【2018/01/22 更新】 タケダノリヒロ( @NoReHero)
2017年に盛り上がりを見せ始め、いまだその勢いを失わないネオシティポップ、都市型バンドと呼ばれるジャンル。
ヒップホップやネオソウル、アシッドジャズなど、様々な音楽の要素を含んでいるため、ひとつのカテゴリに当て嵌めてしまうのはやや強引な感じがしますが、便宜上「ネオシティポップ」としています。
星野源や大橋トリオが好きだけどちょっと物足りなさも感じていて、バンプやRADWIMPSも好きだけどちょっと飽きてきていて、ガチのダンスミュージックやラップは苦手だけど軽く乗れる音楽は好き、っていうぼくと同じくわがままなそこのあなた。きっとハマります。
特に注目度が高まっているのが、suchmos(サチモス)やceroですね。彼らに似てる音楽も集めてみました。
ほどよくお洒落で、ほどよくノレるネオシティポップです。それではどうぞ。
もくじ
Suchmos(サチモス)
Jamiroquaiが目標と公言しているSuchmos(サチモス)。ジャージで歌う姿からもそのリスペクトぶりが伺えます。
STAY TUNE
GIRL
こちらの曲『GIRL』はBase Ball Bearやペトロールズなど様々なアーティストの曲に参加しているラッパー呂布(元ズットズレテルズ)とのコラボ曲。「間」の作り方が絶妙で、グルーヴィなベースが心地良い。
Suchmosに関して非常に的確なレビューが掲載されていたので一部抜粋。
インテリ女子というのは、EDMで踊ろうなんて思わない人たちです。そこまで軽薄じゃない。彼女たちにとって、「私(たち)のバンド」と言えるようなバンドは長らくいなかったんです。もうちょっとチルな音楽だったらceroがいたけど(ceroもサチモスも湘南にゆかりあるなー)、ダンスミュージックとして楽しめるバンドはいなかった。
絶望的に窮屈で臭くてストレス以外に何も生まない朝の通勤電車の中で、ちゃんとお金を稼いでる女の子たちが心躍らせることのできる音楽が、なかった。そんな中で登場したのがサチモスなわけです。K-POPにもシティポップにもEXILEにも湘南乃風にもバンプオブチキンにもハマれない女子たち、「星野源が好き!」と言うとそれはそれでサブカル扱いされちゃうんだよね、と言って嘆く女子たちの行き場所のない「イラ立ち」にも似た何かが、サチモスに、そういった熱狂的なファンが多い理由なんじゃないかなあと。
まさにこの様々なジャンルの間を埋めながらも、没個性的ではない「ちょうどいい」バンドが出てきたなという感じですね。
MINT
YMM
『YMM』=ヨコハマミナトミライ
cero(セロ)
Orphans
この分野の代表格cero(セロ)。海沿いをドライブしながら口笛を吹いているようなイントロからぐっと引き込まれます。邪魔な音が一切ない。
バンド名は“Contemporary Exotica Rock Orchestra”の略とされていましたが、3作目のアルバム『Obscure Ride』の一曲目『C.E.R.O』の冒頭で“Contemporary Eclectic Replica Orchestra”(※)と歌っていることからバンドの方向性の変化が伺えます。
「Eclectic」 は「取捨選択する、折衷主義の」という意味の形容詞。「エキゾチック」からさまざまなジャンルを取り入れた(取捨選択or折衷した)音楽を目指すということなんでしょう。
黄色人種である日本人の彼らが、遠く離れた島国からブラック・ミュージックに向き合うものの、決してがっちりと取っ組み合うのではなく、距離をとったからこそ必要とされる想像力で埋める余裕を残す。
人種問題、宗教問題、歴史認識をとりあえず横に置いておき、代わりに想像力でR&B、ヒップホップ、ソウル、ジャズを引き寄せていく作業。だから、R&Bやヒップホップのマナーの消化が間に合わなかったとか、スキルが追いついていないということでは断じてない。意識的に間に合わせない、追いつかせないことから生まれる自在な解釈と創作性に、彼らはロマンティシズムを感じているのではないだろうか。
フリッパーズギターに影響を受けていると多くのインタビューで語っていますが、音楽性を追求して聴く人を選り好みしていた渋谷系とは異なり、誰でもとっつきやすいようなスキマを残してくれています。
アルバムを聴くとどっぷりドープな曲も多いですが。
LUCKY TAPES
個人的イチオシバンドLUCKY TAPES。軽く漂う気張らないオシャレ感。歌詞を様々なフォント・ロゴで表現するPVもセンス抜群です。
Gun
Touce!
『Touch!』はキリンジのような上質なポップスに、Daft Punkを髣髴とさせるグルーブ感のある曲。大人なパーティとかで使えそうですね。
コーラス役はモデルの瀬戸かほさん
レイディ・ブルース
17年9月23日公開の『レイディ・ブルース』。
これまたシャレオツです。
Yogee New Waves
はっぴいえんどを思い起こさせるような、不思議な懐かしさが漂うYogee New Waves。
CLIMAX NIGHT
東京で飲んで終電がなくなって歩く帰り道に聴きたいですね。ごみごみした都会の煩雑さを美しく見せてくれそうな曲。少し前の世代だとキンモクセイに近いかな。
ペトロールズ
東京事変のギタリスト「浮雲」であり、星野源のサポートなどもしている長岡亮介率いるペトロールズ。
雨
『雨』を長岡さんが街角でアコギ一本で歌っているMVです。
ギターテクだけでなく、かすれた声も渋くて引き込まれます。都会の雑踏すらもBGMの一部になってしまいますね。
3月22日にはペトロールズのトリビュートアルバムが発売!
ペトロールズのトリビュート盤にオリラブ、Suchmos、SOIL、デリコNAOKIら
この『雨』をSuchmosが演奏するほか、本記事で紹介しているLUCKY TAPESとYogee New Waves、呂布も参加。
これは必聴ですね。
UKO(ユーコ)
YUKIを一段階大人サウンドにした(年齢的にはこちらの方が全然若いですが)、シティ・ポップのようなディスコ・サウンドのようなUKO。
Signal
1stアルバムが16年4月に発売される予定で、YouTubeの再生回数を見ても注目度はまだ高くなさそうですが、こんなハッピーになれるアーティストを知らないのは勿体無いの一言。tofubeatsとかレキシとかとコラボしても面白そう。
Awesome City Club
今回紹介したなかで、いちばんよく分からないバンド(もちろん良い意味で)。
曲によって全然表情が違います。
アウトサイダー
最初『アウトサイダー』を聴いたらネオン街をイメージさせるサカナクションぽい感じとストリングスの入り方が「あんまり好きじゃないかも?」って思ったんですが…
GOLD
ナチュラルな音の足し引きと男女ボーカルの掛け合いが最高にハッピーな『GOLD』を聴いて「あれ、これ同じバンド?」と思って、
Lullaby for TOKYO
『Lullaby for TOKYO』を聴いて完全にノックアウトされました。
そして最初に戻ったら『アウトサイダー』も大好きになってました。なんだこれ。すげえ
『Lullaby for TOKYO』は360℃動画全面方位動画になってるので、ぜひ対応端末(※)で見てください。
※パソコン用の Chrome、Opera、Firefox、または Internet Explorer の最新バージョン。モバイル端末の場合は、最新バージョンの Android または iOS 向け YouTube アプリ
これを見て東京に住んでいたときのことを思い出して、ちょっと日本に帰りたくなりました。都会は都会で良さがあるんですよね。
このPVからも分かるように、ビジュアルをはじめ「バンドの在り方」に非常に強いこだわりを持っているバンドです。
アー写を作るなら作り込んだものにしたいし、ホームページを作るならちゃんとしたものにしたい。キレイじゃないものを世に出すくらいなら、何もしない方がいいっていう考えで。
引用元:Awesome City Clubが明かす、バンドの成り立ちと活動ビジョン「ドカンと売れたら一番おもしろい」| Real sound |リアルサウンド
バンドメンバーももともと知り合いだったわけではなく、「主宰者」のマツザカタクミがボーカル&ギターのatagiと話し合って様々なルールが事前に決められていました。
「洋楽的な譜割りなんだけど日本語で歌う」とか「メッセージ性はできるだけない方がいい」とか、いくつかルールを設定して、一緒にバンドをやってみない?って誘って。その時点で5人組で、そのうち2人は女の子っていうのは決めていたんですよ。
——へぇ! その時点ではまだマツザカさんとatagiさん以外はまったく目星がついてなかったんですよね?
マツザカ:そう。だからあと男1人と女2人に声をかけよう。しかも、女の子は可愛い子じゃなければダメだって。
引用元:Awesome City Clubが明かす、バンドの成り立ちと活動ビジョン「ドカンと売れたら一番おもしろい」| Real sound |リアルサウンド
この戦略性が良いですね。実際、女の子ふたりはほんとに可愛い(ボーカルのPORINと、ドラムのユキエ)。男性メンバーも洗練されており、画になります。
ブラックミュージックからロックまで多様な音楽を背景に持つ引き出しの多さと力強いビジュアルによって、テレビなどで一般にも広く受け入れられ10年代の音楽業界を変えるんじゃないかという可能性を感じさせるバンドです。
ぼくのりりっくのぼうよみ
衝撃の天才現る。デビューしたのは17歳の高校生の時です(98年2月生まれ)。
文学性の高いリリックと、流れるようなソフトなラップが心地良い。
下記のPVは映画仕立ての3部作になってます。エライザちゃん可愛い。そして男同士のキスが不思議と美しい。
sub/objective
CITI
Sunrise(re-build)
フレンズ
さまざまなバンドからメンバーが集って、2016年から活動を開始したフレンズ。渋谷系ならぬ「神泉系」がテーマです。
参考:ro69.jp
個人的に2017年10月時点でいちばんハマっているバンド。出す曲出す曲、名曲すぎます。
夜にダンス
この曲もMVもめっちゃおしゃれなのに、横からメンバーが出てきたり、画面を手で隠してシーンが変わったり、まんま岡崎体育w
フレンズまとめはこちら!
王道ネオシティポップ!いま最もキテる神泉系バンド「フレンズ」
bonobos(ボノボ)
2001年結成、2003年メジャーデビューと今回紹介したバンドでは比較的古い部類に入りますが、個人的には最近まで聴いたことがなかったので追記。
「なぜもっと早く聴いてこなかったんだ…!!」と後悔するぐらい好みの、ゆったりしたお洒落感ただようバンドでした。
Cruisin’ Cruisin
Gospel in Terminal
次々と新しい体験を提供してくれる「ネオシティポップ」系アーティストから今後も目が離せません!
つぎのページへ!
マーケティングは新世代バンドAwesome City Clubに学べ