月収4千円、一日一食…130軒調査して分かったアフリカ・ルワンダ農村部の暮らし(2016~17年)

タケダノリヒロ( @NoReHero

青年海外協力隊としてルワンダの東部県ルワマガナ郡・ムシャセクターに赴任後、2016年の7月から11月にかけて家庭調査を実施しました。

ルワンダの目覚ましい経済発展は「アフリカの奇跡」と言われていますが、調査の結果から見えてきたのは平均月収4千円以下食事は一日一食という決して豊かとは言えない暮らしでした。

お話を伺った家庭数は約130軒。ムシャセクターには5,000世帯ほどあるので、サンプルは統計的に正しいと言える数には足りません。また全て拙いルワンダ語で聞き取りをおこなったので、聞き違いや勘違いをしている部分もあるかもしれません。

こういった事情をふまえて、あくまで参考程度にご覧ください。

現地で2年間(2016年1月~2018年1月)暮らした実感もあわせて、以下の項目について書いています。

調査項目

  • 世帯人数
  • 職業
  • 収入
  • 食事回数
  • 水を得る方法
  • 1日の水使用量

ルワンダの行政組織構造

調査結果の前に、基本情報の説明を。

私は「東部県」「ルワマガナ郡」の「ムシャセクター」に配属されていました

配属先だったムシャセクター事務所

ルワンダの行政組織は「県(Province)>郡(District)>セクター(Sector)>セル(Cell)」という構造になっています。

ルワンダの行政組織構造

「セル」の下には「ウムドゥグドゥ(Umudugudu)」という自治組織や町内会のようなものがありますが、行政のオフィスや役人のポストはありません。

2017年現在、ルワンダの青年海外協力隊では、「郡」と「セクター」にボランティアが配属されています。「県」は日本で言うと「東北」や「関東」のような括りなので、統治機能はありません。

以下で紹介するデータはあくまでひとつの村(ムシャセクター)の事例であり、ルワンダ全国の状況を網羅しているわけではないということをご了承ください。

世帯人数は5.4人

私が調査した126軒のひと世帯あたり平均人数は、5.4人でした。

ひと世帯あたり人数

JICAからの事前情報では、世帯人数は4.2人(ムシャセクターの人口は21,000人、世帯数は5,000世帯から計算)だったので、若干ずれがあります。

家同士の行き来が活発なので、誰が家族で誰が近所の人なのかわかりづらい(この写真も全員が家族ではない)

私は「この家には何人暮らしていますか?」という聞き方をしたのですが、「家にはいない家族の数」も含めた方がいた(「成人して家を出た子どもが3人いる」など)ため数値にずれが出ているのだと思われます。

印象的だったのは、シングルマザーが多いこと。ルワンダでは1994年にジェノサイド(大虐殺)が起こって国民の10~20%が亡くなったとされています。

その影響のほか、若年妊娠から結婚をしないまま出産をするという例も。
アフリカ・ルワンダで、10代の女の子が突然シングルマザーになるまで

職業は8割が農家

職業は8割以上が農家でした。

職業

ただし、ルワンダは世界地図でも目を凝らさないとわからないほど小さな国なので、みんなが土地をもっているわけではありません。

ご近所さんのお庭。トウモロコシが植わっています。

畑をもっていない人は土地のある人のところで働かせてもらって、半日耕して700~800ルワンダ・フラン(約100円)稼げます。

その他の職業は、鉱山での日雇い労働や、ブティック・アリメンテーション(Alimentation, 生活雑貨やお菓子を売っているお店)、バー、清掃員・家政婦など。

無職の人が多かったのも印象的でした。

ルワンダの失業率は3.4%(New Times, 2015)と言われていますが、日本は2.8%(統計局, 2017年2月)なので数字上は大差ありません。

しかし、現地で生活している身としては、「仕事をくれ」と言われることもよくあるので失業率は10%くらいあってもおかしくないと感じています。

収入は月4千円

家庭の平均月収は28,000ルワンダ・フラン(約3,700円)

収入

日本で月4000円しかなければとても暮らしていけないと思いますが、ここでは前述の通り農家が多いので食いっぱぐれる可能性は低いです自給自足できるため)。

持っていない食べ物をほかの家庭と交換するなど、物々交換もできます。

隣国タンザニアで活動する青年海外協力隊の隊員は、「現金への信用が低いため、お金持ちはお金を得るとすぐに土地や牛に換えて保有する」と言っていました。

現金への依存度の低さは、ルワンダの農村部でも感じます。

私がアリメンテーションでお水を買おうとしたとき、大きなお札しかなく、お店の人もお釣りを持っていませんでした。

仕方なく買うのを諦めようとしたところ、「お金は明日でいいよ」と言って商品だけ持ち帰らせてくれたんです。

これから世界は貨幣経済から信用主義経済に移行すると言われていますが、経済発展していないアフリカの農村部でこのような「信用取引」が成り立っている状況を見ると、一周まわってもとの人間関係に戻るだけなのかもしれませんね。

食事回数は一日一回

家庭調査の途中から気づいて追加した「一日に何回食事をしますか?」という質問。

9割の家庭が「一日一食」という回答でした。

食事回数

ただし、比較的裕福なルワンダ人のJICAスタッフや、ムシャセクターの同僚に聞いてみたところ、朝はほとんど食べないため「一日二食がふつう」ということでした。

朝食の代わりとしては「イチャーイ(Icyayi)」と呼ばれるチャイティーを飲むことが多く、日本人の旅行客がムシャでホームステイしたときは「アマンダージ(Amandagi)」という揚げパンのようなものをよく用意してもらっています。

イチャーイ(左)とアマンダージ(右)。アリメンテーションではどちらもひとつ100ルワンダ・フラン(約12円)。

学校の寮などでは「イギコーマ(Igikoma)」と呼ばれるおかゆ(モロコシ、大豆、トウモロコシなどの粉を水に溶かして茹で、砂糖を加えたもの)も朝食代わりとして飲まれていますね。

イギコーマ。アリメンテーションでは1杯100ルワンダ・フラン(約12円)

タンパク質、亜鉛、鉄、ビタミンB・Eなど栄養豊富。 食物繊維もたくさん入っているため、満足感があり、血糖値を保つ効果も。

炭水化物たっぷりなので、食事回数の少ないルワンダでも効率的にエネルギーを補給することができます(参考:Igikoma: The wonder dish – The New Times | Rwanda)。

食事回数は少なくても、子どもたちはこれを飲んで元気に走り回っています。

今日もルワンダはこんな感じで平和です。 As usual, Rwanda is peaceful like this. #africa #rwanda #children #smile #jocv #peace

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水汲みが日課

どうやって水を得ていますか?」という質問に対する回答。

水を得る方法

62%が無料の保護湧水(Improved spring water)、20%が有料の公共水栓(Public water tap)、9%が家庭内の水道、8%が保護湧水と公共水栓の併用、1%が公共水栓と家庭内の水道を併用しているという結果でした。

こちらが保護湧水の映像。ここの水は無料で使えますが、谷底にあるので道は険しく往復1~2時間かける家庭もあります。水汲みは大抵子どもの仕事です。

公共水栓は20Lのジェリカン一杯で20~30ルワンダ・フラン(3円前後)。

公共水栓

前述の通り、現金を持っていない住民も多いのでわざわざ保護湧水まで水汲みに行く家庭が多いのが現状です。

1日の水使用量は日本の1/24

水の使用量は一日一人あたり平均12L

水の使用量

日本の平均は290Lとされているので、圧倒的に少ないです(むしろ日本人がそんなに使っていることにびっくりですが)。

前述の通り、家に水道がある家庭はわずか。

単語数が少ないルワンダ語でも「kuvoma(水汲みをする)」という動詞があることからも、水汲みが習慣になっていることが分かります。

水の入ったジェリカンを抱えて坂をのぼる子どもたち

ただ、いくら習慣になっているとは言え水汲みをするのは大変なので、必要な水でも節水してしまう傾向にあります。

私の家でも一ヶ月半ほど断水が続いたことがありました。

そのときは警備員にお願いして水を外から汲んできてもらいましたが、やはり申し訳ないので食器洗いにもトイレにもシャワーにも十分な量の水を使わないようになりました。

私の場合は短期間で済みましたが、住民は毎日こんな生活をしています。だから「しっかり手を洗いましょう」とか「体の清潔を保ちましょう」と言っても、実際にはなかなか難しく、水因性疾患の原因になってしまうということを身をもって実感できました。

まとめ

以上の結果をまとめます。

まとめ

  • 世帯人数は5.4人
  • 職業は8割が農家
  • 収入は月4千円
  • 食事回数は一日一回
  • 水汲みが日課
  • 1日の水使用量は日本の1/24

このように数字や文字情報だけ見ると、ムシャセクターでの暮らしはかなり厳しいです。

ただ、だからと言って彼らのことを「悲惨だ」とか「可哀想だ」と思ったことは一度もありません

彼らにとってはこの生活が当たり前で、家族や友人としゃべって、笑って、日々を営んでいます。

薪を集めて火を熾し、水を汲んで坂を上り、畑を耕して作物を育てるという命に直結した「暮らし」からは、都会的な生活にはない美しさすら感じました。

しかしながら、そのスロウで暖かい暮らしが人々の可能性を埋もれさせていることも事実です。

どんどん発展していく都市部と比べて、農村部にはまだまだ改善しなければならない点がたくさんあります。

これからもその改善を見守りつつ、ひとりでも多くの人が自分なりの価値を発揮できるような社会をつくるお手伝いをしていければと思っています。