タケダノリヒロ( @NoReHero)
Twitterで話題の『僕らはSNSでものを買う』を読みました!
マーケティング関係の調べごとをしていたらたいていお世話になる「ferret」の創刊編集長、飯髙悠太さん(@yutaiitaka)が書いた本です。内容は、タイトルどおり「モノを売るうえでのSNSの活用方法」について。
どのような情報発信をすればそれが購買につながっていくのか、が事例をまじえながら解説されています。
ポイントは、以下の3つの概念。
・UGC(ユージーシー)
・ULSSAS(ウルサス)
・スモール・ストロング・タイ(小さくて強い絆)
自分のように起業したばかりの経営者はもちろん、マーケティングを学びたい人、自分で集客しなくてはならない個人事業主の方々におすすめの本です。
個人的に「これは……!!」と思った学びは下記の3点。
・ただ発信するだけでなく、ユーザーの口コミを意識すること!
・「フォロワーが多くてツイートの少ないインフルエンサー」より「フォロワーが少なくても届けたい相手に情報を届けてくれる一般人」のほうが大事!
・狭さと深さにファンがつく
本書の重要な部分をピックアップ・要約して、自分のビジネスに活かすにはどうするか?という具体例をまとめてみました。
もくじ
ほんとにSNSでモノが売れるの?
まず、みなさんはSNSきっかけでモノを買ったことがありますか?
売り手として考えてみても、「ほんとにSNSでモノが売れるの?」と思いますよね。
本書に書かれている統計によると、20〜30代女性1000人のうち、65%がSNSきっかけで購買・参加を決めているそうです。
SNSが購買をうながすきっかけになるんですね!
たしかにぼくがこの本を買ったのも、Twitterのタイムラインに流れてきたからでした。
でも、いまは情報の99%は届けたい相手に届かない「情報砂の一粒時代」とも言われています。世界中の砂浜のなかから自分の求める一粒の砂を探すくらいむずかしいということですね。
じゃあどうすれば自分の届けたい人に、きちんと情報を届けることができるのでしょうか?
そこでカギとなるのが、家族・友人・知人のことば。つまり口コミです。
購買決定における影響力順位では「家族・友人・知人」からの推薦が一番影響力が強い、という調査結果があります。
これだけ情報があふれかえる時代だからこそ、身近な人からの情報が頼りになるんですね。だから「UGC(User Generated Contents)=ユーザーがつくったコンテンツ」が大事だよ、というのが本書の主眼。
3つのポイント
UGC=口コミをつくれ!
「UGC」とは「ユーザーがつくったコンテンツ」のことですが、「コンテンツ」と言うと大げさに聞こえてしまいますよね。でも、TV番組や動画作品のように大がかりなものだけでなく、インスタの投稿やAmazonのレビューなども立派なコンテンツなのです。
UGCを上手く活用した例として上げられているのが、2018年末のPayPayの「100億円あげちゃうキャンペーン」。
あの当時、タイムラインをひらくと「〇〇円当たった!」というPayPayの話題で持ち切りでしたが、PayPayの公式アカウントを見た記憶ってあんまりないですよね。それだけユーザーが自発的に「宣伝」していた、つまりUGCが生まれやすい企画だったと言えます。
ULSSAS=SNS時代の購買プロセス
「UGC」を起点として生まれる購買プロセスが「ULSSAS(ウルサス)」です。
UGC→LIKE(いいね!)→SEARCH1(SNS検索)→SEARCH2(グーグル・ヤフー検索)→ACTION(購買)→SPREAD(拡散)という流れになっています。
ぼくが運営しているスタディツアーを例に考えると、
UGC:参加者の感想ツイート
↓
LIKE(いいね!):見込み客によるいいね
↓
SEARCH1(SNS検索):見込み客がTwitterで「#スタディツアーSTART」をハッシュタグ検索
↓
SEARCH2(グーグル・ヤフー検索):詳細情報を見るためにグーグルで「スタディツアーSTART」を検索&公式サイトを訪問
↓
ACTION(購買):ツアーに申し込み
↓
SPREAD(拡散):ツアー体験後、Twitterで感想を投稿
という流れをイメージできます。たしかにULSSASになってる……!
ちなみに「拡散」が「シェア(Share)」じゃなくて「スプレッド(Spread)」になっているのは、ただの情報共有ではなく、承認欲求をのせた投稿という意味合いが強いからだそうです。
サービスの作り手としては、ユーザーに「これを拡散したら友だちにイケてるって思ってもらえそう!」と感じてもらえるような価値を提供していきたいですね。
スモール・ストロング・タイ(小さくて強い絆)
3つ目のポイントは「スモール・ストロング・タイ(小さくて強い絆)」。
リアルな関係に近い濃密なつながりを表したことばで、情報の拡散はインフルエンサーによるものではなく、鎖のようにつながって広がっていくものだという考え方にもとづいています。
スモール・ストロング・タイの連鎖でUGCが広まると、ほかの情報よりも信頼され、購買につながる確率も高くなるんです。
まずはTwitter強化!
スモール・ストロング・タイをつくっていくうえで有用なSNSがTwitter。
Twitterは月間アクティブユーザー数が多く、拡散性、データ活用に優れているためです。
さらに、どんな人がTwitterを使っているか、という点もポイント。
SNSには①プライベートグラフ、②ソーシャルグラフ、③インタレストグラフという3種類があります。
①プライベートグラフ:家族や親しい友人とのつながり(LINEなど)
②ソーシャルグラフ:学校、職場、サークルなどのつながり(Facebookなど)
③インタレストグラフ:趣味や興味などのつながり
Twitterは③の「インタレストグラフ」が多いのかなと思っていたのですが、意外と①プライベートと②ソーシャルグラフで使っている人が多い、つまりリアルな友人とのやり取りで使っている人が多いそうです。
たしかに思い返してみれば、Twitterを本格的に発信ツールとして使い始める前は、ぼくも現実世界でもつながっている友人とのやり取りが多かった気がします。Twitterガチ勢以外は、そうやって使っている人が多そうですね。
つまり、情報を拡散するためにはUGCやスモール・ストロング・タイが大切だということを踏まえれば、良いフォロワーとはインフルエンサーではなく、届けたい情報を強い絆のある相手に届けてくれるユーザーだということになります。
数字に表すと、下記のような感じですね。
△フォロー300、フォロワー10,000、ツイート3,000
→ フォロワーは多いけど、絆は薄くツイートも少ない
◎フォロー30、フォロワー50、ツイート50,000
→ フォロワーは少ないけど、絆が強くツイートも多い
具体的な運用のコツとしては、まず「投稿に反応してくれた人をRT&フォロー」すること。ただ一方的に発信するだけでなく、インフルエンサーに媚びを売るのでもなく、双方向にやり取りができる関係性を少しずつつくっていくことが大事なんですね。
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コンテンツマーケティング
そうは言っても「UGCがなければULSSASも生まれないじゃん!」と思いますよね。そんなときこそ、コンテンツマーケティング(※)が有効なんです。
※コンテンツマーケティングとは、ユーザーにとって価値のある有益なコンテンツでWebサイトへ呼び込んでファン化し、問い合わせや商品購入などの行動へとつなげるマーケティング施策のこと(引用元:コンテンツマーケティングとは?基礎や成功するための戦略について | デジ研 )
具体的にはブログやオウンドメディア、動画配信、メルマガなどですね。たとえば自社のブログをユーザーAさんがTwitterでシェアしてくれたら、その会社のことを知らなかったAさんの友達Bさんにも情報が届く可能性が出てくるわけです。
これによって、潜在顧客にアプローチできる、商品購入の可能性がある顧客を育成できる、購入直前の顧客の後押しをできる、などのメリットが生まれるんですね。
だから、自社のコンテンツを評価する際は「PV」や「再生回数」ではなく、「間接的なコンバージョンへの貢献(そのコンテンツきっかけでどれだけ購買につながっているか)」を評価基準にするべきだと言えます。
オウンドメディア運営のコツ
本書では、オウンドメディア運営のコツについても書かれています。
誰の、なにを、どう解決する?
そこで重要なのは「ミッション」と「ユーザー」の設定。平たく言うと「誰の、なにを、どう解決する?」ということ。
コンテンツの良し悪しも、このミッションに照らし合わせることでわかるんですね。
ペルソナの設定
「誰のなにをどのように解決するか」を決めたら、次は「ペルソナ」の設定。ペルソナとはその商品やサービスを使う典型的なユーザー像のこと。
著者の飯髙さんが編集長をしていたときの「ferret」のペルソナ像は、こんな感じだったそうです。
20人くらいの会社で、3億程度の売上を持っている部門に所属していて、マーケティングを担当している。ウェブに特化したマーケティングチームを作るだけの予算も人員もないので、ある程度、広く浅い知識が必要だと感じている。ウェブで調べ物をするときは、グーグルとヤフーで検索上位にある記事を読む。または、スマートニュースやグノシーをはじめとしたキュレーションメディアを見ている
引用元:僕らはSNSでものを買う
ここまで細かくイメージすることで、ユーザー視点の思考ができるようになるんですね。
これからのメディアは「広く浅く」か「狭く深く」に二極化していく、と著者は語っています。大手メディアが「広く浅く」運営するため、オウンドメディアは専門メディアとして「狭く深く」掘り下げることでニーズに応えていくことができるんですね。
情報の99%は届かない時代なので、「自分たちの専門領域について、深く伝えて、それを本当に必要としてくれる人に届けること」が勝ち筋、というわけです。
ぼくが運営しているメディア「ルワンダノオト」も、ルワンダ情報専門サイトなので、それはまあニッチな情報を取り扱っています。
月のアクセスも5000PVくらいなので本当にターゲットの限られた小さなメディアなのですが、だからこそ「狭く深く」情報を届けていきたいですね。
「ルワンダのことなんて書いても、ほんの数人しか読んでくれないしな……」と思うこともありましたが、本書からその「読んでくれる数人の大切さ」をあらためて学ぶことができました!がんばるぞー。
『僕らはSNSでものを買う』まとめ
まとめです!
【『僕らはSNSでものを買う』3つのメイン概念】
・UGC(ユージーシー):ユーザーのつくったコンテンツで口コミを生む!
・ULSSAS(ウルサス):SNS時代の購買プロセス
・スモール・ストロング・タイ(小さくて強い絆):情報は鎖のようにつながって広がっていく
この記事に書いたのは本書のごく一部。もっと詳しい考え方や参考になる事例も満載なので、ぜひ読んでみてください!
タケダノリヒロ( @NoReHero)