タケダノリヒロ( @NoReHero)
「ルワンダにとって影響力のある国はどこですか?」という質問をいただきました。
うーん……わからん笑
と言うのも、私は2年間現地で暮らしていましたが、日本で言う「アメリカ」や「中国」のように「これっ!」っていう国がぱっと思い浮かばないのです(単純に私がニュースを見ていなかったせいかもしれませんが)。
旧宗主国のベルギーやドイツ? それともやっぱり大国アメリカ?いやいや、アフリカにぐいぐい進出していると言われている中国もあり得ます。
そこで、ルワンダに対する各国・各組織のODA(Official Development Assistance、政府開発援助)の額を比べてみました。「ODA額=影響力がある」とは言い切れませんが、一定の基準にはなるはずです。
結論としては、アメリカ、欧州諸国(イギリス、オランダ、ドイツ、ベルギー)、それから東アフリカ共同体諸国として結んでいます。
ODAレポート
では、さっそくODAレポート(RWANDA OFFICIAL DEVELOPMENT ASSISTANCE REPORT, 2017)を見てみましょう。
左の欄から、「出資元」「プロジェクトの数」「出資額(USドル)」「1プロジェクトあたりの出資額(USドル)」です。
なぜか一部金額順になってなかったり、略語でわかりづらかったりするので、まとめ直すとこうなります。
順位 | 出資元 | プロジェクトの数 | 出資額(百万USドル) | 1プロジェクトあたりの出資額(百万USドル) |
1 | 世界銀行グループ | 23 | 231 | 10 |
2 | アメリカ | 5 | 170 | 34 |
3 | アフリカ開発銀行グループ | 22 | 99 | 4 |
4 | EU | 18 | 88 | 4 |
5 | グローバルファンド | 3 | 75 | 25 |
6 | イギリス | 13 | 53 | 4 |
7 | オランダ | 58 | 39 | 3 |
8 | 国連 | 16 | 37 | 0.6 |
9 | ドイツ | 13 | 36 | 2 |
10 | ベルギー | 23 | 29 | 1 |
11 | 中国 | 1 | 25 | 25 |
12 | 日本 | 32 | 25 | 0.8 |
気になったポイント
援助額だけでいえばやはりアメリカの影響力は大きいです。オランダが上位なのが意外でしたが、2年間現地で生活していても、特にオランダの話は耳にしませんでした。でもプロジェクト数も58と圧倒的に多いです。もっと調べればルワンダとオランダの結びつきも見えてきそう。
ドイツ、ベルギーは元宗主国なのでやはり、という感じです。1889年にドイツ保護領となり、以後ルワンダは第一次世界大戦終結までドイツ領東アフリカの一部とされました。1918年以後はルアンダ=ウルンディとしてベルギーの委任統治下に置かれ、少数派のツチが中間支配層に据えられます。ルワンダとして独立したのは1962年。
参考:Wikipedia
欧州諸国の名前が挙がっていますが、フランスは入っていませんでした。ルワンダはもともとフランス語圏でいまでも公用語のひとつになっているので、関係性が強くても良さそうなものですが。
4位「EU」の枠内で多額の出資をしているのか、ODA以外の面で関わりが強いのか、それともルワンダとフランスは実はそんなに関係性がないのか、現時点ではわからないので追って調べてみます。
中国と日本は額で見ればほとんど変わらなかったのが意外でした(もっと中国の存在感があると思った)。ただ、中国は1つのプロジェクトで2,590万USD、日本は32のプロジェクトで2,550万USDなので、やはり中国すげえという印象です。でも考え方によっては32ものプロジェクトで支援している日本もすごいですよね。
現地では「China(チャイナ、チナ)!」と声をかけられることが圧倒的に多いです。これは「アジア人と言えば中国人」と考える人の多さの現れではないかと思っていますが、日本人が白人を見たら「アメリカの人かな?」と思ってしまうのと同じようなものかもしれません。
東アフリカ共同体
ODAとは別に、近隣国との関係性から考えると「東アフリカ共同体(East African Community)」に含まれる他5カ国とも密接なつながりがあると言えます。
東アフリカ共同体とは、ケニア、タンザニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、南スーダンの東アフリカ諸国により結成された共同体です。共同市場の拡大・強化、経済協力の促進、運輸通信、金融、経済計画、財務、企業などの面での協力などを目的としています。
参考:コトバンク
ルワンダでは2017年にスワヒリ語が公用語に追加されました(他はルワンダ語、英語、フランス語)。東アフリカ共同体の共通言語であるため、近隣国との関係性を強化するという思惑があるようです。
ルワンダにおける日本の支援の例
各国からルワンダに対する支援に話を戻しましょう。このような支援は、現地ではどうやって生かされているのでしょうか。
私はルワンダの首都キガリから東に車で1時間ほどのルワマガナ郡にある、ムシャセクター(Musha Sector)という農村部に住んでいました。
ここでも日本の支援の足跡を辿ることができます。
村の中心部にある教会の目の前に、こんな看板があります。「COOPERATIVE WORKSHOP MUSHA SECTOR」。「Cooperative(コーペラティブ)」とは「組合」のことです。
同じ目的をもつ住民同士がグループをつくることで、行政サービスを受けやすくなったり、互いに技術や知識、資金をシェアしたりできるようになります。
この看板の通り2km先まで行ってみると、こんな建物がありました。ここはおもにミシン組合によって使われているそうです。
中にはたくさんのミシンや、ここで作られた服(おもに「キテンゲ」と呼ばれるアフリカ布製のドレスやシャツ)が置かれていました。
ステッカーを見ると、ミシンは日本ではなくEUやPlan Internationalからの支援であることがわかります。ひとつの場所に対する支援でも、さまざまな国や団体が関わっているのですね。
黒板には誰かが刺繍のやり方を指導・指示したような跡が残っていました。
見て分かる通り、この施設は比較的よく活用されているようでした。しかし、残念ながらせっかく海外から多額の支援を受けて設備を整えても、現地で生かされないというケースは多々あります。
そのため、そういったところに現場をマネジメント、コーディネートできる人材が入ることには大きな意義があると、2年間協力隊として草の根レベルでボランティアをして実感しているところです。
お金は必要だけれども、生かされなければ意味がない。草の根活動の影響力は小さいけれど、その力が活きる場所もある。
お金をもっている人、計画を立てられる人、現場を動かせる人、活動効果を検証できる人、さまざまなプレイヤーがそれぞれの領域で力を発揮することが国際協力においては重要なのではないでしょうか。
ODAから見て影響力があるのはアメリカ・欧州諸国・EAC
まとめます!
「ルワンダにとって影響力がある国はどこですか?」という質問に対してODA援助額から考えるならば、アメリカがダントツです。確かにニュースでもトランプ大統領の情報などアメリカの話題は多かった気がします。次いでイギリス、オランダ、ドイツ、ベルギーなどの欧州諸国。
地理的・政治的な面から考えると、東アフリカ共同体各国(ケニア、タンザニア、ウガンダ、ルワンダ、ブルンジ、南スーダン)の影響力も大きいと考えられます。
私があまりニュースを見ていなかったので、実はもっと関係性が強い国もあるかもしれません。ひとまずODAを中心にルワンダと他国の関係性を考えてみました。
ルワンダにおける日本の支援の一例も紹介しましたが、参考になれば幸いです。
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日本の支援で建てられた施設もレポート!https://t.co/BWxkX1p7Ty
— ルワンダノオト (@Rwandanote) 2018年4月18日