「小商い」、いわゆるスモールビジネスに関する本。
小商いのはじめかた 身の丈にあった小さな商いを自分ではじめるための本 | 伊藤洋志 | Kindle本 | Kindleストア | Amazon
「起業」というとえらく大げさに聞こえてしまいますが、シンプルで元手のかからないビジネスをはじめた「ふつうの人たち」18人の事例が紹介されています。
ビジネスのアイデアや勘所を教えてくれて、起業のハードルを下げてくれるような本でした。
この記事では、この本の概要や、どんな仕事が紹介されているのか、小商いのポイントはなにか、などをまとめています。
【2017/03/19 追記】
同じ著者(伊藤洋志さん)の本『ナリワイをつくる 人生を盗まれない働き方』も読んだので、後半にレビューを追加。
ナリワイをつくる 人生を盗まれない働き方
『小商いのはじめかた』
『小商いのはじめかた』あらすじ・内容
初期投資やリスクの少ない形での、シンプルで身の丈にあった「小」さな「商い」=「小商い」を、今までモノやサービスを自分で売ったりした経験をあまり持たないであろう、ふつうの個々人がはじめるための、考え方の勘所とケーススタディ。
引用元:Amazon
一般的な「起業」のイメージのように、バリバリのビジネスマンが徹底的なリサーチと圧倒的な経験にもとづいて会社を起こすというものではなく、ほんとうに「ふつうの人」たちが登場します。
彼らがどんな経緯で「小商い」をはじめたのか、どんな苦労があったのか、上手くやるポイントは何なのか。
18名、14個のしごとにまつわるストーリーを読んで、「これなら自分にもできるかも」と思わされます。
どんな人におすすめかというと、
会社員だけど土日に自分の興味・技能を活かして仕事をつくりたい方、フリーランスだけど受託が中心なので、自前のサービスをつくりたい方、ボランティア的な活動や、文化芸術活動を助成金などに頼らず継続させる方法を考えたい方など。
です。
小商いの実例
本書では小商いが5つの章に分けられています。
・自分がほしいものをおすそわけ
・ものづくりを進化させる
・遊び心が仕事を生む
・既存のモノに価値を生み出す
・地域のなかに役割を見出す
以下、小商いの実例とポイントを章ごとに紹介します。
自分がほしいものをおすそわけ
この章に出てくる小商い
・多肉植物・織物販売
・和風家庭料理
・旅行プランニング代行業
・小商いのポイント
これらはすべて自分自身の「欲しい」という思いから始まっているところがポイントです。
そのサービスを喉から手が出るほど必要としている人がひとりでもいる(=自分)ということは、ほかにも同じように欲している人が一定数いて、需要があるってことなんですね。
ものづくりを進化させる
この章に出てくる小商い
・ファッションデザイナー
・蒔絵師
・柿渋染め
小商いのポイント
ものづくりを個人でするときには、3つのポイントがあります。
①受け手も参加できる余白がある
クラウドファンディングがそうですね。「制作に参加している感じ」がするから面白い。
②品物だけでなく技術を学ぶ機会も提供する
消費に飽きている人が多いので、モノを作る楽しさを共有しましょうってことですね。
③素材が勝負どころ
工業的に生産されたものとの差別化を図るには、素材にこだわるといいですよ、と。
遊び心が仕事を生む
この章に出てくる小商い
・移動本屋
・ミュージシャン
・イベント運営
小商いのポイント
正しいから広まるというわけではなく、楽しいから広まることもあるんですね。
本章で印象的だったのは、「1個の小商いをはじめたら、それに関連する小商いが出てくる」という著者のことば。
自分が面白いと思えることをやってみると、そこから新たなビジネスが生まれてくる可能性がある。
だから元手がかからないものや簡単に始められることからやってみると、想像もつかなかったような仕事につながっていく可能性があるんですね。
既存のモノに価値を生み出す
この章に出てくる小商い
・壺やきいも屋
・弁当箱専門店
小商いのポイント
ポイントは、「古いものを調べてみて現代に活かせそうな部分を見つけ、いまの環境に合った使い方や販売の仕方を編み出す」こと。
弁当箱専門店の例では、日本好きなフランス人青年が趣味でやっていたブログを活用して、「弁当箱」をフランス人向けに販売しました。
1年半で1000万円以上の利益が出て、7年で世界84カ国、7万件の注文を受けるまでに成長。
「小商い」と言えど、これだけ大きなビジネスに成長する可能性はあるんですね。
地域のなかに役割を見つける
この章に出てくる小商い
・移動ケーキ販売
・山菜採集・和雑貨制作など
・農家・パン屋・カフェ
小商いのポイント
小商いをつくるということは、「世の中の人々が見落としていることを見つける作業」です。
それを見つけるには日々の観察がモノを言いますが、学校に通ったところで身につきません。
だからこそ学歴やキャリアなど関係なく、誰にでもチャンスがあるんですね。
ルワンダで感じること
ぼくはいまアフリカ・ルワンダの農村に住んでいます。
国自体はどんどん成長しているとはいえ、この地域にはお金のない人たちがたくさんいます。
それはなぜかというと、「自分で仕事をつくり出せないから」。
だからほとんどの人が畑を耕したり、自転車タクシーをやったり、単純労働をするしかない。
この本に出てくるように、「小商い」的なはたらき方ができれば、収入向上・貧困解決につながるのではないかと思っています。
『ナリワイをつくる』
『ナリワイをつくる』あらすじ・内容
仕事も、ほしい物も、自分でつくるのは面白い。
「ビジネス」でも「ワーク」でもなく、「趣味」でもない。DIY・複業・お裾分けを駆使した「ナリワイ」をつくり、現代社会を痛快に生きる方法論。
個人レベルではじめられて、自分の時間と健康をマネーと交換するのでなく、やればやるほど頭と体が鍛えられ、技が身に付く仕事をナリワイ(生業)と定義。具体的なナリワイのタネを生活の中から見つけ、1つ1つを自分の小規模な自営業として機能させ、それらを組み合わせていくことで、「働くこと」と「自分の生活」を近づけることを目指す著者の、人生を使ってつくった渾身の「たたき台」。引用元:Amazon
『小商いのはじめかた』は小商いの実践者たちのケーススタディが豊富に掲載されていましたが、『ナリワイをつくる』は著者の伊藤さんのはたらき方に関するエッセイのよう。
肩の力を抜いて楽しめました。
以下、ナリワイをつくるポイントと、響いたことばを引用しておきます。
『ナリワイをつくる』名言
キーワードは「コツを覚えて特訓すれば人間たいていのことはできる!」だ。専門家という既得権益者の前にひるんじゃいけない。
「お金を稼げるようなスキルなんて自分にはない」と思いがちですが、だからこそチャンスなんですよね。
ほかの人よりも少し勉強したり経験を積んだりすることでそれを「ナリワイ」にすることができる。だから小さなことから始めてみよう、というのが本書の主張です。
ナリワイは、自分が「これが世の中にないのはおかしい」と思うものをつくってそれをお裾分けする、お裾分けビジネスでもある。
「おすそ分け」という捉え方は、前述の『小商いのはじめかた』と共通していますね。
ナリワイ10か条
・やると自分の生活が充実する。
・お客さんをサービスに依存せさない。
・自力で考え、生活をつくれる人を増やす。
・個人ではじめられる。
・家賃などの固定費に追われないほうがよい。
・提供する人、される人が仲良くなれる。
・専業じゃないことで、専業より本質的なことができる。
・実感が持てる。
・頑張って売り上げを増やさない。
・自分自身が熱望するものをつくる。
本書ではこれらのことが詳しく解説されています。
困ったことには、ナリワイの種がある。
何か困った問題も一個一個考えていくと、必ず策はあり、それを解くことができれば大きさには色々あるが、必ず自分のナリワイになるはずなのである。
自分自身が困っていることだからこそ、「なんとかしたい」と思えるんですね。
大切なのは壁に突き当たっているのとは違うやり方を考えること。
生活の中で、一個一個自分のできることの範囲を広げていくというのは、RPGで技を覚えていくみたいで面白いと思う。
人が鉄腕DASHで活躍するTOKIOに憧れるのはここですよね。
家を建て直したり、米を作ったり、野菜を作ったり、重機を操縦したり――
「できることが増える」のは人生における喜びのひとつ。
自分には何ができるかなあ。
小さなことから始めてみましょう。
タケダノリヒロ(@NoReHero)
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その起業準備、ほんとに必要?とにかくやっちゃえ!『7日間起業』要約