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【再掲】ぼくが会社を辞める理由

このカテゴリでは、旧ブログで反響の大きかった記事や、思い入れの深い記事を厳選して再編集のうえ、掲載していきます。

今回は、ちょうど一年前、会社を辞める直前に書いた記事です。いま読み返してみても、自分の中にある軸はまったくブレていないなと感じます。「いまの仕事を続けていていいのかな…」と悩んでいる方や、青年海外協力隊に参加するかどうか迷っている方々の参考になれば幸いです。

<初回掲載日 2015年3月15日>

3月末をもって、3年間働いた会社(菓子メーカー・営業)を退職します。
そして、青年海外協力隊でルワンダに2年間行ってきます。

なぜそう決めたのか。

自問自答したこと、人からよく聞かれたことを書き残しておきます。

原体験が欲しい

会社を辞めるのは、ソーシャルビジネス(※)を生業とするため、それに必要な現場経験を積むためです。いまの会社に入ったのも、既に行われているソーシャルビジネスを拡大し、自分でも新たな取組を創っていきたいと思ったからです。
※社会的課題解決のための取組を、持続可能な事業として展開すること

このままこの会社で働き続ければ、「いつかは」「おそらく」そういった事業にも携われたはずです。それも自分の努力次第ですが、仕事ぶりも評価してもらっていたし、そこに辿り着く自信もありました。

ただ、そう考えた時に、「ほんとにそれでいいのか?」と腑に落ちない点がありました。それは「原体験」がない、という点です。ぼくは、人が何かに没頭するには、心を突き動かされるような「原体験」が必要だと思っています。
特にソーシャルビジネスにおいては、原体験がなければ支援を必要とする人のニーズを汲み取ることはできないと考えています。

お菓子の家教室での反省

以前、自分の得意先を巻き込んで、被災地の子どもたち向けに「お菓子の家教室」という取組を行いました。

※一応モザイクかけときました。

震災で精神的にダメージを受けているであろう子どもたちは、お菓子の家作りできっと喜んでくれるに違いない、と。

ところが、反応は予想外のものでした。

思ったより子どもたちが喜んでない

むしろ帰りたそうな子すらいる。。むむ。。

そもそもこのイベント自体、大学生による学習支援教室の「おまけ」的な位置づけでした。だからその子たちはお菓子の家教室目当てに来たわけじゃない。然るべき反応ではありましたが。。

それで反省したのは、社会貢献は「必要とされるだろう」でやるものじゃないということです。もちろんほとんどの子たちには喜んでもらえたと思うし、きっと大きくなってから「そういえば昔みんなでお菓子の家つくったなー」とほんわりした気持ちになってくれるはずです。それでも、当事者のことを理解しないままでやるのは善意の押し付けに過ぎません。

自分には、この「相手と向き合って、問題を発見して、それを解決する」という経験が欠けているんだなと思いました。

手触り感を求めて

東北では縁あって、さまざまなボランティアに参加させてもらいました。津波で流された写真の洗浄ボランティア(おもいでかえる)や、自然の防潮堤をつくる活動(岩沼千年希望の丘)、被災地を他県の人たちに案内するツアー(閖上ツアー)など。

直接被災された方々のお話を聞いたり、他県の人にそれを伝えたり、いまのこの東北でしかできない貴重な経験をさせてもらいました。でも、「原体験」と呼ぶには少し違う。たぶんそれは、これらが自分ではなく、他の人が見つけた課題に「途中参加」して「お手伝い」していたからだと思います。

尊敬する知人に辞めることを伝えた時、「手触り感を求める気持ちはよくわかる」と言われました。まさにこの「手触り感」という言葉がぴったりで、「相手と向き合って、自分で課題を発見する」という「原体験」から始めなければ、いつまで経っても自分と対象の間にあるフィルターを取り去ることはできないんじゃないかと思っています。そんなんでソーシャルビジネスを語っていいのか、と。

仮にこのまま社内で社会貢献事業に携われたとしても、手触り感を得られないままフィルターの向こうから支援をすることになるんじゃないか、と。そう思って、「原体験」を得るために青年海外協力隊に行くことにしました。

あとがき

ルワンダに来て2ヶ月。任地に移動して3週間。すでにこの「原体験」を、これから2年間で十分に得られるはずだと強く感じています。一年前、この記事を書いた時は、「世界の子どもたちに貢献したい」という想いはあったものの、それが「顔の見える誰か」を指していたわけではありませんでした。

それがルワンダに来て、ホストファミリーや村の人たちとの交流を通して、「この人たちと、この国の力になりたい」という手触り感を得ることが出来ています。一年前と違うのは、現地にどっぷりと浸かっているということです。だからヨソモノとして、住民として、双方の視点からこの国の良い面も悪い面も見ることが出来ます。

それから、一年前と違う点がもうひとつ。当時は「相手と向き合って、問題を発見して、それを解決する」と書いていましたが、いまでは向き合うのではなく「同じ方向を向くこと」が重要だと思っています。相手の立場に立つなんてことはどう頑張っても無理ですが、そこに限りなく近づこうと努力することは出来ます。

そうやってこの地域、この国の問題を「ジブンゴト」と捉えて、住民と一緒に解決していくつもりです。

タケダノリヒロ(@NoReHero

norihiro415:
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