アフリカのルワンダでスタディツアーや情報発信をしながら、国際協力機関でも働いています、タケダノリヒロ(@NoReHero)です。
首都キガリの本屋さんで面白い本を見つけました!その名も『Rwanda Cultural Awareness』。
外国人向けにルワンダの文化やマナーがわかりやすく解説されています。私はここに住んで約5年になりますが、「あるある」と思わずうなずいてしまったものや、「え、そうだったんだ!」と初めて知ったこともあり、とても興味深く読めました。
そこでこの記事では、これからルワンダに来る方が特に知っておいた方が良いことを抜粋して、私のコメント付きで紹介しています。すでにルワンダに来たことがある方や、いまも現地にいる方も新たな発見があると思うので、ぜひご覧ください。
Contents
アイコンタクトは避ける
ルワンダ人はしばしば好奇心から他人を見つめることがありますが(特に村で)、特に女性は直接的なアイコンタクトが好きではありません。子供たちは、年配の人との直接的なアイコンタクトは無礼であると教わります。
これはあるあるですね。特に農村部に行くと、まだ外国人が珍しいからか穴が開くほどじとーーーっと見つめられて居心地の悪い思いをすることがよくあります。でも本来直接的なアイコンタクトはあまり好まれないんですね。たしかに目を合わせてもらえないなと思うことも多いのですが、そんな文化的な背景があったとは。
間接的なコミュニケーション
ルワンダの人々はコミュニケーションにおいて間接的になりがちです。言いたいことを明確に言わず、聞き手が文脈や顔の表情など非言語的な手がかりを通して、意図を理解してもらえることを期待します。
先日ルワンダ人の知人に「お金を援助してほしい」と頼まれました。頼まれた、と言ってもはっきりと「お金をくれ」と言われたわけではなく、「これこれこういう事情があって、お金が足りなくて困ってるんだ……」と言われただけ。奥ゆかしくて好感がもてるなと思ったのですが、暗にほのめかすのもルワンダの文化なんですね(あけすけに「ギブミーマネー」と言ってくる人もたくさんいるけど)。
感情をあらわにしない
ルワンダ人は一般的に、口頭でのコミュニケーションでは感情をあらわにしません。話す際、低い声を使う傾向があり、極端な興奮や怒りを示すことを避けます。
これまでの約5年間のルワンダ生活で、怒っているルワンダ人を見たのは1〜2回。本当にそれくらい感情を表に出さないのです。一方私は現地の人とのコミュニケーションがうまくいかないとすぐにイライラしてしまうので、きっと相手には「このアジア人やたらとカリカリするなあ」と思われていたことでしょう。見習いたいものです。
スピーチ好き
“Ikinyoni Kigurutse kitavuze bicyita icyana(鳴き声を出さずに飛ぶ鳥を赤ちゃん鳥と呼ぶ)”。このことわざは、ルワンダ人がいかにスピーチを好むかをよく表しています。ルワンダ人はほとんどの場合、イベントで数回のスピーチを行い、それによってすべての集まりをフォーマルなものにします。
もう、ほんと、これ。ルワンダ人はとにかくスピーチ大好き。イベントやミーティング、結婚式などあらゆる集まりでスピーチがおこなわれます。正直、うんざりしてしまうほど。ルワンダ語のスピーチはほとんど内容がわからないので仕方ないのですが、英語で聞いていてもあまり中身がないように思えることも多いので「(ただ長く話せば良いと思ってるのでは……)」と思っていたのですが、本当にその通りかもしれませんね。まあそれもこの国の文化と知った今なら、もうすこし耐えられるかも?
他人の親の名前を呼んではいけない
若い人が年長者を下の名前で呼ぶことは、非常に失礼で受け入れられません。若者が友人の両親に会うとしたら、「ママ」と「パパ」と呼ぶべきでしょう。
これは知りませんでした。私は年長のルワンダ人をファーストネームで呼ぶこともあるのですが、たしなめられたり指摘されたりしたことはありません。だからそこまで失礼ではない気がするのですが、「まあ外国人だから仕方ないか」と許してもらっていたのかもしれませんね。たしかに子どもがいる親は「〇〇(子どもの名前)ママ/パパ」と呼ばれることも多く、フィオナという娘がいる近所の商店のおばちゃんのことは「ママフィオナ」と呼んでいます。でもフィオナちゃんとは知り合いではないですし、ママフィオナの本当の名前は知らないので不思議な感じですね。
お金の貸し借り
友人、同僚、家族からお金を借りて、数日または数か月後に無利子で返済するのは普通のことです。モバイルクレジットの開始によりローンへのアクセスが容易になりましたが、知人から借りる習慣は今でも一般的です。これは信頼とは無関係に行われ、書類などは必要ありません。
お金の貸し借りはリスクが多いので、よほどの事情がなければ私はやらないようにしています。貸す時は返ってこない可能性も十分にあることを覚悟しておくべきでしょう。いまお金を貸している人が何人かいるので、これからきちんと返してもらえるかどうか、ある意味楽しみにしています。
名前と意味
過去にルワンダ人は子供たちに悪い名前を付けることがありました(悪い名前は長生きすると信じられていたため)。政府は、人々がそれらの名前をポジティブな名前に変えることを許可、支援しています。
「悪い名前は長生きすると信じられていた」とは面白いですね(ネガティブな名前をつけられていた人には悪いですが)。この本には悪い名前の例が載っていないので、いったいどんな意味の名前があるのか気になります。知り合いに聞いてみますね。
身なりは大事
ルワンダ人は外見を重視しており、人々は服装に応じて扱われます。職場ではスマートカジュアルな服を着る傾向があります。男性はズボンとシャツを着用することが多く、女性はスカート、ドレス、またはズボンを着用することがよくあります(都市部)。
私はルワンダの農村部でホームステイプログラムを運営しています。ある大学生の日本人女性がホームステイを終えて首都のキガリに戻ろうとしたとき、ホストマザーに呼び止められました。別れが惜しいのかなと思ったら「そんな格好でキガリに行くなんてダメ!着替えなさい!」と言われていました。彼女はヨレたTシャツにタイパンツという、いかにもバックパッカーといった格好だったのでそう言われてしまったのですね。他のアフリカの国はわかりませんが、すくなくともルワンダではきちんとした身なりの人が多いですし、服装で人となりを判断されてしまうこともあるので気をつけましょう。
パーソナルスペース
ルワンダの男性または女性2人が手をつないで通りを歩くのは普通のことです。友情を表現する簡単な方法です。ルワンダ人は通常、立っているときや座っているときに少し距離を保ちます。ただし、バスやその他の混雑した公共の場所では、非常に近くに座ったり立ったりすることがあります。
ルワンダに来てすぐのときに驚いたのが、男の人同士で手をつないでいる人が多いこと!しかも恋愛関係にあるというわけではなく、単なる友好の証としてやっているだけなんです(むしろこの国では同性愛はタブー)。仲が良くて手をつなぎたくなっちゃうって、なんだか微笑ましいですよね。そして距離感はものすごく近いなと個人的には感じます。バスでも他に空いている席があるのに隣に座られたり、すれ違うときに道幅は十分あるのに軽く肩が触れるくらいスレスレを歩いたり。パーソナルスペースを保ちたい私としてはすこし苦手に感じるルワンダの文化です。
速く歩かない
ほとんどのルワンダ人は、通りや道路を速く歩くことがあまりありません。これは、自尊心と落ち着きを保つというルワンダ人の態度に大きく関係しています。
たしかにせかせか歩いている人はほとんど見かけません。日本に帰国するとまわりの人の動きが俊敏すぎて、「あれ、全国一斉強歩大会開催中かな?」と感じるほど。でも、自尊心(Self-esteem)と落ち着き(Composure)を保つため、という意識がクールですよね。そんな気持ちを胸に、のんびりゆったり歩いていきましょう。
時間に柔軟
ルワンダの文化的価値観に反しますが、ルワンダの人々は非常に時間に対して柔軟です。約束に15〜30分遅れるのは普通であり、これは失礼または無礼であると解釈されるべきではありません。
現地の人々は時間をゆるく捉える人が多いうえに、遅れたり予定が変更になったりしても連絡をくれない(連絡がつかない)人もいるので、待ちぼうけになってしまうこともよくあります。電話で「いまどこ?」と聞いて「いま向かってる(I’m coming)」と言われたら、たぶんその人はまだ家にいます。逆に自分が誰かと待ち合わせするときは、数分の遅れくらいなら気にもとめられないので、その点では心にゆとりをもてていいですね。
時間の読み方
ルワンダ語の解釈では、1日は日が昇って人々が目を覚ますときに始まります。つまり、ルワンダ語の最初の1時間は午前7時で、これはルワンダ語で「Saa moya サーモヤ(スワヒリ語で1という意味)」です。最後の1時間は午後6時「Saa Kumi n’ebyiriサークミネビリ(12時という意味)」です。ルワンダ人は1から12までの12時間を使用します。他の言語で時間を伝えるとき、ルワンダ人は変換を行わなければならず、それによって時折スムーズに言えないことがあります。
これは私もいまだに慣れません。7時を表したいときは「1時」を意味する「Saa moya サーモヤ」と言わなければいけませんし、8時と言いたければ「2時」を意味する「Saa mbiri サーンビリ」と言わなければいけません。逆に英語で話しているときはルワンダ人も間違えることがあるので、現地の人にとっても異言語になったらややこしいものなのだと思います。
ものごとが急に決まる
スケジュールに非常に柔軟であることは、ルワンダ人が非常に自発的になるのに役立ちます。この態度は、国の急速に成長している発展に大いに役立ちました。大きなイベントがほんの数週間前に開催されて成功するのは普通のことです。ほとんどのルワンダ人は、仕事終わり(午後5時)のほんの数時間または数分前に、その夜にすることを決めるものです。
この国民性を実感したのはコロナ対策。私の記憶が正しければ、「明日からロックダウンします!」というお達しが前日の夜に出たこともあったはず。だから「え、あと数時間で始まるじゃん!」となって大パニック。ロックダウン中は都市間移動が禁止になるため、移動が間に合わなかった人も多かったそう。さすがにその次のときにはもう少し宣言から実行までの猶予期間が設けられるようになったはずですが、いずれにせよ国民はなんとか受け入れていたので、そういう文化なのですね。
出された料理をすべて食べきる必要はない
ルワンダ人は一般的にとても親切で、自宅ではたくさんの食べ物を与え、時にはお茶に砂糖を加えることでこれを示します。あなたが食べているのを見て、尋ねることなくボウルから食べ物をすくい取ってあなたの皿につぐこともあります。特に村では、とても甘い紅茶が好まれるので、もっと砂糖を入れるように言われることもあります。単純に「いいえ」というだけでは、もっと料理や砂糖を与えようとする相手を止めるのに十分ではありません。「いいえ、ありがとう」と数回言うか、お皿やカップを少し動かして、お茶がいっぱいであること、砂糖を増やしたくないことを示す必要があります。
現在、より健康的な生活キャンペーンが行われていますが、多くの高齢のルワンダ人は、体重を増やすことが良いことだと考えています。だからあなたを褒める方法として「太っている」と言う人もいるでしょう。
ルワンダの家族と一緒に滞在している場合、彼らが良いホストとしてあなたを「太らせ」ようとしても驚かないでください。ゲストが体重を減らして家を出ることは、彼らにとっては非常に残念なことです。
これは私自身も経験してしますし、ツアーのお客さんがやられている姿も何度も目にしています。ルワンダでは紅茶1杯にカレースプーン山盛り4〜5杯の砂糖を入れる人も少なくないので、初めて見たときは「あれ、なんかタイムリープしてる?」と自分の目を疑ってしまいました。現地の人々は良かれと思ってどんどん料理や砂糖を勧めてきますが、無理につきあわず「本当に結構です。ありがとう」とはっきりお断りして大丈夫です。
公共の場で食べてはいけない
違法ではありませんが、公共の場で(通り、教会、町のバスで)食事をすることは、自分を尊重しないこととして眉をひそめられます。ずっと昔からルワンダはあまり表現しない文化だったので、自分の生活をプライベートに保つ傾向があります。ルワンダ人の多くの秘密的な行動の1つは、昔も今も何を食べているかを他人に示さないことでした。
公共の場で食事をしないこと。日本やその他の国では食べ歩きも一般的に行われているので、ルワンダの観光客や現地滞在者は気をつけなければいけませんね。
カルチャーショックを楽しもう
『Rwanda Cultural Awareness』から特に興味深いトピックを抜粋してお届けしました。こういった文化的な違いって面白いですよね。知らなければ思わぬトラブルにつながってしまう可能性もありますし、知っておけば現地の人との交流をより楽しめると思うので、ぜひ覚えておいてください。あなたがルワンダで過ごす時間がより実りあるものになりますように。
「ルワンダについてもっと知りたい!」という方は、当社アフリカノオトの各種イベント、発信情報をご活用ください。
今月(2022年1月)は、アフリカ・ルワンダの「いま」や社会課題を学ぶオンラインプログラム「オンラインSTART」を開催いたします。詳細をご覧いただけたらうれしいです!
- 日程 : 1/9(日)16(日)23(日)
- テーマ:①概要編、②歴史編、③生活編、④IT編、⑤バーチャルツアー
- 料金:1コマ 1,000円〜
- 詳細:Peatix
今回紹介した本の情報です↓
- 書籍名:Rwanda Cultural Awareness
- 価格:15,000RWF(約1,600円)
- 購入場所:Ikirezi Bookstore(在ルワンダ日本大使館の裏あたり)
- 発行者:Impact Route