界の中では、このような恐怖を経験して生活をしている人がいる事を思うと本当に息苦しくてしょうがありません。このような状況は、もう誰も経験して欲しくない。世界がこのような恐怖や、争いのない世の中になって欲しい。切に願います。僕はスポーツ選手として、グラウンドで必ず全力でプレーする選手でありたい。だからこそ子供達に夢を与えられるような、そんな選手を目指してこれからも全力で頑張ります。綺麗事かもしれません。ただサッカー選手として、一人の人間として、世界中の子供達にとって安全な世の中であって欲しいと本当に思います。
日本ではまだこのようなテロ事件は起きていないため、どうしても他人事に感じてしまいますよね。
でも、いま自分が安全なのは、たまたま自分がいる場所で危険な出来事が起きていないというだけのこと。
自分がご飯を食べている間にも、お風呂に入っている間にも、学校に行っている間にも、別の国では銃声に怯えて暮らしている人たちが間違いなくいます。
香川選手は「子供達に夢を与えられるような、そんな選手を目指してこれからも全力で頑張ります」と言い、それを「綺麗事かもしれません」と書いています。
でも、ある子どもが「カガワみたいになりたい!」という希望を持って毎日一生懸命ボールを追いかけるようになれば、ルールもくそもない暴力に手を染めることも、テロに加担するような絶望感を味わうこともきっとなくなるはず。
だから、「スポーツが夢を与え、平和をつくる」っていうのは決して綺麗事じゃないですよね。
スポーツ選手として、グラウンドで必ず全力でプレーすることを約束してくれた香川選手。
自分にはどのフィールドで、なにができるでしょうか。
タケダノリヒロ(@NoReHero)
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