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『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』要約・書評・感想~3つの新ライフステージ~

【更新 2018/07/09】タケダノリヒロ( @NoReHero

『ワーク・シフト』のリンダ・グラットンらが書いた、『ライフ・シフト』を読みました。

これから人類は、当たり前に100年生きる人生(100年ライフ)に突入していきます。

そうなると、まず問題となるのは「老後の資金をどうやって確保するのか?」ということ。これまでは、40年の労働で老後の20年をカバーできていましたが、老後が35年に延びたらカバーするのはしんどいですよね。

序盤は「お金」にまつわるリアルな話が中心で、「長生きなんかしてもいいことないじゃん!!!」とお先真っ暗な気分にさせられます。

しかし、「そんな時代をどう生き抜けばいいのか?」という疑問に対して、ヒントを与えてくれるのがこの本です。

自分の望むライフスタイルを維持するために必要な資金を確保するには、お金などの「有形資産」だけでなく、スキルや人脈などの「無形資産」への投資が重要になってきます。

これを読んで、「いま、やらなきゃいけないことがたくさんある!」という気持ちにさせられました。

特に、「組織に頼らず自分の名前で生きていきたい人」は必読です。

お金の話や、登場人物の詳細なライフストーリーで単行本は428ページとかなりボリューミーですが、読んですぐ自分の生き方に反映できそうな部分をピックアップしてみました。

この記事の構成

この記事は、こんな構成で書いてます。

・3つの無形資産(生産性、活力、変身)
・3つの新たなライフステージ(エクスプローラー、インディペンデント・プロデューサー、ポートフォリオ・ワーカー)
・98年生まれ・ジェーンのライフ・ストーリー例
・自分に置き換えると……

だいぶ端折りましたが、それでもちょい長めです(5,000字強)。

3つの無形資産

この本では、自分の望むライフスタイルを維持するために必要な資金を確保するには、お金などの「有形資産」だけでなく、スキルや人脈などの「無形資産」への投資が重要だと語られています。

では、なぜ無形資産が必要なのでしょうか?無形資産はそれ自体に価値があるだけでなく、有形資産の形成を助けるカギにもなるんです。

これにはおもに3つのカテゴリーがあります。

自分らしいライフスタイルを実現するための無形資産3つ

生産性資産

人が仕事で生産性を高めて成功し、所得を増やすのに役立つ要素スキルや知識に加えて仲間、評判その他もろもろの要素。

活力資産

肉体的・精神的な健康と幸福のこと。健康、友人関係、パートナーやその他の家族との良好な関係など。幸福感と充実感をもたせ、やる気をかき立て、前向きな気持ちにさせる。

変身資産

100年ライフを生きるうえで起こる変化に対応するために必要な資産。自分についてよく知っていること、多様性に富んだ人的ネットワークをもっていること、新しい経験に対して開かれた姿勢をもっていることなど。

3つの新しいステージ

人類の長寿化が進むにつれ、「教育」→「仕事」→「引退」という旧来の3ステージが崩れていきます。それに伴い、新しいステージが登場しつつあるんです。

それが「エクスプローラー」「インディペンデント・プロデューサー」「ポートフォリオ・ワーカー」。

エクスプローラー=選択肢を狭めずに幅広い針路を検討するステージ

インディペンデント・プロデューサー=自由と柔軟性を重んじて小さなビジネスを起こすステージ

ポートフォリオ・ワーカー=さまざまな仕事や活動に同時並行で携わるステージ

これらは、旧来の3ステージの人生に見え始めている欠陥に対処する道を開いてくれるんです。それによって、「長生きしてもいいことないじゃん!」と思いかねない人生を、明るい方へ方向転換できるようになります。

3世代のライフ・ストーリー

しかし、これらの新しい生き方は、特別なものではありません。今後は多くの人によってこれらのステージが実践されていくと考えられています。

そこで本書にて描かれているのが、年代の違う3人の人物によるストーリー。

・ジャック(1945年生まれ)
・ジミー(1971年生まれ)
・ジェーン(1998年生まれ)

彼らの人生をヒントにして、自分の生き方を省みることができます。ぼくにとっては一番年代が近く、すでに似たような生き方をしている「ジェーン」のライフ・ストーリーがもっとも参考になったので、ご紹介します。

ジェーンのストーリー

98年生まれのジェーンの世代では、既存の3ステージ(「教育」→「仕事」→「引退」)が完全に崩壊しています。

長い年数働き続けるために、無形の資産への大々的な再投資をおこない、みずからを再創造して変身を遂げなければならないのがポイントです。

2019年(20代前半)

  • 大学卒業後、旅に出てエクスプローラーの日々を送る
  • 世界中を旅する間に、幅広い人的ネットワークを築く。これが変身資産の強力な基盤に
  • アルゼンチンとチリを旅する。ラテンアメリカの文化を学び、集中講座でスペイン語を習得
  • 料理好きのジェーンは、ラテンアメリカの都市の屋台に興味をもつ。自分もフィエスタ(お祭り)の日だけ屋台を始められないかと夢見始める
  • スペイン語を駆使していくつかの都市のフィエスタ主催者と連絡を取り、実際の経験を通じて屋台ビジネスを学ぶ
  • 楽しみながら組織づくりのスキルを学び、予算策定の基礎を学び、ラテンアメリカ各地のフィエスタ主催者とのコネも築く
2026年(20代後半)

  • フィエスタ・ビジネスの会社づくりを真剣に考えるようになり、数人の友人と会社を始める→インディペンデント・プロデューサーとして、組織に属さずに働く
  • いくつかのストリート・フィエスタの企画と運営をするも、資金繰りに苦しむ
  • 数々のイベントを成功させてきたサムと知り合う。大勢の起業家たちを紹介してくれたほか、資金調達に関して視野を広げるよう促される
  • クラウドファンディングで出資を募る
  • 積極的に評判を確立する必要性にも気づき、ブログを通じて熱心なファンを続々と獲得していく
  • ファンが増え、オンラインコミュニティが形成される。国内各地やほかの国にも広がり始める
  • 各国のフィエスタ主催者たちと意見交換し、充実した時間を過ごす
ジェーンが得たもの

この時期、ジェーンは自分についての知識を深め、多くのことを発見します。自分がどういう人間なのか、そして自分がなにをするのが好きなのか――

選択肢を広げ、スキルを磨き、人的ネットワークを充実させ、評判を確立し、長い人生を生き抜くのに必要な強みを身につけていくんですね。当座の生活資金は、身につけたばかりのスキルを駆使して稼ぎます。

単に無目的に生きる若者たちとの違いは、無形の資産を築き、選択肢を増やすために、積極的に取り組むという点です。

有益な基礎スキルを身につけ、オンライン上で評判を確立するという形で、生産性資産を築き、目的意識をもってさまざまな土地を旅し、多様な人々と知り合うことにより、変身資産も充実させます。

旅先で素晴らしい友人たちと出会い、一緒に仕事をし、互いのことを深く知る。自己再生の友人関係を築くことで、活力資産も形成します。

また、テクノロジーを駆使して、自分がなにを経験するかを選び、評判をコントロール。オンライン上で確立した人格、形成した幅広い人的ネットワーク、成功させた新しい取り組みはすべて有効な宣伝材料となり、将来のキャリアを飛躍させる発射台になるんです。

ジェーンの人生はまだまだ続きます。

2033年(30代半ば)
  • これまでは無形の資産を築くことに専念してきたが、このあと10年ほどは金銭的資産を築かなくてはならないと自覚している
  • 評判が広まってオンライン上の存在感が強まったジェーンは、数社から誘われる。食とエンターテインメントの分野での充実した経験、質の高い人脈、新しい取り組みを成功させ、顧客のニーズを理解してきた実績が評価される。有名食品企業に入社
  • 生産性資産の強化は続く。職業上のアイデンティティは「ベンチャーの人物」から「大企業の世界で活躍できる人物」へと変貌。ビジネス界の知識と専門技能も充実させていく
  • 持続可能なサプライチェーンの構築に関するセミナーに参加し、ほかの企業関係者やNGO関係者などと知り合う
  • その人的ネットワークから新しいプロジェクトを提案。ブログを頻繁に更新、持続可能なサプライチェーンに関する記事を書いたり、講演をしたりして、職業上の評判を確立することにも腐心する
  • 活力資産も引き続き強化。子ども時代や旅行中に知り合った友人たちと連絡を絶やさず、強力な友人関係を保つ
  • 結婚を先延ばしにしていたが、ブラジルを旅行中に地元NGOで働く男性と知り合い結婚
  • 37歳で長女を、2年後に長男を出産。夫婦はブラジル人ベビーシッターの力を借りつつ、家庭の用事を分担しておこなう
2041年(40代半ば)
  • 国際的な食品ビジネスの世界で働いて8年。過酷だったが、大きな成功を手にできた。しかし不満が募り退職
  • 本格的に働き始めてから最初の移行。選べる道は無数にある。昔のように自分の会社をつくってもいいし、ポートフォリオ・ワーカーになってもいい。企業の世界にとどまってもいい
  • 夫はジェーンが仕事を再開したら仕事を辞めて、自分の進む道を検討しようと計画中。しばらくはお金を稼ぐ時期だと考えて、人材採用コンサルタントの仕事を目指す
  • しかし、経験者の話を聞いて、人間心理に関する知識が不足していると気づく
  • 2年かけてオンライン講座で学び、大学で職業心理学の学位も取得
  • これにより人材会社で働く準備が整い、就職
2046年(50-60代)
  • 人材採用コンサルタントとして15年、業界内で数回の転職を重ねた末、60歳でヘッドハンティング。業界屈指の大手企業の取締役に就任
  • 仕事は過酷で出張も多く、家族のために割ける時間があまりない。活力資産が底を突きつつあるのに、ほとんど補充できていないことに気付く
2068年(60-70代)
  • 貯蓄は増やせたが20年間の過酷な仕事生活で友人たちと疎遠になり、夫との関係がピリピリし、健康も悪化
  • 活力資産の補充を最優先にした生活に転換することを決める
  • 子どもたちにはもう手がかからず、エクスプローラーのステージを生きている
  • 70歳で夫と一緒にまた旅に出る
2070年(70-80代)

  • リフレッシュしたジェーンは、キャリアの次の段階へ
  • 仕事はしたいけれど、過酷な仕事や大幅に時間を制約される仕事には就きたくない
  • ここで、それまで築いてきた変身資産が威力を発揮。多様性に富んだ人的ネットワークで、すぐに4つのプロジェクトの計画がまとまる
  • 夫婦のライフスタイルを維持するために必要な所得を確保すると同時に、刺激を得られる日々を送ることを望む
  • ラテンアメリカのストリートチルドレンを支援する国際慈善団体、ローカルな中規模の小売り企業で非常勤取締役、地元の治安判事などポートフォリオ型の生き方を実践(慈善活動、ビジネス、地域コミュニティの活動の組み合わせ)
  • 85歳で引退
移行に成功する3要素

30歳ごろまで「エクスプローラー」「インディペンデント・プロデューサー」として生きてきたジェーンも、その後はビジネスの世界に身を投じて金銭的資産を築きます。

しかしその後は「ポートフォリオ・ワーカー」として、活力資産を最優先に考えた人生を歩みました。

今後、旧来の「教育」→「仕事」→「引退」という3ステージでは2回しかなかった「移行期間」は、ジェーンのように増えていきます。

移行を成功させるためにはなにが必要となるのでしょうか?本書では3つの要素が挙げられています。

1. 自分についてある程度理解していること。いまの自分と、将来の自分の可能性について知る
2. 活力と多様性に富むネットワークを築いていること。どのように変身できるか、ロールモデルやイメージを得やすい
3. 変身のプロセスが受け身でないこと。考えることではなく、行動することによって変化に到達する=開かれた姿勢が活力をもたらす

これらを実践することで、よりスムーズに別のステージへ移行することができるんですね。

自分は無形資産を増やせているか?

人生の序盤で、ジェーンは「エクスプローラー」として、「インディペンデント・プロデューサー」として、多くの無形資産を形成することができました。

ここで、ぼく自身の話をさせてもらうと、立場的にはジェーンのアラサー期と重なるところが多くあります。

ぼくはいま27歳で、ジェーンとは違って大学卒業後に企業で3年働きましたが、現在は青年海外協力隊としてルワンダでボランティアをやっています。いまは2年間の活動のうち半分が終わろうとしているところ。

ここでいう「エクスプローラー」に当たりますが、ジェーンの人生を見て「全然エクスプローラーになりきれてないじゃん!」「なろうと思えば、インディペンデント・プロデューサーにもなれるじゃん!」と気づきました。

もったいない。考えてみればチャンスはいっぱいあります。

いろんな人と交流して人的ネットワークを築くこともできるし、現地の人と協力してビジネスを立ち上げることもできる。

実践的な機会を通じて、生産性資産や変身資産を形成するまたとないチャンスなのに、全然生かせてませんでした。

もっと挑戦しよう、実験しよう。失敗しても失うものなんかない。それができなきゃ、今後の人生も好きなように生きてなんかいけない。

自分はどんな人間か?なにが好きか?なにが得意か?

そうやって考えてるだけじゃなくて、多様な人たちの中で感情ベースで向き合いながら行動していかないと分からない。

それに気付けたのが、本書を読んでいちばんの収穫でした。

本書『ライフ・シフト』を『ワーク・シフト』と合わせて読むことで、「明るい未来を切り開くために、いまなにをすべきか」という指針を明確にすることができました。

人生について、真剣に考えるなら、読んでおきたい一冊です。

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