青年海外協力隊のタケダノリヒロ(@NoReHero)です。
ルワンダで住民の生活向上、特に水・衛生環境の改善に携わっています。
協力隊の任期も残り10ヶ月。第二四半期に入ったので、改めて今後やっていきたいことを整理してみました。
アイデアをバーっと紙に書き出す、いわゆる「ひとり合宿」。
意識の高さにふるい落とされないように、しっかり掴まっていてください!(なにに)
もくじ
3つの目標とその影響
紙に書き出して考えてみた問いかけは、「協力隊として、どんな成果を残したいか?」と、
「それによって、だれに、どんな影響があるか?」
130件の家庭訪問などこれまでにやってきたことを下敷きにして考えた結果、やりたいことはおもに3つ。
学校向けの衛生啓発活動、地域向けの衛生啓発活動、安全な水へのアクセス向上。
学校向けの衛生啓発活動
ひとつめは、学校向けの衛生啓発活動。
「衛生クラブ」がうまく機能してきた小学校をモデルとして、ほかの学校へ波及させていきます。
これまで
活動の軸となるのは、ルシシロ小学校という近所にある学校です。
ルワンダの学校には、「AIDS予防啓発クラブ」「環境クラブ」など日本でいう委員会にあたる、生徒のグループがあって、この学校にも「衛生クラブ」が形の上では存在していました。
しかし、うまく機能していないので指導してくれと先生から頼まれ、サポートすることに。
それで、メンバーを集めてWASH(Water, Sanitation, and Hygiene)に関するワークショップをやったり、ほかの生徒に衛生行動を呼びかけたり、発表会を開いたりしてきました。
なので、「衛生クラブを再稼働・再組織化する」という当初の目標は達成(詳しい経緯は下記のページから)。
ルシシロ小学校衛生クラブ~立ち上げから自立まで~
ただし、ぼくが帰ってしまったら、またこのクラブが形骸化してしまうのでは、というのが懸念点です。
これからの課題と目標
なので、これからは「このクラブをいかに自発的・持続的な取り組みにするか」が課題。
そのためには、先生を巻き込んだり、衛生クラブ運営に関するガイドラインや手法を定着していく必要があります。
さらにもう一歩踏み込めれば、「このクラブをモデルとして、衛生クラブの取り組みをほかの学校・地域に波及させたい」と思っています。
そのために、ルシシロ小学校以外の学校とも関係を築いたり、WASAC(水道局)や郡庁、そこに配属されているほかの協力隊員、ヘルスセンターなどと協力していきたいなと。
どんな影響があるか
で、この取組によってどんな影響があるのか。どんな意味があるのか。
「あなたの学校をモデルとして、ほかの学校のお手本にしてもらいますよ」と言うことで、衛生クラブ担当の先生のモチベーションが上がります。
自発的・持続的なクラブ活動には先生の積極的な協力が不可欠ですからね。
ルシシロ小学校をモデルケースとして確立できたら、こんどはそれを水道局やヘルスセンターと協力してほかの学校へ波及させていきます。
それによって、より多くの子どもたちの衛生意識・行動を改善することが可能に。
で、究極的には「学校・家庭における水飲性疾患の予防・削減」につなげようじゃないかという作戦です。
地域向けの衛生啓発活動
ふたつめが、地域向けの衛生啓発活動。高校生を軸に、地域を巻き込んで「衛生啓発フェス」を開催します。
これまで
ルワンダには学校だけでなく、地域にも住民によって組織される「衛生クラブ」があり、ヘルスセンターのコミュニティ・ヘルス・ワーカー(CHW)がそれを取りまとめています。
しかしぼくがこのムシャセクターに来た当初は、この衛生クラブもうまく機能していませんでした。
ところが最近になってセクターとヘルスセンターの働きかけによって、衛生クラブが再始動。
なのでこれまで出来ていなかった地域向けの衛生啓発活動を、地域の衛生クラブやヘルスセンターと協力してやっていきたいと思っています。
…が、現状ではヘルスセンターや地域の衛生クラブと動き出すきっかけがまだ掴めていません。
これから
そこで、高校生の力を借りようと思っています。
以前GSアパジーというセカンダリースクール(日本で言う中学と高校)で、衛生クラブ向けにワークショップをやったとき、その生徒から「こんどは地域に向けて自分たちでなにかやってみたい」という嬉しい声をもらいました。
高校生が地域に向けて啓発活動をやってくれたら、地域の大人たちにとって刺激になるに違いない!と思い、彼ら主導で「衛生啓発フェス」が出来たらいいなと。
ネーミングに特に意味はありません。「イベント」より「フェス」の方がなんかお祭り感が出て楽しそうなのでw
どんな影響があるか?
これによってどんな影響があるのか。
「住民の衛生意識・行動が改善する」のはもちろんですが、ほかにも
「高校生が親になったとき、子どもに正しく楽しく衛生教育をできるようになる」
「高校生に触発され、地域の衛生クラブの活動が活発になる」
などの効果が期待されます。これらは
「地域における水飲性疾患の予防・削減」
につながります。
もうひとつ、副次的な効果として期待しているのが
「高校生に成功体験をもたらし、自信と好奇心が養われる」こと。
これによって、ただ単に衛生啓発が促進されるだけでなく、高校生の精神的な成長につながればいいなあと。
安全な水へのアクセス向上
最後に、安全な水へのアクセス向上。プライベート・オペレーター(給水事業者)と住民組織のネットワークづくりを支援します。
これまで
ルワンダの地方給水システムは、郡から委託されたプライベート・オペレーター(PO)によって維持管理されています。
赴任当初、このセクターのPOである会社の社長さんと仲良くなって、公共水栓の補修に取り組もうと思っていたんですが、国全体の方針転換に合わせてPOも変わってしまいました。
それ以来、いっさいPOとコンタクトが取れずいまに至ります。
そんななかでも、「水道から水が出ないんだけど」と住民に言われることもしばしば。
ぼくが何もしなくてもいつの間にかまた水は出るようになってるので、特に心配はしてなかったんですが、困ってる人がいるのは事実。
しかし「なぜ水が出ないのか」、「故障なのか、意図的に止めているのか」「故障だとしたらどんな原因と解決法があるのか」といった基本的なこともいまだに分かっていません。
これから
なので、給水システムに関する基礎知識を教えてもらう必要もありますが、なにより必要なのは住民が困ったらPOとやり取りできるようなネットワークづくりです。
まずはPOの連絡先を同僚なり前POに教えてもらうなりして、コンタクト取らなきゃな。
どんな影響があるか
これによって、どんな影響があるのか。
「公共水栓に異常が起きたとき、住民がPOを呼び、修理・対応できる」
そうすれば
「住民の安全な水へのアクセスが向上する」
という目標を達成できます。
が、もう一歩踏み込めれば、
「POから住民へ技術移転がおこなわれる」
というステップを踏んで、
「公共水栓に異常が起きたとき、軽微なものなら住民自身で対応できる」
というレベルまで行ければいいなと思っています。
断念したこと
ちなみに、やってみてダメだったこともあります。
たとえば、学費を出す代わりに家計簿の付け方などを教えていた家庭への支援。
学費以外にも「学用品が必要だからまたお金をくれ」と言われて、そこまでは事情を汲んでお金を出しました。
ただその後もスクールトリップやら病院代やらと、ことあるごとに電話がかかってきて何度もお金を要求されて辟易としてしまいました。。
お金の絡むことなので覚悟をもって踏み込んだつもりだったんですが、想像以上にしんどかったです。
で、これ以上かかわっていると自分が精神的に耐えきれなくなるので、いまはなにもできずにいます。
「相手の自立を阻害しないように」と最大限注意を払ったつもりですが、結果的に外部からの支援に対する依存を強めてしまいました。
やっぱり「支援」するのは難しい。助けりゃいいってもんじゃない。
ということで、断念してしまったものもありますが、今後メインで継続していくのはこの3つ。がんばります!
スケジュール
帰国まで約280日!
残り時間をより強く意識できるように、ざっくりしたスケジュールをでっかく作って、さっきの目標と合わせて壁に貼ってみました。
ほんとはどっかのイケてるベンチャーみたいに壁に直接書きたかった(そんなことしたら大家さんに怒られる)。
3ヶ月くらい先まではなんとなく見通せるんですが、協力隊はなにがどうなるか分からないのでそれより先はスカスカですw
とりあえず残り時間を意識して、ほんとにやりたいことに集中して取り組みます。
「テンションの上がらねぇことにパワー使ってる場合じゃねぇ!」by 宇宙兄弟
ちなみにプライベートでやりたいことはこれ。
ハンモックはカーテン再利用でできそう。
タケダノリヒロ(@NoReHero)
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【青年海外協力隊】中間報告と家庭調査結果と心がまえ