自分の中で「何をやってるかよくわからないけど、なんとなく良さげな会社ランキング」1位だったサイボウズ
ワーキングマザーの葛藤を描いたこのムービーで有名ですね
「実際にどんな会社なの?」と思い、社長の青野慶久さんが書いた『チームのことだけ、考えた』を読んでみました
離職率が30%近かった創業期から、チームワーク抜群の会社になるまでの過程が、社長の葛藤を交えて描かれていておもしろい!
特に印象深かった「言葉を定義する」チームビルディングの手法を紹介しつつ、「サイボウズはほんとうに良い会社なのか?」という疑問を、「育自分休暇」中の元社員にぶつけてみました!
もくじ
チーム共通の理想
会社規模が大きくなるにつれ、離職率が28%に達するほどメンバーに一体感がなくなってしまったサイボウズ
28%ってやばいですよね…それだけ聞いたら「どんなブラック企業だよ」って思ってしまいます
しかし、いまやサイボウズは自由な働き方で有名な企業になりました
その組織づくりの土台となったのが、「全社共通の理想」の明文化です
核となったのが「グループウェア」。グループウェアはSNSなどと比べて閉じたメンバーが真面目に使うから地味だし、市場も飽和状態で儲かるかどうかも分からない。しかし、「命を懸けても惜しくない」と思えるほど好きなのはグループウェアでした
読んでいて社長のグループウェアに対するアツい想いが伝わってきて、思わずグッと来てしまったのがこの文章
ただ、閉じたチームは面白い。濃い。熱い。夢も涙もそこにある。起業してから何度も顧客企業が変わるのを見てきた。閉塞感のある企業が、グループウェアの導入をきっかけに、社員同士の情報共有が進み、風通しの良い会社に変わるのを見てきた。グループウェア上での意見交換をきっかけに、社長のリーダーシップに火がついたのを見てきた。仕事の現場で起きた感動的な話が社内で共有され、社員の心が1つになるのを見てきた。
このような想いから役員と合宿をして「世界で一番使われるグループウェア・メーカーになる」というビジョンを決定
世界中のあらゆるチームで、サイボウズのグループウェアを使ってもらう。そして、そのすべてのチームのチームワークを高める。チームワークあふれる社会を創る
これが全社共通のミッションとなりました
ことばの再定義
しかし、全社共通の理想ができたからと言って、そう簡単に受け入れてもらえるわけではありません
「グループウェア事業に絞るのがつまらない」と言って辞めていく人や、「グループウェアやチームワークという言葉がダサい」という反応も
たしかに「グループウェア」も「チームワーク」も少し使い古されたような印象がありますよね
そこで、「グループウェア」という言葉を再定義することに
我々が作る「グループウェア」とは、単なるスケジュール共有ソフトではない。「チーム内でありとあらゆる情報を共有し、チームワークを高めるソフトウェア」だ
「チームワークなんかじゃ勝てない」という反応もありましたが、全社に向けて「グループあるところにサイボウズあり。サイボウズあるところにチームワークあり」という、後に全社スローガンとなる言葉を含むメッセージを公開しました
青野社長はいま読み返すと恥ずかしいと書いていますが、この文章をプリントアウトしてデスクに貼る人もいたそうです。直球勝負のメッセージが社員の心を動かしたんですね
100人いれば100通りの人事制度
そこからさらに離職率を引き下げるために、人事制度の改革が行われました
キーワードは「多様性」と「100人いれば、100通りの人事制度を」
その実現のために、メンバーのあり方として求められたのが「公明正大」と「自立」
「公明正大」とは「誠実」でもなく「正直」でもなく、「『公』に『明』らかになったとき、『正』しいと、『大』きな声で言えること」
「自立」とは、「1人1人が自分の理想を言葉にして伝えられること」
この他にも「事実」と「解釈」、「成功」と「失敗」など、様々な言葉を定義していきました。曖昧な概念を自分たちの表現で再定義することによって、共通認識をつくりだしていったんですね
制度を活かす風土づくり〜感動課〜
本書では、サイボウズの多様性に対応した様々な人事制度が紹介されています
最長6年の育児・介護休業制度、在宅勤務制度、副業の自由化、「育自分休暇制度」、部活動支援、子連れ出勤などーー
しかし「制度」があるだけで活用されなくては意味がありません。「育休制度はあるけど、まわりが使ってないから使いづらいんだよね…」って会社は多いですよね
そこで着手されたのが「風土」づくり。「制度」は「風土」とセットなんですね
人事部感動課
なかでも面白いと思ったのが、「人事部感動課」の取り組み。
人事部なのに採用も育成もせず、ひたすら社内に感動を生み出す課だ
なにそれ、面白すぎるw
業務と並行して社内報を発行していた社員がいて、その社内報が社員間で取り合いになるほど人気だったそうです。それを見て、彼の能力を活かせないかと副社長が考え、たったひとりのためにつくられたのが「感動課」
毎年の新人研修や製品リリースのイベントなどで感動課は活躍し、今やその社員さんは社長を上回る人気を誇っているそうな
確かにそんな社員がいたら、社内の雰囲気はぐっと良くなりそうですね
「育自分休暇」中!元社員インタビュー
そんな100人いれば100通りの働き方があるサイボウズ。「実態はどうなんだろ」と思いながら本書を読み進めていると、いきなり知人の名前が出てきてびっくりしましたw
青年海外協力隊としてボツワナでボランティアをしている、元サイボウズ社員の長山悦子さん(えっちゃん)
もともと仕事とボランティアをどちらも行うパラレルキャリアをしていましたが、「育自分休暇」制度(※)を利用して海外ボランティアに取り組んでいる方です
※退職した人を復職しやすくするための制度。年齢は35歳以下。退職理由は、転職でも留学でも何でもよい。社長に承認されると再就職パスポートが発行される
3年ボツワナで過ごしてなお、「またサイボウズに戻りたい」と言うえっちゃん。せっかくなので、彼女にいろいろと聞いてみました
励まされた同僚たちからの「ライフカード」
でも悔しかったので、「絶対戻ってくるし、『成長したね』って言わせてやる!」と決めました。それからは自分の気持ちをオープンに話したり、ボツワナの話をするようになって、まわりも理解してくれたし、すごく応援してくれました。
それでも、自分自身気持ちが離れることはないかと不安だったんです。ちょうど3年目研修で社長と副社長に面談の機会を頂いて「どういう心持ちでいたらいでしょうか、何を気をつけたらいいでしょうか」と相談してみました。
そしたら社長には「せっかくチャレンジするんだから、こっちのことは忘れるくらい向こうで頑張ってきてほしい」って言って頂いて、ますます惚れてしまいまいました(笑)
副社長からは「新卒で学んだことは一生活きるから、心配しなくても自然とやってれば大丈夫だ」というお話を頂いて、それもボツワナに来てから何度も実感しました。サイボウズで学んだことはいろんなところで役立ったし、みなさんに本当に応援頂きました。
出国のときも、家族は来てないのに「感動課」の方が来てくれて、みなさんからのメッセージカードを届けてくれました。
特に泣かされたというライフカード「いい方を選ぶんじゃなくて あなたが思う方を選ぶのよ」
サイボウズは実家
それでも、なんでサイボウズに戻りたいんだろうな、と考えると、結局のところ人と雰囲気が好きだ、というのが残ったんですよね。もちろん事業内容も好きだし、お客さんも好き、理念も好きだけど、そのいろんなものに共感して集まってる自分の好きな人たちと働きたいと思うのが一番ですね。
あとはやっぱり、自分がどれくらい成長できたか、もとの場所で確かめてみたい気持ちもあります。それ以外にもう理由がないんですねー>< ちょっとサークル活動みたいなところもありますね。仕事は本気ですけど。サイボウズは私にとって実家的な存在になりつつあります(笑)
夢の続きをサイボウズで
でももうちょい正直ベースで話すと、もともとサイボウズではマーケティングプロモーションをやっていて、この仕事は好きだし自分の強みだと思ってるんですね。一方で協力隊では、やることの規模は小さいけど自分で仕事を創り出さなきゃいけないと改めて実感しました。生産、会計、組織・ルールづくり、人にものを教えたり育てたりーー
いろいろ、若手社会人時代にはできない経験ができたから、自主性とか責任感とか舵を取る力とかが身についた気はします。まあでもそれは会社の同期たち(社歴6年目)も同じようなステージだとは思うんだけど、日本の社会文化を根底から疑うフラットな目線をもてることはどこかで役立てられたらいいなあとは思います
でも、部署とか仕事の内容はサイボウズの中の人に決めてもらったほうがいい気がして。自分をオープンに表現して、「この仕事したらおもしろいんじゃない?」みたいな、新しい視点とかオファーを頂けたらそっちの方がわくわくして楽しいので、最終的にはおまかせしたいと思っています
ただ、なにかをじっくり育てることがしてみたいという気持ちもあります。ボツワナで心残りがあるから
パラレルさんは続く
※パラレルキャリアを実践しているえっちゃんの通称。彼女のブログタイトルにもなっている
結局、サイボウズって?
ちょっとしたアンケートのつもりが、えっちゃんの話が面白すぎて濃厚なインタビューになってしまいました
『チームのことだけ、考えた』で紹介されていた「感動課」はこうやって社員を繋いでるんですね。部外者のぼくも、えっちゃんからこの話を聞いた時、この文章を書いている時、2回泣かされましたw
「ボツワナに心残りがある」という組織づくりへの想いからは、「チームワーク」を何よりも重んじるサイボウズイズムのようなものが伝わってきますね
最後に、彼女が活動当初、戸惑っている時に読んでとても嬉しかったというライフカードを紹介して終わりにします
「チームあるところサイボウズあり」
世界のチームワークに貢献する日が来ましたね。
長山さんらしく、明るく 楽しく 盛り上げていってください!うれしい報告まってます
無題のこのメッセージは、なんと青野社長からだったそうな。嬉しすぎてしばらく壁に貼ってたそうです笑
「サイボウズってどんな会社だろう?」と思って読み始めた一冊の本から、まさかこんなほっこり感を味わえるとは
結論、サイボウズは素敵な会社でした
今後もサイボウズとパラレルさんの活躍が楽しみですね
タケダノリヒロ(@NoReHero)
そんな「パラレルさん」こと、長山悦子さんのブログはこちら
パラレルさん、ボツワナ共和国へ行く。