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要約・書評・感想『ワーク・シフト』を野原〇ろしが読んだら

「これからの世界はどうなっていくのか?」「そんな世界のなかで、どういう働き方をすればいいのか?」という疑問をお持ちの方は、ぜひこれを読みましょう

ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図

リンダ・グラットンが2012年に書いた『ワーク・シフト』。もう4年も経ってしまいましたが、本書で予想されているのは2025年の世界。まだ間に合います

この記事では、本書のざっくりとした要約と、未来を切り開くための「3つのシフト」として紹介されているうち、「ゼネラリスト」から「連続スペシャリスト」になる方法に焦点を当てて解説します

とは言え、ただ説明しても分かりづらいので、働き方について考えるためにサラリーマン日本代表にお越しいただきました

野原ぴろし
どうも、自分で切った足の爪が臭すぎて8分気絶したこともある、○○商事係長・野原ぴろし、35歳です
タケダ
爪を切るたびにバイオテロ発生しちゃいますね・・・ぴろしさん、よろしくお願いします!

 

未来を形づくる5つの要因と32の現象

野原ぴろし
今後の世界はどうなっちゃうんだ?「ちんのすけ」や「ぴまわり」の将来も心配だけど、まずは俺の働き方を考えないとなー
タケダ
「ちんのすけ」てw
野原ぴろし
許せ、パロディだ。変えすぎても読者に伝わらんだろ
タケダ
えー、これからの世界は、5つの要因と32の現象の影響を受けて変化していくと言われてます。第1章で紹介されているのがこれ
    • 要因1 テクノロジーの進化
      • テクノロジーが飛躍的に発展する
      • 世界の50億人がインターネットで結ばれる
      • 地球上のいたるとろこで「クラウド」を利用できるようになる
      • 生産性が向上し続ける
      • 「ソーシャルな」参加が活発になる
      • 知識のデジタル化が進む
      • メガ企業とミニ起業家が台頭する
      • バーチャル空間で働き、「アバター」を利用することが当たり前になる
      • 「人工知能アシスタント」が普及する
      • テクノロジーが人間の労働者に取って代わる
    • 要因2 グローバル化の進展
      • 24時間・週7日休まないグローバルな世界が出現した
      • 新興国が台頭した
      • 中国とインドの経済が目覚ましく成長した
      • 倹約型イノベーションの道が開けた
      • 新たな人材輩出大国が登場しつつある
      • 世界中で都市化が進行する
      • バブルの形成と崩壊が繰り返される
      • 世界のさまざまな地域に貧困層が出現する
    • 要因3 人口構成の変化と長寿化
      • Y世代の影響力が拡大する
      • 寿命が長くなる
      • ベビーブーム世代の一部が貧しい老後を迎える
      • 国境を越えた移住が活発になる
    • 要因4 社会の変化
      • 家族のあり方が変わる
      • 自分を見つめ直す人が増える
      • 女性の力が強くなる
      • バランス重視の生き方を選ぶ男性が増える
      • 大企業や政府に対する不信感が強まる
      • 幸福感が弱まる
      • 余暇時間が増える
    • 要因5 エネルギー・環境問題の深刻化
      • エネルギー価格が上昇する
      • 環境上の惨事が原因で住居を追われる人が現れる
      • 持続可能性を重んじる文化が形成される
野原ぴろし
どれがいちばん大事なんだ?
タケダ
それは人によって変わってきます。自分に関係の深い複数の要因が絡み合って、人それぞれの未来が形成されていくんです

これをもとに未来を予測して、自分のストーリーをつくっていきましょう!

ストーリーをつくるプロセス

野原ぴろし
自分のストーリー?どうやってつくるんだ?
タケダ
ストーリーをつくるプロセスには5つの段階があります

自分のストーリーをつくるプロセス

(上記32の要素から)

  • 不要な要素を捨てる
  • 重要な要素に肉づけをする
  • 足りない要素を探す
  • 集めた要素を分類し直す
  • 一つの図柄を見出す
野原ぴろし
なるほど!たとえば 「ベビーブーム世代の一部が――」はおれには関係なさそうだから捨てて、「女性の力が強くなる」は関係ありそうだから肉付けしてって感じか!子どもたちに手がかからなくなったらみざえも働きたいって言うかもしれないしな
タケダ
はい。あとは32の要素に入ってないけど自分に必要なものがあれば補足したり、分類を変えてみたりしながら、パッチワークのように一つのストーリーとして仕立てていきましょう

暗い未来と明るい未来

タケダ
2章からは、5つの要因によって引き起こされると考えられる2025年の「未来の世界」が、物語形式で描かれています。これが見出しとサブタイトル

第2章 いつも時間に追われ続ける未来~三分刻みの世界がやって来る~

第3章 孤独にさいなまれる未来~人とのつながりが断ち切られる~

第4章 繁栄から締め出される未来~新しい貧困層が生まれる~

野原ぴろし
暗www
タケダ
2025年なんてそう遠くない未来。現代でも想像つくようなリアルな問題が描写されてて「マジでがんばらないとヤバいな」って思わされますよ・・・

でも逆に5章からは明るい未来が描かれてます!

第5章 コ・クリエーションの未来~みんなの力で大きな仕事をやり遂げる~

第6章 積極的に社会と関わる未来~共感とバランスのある人生を送る~

第7章 ミニ起業家が活躍する未来~創造的な人生を切り開く~

野原ぴろし
おお!明るい未来が・・・!!どうすればこんな良さげな人生を送れるんだ?
タケダ
そこで出てくるのが、本書のタイトルにも出てくる「3つのシフト」なんです

3つのシフト

タケダ
「3つのシフト」はそれぞれ8~10章で解説されてます

第8章 第一のシフト=ゼネラリストから「連続スペシャリスト」へ(知的資本)

第9章 第二のシフト=孤独な競争から「協力して起こすイノベーション」へ(人間関係資本)

第10章 第三のシフト=大量消費から「情熱を傾けられる経験」へ(情緒的資本)

野原ぴろし
んーこれじゃよく分からんなー
タケダ
訳者あとがきに分かりやすくまとめてあったから引用してみましょう

<第一のシフト〉は、一つの企業の中でしか通用しない技能で満足せず、高度な専門技能を磨き、ほかの多くの人たちから自分を差別化するために「自分ブランド」を築くこと。

〈第二のシフト〉は、難しい課題に取り組むうえで頼りになる少人数の盟友グループと、イノベーションの源泉となるバラエティに富んだ大勢の知り合いのネットワーク、そしてストレスを和らげるための打算のない友人関係という、三種類の人的ネットワークをはぐくむこと。

〈第三のシフト〉は、大量消費主義を脱却し、家庭や趣味、社会貢献などの面で充実した創造的経験をすることを重んじる生き方に転換すること。

野原ぴろし
そうかーおれはまず専門技能を身につけなきゃなー。ずっとサラリーマンやってきたから専門性なんて何もないもんな
タケダ
じゃあここでは<第一のシフト>に焦点を当てて、「スペシャリスト」になる方法を考えてみましょう!

連続スペシャリストになる方法

ゼネラリストじゃダメな理由

野原ぴろし
そもそもなんで「ゼネラリスト」じゃダメなんだ?
タケダ
ゼネラリストは広くて浅い知識しか持ってない「なんでも屋」ですよね。いままでは隣に座ってる同僚とだけ競ってれば良かったんですが、これからはある程度浅いスキルだとテクノロジーに置き換えられちゃうんですよね
野原ぴろし
そうかー。これからは事務仕事とかどんどん減ってくんだろうな。そしたら美人の事務員さんに「係長♡今日は・・・私も残業・・・付き合ってもいいですか・・・?」って、妄想もできなくなっちゃうな
タケダ
妄想かよ

スペシャリストになる5つのステップ

野原ぴろし
ゼネラリストじゃダメなのは分かったけど、どうすればスペシャリストになれるんだ?
タケダ
それには5つのステップがあります

1 まず、ある技能がほかの技能より高い価値をもつのはどういう場合なのかをよく考える。未来を予測するうえで、この点はきわめて重要なカギを握る。
2 次に、未来の世界で具体的にどういう技能が価値をもつかという予測を立てる。未来を正確に言い当てることは不可能だが、働き方の未来を形づくる五つの要因に関する知識をもとに、根拠のある推測はできるはずだ。
3 未来に価値をもちそうな技能を念頭に置きつつ、自分の好きなことを職業に選ぶ
4 その分野で専門技能に徹底的に磨きをかける
5 ある分野に習熟した後も、移行と脱皮を繰り返してほかの分野に転進する覚悟をもち続ける

野原ぴろし
「ある技能がほかの技能より高い価値をもつのはどういう場合なのかをよく考える」って言われてもなー・・・
タケダ
大丈夫!ほかの専門技能より高い価値をもつものには、3つの条件があるんです

第一は、その技能が価値を生み出すことが広く理解されていること。

第二は、その技能の持ち主が少なく、技能に対する需要が供給を上回っていること。

第三は、その技能がほかの人に模倣されにくく、機械によっても代用されにくいことである。

野原ぴろし
ほうほう、たとえばどんな仕事やスキルがあるんだ?
タケダ
時代を越えて常に価値のあるキャリアもありますが、働き方の未来を形づくる5つの要因を踏まえると、今後価値が高まるのは、草の根の市民活動家、社会起業家、ミニ起業家あたりだと考えられています
野原ぴろし
おれにはどれも縁がなさそうだなー・・・
タケダ
そんなことないですよ!「市民活動家」っていうと固い感じがしますが、本業と合わせてボランティアや副業をする「パラレルキャリア」とか、専門分野を生かして第三者機関の問題解決に携わる「プロボノ」的な働き方も増えてきてますし。「ミニ起業家」は「会社に雇われずに独立して働いてる人」ですから、その辺のタバコ屋のおばちゃんや八百屋のおじちゃんだってミニ起業家ですよ
野原ぴろし
確かに!おれも独立に向けて力貯えなきゃな!
タケダ
それからスキルとして価値が高まると考えられているのは、生命科学・健康関連、再生可能エネルギー関連、創造性・イノベーション関連、コーチング・ケア関連です

好きな仕事を選ぶ

タケダ
注目されてる業種やスキルはありますが、あくまで「自分の好きな仕事」を選んだ方がいいですよ
野原ぴろし
好きなことなんかやってていいのか?そんなに甘くなさそうだけど・・・
タケダ
むしろ逆で、生き抜いていくための専門性を身につけるには好きなことじゃないと続かないんですよ。著者のこの言葉、グサッときますよ

未来が予測どおりになる保証がないことを考えれば、自分が好きなこと、そして、情熱をいだけることを職業に選ぶのが賢明だ。ましてや七〇歳代になっても働き続けるとすれば、本当に楽しめる職業を探したほうがいい。しかし以下で見ていくように、自分の道を決めた後は、生半可な気持ちで臨んだり、ゼネラリストのままでよしとしたりしてはならない。高いレベルの専門技能や知識を身につけるために精力的に打ち込むべきだ

野原ぴろし
おお・・・なんか身が引き締まるな

専門技能を高めるコツ

野原ぴろし
そうは言っても専門性ってどうやって高めればいいんだ?
タケダ
それには4つコツがあって、「場所」「時間」「差別化」「遊び」を意識すると良いですよ

「場所」は学ぶべき点のある人たちのそばに身を置くこと、「時間」は高度な専門技能を身につけるために膨大な時間をつぎ込むこと(1万時間)、「差別化」は同様の技能をもつほかの人たちから自分を差別化することです

野原ぴろし
「遊び」ってのは?
タケダ
仕事において、ふつうはやらないことをする(逸脱)、ふつうやっていることをやらない(回避)、ものごとをふつうより極端にやる(強化)、社会生活のふつうのパターンをひっくり返す(逆転)ことです

これによってふつうは接点のない要素が組み合わされて、創造性が引き出されるんです

野原ぴろし
これからは仕事と遊びの垣根を壊してかなきゃいけない時代なんだな

連続スペシャリストへの道

タケダ
ここまで専門技能について話してきましたが、実はスキルはひとつじゃダメなんです。視野が狭くなりますし、時代の変化に着いていけなくなる可能性がありますからね
野原ぴろし
ひとつでも大変なのによー・・・複数の分野をもつにはどうすればいいんだ?
タケダ
方法はふたつあって、ひとつは特定の分野の枠を超えた幅広い人的ネットワークを築き、そのなかで複数の専門技能を組み合わせる方法です。これは本書の中で「ビッグアイデア・クラウド」というキーワードで語られてるので、読んでみてください

もうひとつが、自分で複数の専門技能を身につける方法です。専門分野の隣接分野に移ったり、まったく新しい分野に移行したりすれば守備範囲が広まってリスクヘッジできますね

野原ぴろし
「H型人材」とか「スラッシュキャリア」ってやつに近いかもな
タケダ
そうですね。本書では「専門技能の連続的習得」、「連続スペシャリスト」と呼ばれています
野原ぴろし
よーし、おれもさっそく会社を辞めてセカンドキャリアに踏み出すぞ!

分野を広げる前に

タケダ
ちょっと待って!いきなり辞めちゃうのはいくらなんでもリスキーですよ。バランスを取りながらキャリア形成するには、3つの有効な方法があります
  1. 新しいチャンスが目の前に現れたとき、未知の世界にいきなり飛び込むのではなく、新しい世界を理解するために実験をすること
  2. 自分と違うタイプの大勢の人たちと接点をもち、多様性のある人的ネットワーク(ビッグアイデア・クラウド)を築くこと
  3. はじめのうちは本業をやめず、副業という形で新しい分野に乗り出すこと
野原ぴろし
なるほどな。もうちょっとじっくり準備するか・・・

セルフマーケティングの時代

タケダ
最後に、「セルフマーケティング」について。今後は、人との緩やかな結びつきのなかで、複数の会社を相手に働くケースが増えてきます。そうすると、大勢のなかで自分の存在を際立たせることが大切になってくるんですね。そのために有効な方法が3つあります

一つ目は、たとえて言えば、自分の仕事に自分の刻印を押すなり、署名を書き込むなりすること。
二つ目は、弁護士や医師のような専門職にならって、ギルド(同業者組合)やそれに類する組織をつくること。
三つ目は、活力を失わず、精力的に仕事に打ち込み続けるために、さまざまな要素を取り込んでキャリアのモザイクを描き、いわば教会のカリヨン・ツリー(組み鐘のタワー)型のキャリアを実践すること。


カリヨンツリー 引用元:clarkmaxwell, flickr

野原ぴろし
カリヨンツリー型のキャリア?
タケダ
「精力的に仕事に打ち込む期間と、長期休業して学業やボランティア活動に専念したり、仕事のペースを落として私生活を優先させたりする期間を交互に経験し、ジグザグ模様を描きながら仕事のエネルギーや技能を高めていく」キャリアのことですね
野原ぴろし
おお!じゃあ3年企業で働いた後、ボランティア活動に専念してるタケダくんはまさにカリヨンツリー型のキャリアだな!
タケダ
ふふ、リンダ・グラットンに指摘されるまでもなくキャリア形成についてはしっかり考えてますからね(たまたま)

まとめ

明るい未来を切り開いていくためには、複数の専門スキルを身につけることが大事なんですね

自分自身「どんな専門性を身につけていけばいいのか」「そのためには何をすればいいのか」と考えているところなので、方向性を示してもらえてとても参考になりました

この記事では「第一のシフト」を中心に説明しましたが、「第二・第三のシフト」も重要なので気になった方は本書も読んでみてください

ワーク・シフト ─孤独と貧困から自由になる働き方の未来図

タケダノリヒロ(@NoReHero)

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